2014.09 世の流れとともに消え行くもの

わーくすてーしょんのあるくらし ( 259)

2014-9 大橋 克洋

早朝散歩 目黒川に映る大崎駅のビル群

<2014.08 暑さもまあまあで夏もはじまり | 2014.10 人生の節目となる瞬間 >

◯ 世の流れとともに消え行くもの

「以前は独学でプログラミングを学ぶにあたり、情報がまったく手に入らず苦労した」「今では書籍も山のようにあるが、そのようなものを購入しなくても Web の海を探せば、居ながらにして豊富な情報を入手できる。何て良い時代になったんだ」と先月書きました。

しかし考えてみると、そのようなもので飯を食っていた著者や出版業者さん達にとっては飯の食い上げ。世の中が変わるとともに生き方も変えざるを得ない。すぐ転身できる人は良いが、そうでない人にとっては本当に気の毒なことと思います。そのようにして、今みれば決して効率的ではないが趣のあった古来のものがどんどん消えてゆく。宮大工・船大工とか、祭礼、芸者さんとか、色々ありますね。芸姑さんの季節ごとに変わる繊細なかんざしを作る職人も、もう日本には3、4人ほどしか居ないとか。いやいや他人ごとではない、、

そうした観点から世の中を見ると、今が一つの移り変わりの時代。かろうじて現在残っているこれらのものも、次の世代ではまったく消滅してしまっているかも知れません。ヨーロッパの石造りの町並みとか、エジプトのピラミッドのように長い世代を経ても残るものと比べ、余りにもはかないものが特に日本には沢山あります(ありました)。例えば、今私の住む13Fのマンションから周りを見渡せば四方八方に高層ビルの林立、ほんの40年前とはまったくの異次元空間。本当に嘘のよう。

さらに考えを巡らせば、関東大震災や東京大空襲の前と後、そして高層ビル群の出現する前後、もし、それらを断片的にしか見ることが出来なかったとしたら、どう思うでしょう。

◯ そこで提案、、

このように消えてゆくもの・消えていったものは沢山あります。そこで提案です。その技術の一部でも残せないものか。農家で使われていた編みカゴ、寺社の建築技術など、例えばビデオなどで出来る範囲でよいから撮影し YouTube のような「技術歴史館」的サーバに残しては。可能ならそれに伴い、製作者へのインタビューやメモなど、参考になるものなら何でも添えて。

NHK などのプロが作成すれば高品質な資料となるでしょうが、それではとても追いつかない。これも YouTube のように、世の中の誰でも記録をアップできる方式にすべきでしょう(ただし、爆弾の作り方などは困る。公序良俗に反するものは誰かがジャッジして排除することは必要ですね)。

今のうちにこれをやらないと、どんどん消えてゆくものが山のようにある。

◯ iPhone 6 発表

そして「世の流れとともに産み出されるもの」もあります。待望の iPhone 6 の発表が、日本時間9月10日の朝 Apple からありました。ほぼ事前のうわさ通りの内容でしたが、iPhone 6 は大小2種類のサイズが発表されました。

さて、どちらのサイズを選ぶかが悩みどころ。紙を折って両方のサイズを検証してみました。大きい方の iPhone 6 Plus は、巾的には何とかシャツの胸ポケットに入りそうですが、かなりポケットから上にはみ出ます「iPhone 6 Plus 持ってるぜ〜」と主張しているようなのが嫌ですね。これで iPhone 6 に決まり。大きい画面を見たければ iPad mini を使えば良いですし。12日に予約受付開始、いつもの近所の携帯ショップへ行って速攻で予約予定。

Web の記事を読むと、私と同様、色々な人が iPhone サイズの紙モデルで大きさを確かめていたようです。大小2つも同時に発表されると、そこのところがまず気になりますもんね。

・・・

そして発売日19日の前夜8時過ぎころ、予約した携帯ショップから iPhone 入荷の電話が入りました。夜遅くまでご苦労様。早速、翌日昼休みにショップへ行って iPhone 6 ゲット。5S も前と比べて薄いなと思いましたが、6 は更に薄いです。巾は 5S よりほんの僅か広い程度ですが、高さは更に高くなってデスクトップ・アイコンが1列余計に並ぶようになったのは有難い。よく見るとフレーム巾が狭くなったため、5S に比べ画面は大分広くなっています。しかし、こういうのはすぐ慣れてしまい広さの恩恵を余り感じません。人間てのは何とも贅沢なもんですね。さらに大きなサイズ iPhone 6 plus にしても同様なんでしょう。

