2005.03 やっぱり Mac mini ついでに iPod shuffle

わーくすてーしょんのあるくらし (90)

2005-3 大橋克洋

インターネットが一部の研究者たちで実験的に行われた頃(JUNET や WIDE)からかかわった人間としての感想ですが、、、

インターネットというインフラの、従来無かった最大の特徴は 「清濁合わせて流す」ということです。 これが、ベルリンの壁に象徴される「東西の壁が突き崩される」 という予想もしなかった変化の引き金になったわけですね (上流で情報を制御せず、受け手が選択できる)。 これまでのように「与えられた情報を受け身で利用する」のでは なく、インターネットのフリーな情報は「受ける側の判断と責任で 利用する」「情報を受けると同時に可能な範囲で自分からも発信」 というスタンスであるべきと考えてきました。

しかし、何でも一般社会に普及してしまうと、 それを構築した人達のコンセプトも大きな波の中に押し流されてしまうのだなあ、 と強く感じます。インターネット曙の頃は、「性善説」で皆が協力しながら 気持ち良くインターネットという世界を築いてきたのですが、 それが一般化するとともに、あっという間に「性悪説」 になってしまいました。医療の世界もまさにそうですね。

もうひとつ、特に日本の社会では「自分の責任で判断し取捨選択 するより、タナボタ式に与えてもらう方が楽でむしろ安心」「悪い 情報があれば流した方が悪い」 的な考えをする人が主流なのだなあと(というか、 自分の頭で考えようとせず、 それでいて不満だけは言う安易な態度の人が多いのでしょう)。

来月から個人情報保護法も発効しますが、何か「人間の本質がわ かっていない」ような気がします。これからのシステムの運用には 「システム本体にかかるコスト」と同じか、 それ以上のコストを「セキュリティー」に掛けねばなりません。

東京でもついこの間まで、 玄関に鍵をかけずに買い物に行っても心配なかったのに、 現在ではセキュリティーのため、 どれだけ経費と手間がかかり人間関係がギスギスになっていくことか、 「人間関係を良くする」ことの方が、 どれだけ高いセキュリティーを保てるか 本当にわかっている人は少ないのではないでしょうか。 これもまた、医療にも言えることですね。

以上は、最近全国各地で開始された「行政からの医療機関 Web site への規制」の話に関し、ある ML へ書いた私の意見です。

○ やっぱり Mac mini

JPEG イメージを使わせてもらいました。 Apple のエバンジェリスト

しているということで大目にみてください Apple さん :-)

このコラムのカットに Apple の Web site にある Mac mini や iPod shuffle の

1月に「Mac mini と iPod shuffle に食指が動きそうだが、 ぐっとこらえている」と書いたばかりですが、 我慢は2ヶ月ももちませんでした。 ついに両方とも買ってしまったのです。そもそもは Mac mini です。

そこでも書いたように、自室で使うマシーンを インターネット・サーバとして供出してしまったので、 その代替機として初代の PowerBook G3 (シルバーになる前の黒いでかいやつ)を使っていました。 これは購入した発売当初50万もした 今となってはとんでもなく高いノートブックでした。 電子カルテを載せて持ち歩いたり、出先で開発するにはどうしても必要で リースで手に入れたものです (5年半を経てリースは一応終了したのですが、 まだ捨てるには忍びなく再リースしています)。

しかし CPU が G3 ではどうしても動かないアプリがあり、 これが Mac mini を購入する言いわけになったという次第です。 何せ価格が安いですからね。それでも 多少の後ろめたさもあり、Mac mini は一番安い58,590円のものにしました。 いつもは必ず行うメモリー拡張もなしです。 「これでどれだけ使えるか」のテストという意味もあります。

結論から言うと「やー、これは十分使えるマシーンだ」という感想です。 2002年12月に「 歴代マシーンの価値を比較する」 というのを書きました。 ここで一番コスト・フォー・パフォーマンス が良かったのは、初代 iMac でした。 理由を追求してみると、単に購入価格が安かったからでした。 この経験からすると Mac mini はこれを数段上回る コスト・フォー・パフォーマンスのはずです。 コンピュータとしての実力から言っても、 初代 iMac をはるかに凌駕しているのも確実です。

