2013.07 日本の電子カルテはガラパゴス?

わーくすてーしょんのあるくらし ( 245)

2013-7 大橋 克洋

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◯ ガラパゴス? 結構じゃないか

「日本の電子カルテは世界の中でガラパゴス化している」という話がありました。しかし、生物の始まりも最初は混沌の中から。「何でもあり」の中から生き残り、異種結婚などを経たものが、次第に統合化されてゆく。電子カルテも最初は「何でもあり」。統合化は無理に行うべきものでなく、自然に進むべきもの。そうでないと良い芽を摘んでしまう。それに日本以外の電子カルテが皆同じ仕様なんて考えられないし、、

1985年、日本初の電子カルテ開発を始めた頃に考えたのは「電子カルテには色々な形態があるべき」ということでした。例えば手術器具だってそうですよね。同じ目的でもその医師により幾つかの選択肢がある。しかし、カルテのようなものは必ず国家統制の対象となり「日本統一の電子カルテ」的な方向に進むことを大変恐れていました。そうなれば「健全な電子カルテの進化が大きく阻害される」「そのようなものがプロの仕事の道具として使いやすいはずは絶対にない」という確信からでした。

しかし幸いなことに電子カルテが普及を始めようとするころ厚生省(その後の厚労省)が開いた検討委員会に私やその仲間が委員として入ることになり、厚生省もその意を理解して出された結論が「真正性・見読性・保存性を備えればよし」とする電子カルテ三原則でした。これにより日本的な阿吽の呼吸により電子カルテが運用されるようになり、今日に至っています。

◯ 画像のゆがみ 失礼しました

この web site の写真、容量の関係でクラウド・サーバに同梱できなくなったため、写真は Picasa に置き、それをこのページヘリンクする方式にしたことは数年前に書きました。ところが最近 Picasa が Google+ に統合され非常に使い勝手が悪くなりました。Google らしからぬこと。Picasa では写真を引用する際、サイズ指定をするサービスが付いていたのですが Google+ になりその機能がなくなりました。また写真の URL も自分で取得しなければなりません。Picasa はこれもちゃんとやってくれたのですが。

そこで web ページヘの引用に際し、自分でサイズを測り計算して縮尺してやらねばならないのですが、写真の縦横サイズを測り縮尺を計算して貼り付けるのは結構面倒です。Safari などのブラウザーでは縦だけ又は横だけの縮尺を指定すれば、お利口に縦横縮尺を計算し表示してくれるので楽ちんなのですが、マイクロソフトの IE などのブラウザーはお馬鹿さんなので、やたら縦に長いあるいは横に長い画像を表示してくれます。

そこで思いついたのはスタイル・シートで width:90%;height:90% などの指定方法。早速やってみるとバッチリ表示されるのでホクホクしていました。ところが先程 iPad でそのページを見てみると「やや、やっ、、」お馬鹿な IE と同じ表示をしているではないですか。ということで、先月の写真の一部と今月の表紙の写真サイズを計算しなおし、縦横ピクセルを指定したら iPad でも正常に表示されるようになりました。これに気づかず10日間ほど醜態をさらしていた訳か、ああ恥ずかしい、、本当はスタイル・シートをちゃんと理解して実行できないブラウザーの方が恥ずかしがらねばならないんですけどね。

◯ 写真のサイズ測定や縮尺計算の悩み解決

それにしても「いちいち写真のサイズを測定し、縦横の縮尺を計算して貼り付けるのは面倒だなあ」。以前、画面上のサイズを測るのに曲尺のような形をしたツール・アプリがあったのを思い出し AppleStore を眺めてみましたがみつかりません。そこで、そのようなものを Web 上で検索したところ思わぬ簡便なものが紹介されていました。わざわざアプリを購入したり起動する必要もありません。

MacOS には標準でスクリーン・ショットを撮る機能がついています。「shift+command+4」で起動するやつですね。これは私もよく利用していますが、この時マウスをドラッグすると、マウス右下に縦横のピクセル値が小さく表示されます。これを読み取ればよいだけ。「おー、こいつは簡便で良いや」ということで、悩み解決。「Web の海は智恵の海」。

◯ FAX サービスの困ったトラブル

もう15年以上も前、NeXT コンピュータの頃は FAX の送受信も e-mail を介してできたりして非常に便利な思いをしました。あれから色々なものが遥かに発達した現在において、何故あのように便利なことができないのかと思っていました。そんなところへ eFax という FAX のクラウド・サービスがあるのを見つけ、早速使ってみることにしました。

コンピュータは勿論、iPhone などからも FAX を送受信できます。PDF その他の画像を指定して送るのですが、相手の FAX 番号を加えたアドレス宛てに email で FAX を送りつけることもできるのは大変便利です。非常に快適に使えそうなので早速契約しました。

で、今朝、医師会の仲間8人ほどに FAX を送りました。送信完了のレポートがメールで届くのも便利です。しかし1箇所だけいつまで経っても送信済みレポートもエラーによる未達レポートも来ないなあ と思っていたところ、相手先からクレームの電話がありました「何度も同じ FAX が送られてくるので何とかして欲しい」。その相手先は音声と FAX を共用している回線です。普通は相手が音声で出てしまいうまく送れない時は「相手が音声で出てうまく送れませんでした」との未達レポートが届くのですが、どういう訳か何度もリトライしているようです。相手先で FAX 内容は読めているようなので、ちゃんと送付されているのにもかかわらずリトライしているのだと思います。

