2016.02 クリエイティブな人間に嫌な奴はいない

わーくすてーしょんのあるくらし ( 276)

2016-2 大橋 克洋

早朝散歩:夜明け前の五反田

<2016.01 今年はラッキーナンバー | 2016.03 ただ淡々と歩む >

◯ クリエイティブな人間に嫌な奴はいない

大学を卒業してインターンの頃、夜学のデザイン学校に通ったことがありました。夜学となると皆職業を持っています。警察官・税務署員・コックさん・自衛隊の空挺部隊など、医者の卵の私もそうですが、職業は色々ありました。彼らはユニークな連中ばかりで、きちんとした服装をしている人間など余り居ません。しかし「何か共通するものがある。何だろう?」と思いました。よく考えてみると、皆変わってはいても嫌な奴がひとりもいないのです。普通、大勢の人間がいると必ず中には嫌な奴がいるもの。

そして思い当たったことは「そうか、彼らは職業を持ちながら夜学に通ってまでデザインを学びたいというクリエイティブな人間ばかり」「クリエイティブな人間には嫌な奴がいないんだ」ということでした。

さらに長い人生の中で NeXus:NeXTコンピュータ・ユーザ会や jus: 日本 UNIX ユーザ会など、本当にコンピュータで何かを造るのが好きでたまらない連中にはひとりも嫌な奴がいませんでした。残念ながら、私は深く付き合う機会がありませんが、ミュージシャン達にもまったく同じ匂いがします。漫画家などもそうかも知れません。

ただ、一見同じ仲間にみえる例えば医療情報学会などのメンバーを見てみると、ちょっと嫌な人間もいます。表面上何かを創ろうとしているように見えても、それは地位や名誉を得るためのものであって、純粋な気持ちで何か創作しようというのとは訳が違うからです。

このことから考えると「世の中を良くするには、子供の頃から何かを創る面白さを教えていく」のが教育ではないかと思います。ただ観念的に「戦争反対」を叫ぶより、何かを一緒に作り上げることに熱中する方が、ずっと効果的なはず。

◯ 今月の歩術

早朝散歩は続けていますが、やはり最も寒い季節とあって頻度はやや落ち週に3日ほどでしょうか。それでも早く起床できた時は午前6時前に家を出発しています。今年は今のところジャンパーを着るまでいかず、やや厚手のスポーツシャツを軽く袖捲りし毛糸のベストを着た姿で歩いています。歩き始め、手袋をしない手の爪がちょっと冷たいですね。

東の空の白むのが6時10分過ぎくらいだったのが、6時10分前くらいになると東の水平線が明るくなってきます。晴れた朝だと薄いピンクから白そして青空から濃紺の夜空へとグラディエーションがかかって綺麗です。

日本医師会医療情報システム協議会のあった土日、2年前のこの日は東京には珍しくしっかり雪が降って開催が危ぶまれたことがありましたが、今年は逆にこの2日だけ春のような陽気でコートなしで出かけることができました。コートと云えばこの冬になってからコートを着たのはその前の日曜、93歳で亡くなった叔父の1周忌で多磨墓地にお参りした時だけでした。喪服を着てゆくのでコートが必要ということもありましたが、抜けるような青空の上天気なのに北風がとても冷たく、そういう意味でもコートは必要でした。

で、歩術の方ですが、特に新しい技術などの進展はありません。寒いこともあって歩行速度は速くなっています。さすがに寒いので長距離歩行はなく、多くは4キロちょっとですが、先週の日曜散歩では11キロほど歩いてきました。

◯ 今月の脳トレ

オープンソースとして無償配布している 電子カルテ NOA は、MAMP という Web サーバや データベースなど一式が入ったセットの中で、ほとんど手間なしでインストールし使えるようになっています。ユーザさんから、最新の MAMP で NOA がうまく動かないとの知らせを受け、最新の MAMP をダウンロードし NOA を動かしてみました。なるほど、最初のところで凍りついてしまいます。

原因を探ってみたところ、最新の MAMP でサポートされている PHP が PHP5 から PHP7 へバージョンが上がっているためのようです。さらに原因を追求すると PHP の中で MySQL をコントロールする mysql_***() という関数が非推奨となり、mysqli_***() を使うことになったようです。これなら関数の置き換えだけで楽勝と思ったのですがドッコイ。新しい関数ではパラメータが一つ増えています。これは私が作った無数の子供の関数にも影響することで、こいつを新しいものに対応させるには、落ち穂拾いのような根気が必要、最終的にバグがないことを確認してリリースするにはかなり日数を要することになりそうです。

