2016.12 走りながら考える

わーくすてーしょんのあるくらし ( 286)

2016-12 大橋 克洋

早朝散歩:「明け空に満月冴えて寒の朝」

ついに12月、師走に入りました。私は1年のうちで正月を一番楽しみにしています。年に1度だけの1週間休みがとれること、家内手作りの美味しいお節を食べ、お燗した日本酒を昼間から傾けながら箱根駅伝を見る。この、まったりした感じが何とも言えません。

そしてそれを迎える師走、灰色の空の下、寒い空っ風の吹く白茶けた道路に暮れや正月を彩る飾り付け、大晦日と除夜の鐘、これも楽しみなこと。「男はつらいよ」寅さんの映画の終わりに必ず出てくる華やかな正月風景。しかし、日本の景色から次第にこのような季節感が失われようとしているのも寂しいこと。まあ、私の生きているうちは多少なりとも残っているでしょうが、、

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◯ 行く年

今年あった私的に印象的なできごとを思い返してみましたが、たいしてありませんね。4月に三鷹まで往復40キロ、その翌週に福生まで47キロ歩いたのに自信を得て、2年前からの懸案だった神奈川県平塚まで53キロ踏破に成功したのが一番大きなできごとかな。都医理事と毎月行っている呑み会、7月に浜名湖から貸切バスで企画した楽しい呑み会を行ったこと。自分的にはその位しかありませんね。

世の中的には、小池都知事の当選。トランプ米大統領の当選かな。リオ五輪もありました。衛生面や治安面などでかなり大変なことになるのではないかと危惧された五輪でしたが、大したこともなく何より。年の初め、今年はラッキーな年の予感と書いたように、今年は比較的平穏に過ぎつつあるようで何より。

ここのところ、韓国の朴大統領を弾劾するかどうかで韓国は大変な騒ぎが続き、予想外の大差で弾劾が決まりました。イタリアもレンツィ首相が辞表提出とか、トランプ次期大統領を含め、来年の世界の政情は混乱を極めそうな予感。何とか大事にならず安定に向かってくれれば良いのですが、、

◯ 来る年

IT を含めた技術面で今年は特に目立ったことはなかったですね。昔「人工知能」というネーミングで流行ったものが「AI」という名前で復活し、大きな話題になってきそうです。自動車の自動運転、軍事面でもドローンや戦闘用自律走行車などがかなり増えているようです。スタンリー・キューブリックの「2001 年宇宙の旅」の HAL に近いものが実現されるまで、あと10年前後、20年はかからないのでは。「ターミネーター」の世界にだけはなって欲しくないですね。

電気自動車への方向性もかなり進みそうです。これに伴いバッテリーのコンパクト化と高容量化も進むはず。電話やタブレット、ノート型コンピュータなどのコンパクト化もさらに進むでしょう。そして行き着く先、ウエアラブル・コンピュータ、来年はどの程度まで実現されるのでしょうか。私としてはグーグルグラスのようなものが、外見上からは目立たないような形で実現されることを期待しているのですが。

◯ 今年のコンピュータ・ライフ

今秋 Apple から発売された MacBook Pro にはちょっとヨダレを垂らしているところで、ともするとポチリそうになるのですが「今の生活では買っても所有欲を満たすだけ。結局ほとんど使う場面はないぞ」と自分を戒めています。

現在使っているのは iPhone, iPad を別にすれば、自宅と仕事場の iMac。来年あたり久々に iMac のアップグレードがありそうな予想もあります。しかし、今年の GW 時期に画面が乱れ存続を危ぶまれた仕事場の iMac も、その後まったくそのようなそぶりを見せず元気に働いていますので、買い換える理由もなかったりします。

もっとも買い換えの欲求に負けそうなのは iPhone7 plus。カメラに軽い望遠機能などがついたのが大きな魅力。しかし、ここのところマイナーチェンジしかない iPhone も、来年には大きな進化を見せそうな予想もあり、これもあって買い控え。iPhone は登場以来、アップグレードがある度に必ず買い替えを繰り返してきたのですが、現在使用している iPhone6 以後、つまりこの2年間、買い替えていません。現在の機種で不満もなく、どうしても買い換えなければならない程の進化がないからです。

◯ 今月の歩術

今年の冬は予想通り、ここ数年に比べ大分気温が低いようです。北風ビュービューも体感温度をかなり下げます。12月に入って朝の気温は10度を割っていますが、昨年の記録を見ると10度を割ったのは1月半ばからで12月中は15度前後もありました。そんなことですが、今年の早朝散歩はまだスポーツシャツにベストで頑張っています。やや厚手のスポーツシャツを軽く袖捲りしダウンのベスト姿ですが、昨年に比べ、より寒さを感ずるのは歳のせいでしょうか、トレーニングが足りない? いや今年は気温がいつもより低いからか?

