2010.10 クラウドへのシフト

わーくすてーしょんのあるくらし ( 212 )

2010-10 大橋 克洋

8月号に触れた陸軍軍人の石原莞爾が戦前に書いた論文の中にこんなものがあります。

この頃の日本人は口に精神第一を唱えながら、資源獲得のみに熱狂している。ドイツでの資源貧弱の苦境を脱却するための努力が、今日のドイツの科学、技術の進歩をもたらしたのである。ドイツを尊敬する人はまずこの点を学ぶべき。

石原氏の的確な未来予測には感服するものがあることを書きましたが、この文章もそうですね。現代の日本にとっても貴重な忠告ではないでしょうか。一時はジャパン・アズ・ナンバー・ワンと云われた日本が世界のランクからどんどん沈み込む一方で、アジアの隣国達の意気がどんどん上がる中、わが国は石原莞爾の言葉を噛み締めるべきと思います。

「エコに力点を置く」企業など多少の動きは見られるものの、今日の日本の指導者にそのようなものを勉強する余裕は全くないのでしょうねえ。政治家の「、、2番目じゃ何で悪いんですか」など、馬鹿な発言が仕切ろうとするところですから、、

◯ クラウドへのシフト

先月も書いたところですが、何年かに一度、恒例のお祭り騒ぎ「サーバの復旧で大格闘」が 10 月に入っても続いています。これを機会に歴史ある OceanWebSpace をクラウドへ移す決心をしました。

長年書きためた「わーくすてーしょんのあるくらし」、いずれ管理者がいなくなるとともに、ごっそり消えてしまうのはちょっと残念、私が管理しなくなっても存続するクラウドへ移行したいと思っていたところです。「そういう意味では Google が一番安心」と思い Google のサービスを調べてみると google site というのがあるのを知りました。さすが Google !!

まず web site の名前をゲットしなければなりません。うまいことに OceanWebSpace というのを取得できました。Google のサイトでの web コンテンツの作成、勝手がわからず大変でしたが、やっているうち次第にコツを飲み込んできました。しかし、従来のコンテンツを自動で流し込むことはできないため、ひとつずつ手作業。こつこつと根気よく引越しするっきゃないということで1週間ほどかけ、とりあえず「わーくすてーしょんのあるくらし」をこちらへ引越しました。残りはぼちぼちと、、

あとはスケジュール管理。Emacs や Cocoa アプリで運用していた時代を含め22年分ものスケジュールが記録されています。これはさすがに手作業での移行は難しく、専用フォーマットへ吐き出し Google calendar へ吸い上げるつもり。暇ができたら、そのためのツールちょっとした Web アプリを書くことにしましょう。そうやって、ほとんどをクラウド へ移行しても、現状では やはり自前サーバも必要と思っています。実験用などを含め Web アプリでのサービスを継続するため。

◯ Web サーバのダウン、復旧で難航

Web サーバの復旧は予想外に難航しています。コンテンツは常に TimeMachine でバックアップしていたので、新しいサーバを立ち上げバックアップから復旧すれば楽勝と思っていました。ところが、ところが、そうは簡単に行かなかったのです。新しい Mac mini 購入にあたり Mac mini には 2台の HD と MacOSX Server を積んだサーバ専用マシーンと、普通のマシーンがあります。サーバマシーンは DVD ドライブが積んでいないため、トラブった時に何かと面倒かなと、普通のマシーンを購入し MacOSX Server の OS を載せることにしました(結果的には、この選択が大失敗)。

新しい Mac mini へ、手持ちの一世代古い MacOSX Server 10.5 をインストールをしようしたところ、OS 10.6 でないと立ち上がらないことに気が付きました。仕方なく 10.6 を発注。うっへー、Mac mini と MacOSX Server を合わせた価格は、Mac mini のサーバ・タイプより高くなってしいました。最初からサーバ・タイプを購入しておけば良かったってことか、、

今度はすんなり MacOSX Server 10.6 をインストール。OS のバージョンや CPU が異なることになったので TimeMachine は使えません。内容を直接コピーして Web コンテンツの復旧はバッチリ。次はスケジュール管理などの Web アプリ。NOA などファイアーウォール内のシステムでは MAMP を使っており、このような時 MAMP ごとコピーするだけと極めてシンプルなのですが、外部に公開された Web サーバでこの方法はセキュリティー上の問題があり、MacOSX Server 標準搭載の MySQL などを使っています。

