わーくすてーしょんのあるくらし ( 345 )

大橋 克洋

katsuhiro.ohashi@gmail.com

2021.11 Ubuntu

Ubuntu といえば Linux のディストリビューション名として有名ですが、源はズールー語で「他者へのおもいやり」「皆があっての自分」という意味。アフリカ奥地の子供たちに果物を入れた籠を指差し「欲しい人は取っていいよ」と告げたところ、子供たちは皆で取りに行き分け合って食べた。「自分だけ良ければ良い」という都会の人達よりずっと文化的。貧しく過酷な環境に暮らす人々は、助け合いながらでなければ生きていけない。われわれも行き方を見直すべきと思います。

○ 今月の歩術

10月上旬の暑さは夏の余韻を感じさせましたが、中旬から一気に気温が低下し冬に入りつつあることを感じさせました。早朝散歩も T シャツから一気に薄いフリース長袖へ。いつもならその途中に半袖シャツが入るのに、気候の急激な変化と年齢に伴う耐寒能力低下によるもの。

モンベル製のこの薄いフリース長袖、昨年は余り意識しませんでしたが、なかなか高性能なのに気付きました。気温10度以上なら T シャツの上にこの薄いフリース一枚で早朝散歩に出て何の問題もありません。感心するのは、薄手フリースなのにちょっとした風は通さないにもかかわらず、少しぐらいの汗ならまったく蒸れないこと。

これまでこの気温だと、厚手の長袖スポーツシャツでしたが、風があるとちょっと寒い。流石に気温10度を切ると薄手フリースだけでは心もとなく、その上にベストを羽織ります。気温5度位まで風のない日ならこの服装でいけそう。それ以下になるとダウンジャケットへ移行かな。そうなると帽子もキャップからニット帽へ。この夏以降、暑い時期を過ぎても散歩はキャップ姿になりました。これも加齢のなせるところかな、、

11月下旬、天気の良い日の早朝は放射冷却で気温10度を切るようになり、ベストではちょっと心もとなく薄いダウン入りウインドブレーカーを羽織るようになりました。歩きの方はそう好調というわけでもありませんが、平均1日7キロで月間200キロには届きそうです。

スポーツと選手生命

いろいろなスポーツ競技を観ていて、一線級の選手生命を保つのは本当に大変なことなのだろうなとつくづく思います。

東京五輪のスポーツクライミング競技。野口啓代選手は21年間の選手生活を送り、東京五輪で銅メダルを獲得し現役を去ることになりました。外国のチャンピオン級選手でも世界選手権決勝に残れる選手は数年で入れ替わっていく中、これは凄いことです。世界大会でも日本から出場の多いクライミング競技、野口につづく若く素晴らしいクライマーの登場を待ち遠しく思っています。ちなみに野口選手は東京五輪に先立つ数年前 準備委員会に呼ばれ、東京五輪競技にスポーツクライミングを追加して欲しいむねプレゼンを行っています。

先月、北九州で開催された世界体操、新進気鋭の橋本大輝選手とともに鉄棒競技に出場した内村航平選手。オリンピック4大会に出場し個人総合2連覇を含む金メダル3,銀メダル4を獲得。世界体操では個人総合で世界最多の6連覇を含む金10,銀5,銅4獲得という大きな記録。これだけ長い期間これだけの成績を保ったのは凄いこと。しかし、さすがの内村もそろそろ第一線から退くことになりそうで、心からのご苦労さまを贈りたい。

フィギュアスケート女子競技では、ロシアから毎年のように若く素晴らしい選手が登場。ロシアのチャンピオンを毎年のようにロシアからの若いニューフェースが席捲していきます。以前は数年間王座を保つ選手もありましたが、最近この競技ではどんな優れた選手でも若手に押し出され、長く王座を保つことは難しくなってきました。もし今、若き頃の浅田真央が登場したとしても、現在のロシアの若手には勝てなかったかも知れません。今月開催された NHK杯では、昨年シングルからペアに移行した高橋大輔選手、村元哉中選手とペアを組み出場。昨年のたどたどしい演技から見違えるようなペア演技を見せ、日本選手として過去最高点を記録。年齢的にきついことも多いでしょうが、是非もうひと花咲かせて欲しい。

長期間王座を保つ選手が素晴らしいとともに、凄い技を持つ若手の登場をみるのも楽しいこと。

性被害告発直後に行方不明の中国選手

中国の前副首相から性的関係を強要されたとSNSで告白直後、動向がつかめなくなった中国の女子テニスプレーヤー彭帥選手、世界中が心配の声を挙げています。

その後、中国政府系の新聞関係者から彼女が元気でいる近況写真や動画が SNS で発信されました。動画の中では現在の日付を何度も確認する言葉が発せられるとか、IOCバッハ会長が彼女とリモートで会話したとされるが動画ではなく写真であるとか、如何にも作為的なものが感じられます。

