2016.11 遅ればせながら衣替え

わーくすてーしょんのあるくらし (285)

2016-11 大橋 克洋

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10月一杯までは半袖で通しましたが、最後の31日はちょっと寒かったですね、早朝散歩は半袖にベストでしたが夜の呑み会は半袖の上に革ジャンで出掛けました。一夜明けて11月1日朝、外は雨になっていました。11月になるとともに軽く袖捲りした長袖シャツ。東京都医師会理事をしていた頃はスーツで通勤。夏物スーツから冬物への衣替えは12月1日でした。

◯ IBM 社内で Mac 利用率が伸びる

以前も書いたことがありますが、IBM 社内での Mac 利用。最初は昨年「仕事に Mac を使いたい」という要望に応え、希望する社員へ Mac を支給する選択肢を提供開始したそうですが、その反響は予想外のもの。年間5万台の Mac 導入という当初の目標を大きく上回り、いまや社内には毎週1300台のペースで新しい Mac が配備されており、年内に10万台を突破して企業としては世界最大の Mac 利用者数を誇るまでになってしまったそうです。

IBM 副社長の言によれば「4年間トータルで考えるなら Windows マシーン導入と比較して、Mac 1台につき最低でも265ドル(約2万7500円)の節約になると試算される。初期導入費用こそ Windows マシーンの方が安いが、導入後の値打ちは Mac が勝る」。

自分の経験に照らしてみると、Mac の良質なハードウエアには愛着が強く比較的長い年月使い続けるが、安い Windows マシーンには愛着もなく CPU などの性能がちょっと上がっただけでも安易に買い換える傾向があるので、結局ハードウエア導入費を考えても Mac との差は大してないのかも、、

社内でテクニカルサポートを求める社員の割合が、Window マシーンでは25%もあったのが Mac では 3.5%と激減。現在 IBM 社内では、次にパソコンを新調する時は Mac を選びたいとする社員が7割を超えたたとか。

私が Mac びいきでないスタンスで控えめに考えてみても、Mac の方が圧倒的に手がかからないはず。なのに、日本では企業やお役所までが Window でなければ使えない環境を変えようとしない。納税に IT 利用を声を大にして叫んでいる税務署、喜び勇んでパソコンで納税しようとしても「Windows でなければ利用できない」、実に腹が立つ。

◯ Apple のゆくえが心配

Jobs 亡き後の Apple からシンプルさが次第に失われつつあることを、このコラムで何度も憂いてきたところですが、かつて Apple のクリエイティブ・エディターを務めたケン・シーガルが同じことを言っているのを見つけました。以下はその要約です。

彼はジョブズの傍で12年にわたり仕事をし、アップルを誰もが知り多くの人が愛するカルト的ブランドへ育てるのに貢献した。彼は「Think different」キャンペーンを作り出した中心人物のひとりだ。

シンプルさはアップルの成功を産んだ根源的武器のひとつだった。1997年にジョブズがアップルに復帰してから、彼は自らの組織だけでなく、製品クラスの削減・説明書の縮小・利用する機能のシンプルさ、内部の技術部門までも徹底的に改革したとされる。「ジョブズは製品についても企業組織そのものについても、余分なものを減らすことばかり考えていた。このようなカルチャーが新しい製品を区別するための i や、ラップトップ製品に用いる Mac を産んだ」「ジョブズ時代のアップルのすべてを特徴づけていたあのシンプルさの力は失われたと思っています」と語っています。

「今こそ、スティーブ・ジョブズのフレーズのひとつを使わなければならないのでしょう ーーー この2週間で君は何をしたのか? 1日でできたはずだ」。

Apple が昨年からルーター部門の閉鎖に向かって動いているそうです。これまでルーターに関わってきた人員は Apple TV などの部門へ移されたとのこと。先ごろ Apple は純正ディスプレイの提供もやめました。Apple にはもっとシンプルな方向へシフトして欲しいと願いますが、このように必要な周辺機器などについては継続して欲しかった。

◯ ロシア、個人データの国外保存を禁止

ロシアで LinkedIn が使用禁止になり、facebook や Twitter も同様禁止になる可能性があるとのニュース。これはロシアでは Web サイトは「ロシア国民の個人データを国内サーバーに保存すること」が義務付けられたためだそうです。この法律は 2014 年に成立し 2015年9月発効したが、実際に適用されたのは今回が初めてとのこと。そうなるとロシアでは当然、Google drive などクラウドへのデータ保存サービスも利用できなくなるのでしょう。

