2008.10 iPhone の成長

わーくすてーしょんのあるくらし ( 188 )

2008-10 大橋克洋

久しぶりに慈恵医大馬術部の練習馬場で乗ってきました

秋晴れ絶好の乗馬日和、とても爽快な秋の1日でした

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誕生1年で突然の辞任を表明した安倍内閣から福田内閣に代わり、 またまた1年で突然の福田首相辞任による麻生内閣誕生など政局の不安定。 米国経済崩壊があっという間に世界経済に及ぼす影響。 ここしばらく不安定要素には、事欠かないようです。困ったことです。 世界的な異常気象が叫ばれる今年ですが、 ほんの10日前まで夏日のような暑い日が続いたのに、 9月末から気温は一気に10度近く下がり、肌寒くなりました。

10月初日は肌寒いどんよりした空。それに引っ張られ、 こんな書き出しになってしまいましたが、そんな どんよりした空気の中でも グイグイと進むものは進みます。 私も常に前向きに行きたいと思っています。

○ 今月の歩術

先月末のウオーキング大会、ゴールを間近にしてのリタイアでは、 かなり悔しい思いをしました。 ここしばらく行わなかった長距離歩行トレーニングも行わなければ と思っています。 10月初旬、お茶の水から市ヶ谷まで30分ほど歩きました。 東京都医師会から東京産婦人科医会までのコース。 直線距離で歩くと暁星高校の手前にやや急勾配の登り坂、 ここさえ越えればあとは大したことはありません。 それを登りきって九段高校や白百合学園横を通り、 靖国神社裏と法政大学の間の坂を下って行きます。

お茶の水を出たのは5時半頃、 日も大分短くなりました。途中からどんどん日が落ち、 暁星高校のあたりから秋の虫たちの大合唱が始まります。 私はこの虫の音が大好きです。 歩道の植え込みや周囲の緑の中からと思いますが、 どこまで行っても まったく同じ虫の音に聞こえるので、 まるで虫の軍団がついてくるようにも思えます。

秋の虫のすだく市ヶ谷の堀を渡る

「蝉しぐれ」のような大コーラス。 最近は身近に虫に接することもなく詳しくないのでわからないのですが、 あれはキリギリスですかね、コオロギなんでしょうか。 ごく一般的に聞かれる虫の音なんですが、、 法政大学前の坂を下り終わり市ヶ谷の堀を渡る左右の茂みから、 盛大な虫の音が聞こえました。気温もヒンヤリしてほどほど、気持ち良い歩きでした。

さて「あの虫の音は何なんだろう」と Web 上を検索してみました。 おおー、やはり何でもありますね。そのまんま 虫の音 WORLD というのがありました。 虫の音を試聴できるサイトです。残念ながらすべての虫を網羅している訳ではないようですが、 コオロギやキリギリスの音がどんなものかわかりました。 道ばたで聞こえるあの大合唱の主はやはり、 オーケストラのように色々な種類の虫の音の混じったものなんでしょうね。 コオロギなどを主体にしたもののように思えました。 キリギリスは音も季節的にもちょっと違いそうです。

○ ウオーキング大会敗因を考える

その翌日、久しぶりに お茶の水から自宅まで 11km を歩いて帰りました。 午後の日差しの下だったので虫の音は楽しめず、 所要時間は丁度2時間5分。2時間を切れなかったのはちょっと残念でしたが、 前半ややゆっくりペースだった割には 良いタイムでした。 マイペースだったこともあり、この距離では身体への負担は大してありません。

先日のウオーキング大会では この後折返して半分ほど元へ戻らねばならないので、 その距離でどうかということですね。 それより何より、 あの先頭集団のオジさん達のハイペースに乗ってしまったのが 一番の敗因だったと痛感しました。

最近の歩法では、ふくらはぎには殆ど力を入れないので、 ふくらはぎが痛むことはないのですが、 先日のリタイアの原因は途中から ふくらはぎが張って何度かツリそうになったためです。 これは無理にスピードを上げようとした時に起こります。 それとともに足のエンジンがオイル切れで動かなくなり、 文字通り「失速」したためでした。