その他について大きく変わったなと感ずるところは少ないですが、カメラの機能は大分上がったはず。このサイズだと、シャツの胸ポケットに入れてはみ出ないギリギリのサイズ。今後もこれ以上大きなのは必要ないな。下取りサービスもあるのですが、旧 iPhone は WiFi 接続の環境なら何の問題もなく使えるので、そのまま手元に置くことにしました。書斎の机の上に置いておくと、ちょっとした調べものをしたりするには、目の前の iMac や胸ポケットの iPhone を使うより便利なことを発見したためです。

新しい iPhone の設定の過程で、iCloud の password を変更することになってしまったのですが、これ結構やっかいですね。他の Apple 機器すべてについて、「環境設定」で password を変更しなければならないという、非常に面倒なことになりました。iPhone, 数台の Mac だけでなく AppleTV も設定変更の必要があるはず。

朝の散歩にでかける際、靴の紐を結ぼうとかがんだ途端、シャツの胸ポケットから iPhone がスルリと滑り出て玄関の床へ落下。「いかん!」と拾い上げてみると、幸い前面ガラスは無事。そこでふと思い当たりました。iPhone 6 裏面の D ラインのデザインは、このような時の衝撃吸収効果もねらいにあるのかも、、

◯ そして Apple Watch

Jobs 亡きあと久々の「One more thing」で、クック CEO から Apple Watch が発表されました。 iWatch という名称がうわさの中で飛び交っていましたが、Apple Watch というネーミングになりました。あえて、うわさのネーミングを避けたんですかね。iWatch の方が呼びやすいような気もしますが、、

軽快なゴムバンドから高級そうな金属バンドまで、各種の腕バンドを用意し、簡単に換装できる仕掛けになっているところなど、さすが Apple らしいと思いました。

発売は来年早々だそうです。しかし、すぐ飛びつくかどうかは微妙。私は腕時計が嫌いで、もう15年ほど前から腕時計をしていません。腕に時計バンドのまつわりついているのが、何となく邪魔臭いのです。初めの頃はシャツの胸ポケットに入るカード電卓の時計機能、携帯電話が出現してからは携帯の時計を使っています。しかし Apple Watch は裏側のセンサーで生体情報を取得したり、そのほかにも色々と面白そうなことができそうです。しばらくは様子見というところ、、でも、躊躇したあげく結局買っちゃうんだろうな、

◯ 今月の歩術

9月に入り大分しのぎやすくなってきました。今月も日曜を含め週4日ほど歩いています。朝歩き始めると、蝉の音のかわりに草叢にすだく秋の虫の音が聞こえてきます。以前は寝ていても向かいの小公園の虫の音が聴こえていたのですが、中原街道の騒音対策として二重窓にしてからは残念ながら虫の音も聞こえなくなりました。私はこの秋の虫の音が大好きです。小さな庵を建てることができたら、小さな中庭の虫の音を聞きながら眠れるような和室が欲しいななどと、叶わぬ夢を抱いています。

◯ 文字入力方法を幾つか選べるようになった

iOS8 になってから、文字入力方法を Apple デフォルトのものだけでなく、サードパーティーのものも追加できるようになりました。まだ数は少ないですが mazec というものを使ってみたところ、結構快適なのでレポートします。他にも幾つかありますが好評でダウンロードしてみたところ、英語しか対応していないものもありました。

AppStore から mazec をダウンロード。設定アイコンを立ち上げ「一般」「キーボード」「キーボード」「新しいキーボードを追加」で mazec を追加し「フルアクセスを許可」します(最初フルアクセスを許可しなかったので、うまく動きませんでした)。すると文字入力のところで、従来の日本語・英語入力の他に mazec を選択できるようになります。まだ充分使いこなしていないのですが、mazec では画面をなぞって描いた日本語が結構賢く文字に変換されます。ひらがなで入力しても、かな漢字変換してくれるので更に便利。