/var/mysql の下に TimeMachine から DB コンテンツをコピーし MySQL を立ち上げてみました。うまく DB を参照でき、しめしめと思ったのですが、どういう訳か read-only。色々試行錯誤しても read-write になりません。それでは手を変えてと DB コンテンツを export し import 。何度やっても途中でコケてしまいます。試行錯誤を繰り返した末の数日後にわかったことは、import する時の設定で「部分インポート」のチェックを外しておかないと、大きなファイルを読み込む途中、転送に時間がかかったりするとコケてしまうようです(と書いたのですが、どうもそうじゃなかったみたい。後述)。

◯ どうしても Ether 接続ができない

ひとまずマシーンは無線 LAN で接続されていますが Web サーバは Ether 接続でないと困ります。Ether 接続にしようとシステム環境設定を開いてみました。ありゃ、AirMac はあるけど、Ethernet がないぞ。ここで何日もハマってしまいました。どうやっても Ether の設定が出てこないのです「そんな馬鹿な」と思っても。困った時のネット頼み、色々と探してみました。しかし「MacOSX Server 10.6 と Mac mini がらみでイーサネットの設定がない」という話題はなかなかみつかりません。

ようやく朧気ながら想像できたことは「最新の Mac mini と MacOSX Server との組み合わせでは Ether のドライバーが用意されていないのでは」ということです。試しに MacOSX の OS をインストールし直してみると、ちゃんとシステム環境設定に Ether が現れます。今までの長いコンピュータ歴の中で「Ether が見えない」というのは経験したことがありません。「へえー、そんなこと有り得るんだ」「うーむ Ether のドライバーをみつけて MacOSX Server へコピーすれば良いのかなあ」などと思案しています。

おそらく Mac mini のサーバ・タイプに付属の Server OS には Ether ドライバーが入っているはず。何で単独売りの Server OS には入っていないんだろう、とても謎です。Mac mini に MacOSX Server を載せた人って殆ど無いんですかねえ、そんなことはないはずと思うのですが。うーむ、Mac mini サーバ・タイプを選択しておけば、もっとすんなり復旧したはず。

◯ Web サーバ ようやく復活

数日手をつくしましたが、どうしても Ether 接続できません。ついに根尽きて「NOA 専用に使っているサーバもそろそろバックアップ・マシーンが必要だし」ということもあり、Mac mini Server を発注しました。電子カルテが動いているサーバは TimeMachine で常時バックアップしているものの、突然ダウンした時、すぐバックアップ・マシーンへスイッチできると安心です。いずれ、そのような仕組みも作らねばと思ってきました。数日後 Mac mini Server 到着。HD 2台搭載ということで通常の Mac mini より厚みがあるのかと思っていましたが、外見は変わらないんですね。なかなかスリムです。そうか、DVD ドライブの代わりに HD が入っているということなんだな。

早速こちらへ Web コンテンツや DB をインストール。あれ?また、ヘマをして DB がうまく動きません。Mac mini Server は DVD ドライブがないので、OS などのインストールは他のマシーンからのリモート・インストールです。「丁度いいや、リモート・インストールの練習もしてみよう」ということで、OS を再インストール。外部マシーンからとあって、やはり効率が落ちるようで ちょっと時間がかかります。再度、コンテンツや DB をインストール。いつもひっかかる DB コンテンツのインポートや設定も今度は一発でうまくいきました。

昔から繰り返してきたことですが、このような度重なるトラブルは、否応無しにスキル・アップしてくれます。必要悪ということでしょうか。「いつまで経っても学習能力のない懲りないやつ」と言われそうですが、、

かくして約1ヶ月の格闘を経て、ようやく Ocean Web Space 復活。一段落したところで、この Mac mini Server 付属の MacOSX Server を、前述の Mac mini にインストールしてみました。案の定、今度はバッチリ Ether が見えて使えるようになりました。やはり単体で売っている MacOSX Server 10.6 には(少なくとも Mac mini 用の)Ether ドライバーが載っていないようです。これって、バグだと思うんですが、それとも何か理由があるのでしょうか。ネット上を探しまくったところでは、そのような話題はみつからなかったんですが。