歩きに出る頻度は、週2,3日4キロ程度、日曜祭日は必ず10キロ前後。しばらく忘れていた「身体をひとつにして歩く」を意念して歩いています。夜明け前の「林試の森」を通ると、暗い中でうごめいている人影が少なからずあります。たまに若い人がジョギングで通り過ぎることもありますが、ほとんどは散歩するお年寄りの男女。その近くの小山台公園を通ると必ずと言ってよいほど見かけるのが、もう90才近いと思われるお婆さん。杖をつきながら、ゆっくりゆっくりと公園の中を周回しています。偉いなあ、、

東京都医師会理事を辞めてから冬場に2,3年現れていた軽いウツ症状もようやく治まったようで、心身ともに絶好調。これには「歩き」と、以前ほどで熱心ではないものの「中国武術の基礎練功」が効果を発揮しているのだと思います。

体重は増やさないよう気をつけているのですが、最近は思ったほど減少してくれず、64キロ前後を保っています。もう2、3キロ減らしたいんですが冬場はある程度脂肪をつけておいた方がよいでしょうからね。

◯ 今月の歩術 その2

以前も書いたことがあり、自分の長年の経験上からも言えることを裏付ける記事があったのでご紹介します。要は「クッションの効いたランニングシューズの方が怪我をする率が高い」ということなのですが。

英国エクセター大学の Hannah Rice 氏はランニングによる怪我を研究しており、「ランニングによる怪我の原因の多くが靴にある」と考えているそうです。この研究では「ミニマルシューズ:底の薄い靴 をはいて前足部で着地した方が負荷が少なく、怪我の可能性を軽減できるかも知れない」という結論だそうです。

これは大分前から私も自分の経験から主張してきたこと。いわゆる「健康ウオーキング」で必ずと言って推奨される歩き方は「肘を曲げ前後に振りながら、後足で蹴り前足の踵を着いて歩く」。これは「アクセルとブレーキを交互に効かすような歩き方で、足底部はもちろん膝や腰の関節に大きな負担をかけ、身体を壊す歩き方」と主張してきました。

私の歩き方は「後足を水平に抜いて前方へ水平にそっと着地。後足の踵はなるべく地面に着いたまま。腕には力を入れず自然に振れるにまかせる」というもの。10年を経てようやくこれが満足いくよう出来るようになってきました。

このような歩き方ですと身体に無理な衝撃がかからず、慣れてくると非常にスムースに速く歩けるようになります。そして長距離歩いても疲れが圧倒的に少ない。しかし、この歩き方に至るには「換骨奪胎」、すなわち今までの歩き方の癖がまったく抜け、新しい歩き方が自然にできるようにならねばならないので、長い年月を要します。

いわゆる健康ウオークは、人類が厚い靴底を発明して以来のもの。裸足では痛くてできなかったはず。つまり、私のような歩き方を短期間で身につけるには裸足で歩くのが一番。

で、このミニマルシューズなるものを履いてみたいと思っているのですが、まだ手に入っていません。

◯ 今月の脳トレ

今月17日の土曜、日帰りで京都へ行ってきました。MedXML コンソーシアムでは医療情報交換規約 MML の研究開発・普及活動を行ってきました。今回は MML を新たな視点から大きくバージョンアップするため、ブレーンストーミング形式のミーティング「プログラマーズキャンプ」で、一気にエイヤッと皆の意見を集約しようというのが開催理由です。今までは合宿形式で1泊することが多かったのですが、今回は土曜の午後のみなので日帰り。

この日は休診にして朝の新幹線で京都へ。昼前に京都駅到着、京都を楽しむ時間などはありませんが、せめて京都の旨いものを食べようということで事前に「食べログ」で調べておいた京都駅ビル内の「京都ことこと」へ。おバンザイとビールの昼食を済ませ、キャンプが開かれる KRP:京都リサーチパークまで 2.6km 歩く。

いつもキャンプを主導される吉原先生は「千年カルテ」プロジェクトで東京はじめ全国を飛び歩かれることが多く、今回はついに風邪でダウンということで珍しく欠席。会議は吉原先生の右腕を務める小林先生が取り仕切りました。

HTML 形式で表現してきた MML ですが、最近では json で表現しておいた方が効率的ということで、これも今回のテーマの一つ( MML の取扱に json を使ったほうが軽くて効率的という意見は、私が5年以上前から主張してきたことですが、私の説得力のなさもあって当時はなかなか理解されませんでした。いつもそうですが、私の意見は何年も先を行っていることが多く、私の説得力の乏しさゆえ賛同を得ることができず、何年か経ってからようやく世の趨勢になることは今まで何度も経験してきたことです)。

