2009.04 あほうかしこ

わーくすてーしょんのあるくらし ( 194 )

2009-4 大橋克洋

< 2009.03 日本の伝統 | 2009.05 電子カルテ WINE から20周年 >

禅の考えでは、これらはすべて宇宙の生命の声。

春は花、夏ほととぎす、秋は月、冬雪さえて冷しかりけり

良いですねえ、、 今年度は、そのような気持ち、自然体で過ごしていきたいものです。 素人の私見ですが、季節感の変化をもう少し浮き上がらせるため 「夏ほととぎす」でなく「夏蝉しぐれ」でも良いかな、 などと思いました。しかし、詠んだ人の環境では、セミよりホトトギスの方が 季節感があったのかもね。

○ かしこかしこ

女房には4つのタイプがあるとのこと。

  1. かしこかしこ

  2. かしこあほう

  3. あほうかしこ

  4. あほうあほう

「かしこかしこ」は、うっとうしくてやりきれない。 「かしこあほう」は、さかしそうだが肝心のところが抜けている。 理想は「あほうかしこ」。

これは、コンピュータ(ソフト)にも言えることです。 「俺は賢いんだぞ」という形相のソフトはイヤですね。 使っていると、何か馬鹿にされているような、それでいて肝心なところが アホだったりすることがわかると、完全にサメてしまいます。

見るからに「ノー天気] 「ちょっと見たところ低機能」「あれもない、これもない」と思っていたら 「能ある鷹は爪を隠す」で、ちゃんと必要なものは備えている。 ただ、ひけらかしていなかっただけ。 使い込むほどに馴染んできて「おぬし、やるな」というような 楽しいソフトが良いですね。

私の開発する電子カルテ NOA:Neat Online Assistant は 「ネットワーク越しに面倒をみてくれる手際のよい美人秘書」をめざすネーミングです。 そのような女房をめざしていますが、 まだ爪を隠しきれていなかったり、そもそも爪が生えそろっていなかったりです。 さらに精進したいと思います。

○ 桜のあわれ

桜というと、中学・高校の校庭の桜が始業式の頃、 みごとに咲き誇っていたことが憶い出されます。 しかし、じわじわと進む温暖化により、 最近は4月に入るともう葉桜になっていて、 入学式には花も完全に散っていることが多いのが残念です。

今年の冬は、私の好きな雪を見ることなく過ぎました。 微かにチラとは降ったのだそうですが、 地表ですぐ消えてしまう雪だったようです。 昭和20年代末まで東京でもかなり積雪があり、 小学生の私の目の高さの吹きだまりがあったりしました。 そんな雪らしい雪も降らない今年でしたが、 3月の寒さのため、久々に入学式を満開の桜の中で 迎えられた幸せを感じた人々も多かったのではないでしょうか。

さて先日の夜、帰宅しようと隣家の前を通りかかりました。 近く始まる道路拡張のため、 隣家は道路側 5m ほどを取り壊したところです。 取り壊した空き地の隅に、 太い薪のようなものが数本積み重ねてあります。 「あれ?」と、一瞬嫌な予感。

さらに進むと予感は的中。 隣家とこちらのガレージ前の間にあった山桜が、 無惨にも根元から切り倒されています。 この桜は20年ほど前でしょうか、こちらのガレージ前の植え込みに 隣家が勝手に植えた(というか実生?)ものです。 「勝手なことをするなあ」と思っていたものの、 ぐんぐん成長し 最近は大きな枝をこちらの駐車スペース一杯に広げて、 みごとな花を咲かせるようになっていました。

散った花は駐車スペース一杯に敷きつめられ、 見事なピンクの毛氈のような案配でした。 ところが今年、花を咲かせる直前に切り倒されてしまったのです。 花を咲かせることなく散った桜の木に黙祷。 本当に可哀想に思いました。

○ 長寿の秘訣

NHK BS で、世界一番紀行「世界で一番長生きが多い里~中国・広西巴馬」 というのをやっていました。 「100歳以上の超高齢者の割合で世界一と言われる 中国広西チワン族自治区・巴馬を俳優の吉本多香美がたずね、長寿の秘密を探る」 というものです。この町には100歳以上のお年寄りが80人以上もおり、 そのほとんどが 寝たきりどころか、現役で仕事をしているということです。