◯ MySQL へ大きなデータの import

先にもちょっと書きましたが、他で export したデータの MySQL への import で何度かうまくいかないことがありました。旧 Mac mini、新 Mac mini、新 Mac mini Server と、色々なマシーンで試行錯誤したのでマシーン側の原因なのか、システム設定の問題なのか、判然としないところがありました。こうして一段落したところで、色々な実験をしてみました。新しいマシーンに 1989 年から蓄積された NOA のカルテ・データを import してみたところ、何度やっても途中でコケてしまいます(もちろん FireWall 内マシーン)。エラー・メッセージを見るとデータが巨大なため、、

それから色々と試行錯誤が始まり Web でも調べてみました。PHP の設定ファイルでメモリー容量などを大きくすると良いというのをみつけ、やってみましたが症状は改善されません。そのうち bigdump.php というのを見つけました。この PHP スクリプトに目的 DB への読込み条件などを設定し Web ブラウザーでこのスクリプトを実行すると、おー、見事に巨大データを綺麗に読み込んでくれました、、が、あれ、日本語が文字化け、、そうか、スクリプトの中でキャラクター・セットに UTF8 を指定しておけば良いんだ、、ということで bigdump.php には今後もお世話になりそうです。

◯ 今月の iPad

そんなことで、スケジュール管理は Google Calendar を使っています。サーバ復活までの一時しのぎのつもりだったのですが、それなりに慣れてきました。そのうち iPad のアプリで「さいすけ」というのがあることを知りました。以前から PC 用のカレンダー・アプリとしての存在は知っていたのですが、iPad アプリ価格ということもあり、ダメ元で使ってみることにしました。

ほおー、Google Calendar と同期してくれるんですね。設定により1件更新ごとに同期を取ることもできます。つまり Google Calendar のビューアとして使えるわけ。色々と細かく設定もできて、自作のスケジュール管理アプリにあった「イベントや場所をポップアップ・メニューに記憶する機能」もありますし、案件にメモを添えることもできる。となると、自作アプリにあって、こちらに無いものは外食の有無(食事の準備の都合上必要ということで、家内からのリクエストによる機能)だけです。これは特定のお約束として、イベント名にアスタリスクか何かを付ければクリアできるかと、、

ということで、自前サーバが復活しなくても、何とかなりそうな雰囲気。かくして、自前サーバで行っていたことのほとんどが、クラウドへ移行してしまいました。ただ、長年の「わーくすてーしょんのあるくらし」愛読者の方々へ引越先を知らせたり、特定の Web アプリをサービスすることも継続したいと思っています。

◯ Google site を使ってみて

前述のような経緯で先月から OceanWebSpace を自前サーバから Google site へ移転して使っています。現在 感じている良い点、困った点などについてレポートしてみたいと思います。

まず良い点から

  • 自分のストレージを使わない(ちょっとセコイ)

  • サーバの管理が不要(何年かに1回 泣かされていた)

  • 管理者がいなくなっても半永久的に残る(はず?)

  • それなりに格好良いサイトを作れる

次に困った点としては

  • Google site で用意した枠外のカスタマイズがしにくい(特に Web アプリの埋込など)

  • コンテンツがいつまで経っても Google の検索にひっからないようだ(はて?)

  • iPad では編集ができない(現状では)

  • 突如あちらの事情が変わったりすると屋根からハシゴがなくなる可能性がある

などが挙げられます。折角、数カ月前、自作 Web アプリでリモートから OceanWebSpace を編集できるようになったばかりなのに、Google site へ移したら iPad でリモートから編集できなくなってしまったのは とても痛い。当面は「自前サーバを相手に iPad でコンテンツを逐次アップデートしながら、適時まとめて Google site へコピーする」などの方法でしょうか。

まだ利用はじめて1ヶ月足らず、今後評価が変化してくる可能性はありますが、とりあえずのレポートでした。使い始めの頃、時々レスポンスが遅くなることがありました。いずれ改善されるかなと思っていたところ、そのうち消失。サーバ側の index 付けなどで忙しかったんですかね。Google が、そんなことで動きが鈍くなるとは思えないんですが、、

◯ NOA サーバのパフォーマンス飛躍的にアップ

サーバ復旧作業騒ぎで予期せず購入することになった Mac mini (サーバ・タイプでない方)を NOA のサーバ・マシーンとすることにしました。今までの NOA サーバ(Mac mini: はじめて Intel CPU を積んだ Mac)はバックアップ用。復旧騒ぎで、サーバタイプでない Mac mini にも MacOSX Server OS を載せ、標準で Web サーバ機能や MySQL が動くので、こちらで NOA を動かしてみることにしました。MySQL への NOA データの import でちょっと試行錯誤がありましたが、その他は何の苦労もなく移行(MAMP 環境同士の移行なら単純にフォルダーごとコピーだけで もっと簡単)。しかし使っているうち MAMP 環境とちょっと異なる挙動に気が付きました。

