2020.04 花は桜木人は武士

わーくすてーしょんのあるくらし ( 326 )

2020-4 大橋 克洋

朝日を浴び艷やかに咲く枝垂れ桜

<2020.03 新型コロナウイルス | 2020.05 不安定だから足が前にでる >

◯ 花は桜木 人は武士

これは私の好きな言葉。そして私の一番好きな花は「桜」。 好きな理由は沢山あります。葉もでぬうち木立一杯に咲く、淡いピンクと黒くゴツゴツした幹とのコントラスト、パッと咲いてパッと散る、花吹雪の余韻をひきつつ華麗な散り具合、何ともあでやかでありながら楚々とした佇まいが昔からの日本の心そのもの。

そして持ちたい精神は武士の心。ただ乱暴に敵を殺めるというのではなく、万一のとき自分の大切なものを守るため普段から心身を研ぎ澄ます、刀を抜くのは最後の最後、できれば刀を抜かず収めるのが最良。シンプル・イズ・ベスト、禅の心にも通ずるもの。太平洋戦争で日本海軍連合艦隊司令長官をつとめた山本五十六は「百年兵を養うは一日これを用いんがため」と述べました。「重要なたった一日のため百年もの間、たゆまず兵を鍛えておくべし」ということと「百年兵を養っても、安易にそれを使うべきではない」という意味があったと思います。「花は桜木人は武士」は「武士は桜の花のようにパッと散るもの」という意味をこめたものだと思いますが、私が強調したいのは、それよりも上に述べたようなこと。

何はともあれ、いやあ、春は良いですねえ。美しい桜の花が艶やかに世の中を飾り、いさぎよく散った後は全身に美しい新緑を纏う。今年は暖冬ということで例年よりかなり早く3月中旬に開花宣言がでました。これでは花は4月まで保たないなと思ったのですが、その後たびたび冷気が関東を覆い、4月1日になっても満開の桜を鑑賞することができます。しかし曇天が続くので桜の色がやや冴えない、淡い桜の花の色はやはり晴天でないと本当の美しさが見られませんね。

◯ 星野源のコラボ動画

星野源がコロナによる Stay HOME に対し「うちで踊ろう」という自作曲を動画配信しました。これに対し安倍首相が国民への外出自粛を薦めるため、自分が自邸でくつろぐ動画をコラボして投稿したところ、ネットで猛烈な批判を浴びることになりました。

この猛烈な反発理由が、いまいちピンと来なかったのですが、ある解説を読んで「なーるほど、そういうことか」と判りました。反発理由は主に3つ考えられるそうです。

1)もともと安倍首相が嫌いな人

これは判りますよね。私も、とんでも発言を繰返す何人かの某野党議員達がとても嫌いだったりします。そうなると「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」。

2)家にいたくてもいることのできない人

流通業・コンビニ・医療などなど。生活が苦しく何が何でも外で働らかざるを得ない人達への配慮が感じられなかったこと。首相の自邸での様子が、一般庶民から見れば余りにも優雅に見える(でも一方では、芸能人の超豪華な自邸の紹介など、よく紹介されてるのにね。自分のもともとの姿勢が違うと、受ける印象が真逆になるということ)。

3)音楽家

彼らにとってムカッとくるのは「うちで踊ろう」の投稿趣旨がまったく理解されていないこと。自作の曲を動画で提供した趣旨は、これに踊りやアニメその他の動画をコラボで投稿してもらい、外出自粛を守り自宅で過ごす人達に楽しんでもらおうということ。ところが安倍首相のは国民へ向け「外出自粛し自宅で過ごそう」というアッピール動画に、星野源の曲を単なる添え物として使ってしまったこと。

クリエイター達がよくやる「こんなの作ったぜ、君たちも色んなもの作って楽しもうぜ」ということで、私もコンピュータ仲間と似たようなことをよくやっていました。しかし安倍首相の失敗は、このような文化をよく理解せず、拙速に自分のアッピール動画にたまたま都合良い歌詞の動画を使ってしまったこと。クリエータ達の「ノリ」とは全く異質な、安倍首相なり「真面目一方」の動画だったことが、今回の反発のもっとも大きな原因でしょう。

ノリノリに過ごしている空気を一気に冷めさせてしまうことはよくあります。私が経験したものでは、コンピュータ仲間のノリノリの会に、まったく違う業界のお偉いさんを講師として招いたところ、開口一番「私はパソコンを昔やっておりまして、、」と滔々と述べ始めたのには参りました。何せ聴衆はコンピュータのプロ達ばかりなのに、彼のしゃべるのは初心者の内容を自慢気にでしたから、釈迦に説法というか何とも恥ずかしい、、

KY:空気を読まないと、思わぬ恥をかくということ。

◯ まさかの またもや痛風発作

連日のコロナ騒ぎ、つい2日ほど前TVで元気な姿(過去のドラマかなにか)を見せていた岡江久美子さんの死亡報道には私もちょっとショック。このコロナの怖いところは初期には、肺炎が進みはじめ血中酸素量が減少してきても本人は軽い息苦しさを感ずる程度で従来の肺炎のような痛みや苦しさが余りないため、比較的元気で危機感を感じにくいことだそうです。このようなことで、自分がコロナ罹患したことのわからない感染者が動き回って感染をどんどん広げているようです。