さて「長生き」には何が必要なのでしょうか。興味あるところです。

  1. 当地の人々の食事は野菜中心

    1. これは、うなづけることですね。100歳を過ぎて、歯が一本もなくなったお婆さんが 何を食べているのかと思ったら、麻の実などをすりつぶしたお粥のようなもの。 オートミールのようなものでした。なるほど、歯がなくなったら、オートミールか、、

  2. 高齢者でも田畑に通い、足腰が鍛えられている

    1. 何と123歳というお婆さんが、 物につかまるでもなく急峻な裏山を登って行く姿にはびっくり。 毎日のように、ナタを持って芝刈りに登るのだそうです。 123年前というと西太后の頃、 戸籍システムもなく記憶や子供達の年齢から逆算するのだそうです。 10年ほど誤差があったとしても110歳。凄いですよね。 顔はシワシワ、身体も小さくしぼんでいますが、 言葉もはっきり、喋りながら首の動かし方なども、とてもその年齢には思えません。

  1. ここでは3世代・4世代同居が普通

    1. この「家族力」が長生きにつながっているとか。 これは「大当たり」でしょうね。長寿の何よりの大きな秘訣と思います。 大勢の子供や孫に囲まれて生活することにより 常に刺激を受け、お互い助け合いながら生きて行く。

      1. これこそが生物の原点ですよね。私は若い頃から、このような大家族にあこがれてきました。 西部劇の荒野の農場で、頼りがいのある父親を中心に 大勢の頼もしい子供達が食卓につく風景をみてあこがれたものです。 そんなことで私も子供が5人いますが、今は末娘を残して全員散り散りになってしまいました。 もう日本で大家族を維持することは、かなり困難なことなんでしょうかね。

  1. 若い頃、辛い経験をした

    1. 多くの老人達が「文化大革命で、大勢に囲まれ息子を撲殺されてしまった」 「山に住んでいたので、草の根や木の皮しか食べる物がなかった」「今は良い時代になったね」 という感想を述べていました。「なぜ長生きしていると思いますか?」と尋ねられ 「若い頃、随分辛い思いをしたからね」。 辛い想い出に涙する姿も、100歳とは思えません。

  1. 他人に意地悪をしなかった

    1. 100歳を越えているのに、とても可愛い笑顔のお婆ちゃんは、 機織りをしながら「他人に意地悪をしたり、ウソをついたりしなかったから、 神様が生かしてくださっているんだよ」。 つまり、ストレスを生まない生活をしてきたということでしょうね。

  1. 今日1日のことしか考えない

    1. あるお年寄りは「やがて命が尽きることのことを考えますか?」と聞かれていました。 随分、酷なことを尋ねるなと思ったのですが、お年寄りは空を眺めながら 「そんなこと考えないよ」 「こうして毎日毎日を過ごしてゆくことだけしか考えない」。

私は長生きをしたいとは決して思いませんが、 このように良い状態で身体を使い切り、燃え尽きたいとは強く思います。

○ 柳田 洋一郎先生

日本産婦人科医会の ML で「柳田先生が亡くなられたと聞いたが、 悪い冗談ですよね」というようなメールが流れました。 「えっ、、」と思いつつ、数年前から心房細動などで 入院をされたりを伺っていたので「ついに、」と思いました。

柳田先生は医療界の IT 機器ユーザの草分け 「神様」のようなもので近寄りがたく思っていました。 ところが私がコンピュータを使い始めて間もない 1981年のこと、 「産婦人科コンピュータ研究会」を立ち上げるとのことで 突然お電話を頂き、これが先生とのお付き合いの始まりでした。

先生は、学会に対しても厳しい意見を ずばずば公言されるような、とてもユニークな方でしたが、 あれから 30 年弱、とても良くしてくださり、 尊敬するところも多かったのですが、残念なことです。 それにしても、今月初めの京都での日本産婦人科学会に出席され、 皆さんと元気に深夜までオフ・ライン・ミーティング。 最終の新幹線で帰られ、6日に ML へお礼のメール。 8日に急逝されたよし。 恐らく心停止など突発的な状況だったのだろうと想像します。 私の周りの尊敬する方々の多くが、 このように私にとって理想的な終焉を迎えられています。 徳がないと、そうは行かないのだろうなと、、

○ 今月の歩術

先月頃から、新たに会得したことがあります。 そのきっかけになる動作について2、3年前から書いてはきたのですが、 今回 明確になったことがあります。 今まで「腰で歩く」と述べてきたことの進化系です。