一つ目は、NOA で住所欄や主訴欄などを編集しても、編集結果が画面にすぐ反映されないのです。ブラウザーを再描画しても駄目。試行錯誤の結果、キャッシュ・クリアにより反映されることがわかりました。「あれ? おかしいな」NOA サーバを新しいマシーンへ移す前にはそのようなことはありませんでした。クライアント・マシーンはシステム更新していないのに、何でキャッシュまわりの挙動が変わってしまうんだろう。

二つ目は、画像ツールで画像の保存がうまくいかないこと。NOA システムの新しいマシーンへのコピーによるパーミッションの変化を疑いました。しかし新旧サーバのファイル・システムのパーミッションを比較してみても同じです。どうしてだろう。

ということで、結局、従来通り MAMP で動かすことにしました。こちらですと上記2点は何の問題もなし。何故でしょうねえ。キャッシュ・コントロールはクライアント側でやっていると思っていたのですが、今回の挙動からするとサーバの環境により異なるということが解りました。どういうメカニズム? NOA サーバへ送られてきた画像のコピーができない理由は、まだ不明のままです。

かくして、最新 Mac mini + MAMP に載せた NOA サーバで運用した感想。えらく電子カルテのレスポンスが良くなりました。処方箋などサーバ側で作成する PDF は、表示までに従来は数秒かかったのですが、瞬時に表示されます。カルテページめくりも早くなったようです。へえー Mac mini のパフォーマンスがかなり上がったということですね。こうなると Web アプリと言っても従来のデスクトップのソフトウエアと変わりありません。

iMac を購入するまで開発マシーンは Mac mini で、パフォーマンスに十分満足していたのですが、最新の Mac mini のパフォーマンスはそれを遥かに凌ぐようです。以上の経緯でたまたま私は MacOSX Server OS で動かしていますが、普通の MacOSX OS でもパフォーマンスは変わらないと思います。

◯ MacBook Air が装いも新たに

「Back to the Mac」と銘打った Apple 社の発表会で新しい製品の発表がありました。MacOSX の次のリリースはバージョン 10.7 で Lion だそうです。今度こそネコ科のネーミングはこれで終了でしょうか。リリースは来年の夏ごろとか。他に iLife などの新しいバージョンの発表。そして MacBook Air が新しくなって登場、こちらは本日から購入可能となっています。横から見るとウエッジ型になったんですね(一時 F1 レーサーなどで流行った形)。

iPad が登場した時「MacBook Air の役割はこれでなくなるだろう」と書きましたが、Jobs はそうは考えていないようです。HD の代わりに SSD: Solid State Drive を積み、基板をコンパクトにして作った空間をバッテリーで埋めて iPad なみとはいきませんが、ワイアレス・ネットワーク接続しっぱなしで5時間、そうでなければ7時間のバッテリー駆動時間。さらに13インチの他に11インチの小型サイズも出してきました。小さい方は私がかなり前に購入した SONY のポケット版 VAIO C1MZX に似た感じです、、と最初の記事にあった写真を見て書いたのですが、その後わかったところでは今までの Air より一回り小さいだけなんですね。

Apple の出すものはいつも美味しそうで、つい食指が動きそうになるのですが、来年登場するであろう新しい iPad を待った方が、私にとっては正解と思っています。「さて MacBook Air は世の中でどのような使われ方がされるのだろう」ということに、ちょっと興味があります。私のように「出先でもプログラミングをしたい」という人は少ないでしょうから、多くは「出先で書きものをしたい」ということでしょうか。私は iPad で書きものをしていますが「やはり快適にキーボードから入れたい」という人は多いでしょうからね。それ以外に「iPad でなく MacBook Air でなければ」ということが思い当たりません。それは裏返せば「iPad はとても優れもの」ということなのです。

あ、そうそう、今度の Air では画期的な点があります。マシーンに付属してくる起動用の OS です。何枚ものフロッピーを入れ替え差し替えで大変だった時代もありましたが、最近はほとんどが DVD 1枚です。しかし Air には DVD ドライブがないので、OS を再度入れなおさなければならない時、DVD ドライブを購入するか、DVD ドライブを持つ他のマシーンからリモートでインストールする必要があります。今度は何と起動用 OS の入った USB キーが付属してくるのだそうです。

