2015.10 El Capitan リリース

わーくすてーしょんのあるくらし (272)

2015-10 大橋 克洋

ヨセミテ公園の El Capitan

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◯ MacOS 10.11 El Capitan リリース

MacOS の新しい OS である El Capitan がリリースされました。初期から続いたネコ科の名前が尽き、最近は地名からとるようになっています。今までの OS の名前は Yosemite でしたが、El Capitan はヨセミテ公園のランドマークだそうです。今回のリリースが大きな変更ではなく Yosemite の改良版という意味もあるのでしょう。

速攻でダウンロードしてみました。最近の Mac の OS は無料、有り難いですね。ダウンロードしてインストール終了まで1時間ちょっとかかりました。インストール終了しログインすると、レインボー・カーソルが結構長い時間クルクルしています。Yosemite からのフォーマットを El Capitan へ変更しているのだろうと思いますが、書斎の iMac へのインストールが終了し、外来の iMac へインストールした際にはそのようなことはなく、ログインとともにサクサク動いてくれました。はて、どうした違いなんだろう、、

先日の iOS9 の場合と同様、今回のリリースに大きな変化はみられません。最近の Mac OS は iOS と共通の進化を遂げつつありますが、これは良いことと思います。大きな変化のひとつは iOS と同様、画面を左右2画面に分け2つのアプリを並列で扱えるようになったこと。これは状況によってはかなり便利かも知れません。画像処理の効率化によりアプリの動きも早くなったとういうことですが、実感としてまだ感じていません。しかし少なくともモタモタした動きは感じられないので、効果はあったということかなと、、

◯ IBM 社内でコンピュータを Windows から Mac に換えたら

一昔ならあり得なかった話ですが、IBM が Apple と協同プロジェクトを始めました。それにあたり、IBM が社員に Mac を支給したところ、ヘルプデスクへの問い合わせが Windows ユーザの頃の 40% から Mac になって 5% に激減したそうです。

そりゃあそうですよね。常々このコラムで書いてきたように「世の中の人達の多くは何で Windows のように使いにくいものを使うんだろう」「初心者に使ってもらうには Mac の方が圧倒的に判りやすい」ということ。結局、特に業務用ソフトウエアの多くが Windows で開発されたものだからなのだろうと思いますが、ここは MicroSoft 社の戦略大当たりということですね。

そのような流れに Apple が竿を刺そうというのが今回の IBM との業務提携と思います。IBM からは既に色々な業界に向け幾つかのアプリが出されたようで、今後 100種類以上のアプリが出るそうです。 IBMとしてはiPadなどをユーザー端末として有効に使える状態にしていきたいのだと思います。

◯ 今月の歩術

そろそろ寒さへと向かいつつありますが、まだ早朝でも気温は20度以上あるので、半袖を通しています。流石に早朝では、T シャツでジョギングの人以外に半袖はみられなくなりました。幸い今のところ無風の日が多いため半袖でも非常に寒いということはなく、歩いてくるとやや汗ばむ感じにもなります。東京都医師会の通勤がなくなって、やや耐寒能力が落ちた(というより普通になった?)ように思うこともあったのですが、この肌寒い季節の半袖歩行により再び耐寒能力が上がってきたように思います。

歩くに良い気候となったためもあり、今月は10km から 20km と長めの散歩も数回ありました。長めの方は家から多摩川べりを通って周遊してくるコース。短めの方は、湾岸道路を経て日比谷公園を周ってくるとか、いつもの目黒川から環八へ周ってくるコースなどがあります。今月の目標は先月恵比寿駅前で目撃した競歩のスムースな動きに触発され、前方に着地した下肢が垂直に至るまで膝を曲げず、股関節を柔軟にして歩くこと。しかしこれを長距離にわたり持続させることはまだなかなか難しい。途中でその意念を忘れてしまうのです。最初はこのような歩きをしていると股関節がおかしくなったりしていましたが、最近では股関節の柔軟性が増したのか特に問題なくなってきました。

