2002.05 ネットワーク奮戦記ようやく終結

わーくすてーしょんのあるくらし (53)

2002-05 大橋克洋

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日本医師会の ORCA プロジェクトもこの2月一杯で各地のモニター による実験を終了し、オープン・ソースとしての第2段階に入るよう です。まだ乗り越えねばならない山は幾つもありますが、ORCA チー ムは予想以上によく頑張って成果を上げているようです。 私の電子カルテ NOA(WINE 大橋版)に接続できる日を首を長くし て待っていますが、まだまだのようです。全国の期待が大きいだけ に、途中で待ちきれずメゲてしまう人々が増えないような方策は必 要でしょう。そのひとつとして、進捗状況の広報などは大切だろう と思っています。

さて、何度も話題にとりあげてきた私のところの外部接続のネッ トワークですが、ようやく回復しました。今回は1か月半にも及ぶダ ウンで周囲にだいぶ迷惑をお掛けしてしまいました。1週間ほど運用 してみて大丈夫のようです。今度は安定するはずと思っています。 今月はこのあたりの顛末から行きましょう。

○ ようやくネットワーク回復す

先月も少し書きましたが、経緯は次のようなことでした。 インターネット回線を OCN から ADSL へ変更するにあたって、私 のドジからブリッジ・タイプ接続で頼んでしまい、割り当てられた 2つのセグメントをこちらのファイアーウオールが切り分けられな いことがわかりました。

ブリッジ・タイプでは ADSL モデムに割り当てるための IP アド レスと、公開サーバ用のアドレスが異なるセグメントで割り当てら れるのです。今まで使っていた OCN では割り当てられるアドレスが 一つのセグメントの中の連続したアドレスなので問題ありませんで した。

そのようなことで、ブリッジ・タイプでは異なるセグメントを割 り当てられるということを知らなかったのがひとつ、さらに、それ をこちらのファイアーウオールが切り分けられないことがわからな かったためのトラブルでした。 実際には、この結論に至るまでああでもないこうでもないと格闘 し数日を要しました。ファイアーウオールで何とか切り分けられな いかと、試行錯誤したためです。

結局現在のファイアーウオールではセグメントの切り分けができ ないことがわかり、改めてルータ・タイプへの変更を申し込んだの ですが、これに切り替わるまでに1か月も待たされることになりま した。単にこれだけの契約変更に1か月も待たされるのはおかしい と思いますが、新聞に NTT が故意に顧客を待たせるので、行政指導 があったとありました。似たようなことかも知れません。NTT のフ レッツあたりならこんなに待たせはしないだろうに、プロバイダー が SONY だったからではないかと勘ぐりもしたくなります。

それはともかく、以前から SONY のサポートは懇切丁寧と聞いて いましたが、今回のことで何度かサポートセンターに電話した印象 は、やはり懇切丁寧なとても感じのよいものでした。

○ 苦しまぎれの思考錯誤

申し込んでから余りにも待たされるので、ルータを借りてきてブ リッジの内側にかませてみることにしました。今ではルータも1万 円以下で買えるほど安くなったので、これでうまく行くようならル ータを買おうかと考えたのです。

これでファイアーウオールへ渡すアドレスは、一つの連続したア ドレスになるので問題は解決するはずです。接続はうまく行ったよ うに見え、内部からインターネットへ出てゆくには何の問題もあり ませんでしたが、どういうわけか外から内部のサーバが見えません 。いろいろと試行錯誤しましたが、うまく行かず借り物のルータを 返す期限も迫ってきたので諦めました。 そういうことで結局、接続契約がルータに切り替わるまで待たざ るを得なかったという次第です。

それにしてもコンピュータ関連の機器も随分安くなったものです 。10年ほど前 NeXT を初めて買った時、それを構内LANに接続する のにルータが必要なことがわかり、ただでさえ高かったNeXT一式の 購入費に、ルータの価格が上乗せになり参ったものです。当時ルー タは40万円位し、大きさは50 * 30 * 15 cm 位もありましたが、 その能力は現在の掌に乗る数千円のルータ以下でしょう。

○ 今度こそようやくネットワークに復帰

ということで1か月待たされた後、ようやくルータタイプへの変 更が行なわれました。使っている ADSL モデムは今までのブリッジ 接続で使ったものそのまま、設定変更はほんの数分で済みました。 やはり NTT の意地悪と考えるのは偏屈でしょうか。 さあて今度こそ、と勇んでファイアーウオールの設定をします。 内側からインターネットへの接続は問題無し。DMZ に置いた Web S erver も内側からは見えます。

カードモデムを使って外部からアクセスしてみました。「あれ? 何か変、、、」。ping はちゃんと DMZ 上のサーバまで通っている のに、内部であげている Web が外から見えない。内部の POP サー バにもつながらない。試行錯誤した結論としては、外部からの接続 はできているが、http やsmtp などが通っていないようです。 、、、ということはフィルタリングで弾かれている可能性が高い、 という診断になります。

