2019.02人生は退屈すれば長く充実すれば短い

わーくすてーしょんのあるくらし (312)

2019-2 大橋 克洋

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◯ 人生は退屈すれば長く充実すれば短い

自分で定年を決め大橋医院を閉院してから2年目に入ります。よく「大橋先生は毎日をどう過ごしているのですか」と聴かれます。

いつも書くように毎日の早朝散歩は欠かさず1日平均7キロほど。帰宅すると午前中は前日録画しておいたTV番組を書斎で視聴するのに費やすことが多いですね。撮りためたままにしておくと、内蔵HDがあっという間に溢れてしまいますから。今年は晴れの日が続くので、昼食後は日当たりの良いソファで1時間弱ウトウトすることも多い。いかにもジジイですね。午後は再び書斎でコンピュータに向かっていることがほとんどですが、コンピュータの隣のTV画面に見入っていることも。そして時々書斎の中央に空けた2畳ほどのスペースで中国武術:八卦掌の練習(中国武術は「牛の寝そべる空間さえあれば練功できる」と言われるのが良いですね。もっとも中国武術には北派と南派があり、詠春拳など南派では広い場所を飛び回らねばなりませんが、八卦掌・太極拳・心意拳などの北派内家拳では広い面積がなくても練習できます)。

最近面白いなと思って見ているのは TikTok。ポップなリズムにのって踊る若い子たちのダンス、なかなかリズミカルで面白いので、運動のためにやってみようと思うのですが、歩き以外運動をせず鈍った身体はすぐに動きません。比較的単純でリズミカルなダンスなので、健康のためちょっと練習してみようか。最近若者の間で流行っていると言われる Instagram は何度みても、私にはピンときませんが TikTok は面白い。

と、まあ、こんな単調な生活ですが、退屈ということはまったく感じたことがありません。もっとも私はもともと退屈ということは感じない質です。患者さんの来ない当直室に缶詰になっていても、ノートでソフトウエアのプログラム構想を練ったりすれば退屈しません。ノートブック・コンピュータではありません、正真正銘の紙ノート。もっともプログラミングはノートなどなくても、頭の中で構想を練ることができます。私の父も南支那で終戦を迎え香港で数ヶ月捕虜生活を送りました。帰国したい思いがつのってノイローゼになり洗面器一杯の水に顔を突っ込んで自殺した捕虜仲間もいたそうですが、父は何もない捕虜生活中でも、地面に描いた幾何学の問題を解いたりして退屈することはなかったそうです。私もこんなところを父から受け継いでいるのだと思います。

そんなことで仕事を辞めてからの期間は、長く感ずることなく短く感じられます。

◯ 人生には試練の時も必ずある

長い人生が終始平穏に過ぎることはあり得ず、必ず試練の山や谷を越えていかねばならないものです。逆に、もし人生がすべて平坦に過ぎてしまったなら、その人にとって人生はまったく退屈なものでしょうし、その人は人間としての深みや幅を持たないままに終わってしまうに違いありません。幸福という感覚も知らずに終わってしまうはず。

昨年8月の水泳、アジア競技会ジャカルタ大会で、50m、100m自由形、50m、100mバタフライ、400mフリーリレー、400mメドレーリレーの6種目で優勝。6冠を取り大会MVP も受賞した池江璃花子選手が、今月オーストラリアの合宿中に体調不良で緊急帰国し検査の結果「白血病」と診断され即入院とのニュースが日本のみならず世界中を駆け巡りました。

この大会での池江選手の破竹の進撃を見た感動は、このコラムにも書いたところです。白血病と聴くと、夏目雅子や本田美奈子など惜しまれつつ白血病で亡くなった芸能人の方々がありますし、私の身近でも同じ医師会のA先生や小学校の同級生のFさん、お二人ともお元気だったのに前年の暮れ近くに発症し春を待たずに亡くなるという急性の経過をとりました。しかし病状は色々ですので、辛い闘病生活を乗り越え数年後に無事復活しているアスリートも何人かおられるようで、池江選手がそのような時期を乗り越え復活されることを心より祈っています。彼女には与えられた試練に即応する切り替えの良さと強靭な精神力があると思われるので、逆境の中でも溺れることなく粛々と乗り切ってくれることでしょう。

同じ病気を経験したアスリートの中には半年ほどでとりあえず競技生活に復帰できた方もおられるようですが、日本中が期待していた来年の東京五輪はまず難しいでしょう。しかし、その次の五輪でもまだ23歳ですから十分金を狙えるチャンスはあるはず。