ちょっとしたメモなどに音声入力も便利なのですが、音声は使える場所が限られます。騒音のあるところは駄目、独りぶつぶつ言っていると変な人に見られるところも駄目、まして他人に聴かれては具合の悪いことも駄目という具合に。そこへ行くと mazec なら机の下でちょこちょこと手書きできて便利。ただし、当初便利と思ったものの、しばらくするとほとんど使わなかったりするものもあるので、しばらく使ってみなければわかりません、、

◯ 進化はさらに

一昔前のスーパー・コンピュータを凌駕する記憶容量と処理速度を備えたコンピュータが、GPS ・電話機・高性能カメラその他の機能を備えつつ、何とシャツの胸ポケットに収まってしまう時代になりました。そしてこれからは腕時計サイズへ。凄い進化ですね。

これに伴いメモリーやハードディスクの容量・処理速度も飛躍的に伸び、かつ安価になりました。今後も進化を続けることは間違いありません。そろそろハードディスクも 回転する円盤ではなく SSD と呼ばれるフラッシュ・メモリーが勢力を伸ばしつつあります。

そのうちにメモリーとハードディスクは一つになってしまうはず。その頃は今では考えられない大容量・低価格なものになるのでしょう。10年以内に実現されるかな。今から10年前を振り返ってみると、当時考えられなかったような高速・大容量・低価格の機器が現在実現されていますから、、

まさにコンピュータはウエアラブルになり、ネットワークの彼方の大容量・高速サーバと連携するようになるのでしょう。きたる東京オリンピックの頃には、それらはかなり現実的なものとなっているに違いありません。

◯ CATV受信機も進化してるんだ

品川ケーブルテレビがマンション全体の設備更新のため自宅にも作業にきたついでに尋ねてみました。「ケーブルテレビの録画を外付け録画装置で行おうとすると、CATV機器と録画装置の両方で同じような設定をしなければならないので非常に面倒。何かうまい方法はないの」と。すると CATV 受信機に HDD 内蔵のものがあるのだそうです。それに変更したいと伝えると、速攻で機器を交換してくれました。これは有難い。

今度は便利です。HDMI ケーブルで TV受像機に接続し、リモコンを操作すると画面に地上波・BS・CATV の番組表が表示されます。番組を選択し「録画」をクリックするだけ。へえー、どんどんシステムは進化するんですね。これは便利、便利。今週初めから始まった世界女子バレーがイタリアで行われているため、放映が深夜。早速、録画を設定しました。

このコラムをさかのぼってみると、初めて TV 録画用 HDD を導入したのは丁度10年前の9月、アテネ・オリンピックを録画するためでした。あの時は使い方を覚えるのに非常に苦労したことが書いてあります(上記の使い方のよくわからん録画装置は、これ)。ユーザ・インタフェースの進歩には隔世の感がありますね。これも携帯電話やスマートフォンで培われたインタフェースの進歩にあやかっているのかも知れません。リモコンの使い方もいちいちマニュアルを読まないでも、想定通り機能してくれる。こうでなくちゃね、、

30年ほど前、今住むマンションの工事中、仮住まいをしていた久が原の借家まで歩いてみました。当時の家は取り壊され2つに分譲されて新しい家が建っていました。

ある朝のこと、午前5時頃から玄関の外で男の声。13F は私の住まいだけなのに何をしているのだろうと。1時間近くたっても人の気配はなくなりません。散歩に行こうと玄関を開けると事件現場の黄色いテープが貼られ数人の鑑識。ちょっとした事件の検証でした。

さて、歩きの方ですが、大きな進展はありません。中国武術の八卦掌のように後肢で体重を支えつつ前肢をつま先からそっと着地、足底をべったり地面に着けて地面の感覚を味わうよう心がけています。巡航速度も早くなったようで、家に帰り着くまで歩度が落ちません。平均速度はわずかに時速6Kmを切る程度。裸足の感覚を得るため、昔買ったものの下駄箱で眠っていたスニーカーで歩いてみています。今まではウオーキング専用革靴で歩いていましたが、スニーカーも快適ですね。ウイークデーは隔日に5〜6km、休日は10kmちょっと歩いています。

自販機で NECTAR のジュースで喉を潤すのが最近の習わしとなっていましたが、そろそろ涼しくなってきてその必要も無さそうです。でも、帰ってくる頃にはちょっと汗ばんでいます。家をでるとちょっと肌寒いかなと思うくらいの服装が丁度良い。まだ半袖。