なーるほど、、で、OS のアップグレード時には他のマシーンで USB キーに新しい OS をコピーしてやるのかなと思ったのですが、この USB キーは read-only だとか。はて、OS のアップグレードはどうするんでしょうね。ネットワーク経由で可能な場合は勿論よいのですが、そうとは限りません。

◯ なつかしい怪鳥「シャパラル」

MacBook Air がウエッジ(くさび)型になり、一昔前の F1 レーサーのようだと書いて想い出しました。F1 も今では更に進化して「くさび」のようには見えなくなりましたが、今だに特徴的なのはウイングです。リアサスペンションに直接作用するウイング、非金属によるモノコック構造、サイド・ラジエター、レーシングカーに初めてオートマチックを採用するなど、数々のユニークな発明をしたレーシングカー「シャパラル」を想い出しました。

シャパラル:ロード・ランナー

今では知る人も少ないかも知れない「怪鳥」と呼ばれた「シャパラル」は、テキサスの石油王で技術者かつカーレーサーでもあるジム・ホールにより設立された「シャパラル・カーズ」で生まれました。シャパラルとはアメリカ南西部に生息するカッコウ科の鳥で、荒野を疾走することからロード・ランナーと呼ばれるものだそうです。

特徴的なウイングを装備したシャパラル

1960年代に実験的で強力なレースカーを開発し、ヨーロッパのスポーツカー世界選手権でも活躍。伝統のインディー500も制覇、1990 年代初頭まで活躍したユニークなレースカーです。写真には見当たりませんが、ボディに描かれた特徴的なシャパラルのロゴも想い出します。

底面から強力に吸気し後尾から吐き出すユニークなメカニズム

最後の頃に採用した「車体下面の負圧で路面に吸いつく」というユニークなアイデアもシャパラルならではのもの。YouTube にその映像が残っていました。さすが真空掃除機、エンジンをかけるとその騒音たるや かなりのもの。走行用と別にエンジンを積んでいるのだそうです。路面の埃や小石を後尾から撒き散らすため、後続ドライバーからは不評だったそうです。まあ、そうでしょうね。

リアサス直結のウイングその他、シャパラルの創案したいくつかのメカニズムは、その後、FIA により使用禁止になってしまいました。シャパラルの活躍した頃は、次々と思わぬアイデアが登場、それらが世界のトップクラスのレースで快走するというワクワクする時代でした。今はまったくハンドルを握らなくなった私も、車の運転が大好きな頃でした。

◯ 今月の歩術

先月は記述がありませんでしたが、歩術の練功もちろん欠かさず続けています。ここのところ目新しい変化はありませんが「腰を原動力とした歩き」「後足の踵をなるべく挙げない」「前足を平らに猫のようにそっと着地」「階段の降りでも足底を水平に」など、少しずつ熟してきたかなと。八卦掌における「前足を水平に滑るように前へ出す歩き」がなかなかできませんでしたが、何度も動画を見なおした結果、歩幅を大きくすることによりコツを掴むことができそうです。

昨年の突然の激しい目眩による入院デビューから丁度1年目、普段の目眩は相変わらずです。今後も消失することはないでしょう。長いこと座っていた後が特にふらふら感が強くでます。しかし、歩行にはまったく支障ありません。このような時は頭で考えず、腰から下の感覚で歩けばよいのです。

歯磨の際の片足立ち、最近は両足を開き腰を十分落とした姿勢(中国武術では馬歩と呼ぶ)に変えています。この姿勢で含胸抜背(胸をやや引っ込め、背中の力も抜く)、立身中正(頭からお尻までを垂直に)、沈肩墜肘(肩を沈め肘を落とす)、気沈丹田(気を丹田に沈める)を意識します。腰から上は十分に力を抜き、それを腰から下がしっかり支えるイメージ(腰から下は重機関銃の銃座のようなもの)。沈肩墜肘はようやく最近価値がわかってきたもの。これらの殆どは「いかに威力を中に溜めたまま脱力するか、ということかな」というのが現状の理解です。

そうそう最近重点を置くようになったトレーニングとして、片足をまっすぐ伸ばし、反対側の足を十分屈折、腰を床近くまで落とす姿勢。そうしておいて、今度は重心を反対側の足へ移して行きます。伸びていた足を屈曲、屈曲していた足を伸ばし、さっきとは左右対称の姿勢になる。これを繰返します。最初は極めてきつい運動で、股関節がグキッと悲鳴を上げていました。しかし1年以上続けるうち、左右交互に10回位は楽に繰り返えせるようになりました。