さらに変化はこの部分だけでなく、新しい PHP で動かなくなった関数が他にもあるようです。とりあえず発見したものは単純に関数名のリプレースだけで済みそうなのですが、他にもパラメータ変更の関数などがあるとやっかいです。「うーん、まいったな」と思いつつ「まあ、こつこつ、やるっきゃないか」と取り組むことにしました。脳トレには良い課題ですが、まあ、時間のかかることよ、、

◯ 電子カルテの不調でしばし格闘

電子カルテ NOA のサーバマシーンを MacOS のタイムマシーンで NAS へバックアップしていますが、先日見てみるとここ数日バックアップがコケている。バックアップ先のエリアが満杯になると一番古いものへ上書きしていくはずなのに、どうもそれができないため「バックアップ先のディスクが一杯です」というようなメッセージが出てコケています。

そこで色々とやってみたのですが、どうもうまく行きません。とりあえず NAS のリブートを何度かやったところバックアップを始めたので「よしよし、、」と思ったのですが、しばらくするとまた同じ現象。これが元でさらに困ったことが起きました。

朝の外来で電子カルテを使っていると、やたらサーバからのレスポンスが遅い。データの取りこぼしまで起こるのはマズい。サーバマシーンでのバックアップのリトライのために違いありません。こりゃーまずいということで、とりあえずタイムマシーンを停止。この NAS ももうそろそろ交換の時期かとAmazon で新しい NAS を注文。昔なら NAS 搭載の HD を自分で交換してみるところですが、そういう根気は落ちてきたのかな。NAS も安くなったし。

で、翌朝、昨日うまく診療費計算ができなかったカルテを開いて、再計算。ところが、健保の計算は良いのですが、どうしても自費が全部ゼロになってしまう。朝の外来までに直さないと困ったことになる。で、原因を追求しました。少しずつ原因の箇所を追っていくと、あるパラメータが正しく与えられていないことが判りました。「えー、外来開始まであと数十分」焦りました。こんな基本的パラメータがおかしいなんて、、ということで NOA を再起動。おー、無事に正常動作に復帰。シャカリキになってバグを追ったのですが、これはまったく不要だったということ。いやー、焦りましたねえ、、

◯ 犯人は思わぬところに?

さて、外来での電子カルテ動作遅滞の問題。色々とやってみましたが、タイムマシーンの retry 繰り返しによるものではなさそうな気がしてきました。電子カルテサーバのある自宅書斎の端末からアクセスしてみると、電子カルテは何の問題もなくサクサク動くのです。

そこで犯人として思い当たったのが、自宅と診療所とを接続するイーサネットのスイッチング・ハブ。そういえば大分前に、こいつがおかしくなって不可解な問題の発生したことがあったっけと。念のためスイッチング・ハブの電源を入れなおしてみました。翌朝、外来へ出てみると電子カルテは何の問題もなく動くようになりました。際限なくリトライを繰り返していたのは タイムマシーンではなく、スイッチング・ハブだったというお粗末。

うーむ、あらぬ疑いをかけた タイムマシーンには申し訳なかった。今回、 タイムマシーンのバックアップ先の NAS 不調に、たまたま途中からスイッチング・ハブ不調が重なって、あらぬ疑いをかけてしまった訳ですが、このように、あるトラブルへの対応中に他のトラブルが割り込んできて、何が何やらわからなくなる経験は前にもしたことがあるような、、

早速 Amazon でスイッチング・ハブを購入、これに替えた翌日、快調に外来診療を行っていました。これで一件落着と思っていたのですが、昼近くなってまたサーバのレスポンスがやたら遅くなる「あれー? 何で?」。そして診療終了間際になって自然にレスポンスは通常に戻りました。はあーて、また謎が深まったぞ、原因は何?

・・・

不思議な事に自宅書斎の電子カルテ・サーバからのレスポンスがやたら遅くなる症状は、一定時間発生し、また自然に治るのです。不調は2時間近くにおよぶこともあり、診療中にこれが発生すると電子カルテの機能がガクンと落ちて仕事になりません。いろいろ試行錯誤する中で、診察室のスイッチング・ハブの電源を入れなおしてみました。すると症状が改善することがあります、しばらくすると再発するのですが。そこで診察室のハブの不調を疑いました。書斎のハブと入れ替えた新しいスイッチング・ハブを外してきて外来のハブと入れ替えてみました。これでちょっと様子を見ています。まだ症状は時々発生しますが、診察室のハブ電源を入れ直すことで一応回復しています、、ということで、3日ほど経ちますが本当の原因はまだ特定できていません。