しかし、翌日ふくらはぎが張ったり痛むことは まったくありませんでした。そうは言っても 歩術会得以前の歩きとは違うということでしょう。 多少残ったのは、腰の両側あたりの軽い筋肉痛です。 これは「腰で歩いた」証拠で、良い兆候と思っています。

先日のウオーキングで面白いなと思ったのは、 平地では差をつけられていても、 上りや下り坂になると俄然こちらの推進力が勝ることでした。 「腰で歩く」の威力と思います。 なぜ平地でもこの力が発揮されないのかは、まだよくわかりません。

○ 久しぶり馬に跨がる

慈恵医大馬術部の資金集めイベントを兼ね OB / OG やその家族を集めて、 久しぶりの乗馬会がありました。 馬場は、神奈川県厚木の SKYPARK RIDING CLUB。 当日は、暑からず寒からず、絶好の乗馬日和となりました。

慈恵医大卒業というよりも、慈恵医大馬術部卒業を自認する私、 学生時代から障害飛越大好き人間ですが、 さすがに年1回の乗馬では本格的な障害飛越というわけには行きません。 それでも他の OB 達と小障害通過を何度かさせてもらい、満足、満足。

練習後のバーベーキューでは、 美味しいビールをしこたま呑んでしまいました (馬に乗った後は、いつもバーベーキューという訳ではありません。 当日は特別イベントということで)。

○ iPhone の成長

最近の iPhone に関する記事などを読むと 「iPhone の販売数も鈍化してきているようだ」とか 「iPhone は絵文字やお財布携帯などを望む 日本の携帯風土に合わないので、これ以上売れないだろう」 などの意見が目につくようになってきました。 文言だけをとれば、ある面の事実を語っているとは思いますが、 言わんとすることは正しくないと思います。

「iPhone が 爆発的に売れ続けるかのような報道や期待」 「絵文字やお財布携帯機能だけが命の人々」 を対象とする製品ではないからです。 iPod が世に出たときの反応も同じようなものでした。 この時点で iPod に魅力さえ感じていなかった私も、 今では新旧合わせて(iPhone を入れずに)3台もの iPod を所持しています。今後 常時使うのは、歩行用の iPod シャッフルと iPhone だと思いますが。

Jobs の発信する Mac がそうですが、 iPhone も今後ソフトウエアのアップデートだけで 機能の成長を遂げて行くでしょう(これには限界があり、 ある時点で新しい機種に買い替えということは当然あるでしょうが)。 AppStore で提供される色々なアプリの仕組みが、 iPhone という生き物に どのような「突然変異」をもたらすかが、今後非常に楽しみです。

昨日も AppStore から「一見バカバカしいと思われるが、 使ってみたらハマってしまうような面白いモノ」をいくつか download してしまいました。 それらについては、また後日、、

○ iPhone 話 その続き

さて、それから数日、、 Mac うわさサイトによれば、近くリリース予定の 「ソフトウエア・アップデート iPhone 2.2 では、 絵文字もサポートするらしい」とのこと。 個人的には「絵文字なんて、いらないのにねえ」と思いますが、 販売促進のためヤムなしというところなのでしょうか。 携帯風の日本語入力機能と言い、Apple 社が iPhone 販売に関して 日本市場をかなり重視している現れなのでしょう。 私もたまにメールで :-) などの絵文字は使いますが、 これはインターネットが一般的になる数年前、 実験的ネットワークの頃から使われてきたもの。 標準のアルファベット文字を使って表現するものです。

それよりも嬉しいのは Google Maps の Street View に対応するらしいということです。 これが街で使えれば、かなり便利になるはず。 昨日も浅草の方で会があるので、 帰りに駅まで歩いてゆく道を見ておこうと、 自宅の Mac で Street View を使ったところです。 ところで、その会場で iPhone の Google Maps で GPS を使い場所を特定しようとしたのですが、 屋内だったせいか GPS はうまく機能しませんでした。 なかなか、このあたりが歯がゆいところです。