これからしばらくの課題は、太極拳や八卦掌のように、色々な動作を優雅に滑らかになるよう磨き上げること。古い民家の大黒柱やピカピカの板張り廊下のようになるには、まだまだ何年もかかることでしょう。楽しみは尽きません、、

◯ 古典舞踊の動き

先日、日本産婦人科医会60周年記念式典がありました。いつもは全国の支部で開催されますが、今年は60周年ということで東京の本部主管です。その懇親会のアトラクションとして、江戸の木遣りと、お囃子を従えた日本舞踊がありました。

美しい日本舞踊にうっとり見とれました。年季を経た芸者さんや芸妓さんの舞も見てきました。見た目ではっきりした違いはわからないのですが、どこか違います。中から出てくる「気」のようなものでしょうか、「なあるほど、年季を経た武芸者の立ち振る舞いも、きっとあのように違うのだろうな」と思わせるものでした。

日本舞踊は中村梅彌さん、歌舞伎の七代目 中村 芝翫さんの長女だそうです。伝統と長年の厳しい鍛錬からにじみでるあのような気、そして艶もあります。あれは何なんでしょうねえ、、凄いなと思いました。舞踊と武術には共通点が沢山あります。いま私が鍛錬している腰の安定なども日本舞踊では基本中の基本と思います。そして優雅で滑らかな動作はもちろんのこと。

◯ 世界バレー2010女子

楽しみにしている女子バレーの季節がやってきました。しばらく見ていなかったのですが、やはり多少メンバーが入れ変わっています。緒戦、ポーランド戦では新しいメンバー迫田さおりの活躍が光っていました。かつて若手ホープだった木村沙織も、現在は中堅どころのエースとして活躍しています。彼女は外国チームからかなり目をつけられ、木村を狙ったサーブなどが目立ちます。

木村一人に攻撃が集中するのはまずいなと思っていたところ、ベンチを温めていた栗原恵が後半から登板。今春 半月板の手術を受け、かろうじて今回の試合に間に合ったとのこと。栗原らしい派手なアクションは少なかったものの、木村への援護射撃という面では心理的にも大きな効果があったと思います。メグ・カナ・コンビを謳われたもう一方の大山加奈、大きく期待するところがあったのですが復活は難しいようです。栗原も何度にもわたる故障を克服して復活してくるところは大したもの。

初めて目にする迫田の華麗なバックアタック素晴らしかったですね。バレー選手としては大きく見えない迫田ですが、柔らかい身体と素晴らしいジャンプ力、空中高く浮いた身体を弓なりに反らせて撃ち出すバックアタックが次々と決まり、やっている本人もさぞ気持ち良いだろうなと。迫田のように前回の活躍で将来を期待した山口舞、今回は余り活躍の場がなかったのは残念。結婚・出産で一時現役を退いた大友愛が山本愛として復帰、さすが要所で老練なスパイクを見せていました。ベンチに荒木が居たように見えました、彼女も何か故障を抱えているのでしょうか。最初の2セットを取られ、かなりヤバかった日本、栗原登板の頃からネバリを見せ、フルセットの末、逆転勝利をおさめました。往年の活躍メンバー何人かが見られなかったのは残念ですが、ひとまず良かったよかった。

そうそう、眞鍋監督が選手を励ますためメガホンがわりに手に持っていたのはもしかして iPad ?と思ったのですが、よくみるとまさにそうでした。私と同じ黒い純正カバーをつけた iPad で、時々、カバーをめくっては iPad を覗き込んでいました。なるほど、データ・バレーという言葉があるように、バレー会場にノートパソコンが持ち込まれているのは見てきました。あのように試合場で監督が動きまわり、選手を叱咤しながら情報をみるには iPad は最高ですよね。ところで、データはベンチにいるスタッフがリアルタイムにパソコンから入力、それを WiFi で iPad へ飛ばしているんでしょうか。私がやっているようにサーバは Web アプリなのかなとか、その辺が気になりました。

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品川区立平塚小学校の解体

気になるのは立派な花を咲かせていた桜の木

この写真の段階では残されているので

どこかへ移植されるのでしょうか

これは日々の生活で感じたことを書きとどめる私の備忘録です