2008.02 たった一言

わーくすてーしょんのあるくらし ( 180 )

2008-2 大橋克洋

朝起きてみると 東京にも数年振りで雪が降りしきっていました

夕方近くまで降っていたにもかかわらず積もらなかったのは残念

< 2008.01 未来は遠いが過去は近い | 2008.03 毎日1回フルスイング >

以下は TV ドキュメンタリーで取材された事務所の壁にかかっていた額の文字です。

たった一言が人の心を傷つける

たった一言が人の心を暖める

マスコミにこそ是非、心して欲しい言葉です。 ネットワーク社会、 われわれも E-mail 投函の前に心すべき言葉です。

さて1月後半、この Web site の更新が大分滞りました。Ajax のプログラミングが楽しく、 どっぷりはまっていたからです。自分用のスケジュール・アプリに DoIt 機能を追加し、ますます快適に使えるようになりました。 油の乗ったところ、返す刀で Web 版 NOA の開発に再び 戻ったところです。まだ、いくつかの機能を仕上げないと 現場投入できません。特にデータ移行を何とかしないと、、

スケジュール・アプリの方はデータ移行に成功しました。 こちらは文字情報だけですので、 古いアプリで画面に表示させたデータを HTML 解析して取り出し、 CSV にして MySQL へ放り込みました。電子カルテの場合は、 リッチテキストを圧縮して保存している部分があるので、 そう簡単にはいきません。色々と試行錯誤することになりそうです。

○ インターネット、キレる

こういうものが恒例になるのは嬉しくないのですが、 コンピュータのトラブルで最も手のかかるのが ネットワークトラブルです。 今月もある日、帰宅すると「インターネットが繋がらないんだけど、」 と家内から報告。ターミナルを開き、 要所要所に ping を打ってみました。 インターネット・サーバは生きています。 ルータあるいは Bフレッツの終端装置かな、、 と思いつつ両方の電源を引っこ抜き刺し直してみました。 おお、無事ネットが復活。 そろそろルータが経年変化を起こしてきたのかな、困ったものだ、、

ところが数日後、 再び繋がらないとのクレーム 「色んな人がメールで連絡くれるので、 繋がらないと困るのよね」。 「さてさて、またアイツか」と復旧することにしました。 原因がルータか終端装置かを確かめるため、 今度は個別に電源再投入してみました。 おや、ルータからはちゃんと ping も返ってきます。 どうも終端装置のようです (こうして個別に原因切り分けをし 診断、治療してゆくところは、本業の医療でも同じですね)。

そんなこともあるのかと NTT へ連絡。 もう夜なので翌朝きてもらいました。2人ほどで色々とやっていましたが、 何とこちらの建物内の回線、ルータ、終端装置などはまったく問題なし。 切れているのは NTT 局内の交換機のルートだそうです。 「うちだけでなく、何カ所かにも影響あるんですよね」 と尋ねてみました。ところが、うちの回線に関連する部分だけだそうです。 「交換機の置いてある所は現在 無人局で、 そちらの修理はまた別の担当なのですぐ連絡します」とのこと。 へえー、そんなこともあるのか、、

そうすると数日前、電源再投入で復活したのは何だったんでしょうね。 たまたまタイミングが局内の自動復帰後だったのか、 それとも電源再投入の刺激で局内が復帰したのか、、 昔々、慈恵医大で私のコンピュータ仲間が 医局の電話回線にモデムを繋ごうとして、 誤って交流電流を流してしまい大学の交換機を吹っ飛ばし 大目玉を食った話を思い出しました。

それから小一時間、診療をしながら開いておいたターミナルの中で 外部 IP アドレスへ打った ping がようやく返事を返し始めました。 「やれやれ、ようやく生き返ったか」。 これも昔々、専用線を初めて接続した時、 どうしてもうまく通じずコンピュータ仲間が寒い中を格闘してくれた結果、 何と NTT 局内で回線が繋がっていなかったということがあったのを 思い出しました。

天下の電話会社 NTT に回線断などあろうとは 思いも及ばず、 どうしても自分の方を疑ってしまいます (最近は自分の非など思いも及ばず、まず他人を責める人も増えているようですが)。

○ MackBook Air つい、ポチッと、、

先月のコラムで散々未練たらしいことを書いたあげく、 理性と感性とが綱引きをしました。案の定? 感性が勝ちまして AppleStore から 「カートに追加」「ご注文手続きへ...」のボタンをポチッとしてしまいました。 さて、それから約3週間、 予想より2日ほど早くクロネコヤマトが届きました。

報道されていたように、従来よりコンパクトな段ボール箱。 開けると薄い MacBook Air が印刷された中箱は、 見かけによらず 虎屋の羊羹のようにどっしり しっかりした意外感があります。 「ほおー、、」OS も含め Apple の包装は ますますコンパクトになっています。 おそらく、これも Jobs の意地なんでしょう。 意地を張っただけのことはあります。