今回、会得したのは「股関節で歩く」、もっと正確には「骨盤で歩く」でしょうか。 ここで書いたものを正確に理解してもらえるかどうかわかりませんが 書きとどめておくことにします。 歩くのに股関節を動かすのは当たり前なのですが、 通常は骨盤はほとんど動かさず、左右の大腿骨だけが前後に動きます。

しかし今回 会得したのは、 骨盤も僅かながらヨーイング(つまり水平方向に動く)するのです。 一見大股に歩いているようには見えませんが、 骨盤から歩くことにより実際上の歩幅が増えるようで、歩行速度も上がります。 「骨盤を動かす」というと「モンロー・ウオーク」を思い浮かべるかも知れませんが、 あれとは骨盤を動かす方向などが違います。 中国武術の通背拳の基礎トレーニング「伸肩法」にちなんで、 「伸股法をやってみよう」と、以前書いたことがあります。これは私の造語でしたが、 まさに今回会得したのが「伸股法」ということです。

なぜ今回これを会得するに至ったかというと、 何とこれがベリー・ダンス。 あのアラビアのハーレムの王様の前で、 美しい女性が踊る妖艶なダンスです。 たまたま YouTube を見ていたら、日本のベリー・ダンス教室のレッスンがありました。 それを見た後、本場のベリー・ダンスを見たくなって、 探したところ素晴らしいのを発掘しました。

腰だけでなく躯体のあらゆる部分が 個別に、スピーディー、自由自在に動くのです。 腰の動きも、そのダイナミックさ、速さ、流麗さ、みごとなものです。 さらに、右胸、左胸、みぞおちも、個別に、素早く、リズミカル、自由自在に動かします。 その動きが、胸から、みぞおち、腹、腰へと大きな波のうねりのように伝わります。 横隔膜を音楽に合わせ、小刻みに素早く動かす技は見たこともありません。

これを見て思いました。「中国武術も 今まで思いもよらなかった身体の部品を動かす訓練だが、 ベリー・ダンスもまた違ったパーツの訓練」。 ということで、今まで大きく動かしたこともなかった躯体の 色々な部品を動かしてみるトレーニングをすることにしたのです。 その中から「骨盤で歩く」が出てきました。

○ 今月の iPhone

iPhone には、相変わらず色々なアプリケーションが増え続けています。 iPhone 用の辞書の紹介記事を読みました。 なるほど、国語や英語辞書を iPhone に載せておくと便利そうです。 早速 AppStore で「辞書」で検索してみました。 おお、ある、ある、、色々なものがあります。

国語辞書として「大辞林」を買いました。 2500 円と、通常の iPhone アプリの十倍ほどの価格です。 しかし定評ある内容に違いないと、信用買いです。 ダウンロードしてみると、まあ満足の行くものでした。 人名事典などもあって面白いです。 「大橋」という名字は古い歴史の中で見たことがなかったのですが、 江戸初期の将棋の名人に「大橋宗桂」という人がいたことを知りました。

英和・和英辞典として「i 英辞郎」というものを選んでみました。 こちらは 1000 円です。まあ、普通の辞書のようです。 折角の iPhone なのだから、英語の発音などが聞けるとよいのですが、 そのような機能はついていません。いずれそのようなものを見つけたら買いましょう。

これで、いつでも辞書を持ち歩くことになり、 何かの時に便利をするはず。google なども iPhone で使えるのですが、 今回の辞書は off-line で使え、レスポンスが速いのが取り柄です。 このコラムを書きながら、早速お世話になってしまいました。

○ 嫉妬するコンピュータ

診察室の電子カルテ端末は、現在 iMac を使っています。 「白いクラゲ」の次世代で「白いパネル」タイプ。 20インチのディスプレーをもつ綺麗なやつです。 まだ購入して2年半ほどですが、先月から画面に汚れのような黒い横筋が 時々よぎるようになりました。

と、思っているうち数日後、 突如、画面が固まりました。あるいは突如画面が暗転したまま凍結。 コンピュータを強制終了し、再立ち上げすれば一応大丈夫なのですが。 先日は、診療中に3、4度もこれを繰り返しました。 現在の電子カルテ NOA は Web アプリで、 サーバは自宅書斎で動いていますので、 データが吹っ飛ぶ心配はありません。その点は気楽なのですが、 こう頻繁に繰り返されたのでは、ちょっと堪りません。

