1993.05 NeXTWORLD Expo レポート

わーくすてーしょんのあるくらし ( 10 )

1993-5 大橋克洋

今月号は1993年6月2日(水)に日大理工学部 1号館で 八谷さんの座長で行われた NeXus 例会の内容から起こしたものが主です。

< 1993.04 NeXus Meeting レポート | 1993.06 NeXus Meeting レポート >

今回の例会は本来5月にやるべきものを、NeXus の主だったメンバー 30名程が5月末にサンフランシスコのモスコーンセンターで開かれた NeXTWORLD Expo に大挙して行ってしまい留守になるので、default をずらし 6月第1週水曜に帰国報告会を兼ねて開催されました。

松野さんが調達した黒い函体と黒いキーボード・マウスのPC互換機に ホヤホヤのNEXTSTEP486 プレリリースー2を載せて、会場でデモも行なわれま した。

(大橋注)いつもは持参のテレコに録音したものからテープ起こししてなるべ く詳細に原稿を作るようにしているのですが、今回はテレコが不調でメモ書き をもとにしました。ちょっと不満もあるかも知れませんがゴメンナサイ。

そのかわり、私の書いた道中記と今回のトッピックスなどを追加しておきます。

○ NeXTWORLD Expo 道中記(大橋)

NeXTWORLD Expo では、完全装備に身を固めた「緑の蛙」たちが会場 のあちこちで否応なく人の目を引いて「日本 NeXT ユーザここにあり」と、高 いPR効果を挙げて帰って参りました。Expo や NeXT 社などに関しては、他の 方々がいろいろと書かれるでしょうから、私はあえてNeXus-DESIGN の大坊・ 白岩氏の手により製作された「究極のグッズ」、松野氏名付けるところの「ケ ロヨン・ジャンパー」についての思いを込めた一文を添えてみましょう。

「ケロヨン・ジャンパー」と「緑の蛙」たち: ケロヨン・ジャンパーは旅には欠かせないグッズのひとつです。何と 言っても迷子を見つけるには最適。ド派手なUSでも目立つことこの上ない。

チュニジアの砂漠で迷子になってもランドサットから見つけてもらえ るとか、船が沈んでもケロヨンにつかまって浮かんでいれば、RESCUE が見つけてくれるとか。

ま、これが第一の威力であることは間違いありませんが、それだけに 旅先でこれを嫌がって着なかったひとが多かったのも事実。 私もこの蛍光色のドハデなジャンパーを着て、 東京の街を歩く自信がないんですよねえ、まだ。

もうひとつ威力を発揮したのは、フィッシャーマンズ・ワーフで雨に 降られた時。これは正解でしたね。何せ雨蛙ですから。

キルテイングなんでちょっと暑い時もありましたが、冷房の効き過ぎ た車内などでは、あると便利な一品でした。

肩のところに日の丸のワッペンが付いているんですが、これも賛否両 論でしたね。確かにラウドスピーカーで軍歌も高らかに街を流す怖いお兄さん たちの肩にもこれが付いています。私はどちらかというと右寄りの方ですので、 日の丸は嫌いではありません。 しかし、こいつを着てUSの町中を歩くってのは「ジャパン・バッシング 受けて立つぜい!!」って感じで、国を出る前に格闘技の鍛錬 でもという気もありましたが、いやいや、ナマビョウホウはケガのモト と思い留まったのであります。

NeXus-DESIGN では毎年Tシャツとジャンパーを一着づつ作る予定だそ うですから、来年はイエローかショッキング・ピンクあたりになるのかな。い やいや、大坊・白岩組はそのような常識的な色は採用しないでしょう。 そうそう、このケロヨン・カラーはTシャツにすると結構常識的な色ですね。

、、つい小沢昭一的な語り口になってしまいました。

さて NeXus Meeging では、まず佐藤さんから NeXTSTEP 486 の話題など NeXTWORLD Expo のレポートが行われました。

○ Jobs のキーノート・スピーチ

(ひろのぶ)Mac の発表の時は「風に吹かれて」だった。これは、コ ンピュータはどこへ行くのかという意味。今回はエリック・クランク トンの「テイアズ・イン・ヘブン」。悲しみを乗り越える息子への愛 と自分の立ち直りの歌と思いました。

