2002.07 MacOS X の旧MacOS からの進化を実感

わーくすてーしょんのあるくらし (55)

2002-07 大橋克洋

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先日の日曜は医師会の隣組仲間で京都へ行ってきました。今まで 家内を誘っても子供が手を離れないとなかなかということでしたが 、ようやく手を離れ久方ぶりに家内と二人での京都旅行です。

中でも東福寺の紅葉の緑は素晴らしいものでした。紅葉の頃はも のすごい人出だそうですが、美しい新緑の頃には人もまばらです。 京都ならではの洗練された美しい景色に心洗われる気持ちで帰って きました。家内も大好きな陶器の店で清水焼の器をいくつか仕入れ 、京都在住の親友とも会えて大満足です。美しいものや素晴らしい ものをみて感激する心は、いつまでも保ちたいものです。 ということで、ほかに感激した話題をいくつか、、、

○ MacOS X で使えるネットワークプリンター

MacOS X で仕事をするようになってから2年目になりますが、電 子カルテNOAから処方箋や紹介状などの打ち出しには、2万円前後で 販売されているCanon製のインクジェットプリンター BJ-S00 をつな いで使ってきました。前にもレポートしましたが、ドライバーは標 準で OSに入っているので、BJ-S600 を買ってきて USB で接続する と何も設定なしに使えてしまいます。

印字速度も一昔前のレーザープリンターと変わらない早さですし 、文字もそこそこ綺麗に出ます。インクジェットなので、プリント してすぐ触るとインクが落ちることはありますが。 しかしこれはあくまでも USB で接続したマシーン一台に従属する 形でしか使えません。やはりネットワーク上のどのマシーンからも 使えるプリンターがあると便利です。

現状では10年以上も昔の NeXT Cube のプリンターをネットワー ク上から使っています。10年を経た現在でも現役でほとんど遜色 なく使えているのは驚異的ですが、やはり寄る年波で時々ひっかか ったり、トナーがかすんだりします。エンジンは Canon のものを使 っているので、Canon のサービスに依頼すれば治る可能性はありま すが、もうこれに保守費用をかけるのもどうかという気もあります 。老齢ゆえいつダウンしても不思議はないので、後継機種を物色し てきました。

沖データの PostScript3 プリンターが MacOS X でしっかり動く のは確認しているのですが、一昨年医師会の事務局に導入した際の 経験から持ち上げると腰が抜けそうな重さと大きさに、ちょっと自 分のところに入れる気がしません。LBP は持ち歩くものではないの で重くてどうという訳でもないのですが、NeXT のプリンターの重さ をどうしても標準にしてしまうからでしょう。あちらはもっとコン パクトですし、そんなに重くありません。しかもデザインは秀逸で す。10年以上も昔の機械がそうなのに、最新の機械がデカイ重い はないだろう、という気持からの拒否反応かも知れません。

PostScript3 をサポートするプリンターなら MacOS X から使える と聞いたのですが、PS3 プリンターを出している EPSON に聞いても MacOS X へは未対応という返事で、Canon も同じです。

○ Brother のネットワークプリンター HL-1670N

そこへたまたま Brother で出している HL-1670N というPS3 準拠 のネットワークプリンターが MacOS X 対応と正式に銘打っているの を見つけました。値段も Web で直接オーダーすると消費税や送料を 入れても8万円強です。NeXT Printer や初代 Mac の LBP と比べる と10分の1以下の値段で PS3 のネットワークプリンターが手に入 ってしまうなんて、これだけでも感激です。 買ったはよいがうまくいかないという不安も、ないではなかった のですが、男は度胸、エイヤっと発注することにしました。

届いたプリンターは沖のように腰が抜けるほどの重さではありま せんし、許せる程度の大きさです。さっそく接続してみましょう。 梱包の中にはマニュアルらしきものはなく、ポスターを折り畳んだ ような簡単な設定マニュアルと薄い注意書き程度のもの、それに C D-ROM が入っているのみです。マニュアルはこの CD に入っている ようで、さすが価格を下げるにはこのような割り切りも必要なんだ なと思いました。マニュアルがないのに文句を言う人も結構いそう ですが、私はそれより安い方がずっと嬉しいです。

ということでポスター状態のマニュアルを広げながら、いそいそ と設定してみます。まず USB 接続で印字テストです。接続して Ma cOS X のプリントパネルを開くと、USB プリンターとしてもう HL- 1670N が見えています。難なく印字成功。 次はネットワークプリンターとしてのテストです。イーサケーブ ルを接続するところまでは良いのですが、ネットワークプリンター として使うにはMacOS X 用のドライバーを Brother の Web site か らdown load してくる必要があります。