Web 画面の展開や、大きな画像などの処理で固まることや、 画面に時々現れる黒い横筋などから、グラフィック関連のメモリーあたり の劣化が疑われます。まだ3年足らずでの劣化は、 30年にわたるコンピュータ歴でも少ない経験です。 本体自体は、まだ真っ白ピカピカで画面も綺麗この上ないのに、、

実は これには、思い当たるフシがあります。 電子カルテサーバにしている自宅サーバを、 安全のため多重化したい。現在これは Mac mini で、 パフォーマンス的にも不満はほとんどないのですが、 開発マシーンとしても使うことでもあり、昨年秋頃から 新しい iMac の出現を待って増設することにしていました。

もう1台 Mac mini でも良いのですが、 大きなディスプレーも欲しい、という要望を入れ比較検討の結果、 iMac がもっともコスト・フォー・パフォーマンス が高いという結論になったためです。 そして先月初め、待ちにまった iMac のバージョンアップがあり、 速攻で AppleStore に発注しました。Apple 社にしては珍しく 7週間も待たされるとの返事で、まだ到着しません。 iPhone に勢力を さかれているためでしょうか。

診察室の iMac は、 これを察知して焼き餅を焼いているに違いありません。 このような経験は過去にもありましたから、、。 コンピュータは女性系、美人も怒らせると恐ろしいですぞ。

○ そして、ようやく到着

Apple の努力で(?)7週間かからず、 発注から5週間ほどで iMac 24 inch 到着しました。 それでも今までで、一番待たされた経験かも。 「発送しました」のメールを受け取り、 知らされた Web サイトで配送状況を見ると、 上海へ荷揚げの状況、それから2、3日して到着。 なるほど、中国で作っているんですかね。

やはりデカイです。重いです。iMac 20 inch は秋葉原で購入し、 市ヶ谷の東京産婦人科医会まで電車で、 手に提げて運んだことがありますが、 24 inch はとてもそうはいきません。 しかし、人間は贅沢なものですね。今までの 20 inch ディスプレーの隣に置いて使っていても、 そう広い画面とは感じなくなってしまいます。 体感速度もそう違う感じではありませんが、 実際にはかなり処理速度は良くなっているはずです。 何せ今まで書斎で使っていたのは Mac mini ですからね。 逆に考えれば「Mac mini の性能あなどるべからず」と言えるでしょう。

さて、従来の Mac と圧倒的に違う部分があります。 それはキーボードで、 材質は AirMac などと同じシルバーの金属製。 目を奪われるのは、そのサイズ。極めてコンパクトで薄いです。 従来のデスクトップのキーボードの、 半分くらいしかないように見えます (実際には従来の2/3くらい)。 テンキーがないためなのですが、 ノートブックのキーボードより左右が小さく、 それでいて使いにくいこともありません。 私は余程大量に数値だけ打ち込むのでない限り、 テンキーなしでも気にならない人ですので。

以前から「初代 Mac のようなテンキーなしキーボードの方が、 机上を占拠しなくてよい」と考えることがあったのですが、 期せずしてこれが実現しました。 作業環境のほとんどは外付けディスク上ですので、 新しいマシーンが来ても通常の作業環境に復帰するには、 1時間かかりません。

○ たまには Apple に苦言も

普段 Apple の対応に余り不満はないのですが、 ちょっと困ったことがありました。 ようやく書斎のメインマシーンとしての iMac が届いたので、 今まで使っていた 20 inch シネマ・ディスプレーを外来に降ろし、 故障気味の外来の iMac を修理に出したいと思っています。 とりあえず本体は MacBook にして、 そこへ 20 inch ディスプレーを接続するつもりで、 接続を確かめてみました。 ところが困ったことは、ここで起りました。

6年ほど前から使っている Apple の 20 inch ディスプレーの接続端子は ADC 端子です。一方 MacBook 用に持っている接続アダプターは、 液晶プロジェクター用に VGA です。 つまり VGA から ADC に変換したいのですが、 このコネクターが今となっては市場から消え失せているようなのです。 Yahoo オークションや中古市場のものも、すでに完売でした。 AppleStore にも有りません。2種類の変換アダプターを噛ませば 何とかなるかと思ったのですが、オス・メスの違いとか色々あって、 そう簡単に行きそうもありません。 ADC という規格は現在、死に絶えているようです。

ADC に関してネット上で情報を探していたら、 私と同じ思いをしている方の blog がありました。ADC の写真とともに「これが、その問題のしょ~もないADC端子なんだよね... バカも~ん!」 というコメント。そうだ、そうだ、、