◯ そして、まだまだ格闘はつづく

あれから1週間以上経てまだ症状は発生します。午前中の診療で10時頃から発症し、昼近くなって自然に回復する場合とそうでない場合も。この状況から「何かやたら忙しいプロセスが走って問題を起こし、それが何かの具合で自然に解消される」ということでサーバマシーン上のプロセスを調べてみました。どうも mysqld という奴がそれらしい。名前からしてデータベース MySQL を司るデーモンのようです。今までこのような症状は経験したことがなかったのに何故最近になって急に発生するようになったのか。Web 上の情報を調べてみました。すると MySQL が NULL データなどに際限なくアクセスしている場合にそのようなことが発生するようです。うーむ、すると PHP7 対応でのソースの書換に関連している可能性が高い。しかし問題箇所の特定がこれも大変な落ち穂拾いになりそうな予感、参ったね、、

・・・

まだ格闘はつづきます。どうも MySQL の動きに問題がありそうだということになってきました。MySQL のプロセスをリストアップしてみると、定期的に DB へ受診者リストを見にゆくプロセスのゾンビらしきものが沢山残っています。PHP のソースをチェックしてみると、リストアップするためループするルーチンの中で、再帰的に別のテーブルをスキャンする部分があり、ここで得られた配列を更にソートしています。今までこれで何の問題もなく動いていたのですが、何が変わったのでしょうか。いずれにせよ、この辺りが MySQL への高負荷なのかなとソート処理を削ってみました。「よしよし、これでうまく動きそうだぞ」と、いざ仕事に使おうとするとまたまた MySQL のデーモンがやたら高負荷。

それから色々と試行錯誤しながら原因を探っていったところ、受付端末からアクセスしていると MySQL が高負荷になるようです。Web アプリなので、DBまわりの処理はサーバ側でするのであって、クライアント側のハードウエアには関係ないはず。古いマシーンなのでレスポンスが多少遅いことはあっても、それがサーバへ影響するような処理はしていないはず。しかし、理屈はともかく原因がこのマシーンにあることは間違いなさそうです。

受付端末は、これまで私が使ってきた50台以上のコンピュータの中で最長寿命13年を誇るマシーン。ユニークな首振り型の iMac 17インチです。まだ真っ白な筐体も画面も綺麗だし故障ひとつなく元気に働いてきました。記録をもう少し延ばしてやりたい思いはありますが、ついにそろそろリプレースしなきゃいけない時期かなと、、

遊んでいた Mac mini を後釜に据え、最長寿命を達成した「首振り iMac」を引退させました。このマシーンは古い OS しか載せられないため javascript も最新のものが走らず、サーバ側のプログラムにもちょっとした制約があったのですが、これで最新 OS に適合したプログラムにすることができます。今回のトラブル、解決までに半月と長い格闘でしたが、いろいろなものを犯人に疑い、NAS、スイッチング・ハブなどをリプレースすることになりました。これでようやく一件落着、今月は良い脳トレでした。心はればれと診療できます。

◯ タイムマシーンの設定に難航

Amazon で調達した 4TB の NAS が届きました。勇んで タイムマシーンのバックアップ先に設定しようとしたのですが「あれ? タイムマシーンから NAS が見えない」。今まで使ってきた NAS と同じ IOデータのものなので、問題なく繋がると思っていたのですが。

ネット上で情報を探してみました。 タイムマシーンは USB 接続の HD などは問題なく繋がるようですが、NAS の場合すんなり繋がらないことはよくあるようです。しかし「幾つかオマジナイをすると繋がるようになる」との情報を得ました。しかし、このオマジナイなるものが結構ややこしそう。成功するまで格闘が必要な雰囲気。

うーむ、これで NOA の PHP7 対応作業がまた遅滞しそう、、

「待てよ?」と思って確かめてみると、今までタイムマシーンで接続していた NAS は IO データ製のものではなく Buffalo 製でした。Web で確かめてみると Buffalo 製のものなら MacOSX のタイムマシーンに対応しているようです。しまった、以前の NAS がすんなり繋がったので NAS はどれでも繋がるものという先入観があったのがいけなかった。いやあ、こういうのは何度か火傷しないと覚えないものですが、この頃はしばらくすると記憶が蒸発するので、忘れないよう ここにメモしておこう。

タイムマシーンにすんなり繋げるかどうかは Mac ユーザにとって重要なこと。IO データさんも早く対応してくださいね。単にオマジナイしておくだけで良さそうですから、、