(大橋)Jobs のキーノートスピーチだけは前の方で聞きたくて、大 坊・岡本さん達と朝早くホテルを出て会場のドアの前に並びました。 われわれが到着した頃にはまだ10名程しかいませんでしたが、開場 間際にはホールはぎっしりの人で埋まりました。

ドアの中からは最後のリハーサルが行なわれているらしく、スターウ オーズの映画のような音が、もの凄いボリュームで響いていました (フタを開けてみたら、案の定その通りでしたが)。

ほぼ定刻になって開場のドアが開くと同時に整然となだれこみまし たが、既に前3列ほどはプレス陣が席を占めていて、我々は一般席の最 前列に座ることができました。

○ アンデイーグローブの話

「世の中、すべてインテルだぞ」という感じだった。

NEXTSTEP が今までのものにとって替わるものとは思わないが、 大企業のバックログを解消するためには適切だろう。 シュリンクパックは Windows であろう。

○ ドライバーズ・キット

会場は、もの凄い人だった。非常に新しい技術で、これからドキュメ ントが出てくる。デベロッパーにはソースも公開する方針だそうである。

○ HP の話

PAデイスクの上に載ってくるのは来年の今頃。ポータブル・デイスト リビューテッド・オブジェクト(on NEXTSTEP) を今年末に出す。

PAデイスクマシーンにオブジェクト間通信で仕事を頼むことができる。

○ その他

NEXTSTEP3.1 のデベロッパー用キット(299ドル)を提供する。こ れは7月31日までしか動かないので、確かめたかったら本物を買っ てくれ(期限が短いため米国でしか販売しない)。

○ 展示会場から

会場では NEC(USA) のラップトップなどで NEXTSTEP が快調に動いて いました(モノクロ)。

今月から NeXTSTEP は NEXTSTEP という名称になりました。

ペンテイアム・マシーンも動いていました。非常に早い。コンパイルも 早いので開発には最適と思われます。

Windows については、SoftPC (Windows を NEXTSTEP 上でエミュレー トするソフト)がちゃんと動いていました。マイクロソフトから正式にライセ ンスを受け、完璧に近く作っているのでかなり早い。非公式ですが何と日本語 DOSもちゃんと動いていました。

SOftPC は NEXTSTEP3.2 用に出るので秋まで待たねばならない。

デモしていたお兄ちゃんは「俺は日本語読めないけど、この通り日本 語が出るぜ」と言っていましたので、NeXus から持って行った FD を渡して 「この中に日本語も入っているから、誰かに読んでもらってね」と渡してきま した。

○ NeXTWORLD Expo ツアー(松野)

NeXus ツアー18名、個人参加8名、合計26名ほどが日本から Expo に参加しました。ツアーではコンピュータ・ショップで買いものを して、うちのインテル・マシーンが黒くなりました。

早速発表になったばかりの NEXTSTEP プレリリース2をインストール しましたので、下さんにデモしてもらいます(成田到着と同時に迎えの車でそ のまま何人かがラチされ、本日のデモに間に合わせるべく松野家でインストー ル作業に入ったと洩れ聞いています :-)。

○ NEXTSTEP プレリリース2 デモ(下)

NEXTSTEP 3.1 で大きく変わったのはログイン画面です。まず、ログ インパネルのロゴが下に来ました。マシーンに電源を入れて放っておくとDOS が上がってしまいます。

ログインすると眺めは今までと全く同じですが、解像度がひとまわり 小さいので、ドックに並ぶアイコンの数が一つ少なく「リサイクラー」が左端 に出てきます。

シリアルマウスの動きがややぎこちない。

NEXTSTEP はイメージのアクセラレータを使わないので、メモリー 転送の早いカードが最適です。ウインジーのボードを載せたものが早い。

FD を入れても残念ながらオートマウントはしてくれません。

PhotoCD が今度は正式にサポートされました。マルチセッション には対応していません。また古い CD-ROM drive では読めないようですが、 これは ROM の問題と思います。

音声に関してはサウンドブラスターは使えず、スペクトラム16 のみが現在使えるものです。

プリンターに関しては、現在キヤノンのカラープリンターのみが 使えます。

< 1993.04 NeXus Meeting レポート | 1993.06 NeXus Meeting レポート >