朝の営業時間の音声回線に何度も同じ FAX が届くのは迷惑至極。早速 eFax のサポート・センターに電話を入れて事情を説明し「とにかく相手先への FAX 送信を停めて欲しい」と申し入れたのですが「それは出来ません」との返事。「そんなことはないだろう、単に送信ファイルを削除すれば良いだけじゃないか」と言ったのですが、それも出来ないとの返事で取り付く島もありません。「そんな迷惑な FAX サービスはすぐ解約したい」と言ったところ、こちらの方は素直に解約してくました。今までも同じようなトラブルが頻発? していたのでしょうか、それなら何とでも対処の仕様があるだろうに、、

折角、便利なサービスと思っていたのに、そんな馬鹿なサービスがあるものでしょうか。

◯ 今月の歩術

年齢に伴うアタマの劣化を少しでも防ごうということで頭と身体を使うよう心がけ、このコラムでもその両方について考えることや行っていることについて述べて来ました。それについて興味ある情報を見つけたので、ここに書き留めておきます。元記事がみつからないので、Web 上を探し以下のようなものを見つけたので抜粋を紹介しておきます。

運動による海馬ニューロン新生の増強機構の解明

年齢を重ねるにつれて記憶力や学習効率は低下してしまうが、この現象には海馬で新しく生み出されてくるニューロン数の減少が関与している。今回、老齢マウスを用いた研究によって、かなり高齢になっても、運動によって海馬の神経幹細胞が活性化し細胞増殖が増強することで、新生ニューロンの数が増加することが判明した。この運動による神経幹細胞の活性化には、アセチルコリンニューロンが必要であることがわかった。また、アルツハイマー病の治療に使われている薬剤(ドネペジル)によって脳内のアセチルコリンの量を増やすことによっても、神経幹細胞の増殖が増強され、ニューロン新生が促進されることがわかった。運動によって中高齢者の認知機能が改善されることは良く知られているが、今回の研究から、運動は、薬と同じような仕組みで脳に働きかけることで、脳の老化防止に効いていることがわかった。本成果が、認知症の予防に関する新たな応用研究の展開に道を拓いていくことが期待される。

なるほどね、本能的に「アタマの劣化を防ぐには運動が必須」と感じ、実行してきたのですが、理屈を説明するとそういうことなんですね。

ということで、暑さに向かう今月も昨年よりやや頻度は減りましたがよく歩いています。この連休には 10km 近くの歩行を2日続けて行いましたが、先日は東京ビッグサイトから新橋まで炎天下を歩いて来ました。このコースはただただ駄々広い埋立地のような開発地が広がるばかりの日陰の少ないクソ面白くもないコースでしたが「初めてのコースに挑戦してみよう」ということ。距離的には8km ほどで、いつもの歩きの中では大したことのない距離でしたが、周りの景色がそんなですのでやたら長いコースに感じられました。

ブルース・リーに関するドキュメンタリーを見ました。彼は自分の武術を「自己表現のひとつ」と語っていました。なるほど、人により色々な自己表現があって良いんだなと。このコラムなんかも私にとっての自己表現ですね。

◯ 今月の脳トレ

毎月同じようなことを書いているところもありますが、これは「日々の生活を書きとどめる備忘録」ということでご容赦を。中には以前書いたのを忘れているところもありますが、これは経年変化の兆候、いやいや若い頃からそういうところはあったなと、、

さて、懸案の電子カルテ開発。今月コラムの筆がやや滞ったのもそのため。昨年の大改装に引き続き、先月から再びの大改装に近い大掃除をしております。ようやく電子カルテの基本部分ならびに周辺ツールの9割方を新装しました。しかし大きく手を入れると必ずついて廻るバグの類がうじゃうじゃ隠れているはず。これから残った部分の改装とともに「細かい不具合をみつけ掃討する」という面白くない作業が待っています。戦火が一段落した後の地雷原の処理みたいな、面白くもない地味で根気のいる作業。

今回の改装は何度も書くように「ソースを綺麗にしたい」という文字通りの大掃除。ライブラリーの部分から手を入れました。最近 Web アプリを書く場合はフリーのライブラリーを使い、その上にソフトウエアを構築する場合が多いと思いますが、電子カルテ NOA はライブラリーの部分からすべて手作り。「屋根の上に上がってハシゴをはずされる」のが嫌だから、一から自分で作れば NOA の全てを把握できるからということ。唯一例外は PDF の出力部分。PDF の仕組みすべて知り尽くした上で作らねばならないので、さすがにくじけて人様のライブラリーを使わせて頂いています。ライブラリーとは、ソフトウエアの基盤として汎用される細かい部品の集合。機械で云えばボルトやナット、モーターや電源のようなもの。

ボルトやナットの規格、モーターや電源の接続規格から変えてしまったのだから大変。機械の再組み立てに際し、接続部分をひとつひとつ修正する作業が発生します。根気の要る作業ですが、ひとつひとつヤスリを掛け半田付けしなおし、部品を組み立てて動くようになるのを見る楽しみがあります。考えてみると地雷原の処理は心理的にはまったく違いますね。辛酸をなめながら地雷を発見し処理しても、その結果として見えてくるものはありません。

バグの場合、どこに潜んでいるか解らないバグを推理しつつ、獣みちにバグを捕まえるトラップを仕掛け、蜘蛛の巣だらけの暗い床下を何日も手探りではいずり回った結果、ようやくバグの原因を発見し処理、ソフトウエアがスコンスコン動くようになったのを見るという面では地雷処理より大分ましかも、、

今回の大改装で NOA がどう変わったのか書くつもりだったのですが、地雷原処理の話でスペースが尽きてしまいました。その話はまた いずれ、、

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今月の歩き:ビッグサイトから新橋へ向かう途中みかけた屋形船

これは日々の生活で感じたことを書きとどめる私の備忘録です