◯ スタイルは変えない

「女が男をダサイと思うこと」というリストの中に「シャツや T シャツの裾をズボンにインしている」「チノパンにスーツ用ベルトをしている」というのがありました。女性に良く見られたいという年齢でもありませんが、私はまさにそのスタイル。ベルトの方は細身の黒革にスポーティーなバックルなので、まあ良しとして「シャツをズボンにインする」というのは、自分でも「今風ならこうじゃないんだがなあ」と思いつつ、断固このスタイルを変えるつもりはないぞと、、

高校の英語の授業、話の内容の解説の中で英語の先生から「ワイシャツをズボンから出して歩くと、女性からキャーといわれる」というのがありました。「あちらでは男性はパンツをはかずワイシャツの裾で代用しているので、シャツの裾をズボンから出しているのは非常に下品なことである」との解説。今考えても「本当かなあ」とは思いますが。

しかし、それが理由で「シャツをイン」にこだわるわけではありません。当時の米軍の服装など見ていても、きちッとアイロンの折り目のついたシャツをインし、これまた折り目正しいスラックス姿の軍人の姿はとてもスマートで格好良いと思うものです。現在でもオフィシャルな服装でシャツをアウトしているってのはありませんしね。私としては、断固「シャツの裾はズボンにインした方が格好良い」と思うものです。アロハなどは別、、

◯ なんだかなあ、と思うこと

TV を見ていて、ああ、あ、日本もますます狂いつつあるなと思ったこと、、

児童公園で遊ぶ子どもたちの声がうるさいと近所のマンション住民からの苦情で、警官がやってきて「静かに遊ぶように」注意したとか。 小学校の校門で毎朝先生に元気よく「お早うございます」という挨拶がうるさく夜勤明けの眠りを妨げるとの苦情で、先生と子どもたちは黙礼を交わすようにしたとか。幼稚園児の声がうるさいとの苦情で、高い防音壁を作ったり園庭を2メートルも掘り下げ声が外へ広がらないようにしたとか。

子供が騒ぐのは当たり前のこと、今まで日本人はこれを騒音とは感じてこなかったはず。うちの診療所でも、連れてきた幼児が待合室で泣いたりすると申し訳ながって「どうも済みません」とおっしゃる患者さんがありますが、「以前の産婦人科の待合室は幼稚園のようなもの。廊下を走り回ったりとても賑やかでした。お子さんの声を聴いてとても懐かしく思いました」と答えたことがあります。電車の中でも、泣き止まぬ子供を抱いて、せっかく譲ってもらった席を立ってあやし続けるお母さんも見ます。

うちのマンションの向かい側が小さな児童公園、その向こう側が小学校(今は公共ホールになりました)。以前は秋になると朝からスピーカーの音も高らかに先生の声や徒競走のウイリアム・テルの音楽、そして盛大な子供たちの歓声が聴こえたものです。私は小学校時代、走るのが苦手で徒競走は大の苦手、運動会は決して楽しいものではなかったのですが、その私にしても前の小学校から聞こえる運動会の音は心高まるものでした。それが15年ほど前からでしょうか、スピーカーを使わなくなり、何となく密やかに行われるようになりました。近隣からのクレームによるものと思います。

自分が子供を持たなかったり子供に接することのない人間が増え、このような社会現象が起きているのだろうと思います。しかし、このような傾向はどう考えても生物としておかしな方向、とても不自然なこと、健全な精神ではないなあ、と思うのは私だけ?

◯ やっと公平? どうだか、、

原発関連の誤報ということで、朝日新聞の責任者がマスコミ相手に記者会見をしたようです。前々から思っていたこと、何か落ち度があるとマスコミは記者会見なるものを行い、よってたかってイジメのような吊し上げのようなことをする。魔女裁判のようにおどろおどろしいあの風景を非常に苦々しく思ってきました。「マスコミは他人の落ち度をあげつらっておいて、なぜ自分達は安全な高台に居るのだ」と思ってきたのですが、ついにマスコミもあのヒナ段に座るようになったかと、、