このような下肢の使い方を意念しながら、究極の命題「ネコ科の歩き」を追求しています。短距離ではよくても長距離になってくると、まだ股関節がガタつく。

最近は中国武術の練功も以前ほどではなく、ごく一部だけとなりました。中国武術を日本に紹介するという大きな功績のある松田隆智氏が2013年に心筋梗塞で亡くなっていることを知りました。私より4歳ほど年上でしたが、彼が武術を習いに台湾へ渡った頃は私も開業したてでやる気バリバリの頃でした。一度お会いしてみたい方でしたが残念でした。

◯ 今月の脳トレ

電子カルテ NOA の開発、ここのところアイデアがネタ切れとなっています。ユーザさんからのリクエストが一つだけ未処理なのですが、どうも不具合の症状や原因がつかめず、悩んだままです。

このように行き詰まった時は、まったく別のことをするのが良いということで、今月はもっぱら高校時代からの趣味である住宅設計を行っています。以前は方眼紙に描いていたのですが、原始的な CAD のようなアプリを作ったので、もっぱらそれを使って設計しています。凝ったことはできませんが、図面を引くだけなら便利に使えるようになりました。

作成した図面のスクリーンショットを google drive に置いておくと、出先などでの時間つぶしに iPhone でそれらの作品を眺めることができ便利です。

◯ 「官から民へ」により大切なものが失われる

愛知県小牧市の図書館が TSUTAYA へ民間移管され重大な問題が発生しているとこのとです。私も一見、民間移管は良いことじゃないかと思っていたのですが。

何が問題かと云うと、企業は当然のことながら利益優先。郷土資料や貴重本などが、要するに借りる人がほとんどいないという理由で全て廃棄されたとか。これは重大な問題ですね。常々憂いてきた「歴史の中で得られてきた古きものが失われる」ということ。例えば古地図や災害文献などは、将来を築くためにも必要な重要な資料。これを廃棄してしまうとは、中国の文化大革命・焚書坑儒にも匹敵する愚策というか罪。

話がそれますが、かつて孔子や孟子に代表される三千年の歴史に裏打ちされた国として尊敬していた中国が、今や恥も外聞もなく亡者のように自分の利益しか考えない民族に成り果ててしまったのは何故だろうと考えるに、尊敬すべき歴史的遺産や人材を文化大革命で文字通り焚書坑儒してしまったからではなかろうかと、、

過去の手書きの郷土史などはお金で買えない貴重な資料、先祖代々の古文書などを市町村の図書館だからという安心感で寄贈した人々の志をドブに捨てるような行為。佐賀県など全国で他にもこのようなツタヤ図書館が増えているのだとか。このように市立図書館が TSUTAYA へ移管されるについては市議会の議決がいりますが、ここでも利権がからみ、その市議が TSUTAYA 子会社の社長におさまっている例もあるそうです。

TSUTAYA は自分の利益ばかりを考え引き受けたため、公立施設本来の役割をまったく理解していない、あるいは無視しているということ。かつて小泉首相が唱えていた「官から民へ」、手放しで良いことばかりではないということですね。

◯ 憂うる VW のこれから

VW が販売したディーゼル車などが、米国の排ガス規制をクリアするため違法な組込ソフトウエアでエンジン燃焼をコントロールしていたことが発覚、莫大な賠償金を払うようになったようです。今まで「行け行けどんどん」で快走していた VW 、これで同社の活動が多方面で減速することは間違いないと思われます。

最近の WRC ラリーでは、VW の擁するドライバー、オジェ・ラトバラ・ミケルセンの三選手がそろって1位から3位を独占することが多く、VW としてもヒュンダイ、シトロエン、フォードを退けダントツのトップでマニュファクチャラーズ・チャンピオンの位置を快走してきました。これがこの事件で大きく後退するのではないかと心配していますが、早速そのような影響が出始めた記事を目にしました。VW はレッドブルF1 チームを買収する予定だったのが、この排ガス問題で中止になったとか。これからやってくるであろう財政難に、それどころではないということでしょう。

なぜ VW がそのようなインチキを行ったのか ちょっと信じられないことですが、常に身を正していないといつ崖から墜落することになるかわかりません。前述の TSUTAYA 問題もそうですが、これからの企業は利益だけを追求するのではなく、社会の利益を考えてゆくことが強く求められる時代になっているのだと思います。

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日曜散歩:芝公園から母校慈恵医大を臨む

これは日々の生活で感じたことを書きとどめる私の備忘録です