私として最も心配するのは、このニュースによるフィーバーが彼女の闘病生活を妨げること。この件に関するちょっとした発言が叩かれることも。五輪相の「がっかりした」発言がマスコミで叩かれています、どんな文脈での発言かわかりませんが、ある意味これは日本の誰もが東京五輪に関して内心感じたことではないでしょうか。昨今はそのような心で感じたことの一部をうっかり発言するとバッシングに合う、当事者のことや周囲のことなど全体を考えながら慎重に言葉を選んで発言しなければいけない時代。発言に当たって、そのような配慮が必要なことはよくわかるのですが、言葉尻を捉え鬼の首を獲ったかのようにバッシングするというのも「配慮のない」話だなあと思うものです。

それにしても、このニュースで流される池江選手の姿どれを見ても「本当に美人だなあ」と思ってしまいます。とても18歳の高校生とは思えない。昨今は折角の若さという最大の武器をもちながら、その顔をメークで上塗りしてしまう風潮がありますが、メークをしないアスリート達に惚れ惚れと見とれてしまう美男美女の多いこと。若いのにメークするなんて本当に勿体ないなあと、、スッピンの美しさこそが本当の美しさなのにね。

◯ 今月の歩術

今月も月間200kmをめざし1日8kmほど歩いています。まだ夜の明けやらぬ早朝に歩き始め空が途中から次第に明るくなって、やがて朝日がさしてくる中を歩くのはとても気持ちのよいもの。

今月は1年でもっとも寒い月とあって、先月も書いたようにダウンジャケットにニット帽姿、以前はどんなに寒くても帽子をかぶろうとは思わなかったのですが、ニット帽で耳まで覆うと温かい。まだそう毛が少なくなったようには見えないのですが、毛髪が細くなってきて防寒性が落ちてきたのでしょう。歩き始めるとすぐ冷気にさらされて涙や鼻水がでてくるのは困りもの。ポケットティッシュは必需品です。

昨年の春頃でしたか脚力がかなり落ち5km歩くのにちょっと難儀を感じたものでしたが、その後の精進の成果が出て最近は6km以上歩かないと物足りなくなっています。 iTunes でウオーキング用アルバムを作り、胸ポケットに差した iPhone で音楽を流しながら歩いています。順番に流れる楽曲の曲名により、現在何kmくらい歩いたかがわかるようになったので、これもキロ数を延ばす要因になっているようです。

脚力が落ち坂道を登るのが苦手になっていたのですが、これも努力することにより以前ほどは辛くなくなってきました。何事も努力が肝心。昨年の今頃は登山のため購入したトレッキング・シューズで長距離歩くとかなり足に負担を感じたものでしたが、現在はすっかり慣れて10km以上これで歩いてもまったく問題なくなりました。かくしてこのトレッキング・シューズはウオーキング用となっています。

2月も20日を過ぎると少し寒さが和らいできました。気温5度を越えると大分楽になってきます。ちょっと歩くとニット帽も不要になってくる。

◯ ムサコ

先日のタモリの「ぶらタモリ」は武蔵小杉でした。この放映の中でタモリが武蔵小杉のことを「ムサコ」と呼んだことがネットで話題になっていたようです。ムサコというと、他にも武蔵小山、武蔵小金井があり、そもそも武蔵小杉の地元の人たちは武蔵小杉のことをムサコでなくコスギと呼んでいたそうです。武蔵小杉がムサコと呼ばれるようになったのは、武蔵小杉にタワーマンションが沢山できるようになってからなので、ムサコというのは武蔵小杉に移り住んできた人達によるものだろうという話。

一方、私の住んでいる武蔵小山もある時期からムサコと呼ばれるようになりました。初めて聴いたとき「何か嫌な呼び方だな」と感じた覚えがあります。それは13階の私の自宅から遠望できる武蔵小杉にタワーマンションが林立する前だったと思うので、武蔵小金井のことはわかりませんが、少なくともムサコは武蔵小杉より武蔵小山の方が早かったはずと思います。いずれにせよ、私自身ムサコという呼称は好きでないので、どうでも良いことなんですけどね、、

◯ 確定申告

大橋医院の確定申告は今まで会計事務所に頼んでいました。一昨年6月に診療所を閉院しても医院売却などの処理があり昨年も会計事務所に依頼しましたが、今年からは収入も年金と僅かな雑収入程度、自分で申告処理を行うことにしました。

丁度昨年暮れに末娘がトリミング・ショップを開業し、自分で青色申告するとのことで freee という確定申告アプリがあることを知りました。これは iOS で動きます。早速 AppleStore からダウンロード。iOS なので iPhone でも使えないことはありませんが、やはり画面の大きい iPad の方が使いやすい。