この会場で都医理事お二人ほどが iPhone に興味を示されました。すでに都医理事15名のうち 私を含め3名は iPhone 発売後数日で iPhone をゲット。 先日、副会長も iPhone 派へ。これで都医理事15名中4名が iPhone となりました。以前の都医 CLIE ユーザ数とタイ記録ですが、 iPhone の方が今後も数は伸びそうです。 それにしても4/15とは結構な率ですね。

○ iPhone 話 さらに追加の一投

iPhone には「バッテリーが1日しか保たない、 ワンセグが見られない、絵文字が使えない」と 3つの問題点があるということで、 ソフトバンクの孫社長がこれらの一挙解決策を打ち出しました。 これは iPhone 拡販に大きく貢献することでしょう。

まず「TV&バッテリー」と 銘打った iPhone より2周りほど小さな 80gr ほどの装置です。 相互を iPhone 付属のケーブルで接続すると、 1回分の充電ができます。

さらに装置はTVチューナーをも兼ねています。 ケーブルをはずし無線 LAN で接続すると 「世界で唯一、日本の iPhone だけワンセグが映る」。 装置をポケットや鞄に入れ、 AppStore からダウンロードしたアプリを使って iPhone 単独でワンセグが見られるのです。

孫社長は「(感情移入ができる)絵文字がなくては メールではない」と Apple に一生懸命伝え、 次回 iPhone 2.2 のソフトウエアアップデートで 絵文字がサポートされるそうです。

これで同社は iPhone の3つの問題点を まとめて解決したことになりますが、 さらに嬉しい追加のホームラン。 ソフトバンクテレコムが提供している公衆無線 LAN サービス 「BB モバイルポイント」を iPhone ユーザに無償で提供するのこと。 サービスは11月4日から。現在 BB モバイルポイントは、 マクドナルド・ハンバーガーのほぼ全店、 主要な JR 駅構内、空港ラウンジなど、 全国約 3,500 カ所のアクセスポイントが設置されているそうです。

これは有り難いですね。 ソフトバンクにとって、 電話回線の負担軽減というメリットもあるようです。 孫社長みずから iPhone を愛用していることが、 今回の改善に大きく影響しているのでしょう。 「ユーザの利用環境を快適にすることが 普及を大きく促進する」と思っていますが、 さて、それに対する世のレスポンスはいかに、、

○ PowerBook アルミ・ボディーで登場

かねてから噂されていた Apple のノート・ブック改訂が発表されました。 噂通りアルミ塊から削りだしたボディーが売りで、 グラフィック処理能力が5倍とのことです。 ちょっと食指が動かないでもないですが、 今年始めに MacBook Air を新調したばかりですし、 今回は見送りということで、、

「アルミ塊から削りだし」というところが大きな話題ですが、 考えてみると MacBook Air はすでにそのような行程で作られた 筐体と思います。なるほど、 それで Air は薄いのに頑丈な印象なんですね。

更に今回の特徴として、ガラス製タッチパッドがあります。 パッドそのものがボタン機能を持つことにより、 パッドに付随していたボタンを廃しました。 まさに「シンプル・イズ・ベスト」。 極めてシンプルに多くの機能を搭載した マイティーマウスは私のお気に入りですが、 今回のアイデアは私も思い浮かびませんでした。さすがです。 iPhone の技術が、ここに盛り込まれているようです。

ディスプレーも全面硝子で覆い、 その奥に黒い枠のあるデザインとなりました。 ちょっと黒枠はイヤだなあという印象ですが、 実物を見るとそうでもないのかも知れません。 以前の MacBook から Air になって、 液晶ディスプレーが段違いに明るく綺麗になりましたが、 今回の MacBook もそこはちょっと魅力です。