現在の Apple マシーンは何を使っているか調べてみると、 すべて今は Mini DisplayPort なんですね。 うーん、「Apple の販売したもので、 まだ寿命のありそうな周辺機器に対する変換コネクターくらい AppleStore に在庫しておくべき」というのが、 珍しく Apple への苦言でした。 さあて、どうしようかな。「ああでもない、こうでもない」と、 やりくり算段、知恵を巡らせているところです。

・・・そして なんとか・・・

前述のように MacBook の接続用アダプターの先はVGA ですが、MacBook 本体の外部端子は mini DVI です。 一方、現在 Mac mini からは DVI - ADC アダプタキットを噛ませて、 シネマ・デイスプーへ接続しています。 AppleStore に mini DVI - DVI アダプターがあるのを見つけ、 これを購入して無事 MacBook をシネマ・ディスプレーへ接続できました。

というわけで Apple への苦言は、ほぼ取り消しです。 ただし「ほぼ」と書いたのは、これで MacBook との接続はできましたが、 MacBook Air や家内の iBook などの外部端子は、 これまた夫々別なものです。 もし接続しようとすれば夫々のアダプターを購入せねばなりません。 現在 Apple 製品は全機種 mini DisplayPort に統一されていますが、 数年間はこの状況を維持して欲しいものです。

そうそう、それからついでに、、 前述の写真のように机の上には、今回のコンパクトなキーボードの他に、 もう一台のマシーンの大きなキーボードがあります。 アダプターとともに、もう一台コンパクトなキーボードを注文し、 これで机の上もかなりすっきりしました。

今回のことで引き出しの中などを探していたら、 この20年位の間にたまった 無数の種類の変換アダプターが出てきました。 「うーむ 今は懐かしい、でも、もう使うことはないだろうなあ」 というようなものがゴロゴロ。今回購入したアダプターも、 すぐ このコレクションの一つとなってしまうのでしょう。

○ さてどうする、不調 iMac

ようやく外来デスクの不調 iMac を シネマ・ディスプレーと MacBook で代替できるようになったので、 iMac の修理を頼むことにしました。

症状を伝えたところ「問題はロジック・ボードにありそう」とのこと。 やがて折り返し電話が来て、「ロジック・ボード交換になると、 修理費は6万円くらいかかる可能性がありますが、どうしますか?」。 ウヘッ、「そんなにかかりそうなら考えてみます。とりあえずキャンセルさせてください」 と即答してしまいました。そりゃあ、そうですよね、その倍出せば新しいのが買えてしまいますから。 そうかあ、今は何でも該当パーツの交換ではなく、 ボードごとごっそり交換というわけなんですね。

この不調 iMac 見かけは真っ白、新品同様でまだピッカピカ。 画面もとても奇麗に表示され、このまま捨て置くには余りにも勿体ない。 iMac を他のマシーンの外部ディスプレーとして使えると、とても嬉しいのですが、、 Web で調べてみました。私と同じような要望を持つ方もいらっしゃるようですが、 結局現状では iMac を外部ディスプレーとして利用することはできないようです。 これでは iMac を使い倒せない。

前々から iMac のコスト・フォー・パフォーマンスがとても良いことは知りながら、 ディスプレーより先に本体寿命の尽きることが多いので、 その後の処遇を考えると iMac の選択を躊躇してきました (本体の前にディスプレーが逝ってしまったのなら、いかようにも使えるのですが)。 まさにその心配が当たってしまったというわけ。さあて、どうするかなあ、、 まだ購入して3年足らず、私の長いコンピュータ歴の中でも最も短命な方でしょう。 とりあえず、突然凍り付くことを覚悟で ネットワーク端末として使うことでしょうかねえ、、

ということで Apple への要望です

  • iMac は外部ディスプレーとしても使えるよう設計すべし

ハードウエアのことはわからないのですが、 そのような仕様にするには結構コストがかかるんですかね。

○ Apple 顧客満足度で首位に

そんなことを書いていたら「Forrester Researchが実施した顧客満足度調査によると、Appleが総合満足度 80% という結果で PC業界の他の企業を大きく引き離し、独走する結果になった」という記事が出ました。2位につけたのは Gateway で満足度は 66%。 2008年10月にオンラインで米国の消費者4564人を対象にした調査だそうです。 ミシガン大学が毎年夏に実施する調査でも、 たいてい同じような結果だそうです。