私は現在 メール・カレンダー・諸々のファイル類など極めて多くを Google のクラウド・サービスに依存しています。自前のものを使わない場合、先方の都合により突然サービスが中止され、それらのデータが事実上消滅したと同じことになる可能性のあるリスクを承知の上で使っています。そして、データが米国のサーバ上に存在するであろうことについても余り気にしてこなかったのですが、ロシアのように国防第一主義をとる国となれば、そういう動きになるのも仕方がないのかなと。そうなると中国のような国は、そのへんもっと厳しく管理するんでしょうね。

ところで名前を聴いたことはあるが使ったことのない「LinkedIn って何?」と調べてみました。なるほど、ビジネスに特化した facebook のようなものなんですね。同業者と情報交換したり、顧客をみつけたり、人材を探したりできるというような、、

◯ AI の前にやるべきこと

最近の AI は一昔に比べ飛躍的に賢くなったことは理解しています。Apple の Siri や Google の音声入力も、とてもお利口になり実用に使えるようになってきました。これも AI の一部と言えるでしょう。

しかしこれら賢い AI の多くは Apple や Google などが実現したもので、少数の天才的な発想をもった開発者と裏で膨大な DB パワーが働いた結果実現されたものであろうと思います。私も自分の電子カルテに AI 的な機能を組み込もうと考えたことは20年来何度もありますが、本当に役に立ち快適に使えるものを実現するのは難しい。「何とかでき上がっても、AI を作ることが目的となってしまって、子供だましで現場の役に立つものではない」ということを何度か経験してきました。

それよりも必要なものは「賢くエラーをチェックし、さりげなく教えてくれること」。人間はエラーをするのが当たり前、特に私などはそうですが、これを少しでも防止してくれるなら、それだけでも電子カルテを導入した意味があるというもの。重大なエラーはなくても、ちょっとした書き違いなどはしょっちゅうあります。幸いそのようなエラーは賢いうちの窓口職員が気付いて教えてくれるのですが、それを何とかなくしたい。

しばしアイデアが枯渇し開発が停滞している電子カルテ NOA ですが、これを書いていて進むべき新しい道筋が見えてきたぞと、、

◯ 米国の大統領選 まさかの展開

11月9日(日本時間)世界中の多くの人達が、かたずを飲んで米国大統領選挙の行方を見守ったに違いありません。

2ヶ月ほど前、地元の友人と呑み屋で米大統領選について大論戦を行いました。私が「トンデモなトランプが大統領になって欲しいとはまったく思っていないが、日本で(自分がトンデモと思う)民主党が政権をとったことを考えると、トランプ大統領の実現もあり得る」と述べると、彼は「地球がひっくり返ってもそんなことはあり得ない。もしトランプが勝つようなら、俺は町内を逆立ちで周ってやる」。このやりとりで次第に二人の声は大きくなりました。他のお客は同じカウンターのアベックだけでしたが、店を出る時そのお客に「うるさくて御免なさいね」と声を掛けて出てきたという経緯がありました。

それでも選挙の行方は「接戦の末クリントンだろうな」と思っていたのですが、昼休みに大統領選の開票を見ると「あれ?トランプがやや優勢」、時間を経るごとにクリントンの勝目は無くなって行きます。そしてトランプ勝利が決定。これから米国は、そして日本は、世界はどうなるんでしょう。グチャグチャに崩れてゆくのではないかと憂う私ですが「ロナルド・レーガンが選挙に勝利した時も、三流俳優のレーガンに政治など出来るのかという声があったにもかかわらず、立派に大統領の役目を果たしたのだから、トランプだって」という声もあります。さてどうなるんでしょうか。

いずれにせよ、この予想外の結果は「トランプが米国の現状を変えてくれるに違いない」という期待によるものでしょう。日本の民主党の時も同じで「民主党なら現状を変えてくれるに違いない」「とりあえず民主党にやらせてみれば」という声を聴きました。こうして票を入れた人達が期待した「世の中を変える」という思い。彼らは「良い方向へ変わる」ことを期待していたはずですが、変わるということは「悪い方向へ変わる」ことも当然あるわけで「民主党になれば悪い方向へ変わる可能性が圧倒的に大きいのに」と思ったものです。そして案の定そうなって、再び自民党に戻ったというわけですね。民主党はじめ野党の多くで目立つことは「ただただ、相手の党をなじることしかない」、しかし世の中を見ても「他人をなじってばかりいる」人間は、まず「自分では正しいことをやらない」なんです。

◯ 知らなかったグローバル化の問題点

米大統領選でトランプ候補が叫んでいたもののひとつに不法移民の強制送還がありました。知識層・富裕層がおしていたクリントン候補を押し切ってトランプ候補が圧勝した原因のひとつに、労働者層・貧困層の予想外に強い支持があったと云われています。