○ 今後に期待するもの

ところで私としては、 iPhone のように画面タッチで操作できるもの、 キーボード無しの MacBook Air のようなものを期待していますが、 今回 Jobs は きっぱり そのようなものを否定したそうです。 しかし Jobs の否定は逆説的なことが多々あります。 完全否定したものを、後にあっけなく出してくることが珍しくありません。 NeXT の頃、 カラーディスプレーを期待する声に「そんなものは必要ない」と否定しておきながら、 そんなことはなかったかのように出してきたりしました。

最近話題のネットブック、 すなわち「Mail や Web などを見られれば良い」10万円以下のノートについても Jobs へ質問があり、これについては様子見ということだそうです。 同様のコンセプトで Apple が数年前からだしている Mac mini の売れ行きがはかばかしくないこともあるのでは、 という見方もあるようです。 私のところでは、この Web サーバも、 書斎のメインマシーンも Mac mini なのにね。なぜ皆さん買わないんだろ。

現在世にでているネットブックは 私としては「安かろう悪かろう」でしかないと思え、 まったく食欲が湧きません。安いノートに飢えている人に一通り売れたら、 そこで流れはストップと思っています。 しかし、もし Apple が出すなら、 きっと面白いものになるでしょう。それが「画面タッチで操作できる 薄いノート・パッドであれば言う事なし。

○ え? Mac mini が もしかして消える?

そう書いていたら、Mac mini がディスコンになるかも知れない という噂が入りました。 欧州の小売業者2社が Apple から同製品はこれで終わりだと告げられ、 もはや Mac mini を Apple に注文できないと語ったとか。

Mac mini が世に出た頃、ちょっと書いたと思いますが 「この安くて、ある意味使いやすい(Apple には現在 ディスプレイ 外付けできるデスクトップは大型の Mac pro しか他にない) デスクトップ・マシーンは Apple 社の利益に余り貢献しないだろう」と。 しかし、安くて使いやすいデスクトップがなくなるのは、 私としては困ります。

そうなると選択肢は iMac しかなくなります。 まあ、ディスプレイ込みの値段や性能から言えば 絶対的に iMac はお買い得と言えます。しかし、 おそらく本体が劣化や時代遅れで使えなくなった後でも、 あの奇麗なディスプレイはかなり長生きするでしょう。 しかし本体が駄目になれば、それも捨てなければならないとなると、 どう考えても環境に優しくない、 どうもなあ、、と考えてしまうのです。 でも、それはノートブックでも同じでしょ、 と言われてしまうと、何とも言えないのですが 、、しかし勿体ないことです。

・・・

、、それから数日後、Mac mini 消滅を打ち消す噂がありました。 ラスベガスでは、多くのカジノがおよそ1万台の Mac mini で セキュリティカメラを運用しているそうです。 そこの情報筋は Apple が近い将来、 Mini DisplayPort や 4GB RAM の対応など、 最近のノートブックからヒントを得た Mac mini のアップデート版をリリースする計画だと見込んでいるそうです。

これが事実だとすれば、 小売業者が今後 Mac mini を要求しないよう告げられたのも、 新モデルに道を譲るためだろうとのこと。やれ、やれ。

○ 今月の脳トレ

電子カルテというのは、医療の複雑さを反映し 非常に複雑なアプリケーションとなります。 現場での取り扱い方も、複雑多岐にわたります。 そんなことで「電子カルテはモジュール化し、 現場の要望に応じて自由にアレンジできるべき」と考え、実装してきました。

これはデータ構造自体にも言えることです。 一定の構造ではなく、変幻自在・柔軟にどんな構造にも対応できるべき。 私の電子カルテ NOA は WINE と呼ばれる頃から、 データベース構造の一部にそのような部分を持っていました。 これにより、あらかじめデータベース構造に定義していなかった項目でも、 ユーザが自由に追加することができます。 効率化を考え、当時この構造は一部に留めました。 しかし、最近のソフト・ハードの高性能化に伴い、 すべてのデータを そのような柔軟な構造で持っても良いのではないかと考えるようになりました。