ドライバーを落としきてインストールします。私はNeXTPrinter は NetInfo を使って接続してきましたが、HL-1670N は AppleTalk を使っての接続になります。こちらのマシーン側からプリンターが 見えさえすればプロトコルは何であっても気にすることはありませ ん。ドライバーのインストールで AppleTalk プリンターとしてHL- 1670N が見えるようになり、無事ネットワーク越しの印刷も成功で す。

PostScript3 互換というところに不安もあったのですが、現在の ところ画像その他も印刷してみていますが、支障なく快調に動いて いるようです。 後で聞くと沖で出している同じ価格帯のやや小ぶりのLBPがPS3 で はないが MacOS X で使えるそうです。

○ MacOS X の MacOS からの大きな進化を実感

先月号で「Mac の Classic OS 上のアプリはフォントが汚いので 嫌いだ」と書きました。1ヶ月間 ARENA carbon 版をじっと我慢し て使ってみましたが、とうとう MacOS X 標準の Mail に戻りました 。戻ってみるとホっとするようで、やあ、快適、快適、美しい、と いうのが感想です。この違いがわかってくると、皆 Carbon から C ocoa へ移ってくることは間違いないでしょう。ARENA も MacOS X ネイテイブとして Cocoa で書き直せば良いメールアプリになると 思います。 少なくとも見た目だけから言えば、両方のOSはまったく次元が異 なる、レベルが異なる世界というのが実感です。

OS としての基本的な機能から言っても Classic OS は文字通り今 となってはかなり遅れをとった面が多いと思います。いかにもパソ コンというのが Classic の良さでもあるのでしょう。しかし、仕事 にコンピュータをガンガン使う立場から意見を述べると、こう言う と怒られるかも知れませんが私にとっては玩具で仕事をしなければ ならないような状態なのです。玩具と表現したのは見かけがちゃち ということだけではなく、ビジネスに耐えうる頑丈さや効率の良さ などでかなり取り残されてしまったということです。

MacOS から Windowsへの雪崩現象の要因の一つがこのあたりにあ るのも間違いないだろうと私は考えています。つまりこれまでの M acOS はあくまでもパソコンの OS から進化しませんでしたが、その 間にWindows は着実にビジネス用コンピュータへと進化してきたの だと思います。

それでも私が Windows を好きになれないことについて、ここで繰 り返すことは差し控えますが、MacOS X は今までの MacOS から大幅 に進化した別次元の OS となっていることは間違いないでしょう。 ベースが UNIX 互換であることも大きいと思います。 そのようなことから、Windows に大きく水を空けられていたMac もこれから1,2年のうちにかなり実用コンピュータとしての能力 を発揮してくるはずと考えています。楽しみなことです。

○ いままでの Mac 文化も残したい

その一方で、従来の Mac の楽しい世界も是非残したいと願ってき ました。幸いなことに MacOS X ネイテイブのフリーウエアやシェア ウエアもどんどん増えつつあります。私のユーザ環境もそれらを取 り入れ大分快適になってきました。

ウインドーをタイトルだけにしてしまう windowShadeXや、 いろいろなファインダーについては以前レポートしました。最近使 って便利と思っているのが FruitsMenu というものです。これは従 来のアップルメニューをカスタマイズできるようなもので、この類 いのものは他にもいろいろ出ています。

私がこれらを使う大きな目的は、色々な場面から即座に使いたい アプリケーションを立ち上げたいということです。MacOS X 標準装 備の機能を使う方法としては、アプリケーションの入ったフォルダ ーごとドックに置いておく方法があります。ドックに置いたフォル ダーをクリックすると、その中のものがプルアップメニューとして 表示され、そのうちのひとつをクリックして起動できます。 このようなことで今のところランチャーはいろいろなものを組み 合わせて使ってみていますが、そのうちにどこかに落ち着くのでし ょう。どれを使ってもそう大きな変わりはないようで、好みや慣れ の問題ではないでしょうか。

MacOS の頃あったプラチナサウンドを実現するXounds というもの を入れてみました。個人的に使うにのにはよいのですが、外来で使 うにはちょっとなあということで、現在のところ個人用ノートブッ クにだけインストールしています。自分で使うには操作が大変楽し くなってよいです。

○ ファイルサーバを物色中

いつも使うファイル類は一つのマシーン上に置き、それをネット ワーク上でどのマシーンからも共有して使っています。最近は端末 をノートブックに替えている場合が多いのですが、それをネットワ ークから切り離して持ち歩く場合は、必要なファイルのみ自分の H D に落として持ち歩いています。

シェアしたファイルは HD ごと深夜の間に別の HD へ自動的にコ ピーするという方法を長年とってきました。しか RAID 方式のデイ スクも大分安くなりましたし、そろそろもっとまっとうな方法でフ ァイルサーバを運用したいと常々考えてきました。いくつかの方法 が考えられ、現在それらを検討中なのでいずれレポートすることに しましょう。

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