本体の薄くしっかりしたところは、 すでに Web 上の色々な情報で得ており 意外感はありません。電源アダプターが小振りになったのは良いですね (個人的には小振りになるより、細長くなるか 薄くなる方が嬉しいのですが)。 コネクター接合部分の形状は、従来の MacBook と完全互換。 この小振りのコネクターを以前の MacBook と兼用で 追加注文しようと AppleStore で確認してみました。 しかしこの電源アダプターは Air 専用となっています。 ああ、MackBook のが60Wに対し、45Wとワット数が小さいんですね。 形状的には兼用できても、 充電は保証できないということなのでしょう。 追加注文の「ポチッ」は中止しました。

光学ディスク・ドライブを搭載しない MacBook Air では、無線 LAN 越しに別マシーンのドライブを使えるとあります。 あれ?マニュアルの記述にある「DVD・CD 共有」という機能が、 他のマシーンにはありません。ここで思考錯誤。 思考は何度もループしてしまいました。 「もしかして、Air 付属の DVD にそれ用のツールが載っているのか?」 と DVD を確かめましたが、 インストール・ディスクとしか書いてありません。 その後、大分試行錯誤した末、 そのインストール・ディスクに他マシーンへインストールするための ツールも入っていることがわかりました。

ツールを他マシーンへインストールすることにより、 無事他のマシーンの DVD ドライブを使って、 Air に CD や DVD 供給のアプリをインストールすることができました。 マルチ・タッチのトラック・パッドで画面を拡大できたりするのは便利ですが、 回転はまだ対応しているアプリが少ないようです。

初日のレポートはそんなところでしょうか。 とりあえず「感性の勝ち」は正しかったようです、、

○ MackBook Air レポート II

今月もこのコラムの更新が滞っているのは、 Ajax プログラミングにどっぷり入れ込んでいるからです。 その話は、さて置いといて、、

MacBook Air が届いて数日を経ました。 連休が明け、 東京都医師会の理事会は各自支給の Windows パソコンで資料を見ながら 行われます。 Windows の劣悪な画面が嫌いな私は 資料を Web で見えるよう Web Application へ改善してしまい、 私物の Mac です。 MacBook Air 持参で登場。席に座ると 向かい側の野津原理事から「大橋先生、、」の声が、 「あれ?」、、野津原理事が意気揚々と鞄から取り出したのも MacBook Air でした。 理事会の間はバッテリーだけで運用しましたが、 嬉しいことにバッテリーの持ちはこれまでの MacBook と変わらないようです。

先週の土曜あたり日本に陸揚げされた との情報を得ました。 この狭い範囲に2台の Air ということは、 今回かなり大量の Air が日本に陸揚げされたんでしょうね、、

さすがにこのマシーンだけは Mac に興味の無い(ように見える) 人達も興味津々です。それから数日の間、 初めてこのマシーンを見る人の最初の反応は 必ずひとつの決まったパターンです。 「薄いですねえ、ちょっと持ってみていいですか?」 まず、持ち上げてみる。例外なく、このパターンであることがわかりました。

MacBook Air はスペックから見るとやや割高ですが、 今のところ後悔はまったくありません。 Jobs の製品はそもそもそうですが、 特に Air の場合「所有することの満足感」が強いマシーンです。 強いてネガティブなことを挙げれば 「周辺機器の接続ポートが極めて少ない」「HD 容量が少ない」「割高な価格」 くらいです。 それに対し「これまでより薄くて軽い」「しっかりした筐体」 「画面が広く明るく奇麗」 「満足なキータッチでサクサク動く」「マルチ・タッチのトラック・パッド」 そして何より、抜群のセンス「美しくて奇麗」 など満足度の方がずっと多いです。

あ、無理に分類すればネガティブなことが、もう2つほどありました。 「冬場は冷たい」「片手で持つと縁が鋭利で指がちょっと痛くなる」ですかね。 右利きの場合、左手で長いこと抱えて見ていると、 縁にかかった指が痛くなります。 冬場暖まって欲しい右端は暖かくならず、 熱を持ってくるのは左端の方です。 凍えた指を暖める役目は果たさないのでした。

考えてみれば、このように薄い Mac を夢見てから10年以上になるでしょうか。 丁度10年前に購入したシャープの Windows マシーン Mebius は、 薄く軽く携帯に便利でした(画面は Air よりずっと小さく、 結局 Windows は不便でほとんど使いませんでした)。 あれから10年の歳月を経て、 ようやく Jobs は Mac の世界でもそれを実現してくれました。 そして「待っただけの甲斐はあっただろ?」という 素晴らしい仕上げで、、

○ 今月の筋トレ

私は例年、コートを着るのは きっちり1月と2月だけなのですが、 今年は結構暖かく1月半ばまでコートなしで済みました。 しかし、それ以後はむしろ例年より冷たいような気がしますね。 ここのところ、意識して筋肉増強をやめ、動きを重視するようになって 筋肉量が減ったためもあるのかも知れません。 中国武術の場合、筋肉モリモリでは身体を巧妙に使うことができず、 スピードも乗らない。威力も弱いということです。 確かに暮れから始めた通背拳では、 肩の筋肉が動きを邪魔している感じです。