「Microsoft の広告が発するメッセージの弱点として、 顧客満足度の低さが浮かび上がる。Windows PC が Mac の安価な代案、安物買いの銭失いもあり得るということだろうか」 と結んでいます。まったく、その通りに昔から思ってきました。 Mac は使えなくなっても、心が残ることが多いのですが、 Windows マシーンは用済みになれば、 何の未練もなく捨て去ることができます。 ここが「モノ作りの大きな違い」と思います。

そういうことで今回も、 不調 iMac で多いに悩んでいるところなのです。

○ 失礼しました(ああ、びっくりした、、)

あるところから「Web site を大急ぎで立てて欲しい」と頼まれました。 独立したドメイン上で公開する必要があります。 私はいままでずっと 固定 IP 上の自サイトでしか Web を立てたことがないので、ハタと頭を巡らすことになりました。

まず手っ取り早いのは iWeb で作ったサイトを Apple の mobileMe で公開することかな と考えました。mobileMe は別名の URL を使うこともできます。 前々から iWeb も使ってみたいとは 思っていたのもの、ちょっといじったところでは、 どうもイマイチ感じがつかめませんでした。 ところが人間、切羽詰まると、出来なかったこともできるものです。

とりあえず、やっつけ仕事でテストページを作成しました。 以前の iWeb では .Mac(現在の mobileMe)上にしか公開できなかったのですが、 最新の iWeb は その他の所にも公開できます。そこで、 iWeb の使い方を急遽習得し、 まずテストとして自分のサイトで公開してみることにしました。 これがうまく行けば「独自ドメインを取得し、どこかの賃貸サイトにオープンすればよい」 と考えたわけです。

昨日はそんなことを行ったり、 独自ドメインや安価な臨時サイトの取得などやってみて 「ははーん、今はこんな感じでできるんだ、、」と、 初めての経験を楽しませてもらいました。

さて、そして今朝のこと、 作業の続きをするに当たって、 自分のサイトを参考にする必要があり、 Ocean Web Space を開けてみると、 「ありゃ?」何度やってもテストで作ったサイトが表示されてしまいます。 大慌てで原因探求。なるほど、 iWeb が Ocean Web Space のトップページを 上書きしてしまったためでした。 すると、Ocean Web Space は昨日朝から1日間 、 適当なコンテンツを埋め込んで作成したテスト・ページを 堂々と公開していたのでした。ああ、恥かいた。驚いた。

○ 今月の脳トレ

そんなことで、お金をかけず独力で Web を立てるつもりでいたのですが、 最初にとりあえず相談した Web コンテンツ開発業者さんが、 「最初の相談を発注と理解して、もう作業に入ってしまった。 40万円の見積もりがきている」との連絡が入りました。 「えっ? 数週間だけ立てる臨時サイトにそんなお金払うの?」と、 発注者に尋ねると「何とかなるだろう」とのこと。

とりあえず枠組みだけ作ってもらい、 コンテンツは私がボランティアすることにし、7万ほど値切らせてもらいました。 業者さんのサーバを間借りして Web を立てるのですが、 MT: Movable Type という Web アプリを使うことにより、 Web ブラウザの中でリモートからページ製作ができるとのこと。 やってみると、いわゆる blog を作るアプリ。 体裁はなかなか格好良いものが作れそうですが、 何せ初めての開発環境なので、システムを呑み込むまでは大変でした。

用意されたヘッダーやフッターなどのテンプレートを モディファイすることにより、 ページをレイアウトするのだろうと理解してやってみたのですが、 ヘッダーの修正が反映するページと、どうしても反映されないページがあります。 画像イメージをアップロードする機能も、どう探してもみつかりません。

業者さんとメールでやりとりして、次第に呑み込めてきました。 私は blog システムを使うより、 直接 HTML を書いてしまった方が手っ取り早いと考えていたのですが、 「ヘッダーやスタイルシートを下手にいじると、 手に負えなくなることがあり、当社は責任を負えません」 「それより blog システムを使って、コンテンツ作成をした方がずっと楽ですよ」 「ヘッダー、フッターなどの改変はお申し付けください。当社で行います」とのこと。

無理に我を通さず、素直にあちらさんに従うことにしました。 そのようにして格闘すること1日。2、3回メールのやり取りをするうち、 次第にコツを掴んできました。なるほど、自分のオリジナリティーにこだわらなければ、 blog システムを使ってのページ作りも、なかなか能率的なことがわかってきました。 手をつけて3日足らず、目的の Web サイトをほぼ完成することができ、 ホッとして、このコラムを書いている次第です。

