1990.01 ネットワーク上のNeXT

わーくすてーしょんのあるくらし (37)

1990-01 大橋克洋

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○ NeXTを日本語サーバに

現在こうして原稿を書いたりしているSUNは、手に入れてもう3年半にな る。今ではオールドファッションなSUNー3/50にはメモリーも4メガし か積んでいないので、前々から使ってみたいと思っていたネットワーク対応の 日本語FEP「Wnn」を載せてもトロトロと遅くて使いものにならず、Ne macs上で動くskkというPDSのFEPを使ってきた。

昨年導入したNeXTで日本語が走るようになるにはまだ1年くらい待たね ばならないようだが、「Wnn」をサーバとして動かす位は案外簡単に出来る のではないかということでやってみたら、コンパイル時にちょっと手を加える だけでNeXT上で簡単に立ち上がった、バンザイ! かくして、今ではSUNでNemacsを動かしながらNeXT上に載せた 日本語サーバのサービスを受けている。勿論変換スピードの方も問題ない。

辞書がまだ余りお利口になっていないので、今まで使っていたskkに比べ、 取り上げて便利という所までは行かないが、今までのように単語単位での変換 ではなく「ズラズラっと打っておいて、ポン」の一括変換が出来るのは、やは り便利である(元々OASYSなどを使ってきたので、一括変換できなくても さして不満を感じなかったのではあるが)。 これに味をしめ、Wnnと同様、現在私の所では使えないX-window も、いずれNeXT上で動かしてみたいと思っている。

○ ますます巨大化するメモリー

それにしても、ネットワーク対応、グラフィック・ユーザ・インタフェース の時代になるとソフトも巨大になってきて、メモリーやハードデイスクも昔に 比べ巨大なものを必要とするようになってきた、、、

あれ、あれ、そう書いていたら、SUNのコンソールに「write fa iled,file system is full」の表示が出て来た。言 わないこっちゃない。どれどれ、ああやっぱり、newsのデイレクトリーで spoolあふれを起こしている。とりあえずどこかのニュースグループをe xpireしておくとしよう。

最近はjunetに流れるnewsの量もかなり増加してきているためか、 1年位前までは長いことexpireしないでも余裕の有ったデイスクがもう アップアップしている。現在の設定では、newsのspoolだけで100 メガ位使っている。かなり短い期間でexpireするようにしてもこれだか ら、今後は300メガ位news用に割く必要が有ろう。

○ MOデイスク

話を元に戻すが、こんなこともあって、もう一つ私の所でNeXTの大きな 存在意義が出てきたのは「MO(光磁気)デイスク」である。 SUNとNeXTはイーサネットを介して簡単にNFSで接続できる。とな るとSUN上のものをNeXTのMOに落すのは極めて簡単である。そこで、 SUNの上でかさばっていた色々なソース類をデイレクトリーごとNeXTの MOに落すことにした。

NeXTのMOは、ややスピードが遅いこととカタカタいう音さえ気にしな ければハードデイスクと同様に使える。すなわちリムーバブルなハードデイス クと考えて良い。

このMOの容量は256メガと、あまり大きな方ではないが、それでも現在 の所は1/4インチ・テープより大きいし、ハードデイスクと同様に直接読み 書き出来るのでずっと便利である。ただ、いずれこの容量ではMOとしては小 さい部類に入ってしまうだろうから、その時点でもっと大容量のMOドライブ をサポートし、アップルがMacにやったように現在のドライブと交換するサー ビスを期待したい。

○ ワープロとっかえひっかえ

うちの奥方は現在放送大学を受講している(開業医の奥方なんてものは決し て世間で見るように優雅なものではない。中小企業や商店などと同様に文字ど おり家内工業で、なかなか外に出る暇もなく、自宅で出来る放送大学というこ とになる)のだが、先日レポートを提出するのでワープロを使いたいと言って きた。

以前はPCー98で一太郎を使ってレポートを出していたのだが、これがた またま調子が悪くて使えない。いきなり初めてのNemacsを使わせる訳に も行かないし、かくて私のコレクション?である機械を次々と引っ張り出すこ とになった。

まずJ-3100であるが、これにはテキストエデイターの「FINAL」 しか載っていないので、Nemacs同様、今すぐに使い始めるという訳には 行かない。

OASYSの1号機「オアシスメート」は既にポンコツとなっていて、第2 号機の携帯型オカモチスタイルOASYSも子供達に払い下げになっている。 これを使ってみたところ、液晶タイプの最初の頃の機種とあって、変換速度が 遅いのと、英文がどうもイマイチとのことである。

それではということで、これまた子供に払い下げたSONYのPRODUC Eー200を使ってみたが、これも入力しにくいし、辞書が余り利口でなくイ ライラするという(うちのカミさんは、とてもセッカチである)。 そして、最後にMac-PlusのEGWordを使うことになった。うち のマックにはレーザープリンターが無い。イメージライターでは今時の安いワー プロに比べても余りにも印字が拙く、これを薦め難かったのだが、印字は我慢 するという。

簡単に使い方を教わって使い始めたが、変換がお利口だし、カットアンドペー ストが出来て今までのワープロの中でダントツに使い易いと「ベスト・ワープ ロ」の評価を戴くことになった。

○ マックは日本語出力がネック

EGWordは発売当初から変換の優れていることで定評があったが、日本 語レーザプリンターを買わないことには使いものにならないと考えて、実際に は自分では殆ど使うところにならなかった。 私の知人の有る大病院の院長先生はApple,PET,Tandyの時代 からパソコンを使っている人だが、私に薦められ、騙されたと思って玩具を買 うつもりでマックを買ったそうである。

私のように衝動買いをする人間とは違って、この先生は大変堅実な方で、マッ クも余り値段の張らないものをということで買ったのだが、すぐに狂ってしま い直ちにマックより遥かに高価なNTX-Jを買い足して、今ではDTPソフ トなどを仕事に使いこなしている。かの先生の言うには「マックはNTX-J が有って初めてマックである」ということである。私も全く同感。 最近ではマックも日本でかなり伸び始めているとは思うのだが、NTX-J クラスのプリンターが20万円台位にならなければ、一般に普及させるにはど うしようもないのではないか。

何せ一般ユーザにとってのパソコンの用途の最たるものはワープロというの が現実であり、いまや20万円を切るラップトップワープロでさえ、パソコン のプリンターをはるかに上回るアウトプットを提供する時代である。 それなのに、高価なマックの日本語出力をするにはマック本体より更に高価 なNTX-Jを買わなきゃならないなんて、それはないよね。 そんな訳で、ヒューレットパッカードで出しているマック用のデスクライター は、価格が25万前後ということでかなり魅力的なペリフェラルである。

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