イチロー選手が、「自分が引退するとすれば、 それは腹が出たとき」と言っていました。「筋肉をつけすぎると 微妙な動きができなくなるので、つけすぎないよう注意している」とも。 それに対し、最近の松坂のアゴ髭も格好悪いですが 明らかな米国肥り、二の腕がおばさんの腕のように柔らかく揺れていました。 もうちょっと身体を絞った方が、ずっとパワーが出るんじゃないかなあ、、

冷たさは早くも下旬には弛み、 そろそろ春の匂いが漂ってくるような空気です。 さて先月、開眼した自称「伸股法」で歩くことの研究に入りました。 股関節を伸ばしなるべく「柔らかく歩く」ことがコツです。 おお、これは色々なところで応用できるんですね。 階段の登りも楽ですし、予想もしなかった階段の下りもこのコツでやると、 速やかに降りられます。

朝夕のトレーニングも最近は八卦掌の走圏の他は、 通背拳の基礎練巧を主体としています。 通背拳を始めた時は「まだ使っていなかったこんな動きがあったのか」 という身体の動かし方を知りました。 あとまだ未開発のままなのは脚だと思います。 歩きを研究しながら、結構使い方は限定されているはず。 いずれ脚の使っていない動かし方も研究するとしましょう。

このように身体中の関節を一度フルスイングしておくと、 一日とても身体が軽く気持ちがよいです。 就寝前にも軽く行っており、 これは快眠を誘います(ただ年齢のせいか、最近は決まって午前3時頃に 一度目が覚めてしまうことが多いようです)。

○ 今月の脳トレ

冒頭にも書いたように、今年もプログラミング絶好調です。 スケジュール・アプリを仕上げ、 現在は再び Web 版電子カルテ NOA に取り組んでいます。 ほぼ八分方の仕上がりとなり、 いよいよ従来の電子カルテからデータ移行の部分にとりかかりました。 従来は紹介状などの書類や絵を、 バイナリーデータとして埋め込んでいました。これが問題です。 この部分だけは Web Application で解決は無理なので、 久しぶりに Cocoa でデータ取り出しのためのツールを作成しました。

Leopard になって、開発ツール Xcode が大幅に変わってしまい、 その使い方を試行錯誤しながらの開発でしたが、 数日でバイナリーデータを取り出し表示することに成功しました。 なにせ、Cocoa での本格的開発は久しぶりですので、 すっかり忘れてしまっていることが多いです。

さて、そうして取り出したデータを JSON 形式にして、 Web NOA へ取り込む予定です。従来も DB と平行に MML 形式で持っていたのですが、 その中にバイナリーを埋め込むという 反則のことをしていたのが敗因でした。 今後は DB に収納するデータと 平行して永久的に使えるプレーン・テキスト形式のデータを 持つ予定です。その形式としては JSON を考えています。 イメージデータは、別途 JPEGなどで個々に持つことを考えています。 こうしておけば、将来システムが変わっても移行には余り苦労しないはずです。 ソフトウエアは消耗品ですが、データは財産として永続すべきものですからね。

Web NOA で使っているデータベース MySQL は、 とても使い勝手がよいのですが、 Sun Microsystems に買収された記事が出ました。 MySQL は Google などでも バリバリに使われていると聞きます。 変な縛りなく、今までと同様に使えると良いのですが。 まあ、Sun のことですから、大丈夫とは思いますが、、 ちなみに Sun-3 は「わーくすてーしょんのあるくらし」 の由来。私が手に入れた はじめてのワークステーションでした。

○ 日医 IT 化推進検討委員会

2月末に、日医IT化推進検討委員会の答申を 日本医師会会長室へ提出させて頂きました。 私の敬愛する唐澤日医会長は先月、東京都医師会新年会の席で 小脳出血で倒れられ、竹嶋副会長に受け取って頂きました。 唐澤先生のその後の経過は非常に順調で、 すでに退院され自宅療養中。 3月には職場復帰されるとのことです。

この委員会の委員長を仰せつかり、 答申に漕ぎ着けるまで大変な難儀をしました。 今迄も委員長は日本産婦人科医会をはじめ いくつか経験がありますが、 ここでは全国の委員の方々のご意見がいろいろで収束するのが大変。 本筋でないところでこんなにエネルギーを使ったのは 初めてです。まだまだ修行が足りませんね。

私としては日本医師会の専門委員会として、 日本医師会をはじめ 色々なところで参考になる役立つものを、 日本の医療を引っ張るような提言をまとめたい、 と意気込んでいたのですが、委員会での討議の結果は そのような前進気勢のある内容とはほど遠い(私としては面白くない) 内容となってしまったのは、返す返すも残念です。

委員長として毅然とした態度でやれば良いのでしょうが、 つい「あまり我を通しても悪いかな、、」と思ってしまうのが いけないんでしょうね。 今更ながら自分の力のなさを悟りました。 一委員の立場なら、言いたいことはズバズバ言う方なんですが、、

< 2008.01 未来は遠いが過去は近い | 2008.03 毎日1回フルスイング >

これは日々の生活で感じたことを書きとどめる私の備忘録です