2007.01 健全な精神と身体の維持

わーくすてーしょんのあるくらし ( 167 ) 

2007-1 大橋克洋

元旦は晴天の予報。 東の空が曙に染まりはじめる頃

ベッドを抜け出し自宅窓から初日の出を待ちました

 日の出る方向は羽田のやや北寄り

 ほぼ2、3分毎に羽田から飛行機が離陸して行きました

「右手に初日の出が拝めます」との機内アナウンスで

 乗客達は窓に顔を寄せていたのでしょうね

< 2006.12 このコラムもついに20周年 | 2007.02 PHP と Javascript >

私の中国武術トレーニングは、 書物とインターネット上の動画参考の まったくの独学ですが、 毎日たゆまずトレーニングを続けています。 数冊の本を何度も繰り返し読むうち、 わからず読み流していた部分が 少しずつわかるようになってきました。

中国武術では「筋力を使わず、勁力を使う」というのが イマイチよくわからなかったのですが、 「充分脱力することにより 最後にしっかりした力が働く」という雰囲気が 少しわかってきたようです。 全身をバランスよく満遍なく使うので身体がほぐれ、とても気持ちよくなります。 一般に西洋スポーツでは身体の一部に大きな負荷をかけますが、 中国式では指一本動かすにも全身を動員するため、 身体への負担が非常に少ないのだそうです。

普段の生活の中の動きで、これを身につけようと考えています。 この「普段の生活の中」が 当初から私の流儀です(でないと長続きしない)。 中国武術にも同じような考えがあることを知りました。 「準備運動もなくいきなり激しい技を行う」「普段着のまま練習する」 こうすれば「イザという時でも普段と同じように身体が動く」 ということだそうです。なるほどね。

小泉政権以来医療に対し暗澹たる施策が続き、 国民医療の状況はますます落ち込むことが予測される本年ですが、 このように毎日少しずつトレーニングを続けてきたおかげで、 体力・気力は絶好調です。個人の力でできることに限界はありますが、 世の中のために微力ながら貢献できればというのが、 年頭にあたっての心意気です。

○ 頭もトレーニングしなくちゃね

今年も年賀状は暮れの3日間で版画を彫り、やっとこさで大晦日に投函しました。 元旦には到着しないと思います。皆さん ごめんなさい。 「来年こそ早めにデザインを決め版画を彫ろう」と 毎年思うのですが、なかなか、、

そんなことで「せめて宛名ぐらいはデータベースから打ち出せるようにしたい」 と考えました。 世の中「宛名職人」などのソフトで宛名書きをするのが普通の時代、 私からの年賀状の宛名が未だに手書きなのを見て 「大橋の七不思議」と思っている人も結構おられるのでは、、

以前そんなソフトを作ったこともあるのですが OS の変更で使えなくなってしまいました。 市販ソフトを使うのは「へそ曲がり」の精神に反します。 ということで正月休みを利用し、 久々に宛名印刷のソフトウエアを書くことにしました。 私の使っている住所録は、自分で作った Web アプリケーションです。 表示された HTML を放り込むと、 そいつを自動解析して葉書や封筒に宛名を連続印刷できるようなものを 作ろうと思い立ちました。

久しく本格的プログラミングをやっていなかったので、 Java や Cocoa など開発環境の復習を伴います。 HTML からの解析は思うより簡単に数行でできてしまいました。 RTF などで作成したテンプレートへ 解析データを自動的に流し込んでプリントする部分を、 これから作るつもりです。

、、、そして4日目、かなり満足のゆく 使い勝手のよいものが出来上がり、 早速追加分年賀状の宛名印刷に使いました。 この程度のこじんまりしたツールですと、 全体の見渡しが利くのでこの年齢になってもまずまず問題ありませんね。 あとはアプリケーション・アイコンをつけて完成ですが、 さて、どんなデザインにすべきか考え中。

○ プログラミングにちょっとハマりました

久々に本格的プログラミングを堪能しました。 Object 指向プログラミングでは、 色々なクラスの道具を組み合わせていきますが、 久しく離れ使い方を忘れているものが多いのです。 そこで Cocoa、Java などのリファレンス・マニュアルを見ながら 「ははーん、こういう風に使うんだ」と思い出し 使って行きます。

マニュアルで「仕様はわかったけど、、で、実際どう使うの?」 ということも、ままあります。 そんな時は開発環境のサンプル・ソースを眺めたりですが、 一番参考になるのは長年開発してきた「電子カルテNOA」のソースです。 ここには約20年間に蓄積された あらゆるテクニックが詰め込まれています。

今は便利な時代ですねえ、、 web 検索で 色々な開発者の「ひとくちノウハウ」に ごろごろヒットします。 ずっと効率的に探検学習でプログラミングできる環境になりました。 それでも実現したい機能をどうしてもうまく実現できず、 長時間格闘することも ままあり、 他の手法で逃げた部分が1、2カ所ありました。 しかし目指した機能のほとんどを実現でき満足、満足です。 数年振りにプログラミングの楽しさを満喫した正月休みでした。