個々のデータ・ユニットに必要最低限なものは、キーとバリューです。 NeXTSTEP 時代は plist や Dictionary などと呼ばれ、 その後の Java などでは Hashtable などと呼ばれます。 全てのデータをこのような形式で持ち、 相互の関係など無視して保持します。 そして、それらの中から必要なものだけをピックアップし、 必要なフォーマットのテンプレート上に展開すれば良いのではないか、 と考えています。

実際には Hashtable のキーだけでは単純すぎ、 もう少し複雑なことができるようにする必要があります。 必要に応じ関連づけをするためのメタ・データなども持たせる必要があるでしょう。 その他、最低限必要なものとしては、タイムスタンプと作成者名などでしょうか。

色々なアプリケーションが このようなデータ・ユニットでデータを保持していれば、 異なる複数のアプリケーションから吐き出されたデータを集め、 まったく別のアプリケーションに吸い上げ利用することができます。 私の電子カルテ NOA も、 いずれこんなデータ構造をベースに再構築してみたい、 と思うようになりました。

○ 新電子カルテへのデータ移行完了

長年使ってきた OpenBase という DB を基にした Cocoa で書いた電子カルテ NOA を、この5月に PHP, Javascript , MySQL による Web 版電子カルテ NOA へ移行したことを書きました。 しかし旧データの移行が色々な事情により1カルテずつ手作業で移行しなければならないため、 7月から始め今年一杯かかるかな、という計算でした。 直接 DB のデータを吐き出して、新 DB へ吸い上げられれば話は早いのですが、 色々な条件(殆どが古いシステムに密着したもの)により出来ないため、 旧カルテ・データを MML 形式で吐き出し これを新カルテのフォーマットに変換して吸い上げるという作業です。

途中からツールの機能を効率化できたことと、 移行作業に熟練することでスピードアップし、10月中旬で移行完了しました。 これで気になっていた古いサーバ・マシーンがいつ突然死しても 心配はなくなりました。いろいろな古い呪縛を捨て去ることができ、 新しいテクノロジーで再び新たなる進化へと進むことができます。 ちょっと息をついたら、今までに考えてきた新しいやり方に挑戦することにしましょう。

○ 当マンションも防犯カメラ設置

うちのマンションのエレベータ内その他、 要所・要所に防犯カメラが設置されました。 数年前、マンション管理組合総会で防犯カメラ設置が提案された時は 「プライバシーの問題」で反対意見があり実現しませんでした。 さすがに今年になって秋葉原の無差別殺傷事件をはじめ、 おかしな事件が頻発したことから、 全戸アンケート調査の結果 反対意見なく採択されました。

それでも「防犯カメラの管理は誰がするのか」 「監視されているようで嫌だ」などのコメントがありました。 設置場所は、エレベータの中、エントランス、 自転車駐輪場など、プライベートな場所ではありません。 カメラ映像に四六時中張り付いて眺めるような 物好きもいないはずです。 実際に設置されてみると、主装置は LED が幾つか光る大きな筐体で、 表に映像表示部分はありません。ああ、でも時を同じくして、 管理人室の休憩用 TV がブラウン管のものから液晶に変わりました。 監視用にも使えるようになったのかな。 商店街から入る裏路地には、 人の気配を感知し点灯するスポットライトも設置されました。 これで立小便もしにくくなるでしょう。

それは兎も角、そんなに見られるのが嫌なら中近東のように覆面でもすれば? (そっちの方がずっと怪しい)と思ってしまうのは私だけなんでしょうか。 何かプライバシーの意味をはき違えているような意見が 「個人情報保護法」なるものが発効されてから散見されます。 Google の Street View に対する意見も、私には同じように思えるのですが。 そこへ行くと私なぞ、 自分のあらゆるプライバシーをこの Web でまき散らしていることになります。

しかし、防犯カメラは、あくまで抑止力と、事件が起こった後の検証のため。 本当の防犯は、マンション住民同士の良いコミュニケーションに尽きると思います。 誰もが顔見知りのところに犯罪者は入りにくいものです。 コンピュータのセキュリティーも似たところがありますね。 本当のセキュリティーのキモは「セキュリティー・システム」ではなく「運用」にあります。