、、と書いたのですが、IO データの NAS でも無事タイムマシーン対応できました。というのは、 NAS 設定用 Web ページに何度やってもログインできなかったのですが、 やっとログインに成功し無事設定できたのでした。原因はログインにやたら時間がかかることで、ログインのボタンを押し放っておくとかなり時間が経ってログインできることを発見しました。このウェブページは NAS 本体が発行しているものなのですが、そのためかログインにやたら時間がかかります。そのため何度トライしても駄目で、ログインを諦めてしまいタイムマシーン用設定のあるところまで辿りつけなかったのです。

◯ あきらめていたスキャナーが使えた

診察デスクの上では、大きめの定規のような形のコンパクトなスキャナーで保険証などをスキャンしています。小さいのに A4 までスキャンできて便利です。

一方その隣の机上のブラザーのレーザプリンターには、印刷・コピー・FAX・スキャナーの機能がついています。しかし付属してきたアプリを使ってもスキャン機能がうまく使えないので、こちらは諦め、もっぱら印刷・コピー・FAX送受信に使ってきました。

iMac の「システム環境設定」の「プリンターとスキャン」で「スキャン」の項目を色々いじっていたところ、ここから簡単にスキャンできることを発見。「スキャンしたイメージの保存はどうするの?」と思ったのですが「保存」のボタンもメニューも見当たりません。いろいろ試行錯誤しているうち、スキャンが終わると自動的に指定したフォルダーに保存されているのを発見。しかも、イメージの保存形式は jpg, png, pdf その他いろいろ選べます。これは便利だ、今度から大きなものはこちらでスキャンすることにしよう。

システム環境設定に現れるこの機能は、もともと iMac の OS に備わったものではなく、ブラザー・プリンターのドライバーに付属してきて自動的にシステム環境設定へ組み込まれるのだと思います。なかなか賢いですね。

◯ 燃え尽き症候群なのか

日本の野球界に輝かしい成績を残した清原元選手が覚せい剤使用で逮捕されたとのニュース。facebook で薬物依存症の専門家の意見を読みました(・で始まるのが専門家の意見)。

・どうして印象論だけで適当なことを語る報道がまかり通るのか

これには同感。偉そうに語る その道ど素人の的はずれなコメントは世の中を毒するだけ。

・理由の1つは、彼が引退した超弩級のアスリートだったこと。引退後ぽっかり空いた心の穴、、、喪失感。清原自身が繰り返し次のようなことを述べていた「野球の達成感を知ってしまったから、何をやっても心に穴があいていて」「巨人で打てずに、ボロクソに云われるより辛い」「野球やめたら穏やかに過ごせると思ったのに、今が一番辛い」。

このように「何かを達成した後の心の空白に薬物依存症が入り込む」例は多いのだそうです。この喪失感はよくわかります。私が東京都医師会理事を辞めて数年の間、ここにも時々コボしてきました。自分でも「これは軽いウツだな」と自覚する時もありました。

・理由の2つ目は、過去に清原が味わった運命のドラフト会議のトラウマ。

引退後の心の空白があっても皆が依存症になる訳ではない。人は皆何かを卒業していくわけで、自分の歩んできた道を信じ、後進の育成に励んだり周りの人達に支えられながら第二の人生に進んでいく。しかし彼は過去のトラウマで他人や自分を信じられなかった。そのため第二の人生へのソフトランディングがうまく行かず「本当の自分」と「トラウマからの防衛本能による虚勢の自分」これが人間関係を壊して行き、孤独感が薬物依存へ走らせる。

私も詳しい彼の経緯や真実を知りません。しかし上の意見は非常に納得のゆくもの。私も喪失感に陥ってから5年を迎えようとし、ようやくソフトランディングできそうです。

・清原は断じて甘い気持ちで薬物に手を出したのではない。甘い人間だったら手をださずに済んだはず。彼が努力家でピュアな人間だったから、そのような状況に耐え切れなかった。

その前に離婚もあったようですし、四面楚歌のどうしようもない孤独感が、自分でも「こんなことを続けていてはヤバい」と判っていながら続けてしまった理由なのかも、、

私などは、もともと本当に仲の良い友達が多いわけでもなく(そう仕向けているつもりはないのですが、何となくそうなりますね。自分のどこが問題なのか判っていません)、いつもワイワイやっているわけでもないので、そこそこの孤独は気にしない方ですが、皆からもてはやされ華やかな人生を送ってきた人間にとって落差は格段に大きいでしょうから。