67歳になっても、初めての世界での独学による開発も結構楽しく ヤッツケることができました。満足、満足。 私の知らなかった CSS の使い方を学んだのも一つの収穫でした。 この経験は、今後の電子カルテ NOA の開発にも生かされるはずです。

○ IE ったら、本当にお馬鹿さんなんだから

そんなことで、3日ほどで緊急の Web site を立ち上げることができ ヤレヤレと思っていたら、電話がかかってきました 「掲載された写真や図が、縦長に歪んでいるんですけど、、」。 「えっ、そんなバカな。こちらではちゃんと奇麗に見えているのに、、」 「そうか、もしかして、そちら InternetExplorer ?」。

滅多に使うことの無い VMWare を立ち上げ Mac の中で Windows を動かし IE で見てみました。 なーるほど、縦長に歪んでいます。原因はすぐにわかりました。 HTML でイメージを埋め込む際、幅と高さを指定することろを、 幅か高さ片方だけの指定だけでも、 ちゃんとお利口に縦横比を調整して表示してくれることを知り、 最近はそのような手抜き HTML の書き方をしているのですが、 これは Safari を初めとする Mac 搭載ブラウザーが やってくれていることなのでした。

それから Web site に埋め込まれた すべての写真や図のイメージデータを手直しです。 電卓でオリジナル・イメージの縦横比から、 縮尺の縦横比を計算して HTML をひとつひとつ修正するのに、 火を噴きました。どうやら IE でも 問題なく表示されていることを確かめてヤレヤレ。

それにしても Windows の世界って、 どうして いまだにフォントもこんなに汚いんでしょうねえ。 これが理解できません。MS ならできるだろうに。 そもそも画面全体の画質が Mac の世界とは比較にならないほど粗いですが、 これは単にハード的にチープだからとは思えません。 ちなみに、この「わーくすてーしょんのあるくらし」も、 手抜きの HTML 記述しているので、 Windows では歪んだ汚いページのはず。 そのような方は、ぜひWindows 版 Safari を使ってみるか、いっそ、 美しい Mac の世界へシフトしてください。 ということで、 このメッセージを毎回コラムの頭に入れることにしました。

○ ロボット

NHK の「クローズアップ現代」で、 世界の軍需産業から注目される 「日本のロボット技術」の特集をやっていました。 ロボットは小学校に入る前から好きだった人なので、 興味深く見ました。最近のロボットは、どんどんお利口になっています。

そこで「自分の作る電子カルテ NOA を、 さらにお利口にしていきたい」と思ったものでした。 当初から「機械的に判断できるものは、極力 機械的に判断・処理させ、 人間の労力を少なく」と考えてアプリケーションを作ってきました。 これが快適な操作性につながっているのですが、 今更ながらに これを再自覚したというところです。

そんな目で再度 NOA を見直して行こう と思ったのでした。IE と Safari の違いのように、、

で、NOA のブラッシュアップ作業を進めながら 考えていたのですが、まずお利口にすべき点が思い当たりました。 こちらの脳みそが経年変化を起こしてきて、 とにかく揮発性メモリーなのです。何か他のことに気を取られていると、 抜けてしまうことが多くなりました。 そのような私のよくやるポカを補完することが、 まずやるべきということと思い当たりました。 少しずつ、それらをつぶしてゆくことにしましょう。

このような機能の実現では、気をつけねばならない点があります。 何につけても 口うるさく警告がでたのでは堪りません(某 Windows のように)。 かと言って寡黙すぎてもボケろうじんには役に立ちません。 「さりげなく補完してくれる」、 そこの勘案がなかなか難しくも面白いところです。

○ NOA の基本部分をまたまた大改装

「NOA をお利口にする」作戦とまでは言えないのですが、 Web サイト制作一段落のあと、NOA の一部の大改装に取り組みました。 NOA は WINE と呼ばれていた頃から、 ユーザごとに自由なレイアウトを作れるツールを備えていました。 当然 Web 版になっても、そのような機能は持っていたのですが、 たび重なる大改装の中でちょっと「レイアウト作成ツール」がおざなりになり、 一部ソースの中で「決め打ち」になっているところがありました。

少し余裕ができたので、 本格的なレイアウト・ツールを新規に作成しようということです。 もちろん、このツールも Web アプリとして作りますので、 ブラウザの中で自由にレイアウトをいじれるものでなければなりません。 過去に蓄積されたノウハウがモノを言うとは言え、 サラから書き直す部分も多いところです。