これでマスコミの一人勝ちの構図から、公平な流れになって行くのかと一瞬思ったのですが、いやいや待てよと。そもそも、このようによってたかって魔女裁判のような構図自体が私は好きではありません。どう考えてもフェアなやりとりとは思えないからです。

世の中にそもそも「完全無欠」とか「本当の正義」というものはありません。「本当にフェアなやりとり」なんてものの無いことも自明の理。でも、皆でそれに近づけようという努力は絶対に必要ではないのかなあと、、

◯ 角を曲がった先には、

NHK の朝ドラ「花子とアン」が今週で終了します(脚本家 中園ミホさんとは顔見知りなこともあり興味深く視聴しています)。その中で心にとまったのは「若いころ自分の将来は真っ直ぐ見通せると思っていたが、この歳になると曲がり角の先には何があるかわからない。しかし、曲がった先にはきっと一番良いものが待っている」という言葉。

ここにも何度か書いてきましたが、3年前に東京都医師会理事を辞め、ここ30年ほどにわたる多忙な生活から一挙に虚脱状態に陥りました。これと年齢的なものが原因と思いますが、時々ふっと何ともわからない不安感のようなものが胸のうちにモヤモヤと立ち上がってきます。大分経ってから、これはおそらく軽いウツ症状だろういうことに気がつきました。

還暦を過ぎた頃になるとうつ状態になる人を何人かみてきました。で、時々立ち上がるこのようなモヤモヤをどうやって克服しようかと試行錯誤してきました。一番大きいのは、生きてゆく上で立ち向かうべきものがなくなるのが原因で発症するのだろうと。野生動物が動物園の檻に閉じ込められて、檻の中をぐるぐる回っているのもそれだと思います。

医師会役員時代のように、生活の中で何か生き甲斐をもって立ち向かうべきものが必要と考え色々とやってみていますが、今ひとつ決定打がありません。そこで思ったのが、この花子とアンに出てきた言葉「人生の角を曲がった先には、必ず良いものが待っている」と考えてみることにしましょう。

40年近く前、小学校就学前の長女からオムツのとれない次男まで幼い子供4人をかかえ、父・母・家内が病に倒れ、元気な大人は自分一人になった時思ったこと「これだけ考えうる最悪の事態なのだから、今度何か起こるとしたら今より絶対に良いことに違いない」と開き直って切り抜けた当時を想い出しました。私の父の不撓不屈の精神を多少は受け継いでいるのかも知れません、、

◯ 2014世界バレー女子 1次ラウンド

世界バレーの季節がやってきました。バレーの競技大会としてはオリンピックより大きな大会とのことです。同様のものとして「世界陸上」などが有名ですよね。試合は1次ラウンドから3次ラウンド、そしてセミファイナル・3位決定戦・決勝へと進みます。まず1次ラウンドはイタリアのバーリ市で開催。新戦術「ハイブリッド6」をひっさげ世界ランク3位の日本チーム、金を狙いますが果たして成るか、、

第1戦アゼルバイジャンは、大統領みずから女子バレーに大変力を入れており、非常に立派な練習施設・最新のトレーニング機器・専門の栄養士などが提供されているそうです。スタートした日本は非常に良い勢いで連続得点を重ね、16−3と破竹の進撃で第1セットをとるも、その後のセットではラヒモアの高いところからの攻撃に悩まされ苦戦。もつれ込んだ第5セット、ラヒモアの勢いを止められず、セットカウント2−3で敗退。肩の故障でここのところずっと顔を見せなかった迫田さおりが久しぶりに復帰。得意のバックアタックの炸裂を見ることができましたが、彼女の奮戦も間に合わず残念。

第2戦はベルギー。試合開始直後に連続失点、あわやと思われましたが、木村沙織、江畑幸子、新鍋理沙などが巻き返す。新進、大野果奈のクイックは良いですねえ、ガタイも大きくパワーがあるので、今後どんどんクイックの技を磨いて欲しい。山口舞のブロード攻撃とともに、日本はこのようなスピーディーでトリッキーな技で勝負をしてゆくべきと思います。世界との身長差は技でカバーしなければね。今回から日本もツーの技をしばしば見せています。私が前々から日本にももっとツーをと思ってきたことです。第2セットを落としたものの、3−1で日本勝利。