中国共産党がその威信をかける来年2月の北京五輪開催に関わるとして、中国政府もやっきになっているのでしょうが、その不透明で姑息な手段から、やればやるほど世界に疑惑を広げていきます。このまま騒ぎが拡大すれば、北京五輪のボイコットもあり得ないことではありません。参加選手には誠に気の毒極まりないことではありますが、、

何度も書きますが、本当に中国という国は技術革新などで見かけは大きく変わっても、やっていることは2000年前の秦の始皇帝時代とまったく変わっていません。どの中国時代劇を観ていても感ずること。2000年も変わらないというのが、まさに中国か。それを、まざまざと感じさせる事件です。

捨てられない昭和テクノロジー

「日本は古いものを捨てられない国」という記事を読みました。そうだよね〜、と同感したので、、

フロッピー:「東京都の自治体でフロッピーが撤廃されだした」というニュースが米国で驚きをもって紹介されたそうです。SONY がフロッピーディスクを生産終了してから、すでに10年になるが、自治体では今も時代遅れのテクノロジーに依存している。早く撤廃されオンラインに移行して欲しいもの。しかし何と米軍は2019年まで核兵器システムでフロッピーを使っていたし、ボーイング747は今だにフロッピーでソフトのアップデートを行っているそうです。

FAX:これについては私もこのコラムで何度も訴えてきたこと。ワシントン・ポストによれば、日本の中小企業では FAX で注文書を送ることが今でも多いと伝えています。日本の内閣官房行政改革本部は今年6月に各省庁で FAX の利用を原則廃止し電子メールに切り替えることを決定。これに対し、官僚からは FAX を残すべきという意見が400件も寄せられたとか。現場の意見として理解はできますが、そこは何としても断行すべきと思います。

ハンコ:河野行政改革担当大臣は押印を求める行政手続きが1000種類以上あると指摘、デジタル化に向け大胆に踏み出したが、これは国民からの反発を生んだとのこと。私も宅急便の受取に署名でなく、シャチハタを使えるのは便利と思っていますが、このようなものは残し、メールや Web などで運用できる書類に関しては早急に電子印鑑へ移行すべきと思います。

脱炭素社会へむけて

今月中旬に COP26:国連気候変動枠組条約締約会議が開催されました。今年の主催国英国は「石炭火力発電を段階的廃止」を主張しましたが、インドからの強い異議で、しぶしぶ「段階的廃止」が「段階的削減」になりました。

インドを始めとする開発途上国では、いきなり火力発電から石炭依存をなくすことは無理ということです。日本でも石炭火力発電の大幅削減は困難で明確な態度を示せず、COP26開始前に英国首相から強く迫られたようです。しかし、日本での石炭火力発電は技術革新の結果、他国のそれより CO2 生成の程度はかなり低いとのこと。

欧州では自動車の EV 化へ強く舵を切っています。しかし現状では EV 車の充電スタンドの中には、何のことはない石油燃料を燃やし発電している例が少なくないとか。何じゃそりゃ、、またバッテリーを作るためにも多くの CO2 発生があるそうで、現状では日本のハイブリッド車の方がトータルで発生する CO2 の量は少なく、もっと日本はその事実をPRすべきとの話を読みました。トヨタ・日産・ホンダなど日本のハイブリッド技術は非常に優れているが、欧州のどの自動車メーカーもハイブリッドへ挑戦してみたものの、性能を上げるには車重が重くなってしまうなど、いろいろな問題を解決できず、諦めた結果の EV 一択ということのようです。

吸収源としてもっと緑を増やすべき

脱炭素の一環として、私はもっと街に緑を増やすべきと思ってきましたが、これに関する記事がありました。

CO2 発生源の削減と同時に CO2吸収源の増加策として、緑を増やすべき。しかし成熟した植物の吸収するCO2量は少ないので、新たに植林する必要がある。国土の限られた日本で新たに植林するには、古い木を伐採する必要がある。そうなると伐採した木材の消費方法を考えなければならない。防火処理した木材でビル建設を行う方法も考えられる。現在の技術では4,5階くらいまでなら木造ビルの建設が可能。

現在の東京の街からはどんどん緑が消え、雨後の筍のように、あるいはびっしり繁殖したカビのように、街にビル群が張り付いています。もう無駄な集合住宅建設はやめ、空地には木を植えるべき。東京の街に緑が増えれば夏場ももっと涼しく過ごしやすくなるし、清々しい空気を吸えるようになり健康に良いことは明らか。しかし現在の金儲け主義の経済社会ではなかなか難しい問題あ、こうなれば公共事業として行うべき。私の地域でも品川区主導で武蔵小山駅周辺の大規模開発が行われつつあり、2棟のタワマンが建ち更にあと2棟建設予定とか。タワマンの問題点が浮き彫りになりマンション飽和状態の現在、あと2棟の建設予定地は思い切って予定変更し、憩いの緑地にして欲しい。そうなれば、もっと文化の香りも感じられるのに、、

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