「年賀状の宛名印刷のツールだけ、ちょこっと作ってみようか」 で始めたプログラミングでしたが、 勢いに乗って他のアプリケーションの大幅チューンアップもしてしまいました。 お陰で こちらもずっと使い勝手が上がり、見かけも格好よくなりました。 これには まとまった時間が必要で、 正月や GW でないと、なかなかできないですね。 その理由は、プログラムの内容を頭の中のメモリー上に 展開・保持しておく必要があるからです。 部分的小改造なら「いつでも来い」なのですが。

昔は毎日のように診療の合間、さらに深夜、 場合によっては東の空の白むまでやっていた頃もあったのですがねえ、、

○ 記憶力について考える

私は若い頃から暗記ものが苦手です。 その代わり、ものごとの理屈を考えることは好きです。 「齢をとって物忘れがひどくなった」とこぼす人は多いですが、 私は若い時からそうなので、それについては気になりません (数値の記憶は特に苦手のようです)。 そのかわり覚えておかねばならないことは、なるべくメモするようにしています。

先日ある人が「物忘れするということは、 新しいことを覚えている証拠でもある」と述べていました。 なるほどね、頭の中の引き出しの容量に限りがあれば、 新しいことを覚えるには何か忘れなければならないわけです。 家の中の収納と同じですね。

、、ということで、自分の場合 「そもそも引き出しの容量が余り多くない (最近ますますコンパクトになりつつあるようだ)」 「新しいことをいつも取り入れている」 ということなのだな、と勝手に解釈したのでした。

記憶力とあまり関係ないと思いますが、 私の頭ははパターン認識に向いているようです。 高校の頃、微分・積分の授業はさっぱり理解できませんでしたが、 幾何学の授業は面白くて仕方がありませんでした。 私の父も戦争中香港で捕虜生活を送った時、 「戦友の中にはノイローゼになり洗面器一杯の水で自殺した人間も居たが、 自分は地面に描いた幾何学の問題を解いていれば、 退屈などまったくなかった」と話していました。

私も同じです。当直などで拘束されていても、 頭の中でプログラミングや建築設計を考えているだけで 退屈することはありません。 幾何学の定理をあれこれ試行錯誤しながら解くのと、 ソフトウエアの開発や建築設計は、まったく同じような作業なのです。 昨日のTV番組で「停年後の生き甲斐をどこに見つければよいかわからない」 という人が結構多いのを知りました。 卒業間際に「自分はどの職業へ進めばよいのかわからない」のと同じですね。 私は小学校の頃からやりたいことが沢山あって、 現世だけではとてもこなし切れません。

○ Apple Computer Inc. から Apple Inc. へ

今月サンフランシスコで開催の Macworld で 、 Apple 社から新しいサプライズが発表されるのを期待していました。 期待に違わず iPhone が発表されましたが、日本で使えるようになるのは 残念ながら来年以降のようです。 以前発表された「とりあえずの」携帯電話 Rokr と違い Apple 社らしい、Jobs らしい素晴しいものになりそうです。 電話機能はもちろん、Web、Mail、iPod、デジカメなどの機能を持ちますが、 何と MacOS X を搭載し、ウイジットで色々な機能を追加できそうです。 Web は縦横どちらの形式でも閲覧でき 実用的ですね。

従来の携帯電話より快適に、Google Maps を見たり 乗り換え案内やスケジュールを参照できます。 本格的な文章の作成やグラフィック編集などするのでなければ、 携帯電話、iPod、メモ帳、ノートPC などなくても、 とりあえずほとんどの用を済ませられそうです。 前面のほとんどが液晶ディスプレイで占められ、 ボタンは下端のホームボタン一つだけ。 入力はタッチパネル形式、必要に応じキーボードが表示されます。 画面スクロールは、指でなぞるだけ。 「シンプル・イズ・ベスト」、まさに Apple らしい製品ですね。素晴しい!!

来年はこれ一台ポケットに放り込んで外出すれば、とりあえずオッケー。 前々から望んでいた時代になります。 キャリアーは Softbank になるのでしょうか KDDI でしょうか。 2005年7月に書いた「ついに出た待望のスマートフォン」では、 モトローラ製スマートフォンに大きな期待を抱き 使ってみてがっかりしましたが、 今度は Jobs の製品ですので ハズレはないでしょう。 数年前から叫んでいた「神様! SONY の CLIE に電話機能を」の願いは、 よりベターな Jobs の作品として叶えられることになりました。 実機に触る機会を得た記者の感想によれば、 触ったとたん「クールに感じた」そうです。 つまり、外見がクールと同時に冷たかったよし。 そして SONY の CLIE TH55 を思い出したとか。 「落としたら大変だろうね」の感想も、、確かに。

Jobs は Apple 社へ復帰とともにディスコン にしたニュートンを、 より未来的な形で再生したことになります。 その他にも Apple TV が発表され、 これに伴い Apple Computer 社から Apple 社への社名変更が発表されました。 私にとって、この社名変更は「ははーん、なるほどね、、」と思えるものです。 かつて Jobs の創設した NeXT Computer 社がハードウエア製作部門を捨て、 DOS V マシーン上で動く OS(OPENSTEP)のみを提供する会社になった時、 社名から「Computer」の文字をはずした経緯を経験してきているからです。

< 2006.12 このコラムもついに20周年 | 2007.02 PHP と Javascript >