○ 産科医療 崩壊の図式

救急搬送された脳出血の妊婦さんの亡くなったニュースが、 大々的に報道されました。 7医療施設で受け入れできず、最終的に都立墨東病院で受け入られたもの。 この例では産科だけの対応は無理、 必ず脳外科医のスタンバイ必要ですが、 報道には産科の対応不備だけが書かれています。 「たらい回し」という表現はなかったようですが、 「拒否」という表現も同じこと。 正確には「受け入れ不能」です。 その原因の1つは「どこの救急施設もパンク状態」、 2つ目は「医療へ100%を求め過ぎること」と思います。

1番目の原因については、ようやくマスコミも事実を認識したように 医師不足。最大の原因は小泉首相の「医療をぶっこわす」による 累積された医療費削減です。どの医療施設も目一杯経営努力し 現状維持が精一杯、生産性を上げることなど到底不可能なのです。 「妥当な給料が払われなければ従事者が居なくなる」のは、 どの企業でも自明の理ですが、 不思議なことにマスコミも医療については「医者は霞を食って生きている」と 信じているようです。これに重ねて厚労省の命じた「新医師研修制度」により、 それなりに中小病院へ万遍なく医師を供給していた 大学医局による「医師供給システム」の回転が止まったことです。

2番目は、特に産科では極めて大きい要因です。 そもそも不確定要素の固まりである医療の中で、 生命誕生ほどリスクの高いものはありません (自然界はそれにより自然淘汰による子孫の保存をはかっています)。 しかし、お産で何かあれば、まず「医療側のミス」と見られる時代です。 産科医が全身全霊を込め仕事をしても、 その結末を結果論で責められることが度重なれば 「もう、こんな仕事は嫌だ」となるのは自然の感情ではないでしょうか。 医者も人の子です。 以前はどんな場合でも「とりあえず診てみましょう。 いらっしゃい」と気楽に受け入れられたのに、 現在は「期待される成果を確実にあげる目処がたたなければ 受け入れられない」ということにもなります。 受け入れ不能だった病院は東大病院をはじめ、 そうそうたる大学病院ばかり。どこも目一杯で動いています。 そして、頑張って受け入れた墨東病院が寄ってたかってマスコミに叩かれ、 これがまた悪循環の連鎖を呼ぶという図式になっているのです。

○ 隣の芝生は青い

その件に関し、翌日の夜、某大手 A 新聞から電話取材がありました。 「都立病院などの勤務医と開業医との給与の差について」。 それは答えようがないですよね。 何せ勤務医と開業医では、 後ろに背負って立つ背景がまったく異なるのですから、 「比較のしようがない」というのが正確な答えでしょう。

サラリーマンと、商店主など個人経営者の所得を比較しても、 夫々の根底にある責任、リスク、拘束時間、その他 バックグラウンドがまったく違うわけですから、 単に所得などを比較しても意味がありません。 勤務医は開業医をうらやましいと思うでしょうし、 開業医にとっては経営のための資金繰り、従業員についての悩み、 今回の事件などあれば全ストレスを一身に背負うなど、 勤務医がうらやましいなあ、と思う訳です。 つまり「隣の芝生は青い」ですね。

医療の場合 ひとつ言えるのは、 ほぼ例外なく開業医は「勤務医の経験を経てきている」と言うこと (私の頃は「無給医局員」でした)。 つまり、少なくとも開業医は勤務医の状況がどんなものかわかって モノを言っているつもりです、、時代的変遷は多少あるでしょうが。

で、電話取材の最後に私が答えたのは 「強いて言うなら、自分の生活を、どちらの方が、より幸せに感じているかが 比較の対象になるのかも」。 電話の向こうでは、内心同意しながら苦笑いしていたようです。

お金持ちだから幸せっていう訳ではないし、 お金がないから不幸せっていうもんでもありませんぜ、、

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馬に乗ったあと後輩たちとバーベーキュー

運動後のビールの美味いこと、もう堪りません

これは日々の生活で感じたことを書きとどめる私の備忘録です