NOA の構成は CELL と呼ぶ「細胞」のようなユニットを作り、 これがレゴブロックのように組み合わさって、 自由なレイアウトや機能を実装できるようになっています。 WINE の頃はこれを WINE CELL と呼んでおり、その後は NOA CELL と呼んでいました。現在は単に CELL と呼んでいます。

アプリとしては、再帰的な操作をする部分が多く、 これがキモの一つなのですが、ハマると debug に結構 頭がこんがらがります。 しかし、このようなグラフィカルな部分を扱うのが 私はとても好きな人なので、大変楽しく数日間を過ごすことができました。 ようやく、ほぼ満足のゆく基本部分に仕上がってきたところです。 同じようなアプリを何度もサラから書き直すと、 次第に洗練された奇麗なソースになってくるところも嬉しいです。

○ Sun が Oracle に買収される

Sun が Oracle に M & A され、買収されたというニュースです。 私の UNIX 生活というか「わーくすてーしょんのあるくらし」は、 東芝の UX-300 にはじまり Sun-3 を一気に2台購入したことにより 花開いたということや、バークレー版 UNIX を作った 天才ビル・ジョイが Sun に居たことなどもあって、 (Sun とは現在離れてしまっていますが) 大変思い入れのあるマシーンです。

これを書いていて、 ちょっとバークレー版 UNIX に関する記述を調べようと思ったら、 その歴史に関するこんな 興味深いページ をみつけてしまいました。

Apple 社の進化が身体に一番合っているため、 現在の Sun に魅力を感ずることはなくなっているのですが、 唯一ちょっと不安なことがあります。それは現在の電子カルテ NOA の DB である MySQL が Sun に吸収されていることです。 今度は Oracle の傘下になるとすると、 当然 MySQL は Oracle と真っ向から競合することになります。 さあて、MySQL はどうなるんでしょうか。

まあ NOA は、万一 DB が変わることになっても、 それなりに対応しやすいよう作ってあるつもりなんですが、 とても使い易い MySQL から離れたくはありません (こんなこともあったなあということで、 このコラムに書き留めておきましょう)。

シリコン・バレー在住の江島健太郎さんの blog によると、 Sun と Oracle はもともと蜜月の仲であり、 今回の合併で Sun は独自性を失ったが、他は変わらないということです。 そう言えば 13 年ほど前、Oracle のバンドルで Sun の SPARCserver が大分安くなるということで購入し、 これが電子カルテ WINE の DB サーバを務めていたことがありました。 あの頃から両社は親密だったんですね。

もうひとつ、そう言えば NeXT の Apple への身売りの直前、 Sun への身売り話も出ていました。 NeXT は Apple に帰れて本当に良かったと思っています。 もし Sun に身売りしていたら、MySQL と似た立場だったわけです。

○ どちらが安全?

北朝鮮が国際世論を押し切って、 長距離ミサイル「テボドン」を打ち上げました。 数年前の打ち上げには、日本にとって非常な脅威であるにもかかわらず、 一昔前「原爆反対」「原子力空母の寄港反対」などと唱えていた団体が、 何も目立った行動をとらなかったことに 「やはり、、」と思ったものでした。 つまり、彼らは本当に日本の脅威を訴えていたのではなく、 単に政治的イデオロギーによる行動だったことが、 これで明白になったと考えています。

さて、 今回はその脅威に対して麻生内閣は強い遺憾の意を示すとともに、 自衛隊に積極的対応策を命じ、 北朝鮮が人工衛星打ち上げと主張する「飛翔体」の打ち上げを 手ぐすね引いて待ち構えました。 やがて「北朝鮮、飛翔体発射」のニュース、その5分後に 「誤報」のニュース。これにマスコミをはじめとして 世論は非難を浴びせました。

しかし、そうでしょうか。このような国家の安全にかかわる 緊急時、もっとも避けねばならないのは「誤報」ではなく、 「発射の見落とし」です。過敏に反応することは、 そう非難されることではないでしょう。 しかも、わずか5分で訂正しているのです。

自分自身は出来もしないのに、他人には「完全」を求める。 そして何かあれば、すぐ「あげ足とり」や「犯人探し」。 このようなマスコミの姿勢と、それに疑問を抱かない社会が、 どんどん日本を危険にしているのではないでしょうか。

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これは日々の生活で感じたことを書きとどめる私の備忘録です