ちなみに私の電子カルテ NOA では、最近は自称「NOA フォーマット」と呼ぶ json よりさらにコンパクトな形式でサーバとデータのやり取りを行っています。

折角 json などに切り替えるなら、MML の構造自体もっと簡素化しなければ意味がないということで、そのような方向性で進める結論になりました。これも私が前々から考えてきたことで、我が意を得たり。さて具体的にどのようなスマートなものにするかは、これからの考えどころです。楽しみなこと。

◯ 計画や準備をしない創造

「インターネット後の世界と、新しい原理」として「もはや計画は不要になった」という文言で始まる記述に目が止まりました。MIT メディアラボの伊藤穰一氏が語ったもの。要は以下のようなことです。

多くの会社組織は計画の立案・共有・実行に日々全力で取り組む。計画の妥当性・正確性をいかに上げていくのかは大きな課題だし、計画を指示し進捗を管理することはマネージメントの肝。計画の作成と共有、実行、評価を極めていくことに異論を挟むのは、実際にはとても困難。その一方で「計画のための計画」「途中で計画の目的や価値が失われても、当初の計画を達成するため費やされ続ける多大なコストと労力」に違和感を感じている人は、実はもの凄く多いのではないだろうか。

世の中は常に変化し、結果として継続的な陳腐化は避けて通れない。消費者も競合も市場環境も技術トレンドも常に移り変わるというのに「計画」は死守される。あえてそれを見直し書き換えるコストを払っても、そこで生まれるのは新たな「計画」だ。

「創造性」と「計画」は常にトレードオフの関係にある。つまり「計画」が変化を阻害している。「フューチャリスト」でなく「ナウイスト」へのパラダイムシフトが必要。すなわち「今を生きる」ことが重要ではないか。

この世界は非常に複雑ですが、あなたに必要なことはシンプルです。何が必要か、何を蓄えなければいけないか、何を準備しなければいけないかなど、あれこれ計画するなんて考えをやめることです。周囲をよく見渡し、関心あることをまとめ、常に学び、素晴らしい今に気付くべきです。「計画を捨て、創造的に今を生きる」。

「実際には、云うは易く行うは難い部分も多いが、考えてみるべきことかな」などと思いながら私自身の行動を考えてみると、何か新しいことをやろうとする場合、自分では「走りながら考える」ことが多いのに思い当たりました。「やってみながら軌道修正」という思考回路。うーん、すでに自分では前からやっていたか、、

◯ 待ち遠しい来年の WRC

昨年の春に運転免許証を返上してしまいましたが、私は若い頃からラリーのような運転が大好き。馬術でも馬場馬術より障害馬術が好きだったように、ダートや障碍をものともせず、アグレッシブにかっ飛んで行くのが好きな性格。小学校の頃も単なる徒競走は苦手でしたが、障害物競走は好きでした。

今までの WRC:世界ラリー選手権の参戦車は、いずれもアブの飛び回るようなやや甲高い音でかっ飛んでいましたが、来年からWRCへ復帰する TOYOTA GAZOO RACING の YARIS の排気音はもっと低音の特徴的な音。

WRC 4連覇して舞台を去ったフォルクスワーゲン・チームの3選手からトヨタに移籍するのは、予想通りヤリーマティ・ラトバラ。オジェは無理としても、ミケルセンも来てくれると良いなあと期待していたが無理だったか。速いときは速いがやや安定性に欠けるラトバラ、パワフルな車を得て活躍を期待。

別の記事によれば、セバスチャン・オジェも YARIS をテスト・ドライブしており、結局はフォード・チームに決まったようですが、契約を2年とせず1年にこだわったところから見ると、いずれ YARIS の完成度によってはトヨタへ移籍する可能性もあるのかも。フランス人のオジェとあって、シトロエンへ移籍かと思ったのですが、シトロエンには既にエースドライバーとしてクリス・ミークが居ることや過去の経緯もあって、それはなかったみたい。

来年のシトロエンの新型ラリー・カーはスタイルも一新、かなり速いとのことですし、今年も結構活躍したヒュンダイの i20 も来年はさらにアップグレード、フォード・フィエスタも一新されるようで、油断はできません。

フォルクスワーゲンの場合、WRC 登場の初年度からダントツの強さを見せたようですが、果たしてトヨタの場合、競合各チームがかなりの進化をしていそうなので、初戦ではどの程度の成績を残せるのでしょうか。他のチームは3台体制で参加しているのに対し、トヨタはとりあえず2台体制のようですから、それもちょっと懸念材料。

GAZOO の正式メンバーはヤリーマティ・ラトバラ、ユホ・ハンニネンの2名。テスト・ドライバーとして WRC2 タイトルを獲得したエサペッカ・ラッピが入るので、いずれは新鋭ラッピを加えた3台体制を期待。しかしこれが実現するとしても再来年かな?

1月の初戦モンテカルロが楽しみだなあ、今からわくわく、、

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「プログラマーズキャンプ」出席者の記念撮影

これは日々の生活で感じたことを書きとどめる私の備忘録です