こちらのファイアーウオールの設定は何度見直しても問題ありま せんし、DMZ 上の Web が内部からは見えるということはWeb Serve r 自体も問題ありません。そうなると今度設定してもらった ADSL モデムでフィルタリングしている可能性が高いという結論に至りま した。

早速 SONY のサポートセンターへ電話をしてみました。あちらの 考えも同じで、モデムの取り扱い説明書を FAX で送ってもらいまし た。説明書は Web で down load するようになっているのですが、 マイクロソフトのフォントを使った PDF のため、Mac 環境では文字 化けして読めないのです。とりあえず PDF を標準とするのはよいと して、このようなものは是非 Web でも直接読めるようにして欲しい ものです。

やはり診断はアタリでした。ADSL モデムは default で外から一 切のサービスポートを off にしているようで、これを開いてやると 「バンザイ!!」無事外から見えるようになりました。

後から考えて見ると、借り物のルータ実験で外から内部サーバが 見えなかったのも同じ原因だったに違いありません。 これで mail も無事届くようになり、めでたしめでたしです。こ の苦労した後の「やったあー」という感激は何度経験してもよいも ので、クセになります。

○ ようやくでた MacOS X 版 EGBridge は快適な仕上がり

MacOS X が OS 10.1 になるに当たり、今まで使っていた ATOKが うまく動かなくなり、標準の「ことえり」のみで暮らしてきました。 もう ATOK も対応版がでていると思いますが、以前の MacOS X版 の経験から行くとある程度使っているうち次第に重くなってくる傾 向がありました。時には他のアプリケーションまで巻き添えにして 重くなり、長時間仕事に使うのにはちょっとなあ、という感じだっ たのです。

この問題はすでに解決されているのかも知れません。しかし、とり あえず「ことえり」でも何とか使えているのでそのままにしていた 訳です。そこへ EGBridge の MacOS X 2.1 対応版の知らせがあり、 早速申し込みました。 2週間ほど経て届いたものを早速インストールしてみました。「う ん、これは良さそうだ」という感触です。ATOK のように重くなるこ ともなく、とても軽快に使えます。

EGBridge を作っているエルゴソフトは、Mac 用アプリの開発元と しては老舗中の老舗というのも私好みのひとつです。その割には M acOS X への対応が ATOK よりかなり遅れているのが気になっていま したが、待った甲斐のある仕上がりと言えます。 最新版の ATOK を使ってみていないので何とも言えないのですが、 軽さを求めるなら EGBridge というお勧めの仕方は間違ってはいな いだろうと思っています。

○ PDA の進化への期待

私はまだ PDA を使っていません。PDA では国産のザウルスが流行 しましたが、最近は Palm などが人気のようです。 PDA が携帯電話を兼ねるようになったら買おうと、2年ほど前から 期待してきました。昨年あたりそのようなものが出現する噂もあっ たようですが、フタを開けてみたら従来の携帯に毛の生えた程度の NTT のフォーマが出たくらいで、がっかりでした。

なぜ PDA と電話機能にこだわるかというと、外出時には必ず携帯 は持って歩くので、さらに PDA を持つのが嫌だからです。なぜ嫌な のかよく考えてみました。重かったりかさばるから嫌というのもあ るのですが、考えてみるとそれは大したことではありません。 結局そもそも同じような機能を持っているはずのものを、ダブっ て持ち歩くことに潜在的な抵抗を感じるようです。

レセコンが進化した結果の電子カルテや、オーダリングが進化した 電子カルテがあるように(ちなみに WINE はそのどちらでもなく、最 初から電子カルテの発想でした)、PDA が電話機能を持っても、携帯 電話が PDA 機能を持っても構わないのですが。 以前書いたことがありますが、私の場合すでに携帯電話は腕時計を 吸収しており、私は腕時計をしません。ここに PDA 機能も吸収して 欲しいのです。

現在私の PDA はワイシャツのポケットに入れた定期入れです。こ こには、電車の磁気カードをはじめとしたカード類、スケジュール 表、電話帳、メモ、名刺、非常用のお金、その他がコンパクトに収 まっています。スケジュール表は自宅内のどこからでもアクセスで きるものをプリントアウトし、細長く張り合わせ屏風状にたたんだ ものです。出先でのスケジュール追加は手書きですが、自宅での仕 事はいつも端末上で行うので、その時にコンピュータに入力という ことで同期をとりますが、そう手間のかかるものではありません。

レザーの定期入れにしているのは、うつむいてポケットから滑り 落ちる危険性を少なくするためです。ここで、PDA が発達しても名 刺入れまでは兼ねられないだろうと書こうとして、そうか Palm 同 士なら電子名刺の交換機能もあったんだっけなどと思いました。 私が本当に PDA を持つようになるのはいつなんでしょう。

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