現在は20インチの Cinema Display につないで使っていますので 益々ですが、誰が使ってみても 本体がドカ弁サイズ( CDケース6枚重ねて、それを一回り大きくした程度) とは思いもしないでしょう。 真っ白で四角くツルツルの美しい本体は机の下にひっそりと隠れています。 同じく真っ白で本体の1/3もの大きさの 外付けの電源アダプターはちょっとご愛嬌でしょうか(アバタもエクボ?)。

使ってみて「こいつはもしかして Mac mini ?」と気取られるとすれば、 メモリーが標準の 256MB (これでもちょっと前まではとても豪華な仕様)のままですので、 メモリー大食いの KeyNote の編集などしていると やや重いのでわかるかな、という感じですね。 うーむ、しかしメモリーはメモリーの話であって、 マシーンのパフォーマンスとは違う話か。 となると、通常の使い方ならメモリーを拡張しておけば、 PowerMac でなく5万円代の Mac mini で十分と言えるでしょう。 Mac mini の筐体を素人が開けるのはちょっとリスクもありそうです。 購入前にメモリー拡張と必要なら HD 拡張を合わせてオーダーするのが無難でしょう。

これは売れるでしょうねえ、、、 私も Mac mini を AppleStore へオーダーしてから 3週間ほど待たされました。 「貴方もとりあえず一台 Mac mini」お奨めの逸品です。

○ ついでに iPod shuffle

Mac mini 購入となれば 「エエーイついでに iPod shuffle だ」ということになります。 こちらはもっと価格が安いですしね。「ついで買い」しやすいアイテムです。

自分としては PDA の SONY CLIE に入れた程度の曲数でも あまり不自由は感じなかったのですが、 新幹線で東京・大阪間で聴いているとぎりぎりの曲数と バッテリー時間というのがあったのが、 私としての iPod shuffle を買う言い訳でしょうか。

兎に角こいつは板ガム程度の大きさなのに、 私が聴くには十分すぎる240曲もの音楽を記憶し、 私が聴くには十分な音質で, カタログ値で12時間程と私には十分すぎるほどバッテリーがもちます。

依頼されて長野県の小諸北佐久医師会へ講演に行く機会があり、 早速新幹線で使ってみました。とにかくチッポケなのに、 これだけの性能を詰め込んでいるとは凄いです。 このようなものを大衆向けに製品化するようになるとは、 つい2、3年前でも考えられなかった技術革新です。

その後も、地下鉄の中などで利用していますが、 とにかくちっちゃいので快適です。ただ、 iPod を取り出して装着する時 イヤホーンがこんがらがるのは何とかならないものですかね。 上着の内側にマジックテープで固定しておいて、 襟のあたりから出すようにする位しかないのかな。 いずれ、こんなコンパクトなイヤホーンでも コードレスが出現するはずです。何年後なんでしょうね。

○ 感慨深いものがある記憶容量の今昔

私が買った iPod shuffle は 1GB のメモリーを積んだやつです。 このコラムの 1987年2月頃を見て頂くとわかりますが、 1GB というのは当時からすれば とてつもなく大きな容量です。

当時最新のワークステーション SUN-3/50M の HD は 目一杯拡張しても 140 MB しか載せられず、 何度それを嘆いたことか。 私が初めて買った HD は、 初代 Mac のための外付け HD で 40MB でしたが、 40万円ほどしたと思います。 それから数年して当時としては巨大な 500MB の HD を 増設した時は 50万円ほどでしたね (今から考えると巨大だったのは容量でなく、 HD やそれを収容する筐体だけでしたが)。

最初の頃、なかなかメモリーや HD の価格は安くなりませんでしたが、 一旦下がり出すと数が出るという相乗効果もあってでしょうが、 どんどん価格は下降してきました。 この 1GB の iPod shuffle は記憶媒体だけで考えても当時の価格にすれば、 1千万円はくだらないということになります。 1千万のものが1万か2万で、 しかも大衆向け製品として誰でも買えるなんて、 当時想像したとしてもかなり現実感のないイメージだったでしょうね。

○ ええーっ SONY の CLIE がディスコンに !!