米国が大らかに移民・多種民族を受け入れた結果グローバル社会となった訳ですが、これは以前にも増して過酷な競争社会を招き、これにより以前と比べ貧富の差が極めて大きくなったということがあるのだそうです。1億総中流階級と呼ばれた日本も、これからグローバル化に向かえば同様の現象が起こるだろうということが書かれていました。なるほどね、グローバル化にはそういう副作用もあるんですね。

先ごろヨーロッパで起こった英国の EU 脱退もグローバル化により貧困に堕ちた国民の間から「なだれ込んでくる移民は帰れ、これ以上移民を入れるな」という声によるものなのだそうです。

先日、母校の学長からうかがった教育方針の中にグローバル化があり、これからは外国に打って出ても十分太刀打ちできるような医学生を作るという話でした。それはそれで我々の頃より過酷な(?)学生生活になりそうだなあ、と思ったのですが、彼らが社会に出る頃になると過酷さはさらに激しいものになる可能性があるのかも。

このあたりは日本全体としてもよく考えなければならないところ。グローバル化の良いとこ取りってのはできないもんだろうか、、

◯ 今月の歩術

11月は暑くもなく寒くもなく、歩くには絶好の季節。昨年も比較的長距離を何度も歩きました。6日の日曜は恒例の馬事公苑での医科学生の試合、往復16キロほど歩いたのですが、その次の日曜は朝から雲ひとつない晴天。昨年93歳の連合いを亡くした叔母が、住居を売り払い成城サクラビアという施設に入るとのことで、そこを見に行くことにしました。

途中までは前の週の馬事公苑へのコース、馬事公苑手前から世田谷通りへ出て千歳船橋へ抜ける。ここまではこの春、三鷹へ行ったコース。環八を渡るとやや左へコースを変え、祖師谷を抜けて成城へ。私の同級生が数年前に成城で眼科を開業したので前を通ってみる。やあ、なかなか小綺麗な診療所。成城は家内の実家があるので以前はよく歩いたものですが、最近はさっぱり。やがて遠方に巨大な建物が見えてくる。あれがサクラビアだろうと近づいてみると、やはり思った通り。周りを小さなお堀のような水に囲まれた10階建ての非常に立派な施設。叔母の親友が3人も住んでいて、以前から同窓会もここで開いたよし。叔母もきっと楽しく余生を送ることができるでしょう。ここから帰路に着く。家内の実家の隣の所さんの世田谷ベースの前を通る。工事中なのかな白い幕がかかっていた。帰路は多摩川の河原を通って帰ろうと成城から下っていくと川に出た。多摩川の手前に沿って流れる野川だったが、野川は二子玉川に通じているので野川沿いを行くことにする。二子玉川手前で小山ドライビングスクールの裏を通り遊歩道は終わる。二子玉川の線路の下をくぐり上野毛方面へ、この辺りは近くにアバロン乗馬クラブが昔あり、馬術部の頃よく歩き回った所。上野毛通りを行くとフォルクス上野毛店というステーキ・ハウスがあった。昨夜 TV で米国・イタリアなどのステーキを食べ歩く番組を見てステーキが食べたかったので、ここに入る。時間も11時半と丁度よい。期待したステーキ、メニューでは厚切りの立派なステーキだったのに、出されたものを見ると薄く小さな貧弱なもの。ええ〜、と思ったが、ファミレスのステーキなんてそんなものかと諦めた。ステーキとビールだけの昼食を済ませ、目黒通りを抜け都立大駅の手前から斜めに入って碑文谷病院の方へ抜け、西小山駅そばを通って帰着。29.4キロ、食事時間を抜いて約5時間の散歩でした。

スポーツシャツを軽く袖捲りし、ベストを羽織った身支度でしたが、天気が良かったので野川を歩く頃からは汗をかき、肘の上まで袖捲り。昼食を終え外へでるとヒヤッとしたので、外気温は冷たかったようですが歩くと暑くなる。この季節、肘の上まで袖捲りして歩く姿はちょっと異様だったかも、、

その後、所さんの世田谷ベース入口が白い幕に覆われていた訳がわかりました。その1週間ほど前、入口のあたりに「所ジョージ死刑」などの落書きがされており、警察が捜査中とのことでした。

◯ 日本酒のはなし

私はお酒(というかアルコール飲料)が好きで、晩酌は欠かしたことがありません。夏はビール、時に焼酎ロック。冬はぬる燗の日本酒、時に焼酎お湯割り。洋酒は付き合いでは呑みますが、基本的に自分から呑むことは余りありません。

