済井出の伝統文化

済井出の拝所と祭祀

近世の済井出の御獄には、済井出ノ獄(神名小湊イフサキノ御イベ)が「由来記」に見える。祭祀場として神アシアゲがあり、そこでは稲二祭・年浴・柴指・ヲンナイ折目が行なわれた。祭祀は屋我ノロの管轄であった。

現在済井出の拝所は、集落の前面に位置している。圃場整備が済んだ畑の中にクンナトゥウタキ(小湊御獄)・サジダー(佐事田)・サジガー(佐事井戸)がある。かろうじて残った丘の森がウガーミと呼ばれ、その南下がアサギである。神人はニーヤー(根屋)から出ることになっているが、今はまだ出ていない。

伝統的な年中行事は表に見る通りである。旧2月のウマチーには、クンナトゥウタキとアサギを、3月3日の海神祭にはウフドゥクムイと浜にあるユナジバルを拝む。4月のアブシバレーは饒平名・屋我と合同で祈願をする(中扉写真参照)。済井出ではその日、村の若者たちによって相撲大会が催される。8月10 日には柴指祭がアサギで行なわれる。

済井出の芸能

以前はエイサーもあった。村踊りも旧8月6日・8日・10日・11日にマーウイ(馬場)でやっていたが、現在はその頃の1日を選んで公民館でやっている。最初に演じられるのは長者の大主で、最も得意とするのは松竹梅・鶴亀である。昭和11年には、歌劇「八重山行き」を演じていたほど活気があった。棒もやっていたが、今はない(宜保栄治郎:名護市の民俗芸能)。

出典:「わがまちわがむら