そろそろ周期的には CLIE の新しい機種が発表されてよいはず、 と今年になってから心待ちにしていました。 ところが、 SONY から昨年終わり頃でしたか PDA「CLIE の新機種投入を終了する」 アナウンスがあったことを最近知りました。 私が使っていて とても気に入っている CLIE TH55 は、 現在でもかなり高い人気を誇っているというのに、、、

Web site を見に行くと 「CLIEというプラットフォームは これで終了となるが、“エンタテインメント性のある携帯情報端末”というコンセプトは継続していく」というようなことが書いてありました。 それなら「CLIE の機能を実現した携帯電話を絶対出して欲しい」 というのが私からの強い、切なる要望です(何度もしつこくて済みません)。

PDA 機能つきの携帯電話は多少大きくても構いません。 現在の CLIE の厚さ以内で、重さもCLIE 以内で、 CLIE 程度の液晶画面が欲しいです。 Web を閲覧したり、メモを書いたりするには、あの大きさがとても快適ですから。 厚さを薄くするのは、少なくとも私にとって重要です。 「ワイシャツの胸ポケットに定期入れと一緒に入る程度」という条件をつけておきましょう。 現在の SONY の携帯電話の、あの重さと厚さはちょっと持つ気になりません(重さの方は実際には CLIE より軽いと思いますが、あの厚さが重く感じさせるのでしょう)。

Apple 社が携帯電話を出すのではないかという、確実性のない噂も昨年ありました。 それを想定して描いたデザインを Web で見ました(もちろん Apple 社のものではありません)。 なかなか良さそげなデザインで、「こんなものが出たら良いな。 しかしすぐ日本でも使えると考えるのは甘いんだろうな」 などと勝手な想像を膨らませたりしました。

○ あなたの乗っているクルマで性格がわかります

何千人もの英国人ドライバーをインタビューし、 車種とドライバーの私生活分析と性格判断をした消費者生活調査結果が、 マーケテイング会社ウイジェネーから発表されたそうです。

高級車とされるベンツ、ジャガー、BMW を乗り回す人は野心家でスポーツ好きの「上昇志向」タイプ。プジョー、ワーゲン、サーブのオーナーは まずまず人生に満足するも他人と同じではイヤな「思いやり」タイプ。 日本車を好むドライバーは合理的で信頼もおけ、 読書や釣りが趣味、手堅い投資で将来にしっかり備える「人生満足派」だそうです。

私も20代の頃は、ロングノーズの 初代スカイラインGT(ウエーバーのトリプルキャブを積んだレース仕様) やブルーバードSSSなどの「かっ飛び派」、30代中頃からは BMW に乗っていました。 ラリーやダートを乗り回すことに憧れ、 車の下にもぐってサスペンションをいじったりする方だったのですが、 ふと気がつくと50代中頃から いつの間にか車を運転することがなくなっていました。

ガレージが中原街道の交差点に近いため、いつも車がつながっています。 それらをかき分けての出し入れが面倒なこと、 スポーティーに楽しく車をドライブする場所が近くになくなったこと、 健康のため極力自分の足で歩くようになったためです。 現在、車は家内や娘が運転していますが、 私は滅多にその車に乗ることもありません。

ところで、現在選ぶとすればどんなクルマでしょうか。 プジョーやワーゲンのようなものが良いかも知れませんね。 今も上昇志向がないわけではありませんが 「人生に満足するタイプ」に変化してきたようです。 「他人と同じではイヤ」は若い頃から変わっていません。

しかしコンピュータに関しては、 まだまだ「野心家でスポーツ好きの上昇志向タイプ」ですね。 一番欲しいものは、やはり 最速で潤沢な CPU を積んだ「かっ飛びマシーン」です。 大学時代やっていた馬術には、 フィギアスケートや体操で言えば「規定」に相当する「馬場馬術競技」と 「障碍飛越競技」があります。 私は絶対的に「障碍飛越」が好きでした。 「障碍をブッコワしても通過する」という性格はきっと死ぬまで変わらないのでしょう。

○ ビル解体(その後)

昨年暮れからリポートしている近所のビル解体がついに終了し、 写真のような更地になりました。 4ヶ月ほどで完全に解体されたことになります。 さて、この跡に何が建つんでしょうねえ。

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