日本酒が一番好きで、これは恐らくアルコールの呑み始めが大学馬術部の合宿から始まったのと関係があるのでしょう。大学に入って最初の夏の合宿所は秋田の大きな農家でした。当時でも体育会系の合宿にお酒はご法度と思いますが、練習を終え夕食の卓上には、ドーンと一升瓶が置いてありました。夕食の膳に着くと騎兵あがりの馬術教官から「落馬祝いだ、呑め」ということで、新入生の湯呑みに日本酒が注がれました。落馬しなかった私もお相伴にあずかり、これが生まれて初めてのアルコールでした。今では大学から厳重に未成年の飲酒を禁止されていますが、当時の私はまだ18才。馬乗りと酒とは深い繋がりがあるようで、馬術に入れ込んだ私はそれから酒との縁も切れないものとなりました。夏合宿、農家の縁側でヤカンから注いでもらったドブロク、教官の自宅に泊まり正月元旦の朝から囲炉裏を囲んで飲んだ日本酒、練習後に春爛漫の桜をめでながら河原で飲んだ日本酒、などなど、楽しい想い出がいっぱい。

そんな訳で今でもお酒は楽しみながら呑んでいます。ただ、最近は呑み屋に行っても燗酒は極めて少なくなり、ほとんど冷酒ばかりになってしまったのが寂しい。特に最近の吟醸なんたらの味、私はあの香りが好きになれません。時々近所の酒屋へ行き、日本酒と焼酎を1升ずつ提げて帰るのですが、日本酒の場合、新潟銘柄を買えばまず間違いありません。最近はそれに加え、松竹梅・菊正宗・黄桜と云った昔懐かしい酒をみつけ買って帰るのですが、これらがとても自分の好みに合っていることを今更ながら発見しました。私の嫌いな吟醸系の香りがせず、素直に柔らかく喉を通って行きます。

◯ ハクビシンに遭遇

北風の吹く寒い夜、産婦人科の研修会を聴きに大森の東急ホテルまで4キロちょっと歩きました。その帰り戸越公園商店街のはずれで、思いがけぬ生き物に遭遇。街灯で明るかったのですが、寒い夜で人通りもない商店街の外れ。目の前をちょろちょろっと横切る動物があります。イタチのように胴長、体長は猫の3倍くらいあるでしょうか。鼻筋に白く長い線が見えたので、これが噂に聞く白鼻芯に違いありません。人が居ないと思って道を横切ろうとしたのですが、私が来るのに気がついて回れ右、もと来た方向へブロック塀を登って消えました。

以前、家内と娘が夜の犬の散歩のおり、家の近所で白鼻芯を見たと聴いたことがあり「こんな都会の真ん中に白鼻芯?」と半信半疑だったのですが、やはり居るんですねえ。昼間はどこに隠れているんでしょう。餌はどうしているのかな。これだけ違うところで見かけるということは、きっと繁殖もしているのだろうから雌雄いるんだろうな。とか、疑問はふくらみます。

◯ フォルクスワーゲン WRC から撤退のニュース

廃ガス規制不正問題の発生とともに、これにより財政的に大ダメージを負ったに違いない フォルクスワーゲン社、これまた膨大な資金が必要であろう WRC:世界ラリー選手権 を続けていけるのだろうかという心配がありました。しかし、その後も何事もなかったかのように WRC を継続、毎回マニュファクチャラーズ・チャンピオンを獲得していた VW チームにちょっと安心していました。

ところが今年の WRC 最終戦であるオーストラリア戦の開幕に当たり、衝撃的なニュース。来年から VW は WRC から撤退、それに当てていた資金を電気自動車開発に当てるとのこと。2013 年の参戦から4連覇の快進撃をしてきた VW 撤退は私にとって予想外ではなかったものの、現実となると大ショックでした。

WRC 今年の最終戦、VW チームはミケルセン、オジェがワン・ツー・フィニッシュ、マニュファクチャラーズ・チャンピオンも VW が獲得し、有終の美を飾って皆に惜しまれつつ WRC を去ることになりました。4連覇の勇者の去るのは寂しいですね。かつて連覇を重ねていた スバルや三菱、トヨタが去った時もこんな感じだったのでしょうね。あの頃は TV で観戦する機会もなく、まったく様子を知りませんでしたが。

来年からはトヨタ・ガズーレーシングがヤリスを引っさげて参戦、VW の ポロ R WRC との対戦を楽しみにしていたのですが、とても残念です。VW チームのセバスチャン・オジェやアンドレアス・ミケルセン、ヤリマティー・ラトバラはどこに移籍するのでしょう。トヨタに来てくれないかな、と淡い期待も、、

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早朝散歩:夜が明けはじめる林試の森

これは日々の生活で感じたことを書きとどめる私の備忘録です