◯ マスコミによるいじめに思う

ついでなので、マスコミねた。ベッキーの不倫の問題もマスコミを賑わせています。不倫が問題なのは勿論のことですが、一部のマスコミ報道は「報道」の域を越え「いじめ」としか思えません。いつも書くことですが、マスコミは一旦敗者となった者を情け容赦なく叩き、苛め抜きます。中川昭一大臣の自殺などは、少なくともそれが自殺を大きく助長したであろうことは間違いないでしょう。

もちろん「本人が自分の非を自覚し、更生に務める」ことが最も大切ですが、マスコミを含め周りの者の役目はその更生を助けることでしょう。

このように「自分は安全な位置を確保しながら、敗者をコテンパンに傷めつける人間」には反吐が出そうになります。限りない憤りを感ずるものです。特にマスコミには「そのようなセンセーショナルな記事で売上をあげる」という非常に不純な動機が見え見えですから。

マスコミがベッキー・清原の問題で盛り上がったため、収賄疑惑で辞任せざるを得なくなった甘利大臣の記事は影が薄くなりました。大臣、ほっとしているかも知れません。

◯ トヨタの 2017 年 WRC 復帰へ期待

2016 年の WRC は早くももう2戦目に入っていますが、来年から WRC へ復帰するトヨタの WRC カーの写真を初めて見ました。「ヤリス」という名前で、かつて三菱チームで WRC 4連覇を果たしたトミ・マキネンがチーム・リーダーとなり、フィンランドを拠点に参戦準備を進めているそうです。ヤリスのベース・カーは何なんだろうと思ったのですが、ヴィッツなんですかね。調べたらヴィッツの国外名がヤリスでした。なるほど、そういうことか。

もう少し車高が低いと VW ポロの WRC カーにひけをとらない凄みがでると思うのですが、一見したところ昨年までのヒュンダイの WRC カーを思わせます。ヒュンダイも今年の i20 あたりはもっと洗練されたスタイルになっています。来年の本格参戦の時には VW ポロ風に獲物を狙う肉食獣のような凄みのあるスタイルになって欲しい。

WRC にはできれば3台、少なくとも2台を出したいと考えているそうですが、まだドライバーは決まっていないようです。恐らく現在活躍中の WRC ドライバーの誰かを引っこ抜くんでしょう。まさか現在ぶっちぎりで強い VW チームからということはあり得ないのでしょうが、、トヨタのことですから車の性能やサポートには安心していますが、やはり勝ちはドライバーの如何にかかっていますからね。VW チームのように緒戦から優勝というのはなかなか難しいでしょうが、今から来年の WRC が楽しみだなあ、、

◯ ラリー車はなぜハッチバックだけになったの?

WRC などを見ていて、最近非常に気になっていたこと。それは出場する車が、全てと言ってよいほどハッチバックだけになったことです。以前はセダンもあったのに。で、早速 Web の海に情報を漁ってみました。すると以下のような理由。なるほどね、、

セダンの方がリヤのオーバーハングだけ重量が重い。これにより前後重量バランスがとれ、安定性は増す。また中高速域の空力特性も優れている。このように安定性のあるセダンは、平均速度が高めの旋回と直線が連続するサーキットでは、安心してアクセルを踏める利点がある。

一方ラリーでは、直線でタイムを稼ぐことが少なく、鬼のような数のコーナーでタイムを稼がねばならない。路面コンディションに関しても、グラベルなどではサーキットに比べ非常にトラクションが得づらい。よってラリーでは、中低速域の特性が重視される。

セダンでは連続するコーナーでフロントを左右に激しく振り回すと、素早い旋回モーメントが得づらく曲がりにくい特性といえる。WRC において2003年以前ではドリフト走行がメインだったが、ドリフト走行はタイムロスも大きく、現在ではグリップ走行がメインになっている。滑りやすい路面でのドリフトは、なかなかリヤの無駄な動きが収束せず、次の旋回に入れない。下手すればコースアウトか障害物にヒットしてしまう。

このため、リヤが軽くクイックに旋回できるハッチバックが主流になっていったのだそうです。ただしこの場合、中高速域では不安定になる。なるほど、もう50年以上前になりますが、モーリス・ミニ・クーパーが雪のモンテカルロ・ラリーなどで抜群の強さを誇っていたのも、このような理由があったんですね。現在の WRC を見ていて、各コーナーで激しいドリフトと思っていたのは、ドリフトではなく4輪駆動を駆使したグリップ走行だったんですか。聴いてみなければ判らないもんだ、、

<2016.01 今年はラッキーナンバー | 2016.03 ただ淡々と歩む >

来年の WRC に向け調整中の TOYOTA Gazoo Racing ラリー車 YARIS

これは日々の生活で感じたことを書きとどめる私の備忘録です