診療所の青色申告の場合は、無数の経費や減価償却その他、扱うデータも多岐にわたりますし専門知識が必要ですが、今度は個人的なものだけなので入力はかなり楽です。配偶者の医療費レシートなどの数が多くちょっと大変でしたが、表計算アプリで医療機関ごとの集計を出し freee へ入力。すべてのデータを入力すると税額を計算してくれ、税務申告に必要な帳票類をすべて PDF で出力してくれるので、これを印刷。年金などの源泉徴収票・生命保険などの控除証明書・その他をプリントされた台紙に貼って提出書類完成。

確定申告はかなり混むようなので、受付開始の18日朝に税務署へ。初日というのに既に結構混んでいて、列に並んでいると並ぶ列が違っているということで何度か並び直し、挙句の果て3Fに行って内容をチェックしてもらうようにとのこと。一部入力内容の修正が必要なこともあり、一旦帰宅して書類を作り直し2日後の朝イチで税務署へ。

午前8時半の受付開始と同時に税務署へ。会場には5、6人ほどしか居ません。すんなり確定申告が受理され所得税を窓口で支払い。ついでに来年のため e-Tax の登録も済ませることができました。e-Tax の登録は会場にあるパソコンから自分で入力、Windows のクソ使いにくいノートブックでしたが、係員の助言を受けながら無事登録終了。数日待って e-Tax 有効の通知がくるのかと思っていたのですが、税務署で直接登録した場合はすぐ有効になるのだそうです。いずれにせよ、これを使うのは来年からになりますが。

税務署の Web サイトにアクセスすると freee と同様の入力処理ができ、e-Tax で確定申告の提出ができるようです。スマートフォンでもできるとか。その Web サイトをちょっと覗いてみましたが、入力処理は freee の方がしやすそうでした。でも今度ちょっと試してみよう。

ということで、初めての確定申告、申告書作成アプリを使って無事処理できました。アプリをダウンロードして少しずつデータ入力、1週間ほどで申告書類が完成。来年からは2、3日で済むでしょう。初めてのことなのでデータの入力に間違いがないかどうか確信を持てません。さて、税務署でチェックした結果、修正が来るのかどうかがちょっと心配、、

税務署はさかんに e-Tax を勧めているのに、いざ使おうとすると「Windows しか使えません」と言われてしまう、バカヤローと言いたい。税務署から e-Tax を勧める文書にコメントを返す欄があったので「e-Tax を使おうと思うのに某一企業の OS でしか使えないとは、日本政府は何を考えているのか」という意見を返したことがあります。あれから3、4年は経っているでしょうか。今回使ってみて iOS や MacOS、Safari などに対応しているのを知りました。私以外にも同じような意見が沢山あったんでしょうね、、

◯ 今後2年くらいのうち必ず起こる大変化

ついこの間も電子マネーについて書きました。私が使っているのは iPhone に載せた「モバイルsuica」。この他にもスマートフォンの画面にQRコードを表示する形式のものなどがあります。電子マネーが急速に普及した中国や韓国に対し、IT先進国であるはずの日本では意外と普及は進んでいません。

中国ではもはや現金を持たない人の方が多く、ほとんどの決済が電子マネーという話をネットで読みました。ちょっと考えると日本ほどモラルが高くない国で電子マネーというのは心配な気もしますが、実はその逆で現金より電子マネーの方が犯罪にからむ可能性が低いというのが中国での電子マネー普及の理由のひとつなのだそうです。

来年の東京オリンピック開催などを睨み、日本政府も昨年末あたりから電子マネーの普及を強くプッシュしているようですが、日本ではまだ現金の方が安心と思う人が多いようで、電子マネーの普及はまだ2割ほどだそうです。

しかし個人的には電子マネーの便利さを強く感じており、店舗などにもっとどんどん普及してくれることを切望しています。QRコード・タイプの PayPay などが大々的に普及を進めているようです。私の近くの武蔵小山商店街でも商店街あげて PayPay を取り入れつつあるようですが、ただスマートフォンをかざすだけで即決できる suica のようなタイプの方が私は好きです。残高不足があれば、その場でネットから即座にチャージできるのも超便利。

ただ、電子マネーが普及してしまうと、釣り銭などの対応が諸外国に比べ抜群に優れているといわれる日本でも、釣り銭の計算が即座にできなかったり間違ったりする店員が増えるのだろうと思います。まあ、電卓を使えばよいだけですが、、ワープロが普及した時「これからは漢字を書けなくなるだろうな」と思ったのと同じですね。

スロースタートの日本ですが、ここ2年くらい、早ければ1年くらいのうち日本でも一気に電子マネーの普及が進むと私は思っています。だって便利ですもん、顧客にとっても店側にとっても。インターネットや携帯がそうだったように、便利なものは必ず普及する。

< 2019.01 ときめきある年を | 2019.03 前進しないものは後退する >

早朝散歩の途中でみつけた道標:なるほど〜ここはそんな交差点だったんだ

これは日々の生活で感じたことを書きとどめる私の備忘録です