第3戦はキューバ。かつて世界バレーで4度の優勝を誇るキューバ。6年後の東京オリンピックを見据え、選手の年齢層がかなり低くなっています。エースのバルガスは何と14歳、キャプテンもティーン。第1セットをとったものの、第2セットで苦戦。終盤、長岡・江畑のアタックで連続得点を重ね、今大会初めて第2セットを奪う。第3セットもハラハラさせられる場面はあったものの、山口・大野・長岡の活躍もあって見事ストレート勝ち。

第4戦はプエルトリコ。第1セット、出だしで3連続失点するも、復調の長岡望悠の連続得点などでセットを奪う。第2セット、長岡・新鍋・石井優希・宮下遥の活躍で勝利。第3セットは1日の休養を得たキャプテンの木村沙織のキレが冴えチーム1位の19得点をマークして、プエルトリコにストレート勝ち。これで日本は勝ち点を10に伸ばし、1次ラウンド2位以上を確定とともに2次ラウンド進出も決めた。

第5戦は中国。つい先日のワールドグランプリで日本は中国を下しましたが、何と行っても強敵中国。第1セットは奮戦むなしく奪われ、第2セット、江畑・大野・木村・新鍋・長岡の攻撃が機能しセットを奪い返す。第3セット、迫田のバックアタックなどで奮戦し、かろうじてセットを奪う。この1次ラウンドでセットを1つも奪われたことのない中国から2セット奪うことができました。第4セット、木村の硬軟使い分けたスパイクが何度も得点を稼ぐも、中国の高いブロックが頻発。迫田のバックアタックも跳ね返されてセットを失い、第5セットへもつれこむ。日本は迫田のバックアタック、木村のサービスエースなどで4連続得点と追い上げるも間に合わず敗退。2次ラウンドへは2位進出となる。中国の高さとパワーに対向する技を、さらに高める必要性を感じさせられた試合でした。

◯ 1次ラウンド雑感

高いところから相手を確実に撃ち抜く強烈なスパイクをもつ諸外国に対し、日本のスパイクはレシーブされてしまうことが多い。これを見て「撃てば確実に墜とす速射砲が欲しい」と叫んできましたが、今回の試合を見てちょっと考えを変えたところがあります。

速射砲があるに越したことはありませんが、今回のハイブリッド6、木村を頂点として、長岡・江畑・迫田・新鍋・大野・石井・山口・高田・石田、その他のメンバー誰もが頼もしい活躍をしています。日本的な柔軟性を持ったスパイクを磨くのも道かなと。特に木村沙織のスパイクは巧妙になってきました。強烈な撃ち方だけでなく、ネット際にそそり立つ高いブロックの上を越え柔らかい曲射弾道を描いて相手選手の隙間に落とす技が冴えてきました。1次ラウンドを終えた時点で出場選手256名の個人別得点ランクを見ると、木村沙織選手はアゼルバイジャンのラヒモアに次ぐ世界2位です。凄いですね。臨機応変にこのような技を組み合わせることにより、日本はもっと強くなれるのではないかと、、

つまり「日本選手よ、ワザ師になれ」。味方から飛んできた球をトスするようにみせて、すっと相手コートに入れる「ツー」、相手からの返球を抜く手も見せず打ち返す「ダイレクト・スパイク」、立ちはだかる高いブロックの壁に抜け道がないとわかったらブロックする相手の手に当てて球をコートの外に出すわざなどなど、、

リベロなどが受けた球をセッターがトス、それを誰かが受けスパイクという流れが多いわけですが、日本チームの場合「セッターのトスに身構えてから、跳躍し、スパイク」という流れに一定のリズムと時間があるため、相手に先を読まれ容易にブロックされる場面が多く見られました。このリズムを不均一にしたり動作間隔を短縮するなどして、相手に先を読まれない工夫が必要と思われます。

ともあれ日本チームの印象として「ハイブリッド6」は充分機能してきたようです。それが機能するには役者が必要ですが、どの選手をとってもコートに立てばそれなりの仕事をする選手ばかり。とても頼もしい。さらに技と経験に磨きをかけて行きたいですね、、

<2014.08 暑さもまあまあで夏もはじまり | 2014.10 人生の節目となる瞬間 >

これは日々の生活で感じたことを書きとどめる私の備忘録です