そんな危機感の高まる中、今月下旬ちょっと右母趾にチクチクするような感じがありました。翌日になるとその感覚ははっきりとしてきて「やばっ、また痛風?」と思いながら、まだ近所の早朝散歩には支障ない程度。そして3日目から腫れは明瞭になってきて足の甲にまで広がり始めました。そして4日目、まさかの左母趾もチクチクし始める。両足にきたのは初めてのこと。当分外出はできそうもありません。

昨年12月、数年ぶりに発症した痛風では腫れが引いて外出できるようになるまで、ほぼ1ヶ月近くかかりました。その後は真面目に服薬も続けており、これで当分痛風とはおさらばと思ったのに、たった4ヶ月で再発。しかも今回は両足ときたもんだ。やはり加齢とともに抵抗力が落ちてきたということなんでしょうかね。連日のように Stay HOME:外出自粛が叫ばれる中、外出できなくて丁度良いかと、、

今回の痛風は幸い昨年暮れの発作ほど長引かず、10日目には何とか近所へ買物に行けるほどまで回復しました。

そこでまたコロナ・ネタに戻ってしまいますが、昨年の骨折で足の悪い家内に代わりスーパーへの買い出しがしばらくできそうもありません。しかし、最近は食材の宅配を利用しており何とかなりそう。しかし世の中の皆が同じことを考えるので、オーダーしてから到着までかなり日数がかかるようになってきました。

スーパーと言えば先日の買出し、地元スーパーは通常の人出でしたが、レジ待ち位置に social distance を示すテープが床に貼られ、皆さん真面目に距離を空け並んでいました。スーパーは自宅から200メートルほどの近所ですが、そこへ至る武蔵小山商店街は日曜ということもあって凄い人出。TV でも報道されていましたが、外出自粛で渋谷や新宿など盛場は閑散としていても、そこに行っていた人達が近所の商店街に集まっているとのこと。私の家は武蔵小山商店街に接しているのですが、感ずるのは「ダメだこりゃ」。まだ近所でコロナ感染の話は少ないですが、ここら辺にはコロナがウジャウジャいるはず。

◯ 今月の歩術

先月も書いた歩法。足裏全体で踏みしめた足に十分重心を乗せ、残った足の動きを自由にし前に出す歩法。今月も比較的ゆっくり感触を確かめながら歩いてみました。すると判ってきたのは「疲労が少ない」こと。75歳を過ぎるとともに足の疲労が目立ってきたのに、この歩法で歩いてみると最近苦手になっていた登り坂も何のその。後肢の引きつけを速くすることにより速度も上げられる。ただ、これを長時間続けるのは辛いので、例えば信号が変わりそうな横断歩道に向かう時とか、前の人を追い越す時などに使うようにしています。

この歩法を確かめながら歩いてみましたが、疲労が少ないので普段の早朝散歩なのに14キロも歩いてしまいました。翌日は10キロ。帰宅しても足の疲労感などまったくありません。この歩法ではややもすれば膝はやや曲がり気味になるので、前肢をまっすぐ伸ばし踵をカッカとつける西洋人のような格好良い歩きではありませんが、江戸時代など昔の足の速い旅人はこのようなコツで歩いていたんだろうなと、、

コロナで不要不急の外出自粛になっていますが、早朝とあって外を歩く人も少なく、他人様に迷惑をかける心配もありません。満開の桜をゆっくり堪能できました。昼間はずっと自宅に篭っています。ニュースを見ると外出できないことがストレスになる人も多いと言うことですが、私は元々閉鎖環境にあっても退屈したことのない人。もし散歩できなくても困ることはありません、その代わり室内で中国武術練功一生懸命やらなきゃいけませんけどね。

、、と書いていたのですが、東京で1日の新規感染者が100人を超えるとともに7日なって遂に国から緊急事態宣言が発出されました。幾ら道に人の姿が極めて少なく密閉・密集・密接にあてはまらない早朝とはいえ、外出自粛が発出されているなか几帳面な日本のこと、外を歩くのは憚られ私も早朝散歩を自粛するべきかなと思いつつ、安倍首相の「散歩やジョギングは全然問題ありません」との言葉もあり、まあ、いつもより控え目にかな、、

◯ 今月のコロナウイルス

満を持して国の出した緊急事態宣言に対し、対応が遅いとか内容が適切でないとか色々な意見が出ています。先月も書いた「老人と少年とロバ」の話のように、政府は何をやっても文句を言われるのは仕方ないのですが、もう少し早く断固とした処置をしても良いのではないかと歯がゆく思うことも少なくありません。「店を閉めたらすぐ倒産してしまう」など切実な声も多く、このような国民や経済の減退を危惧する余り、温情的な日本の政府としては決断が鈍るのかなと思っています。

国は「国が宣言を出し、対応は夫々の事情を勘案し都道府県知事に任せる」と言っていたのに、都知事が対応策を発表すると「それは厳しすぎる」と待ったをかけるのはおかしい。緊急事態宣言がでて「夜間営業の飲食店などの休業」を要請する東京都に対し、国は「2週間ほど宣言効果を見た上で休業の判断を」感染爆発の様子を見てから判断したのでは既に遅い、徴候あれば即断即決を要します。そして「それは今でしょ」と思うのですが、、

「コロナ疎開」と称し東京から感染の少ない地域へ移動する動きも厳に慎むよう言われていますが、こんな時「温泉に行ったらガラガラに空いていて安くて超ラッキー」というようなSNSへの書き込み。こんなどうしようもない我儘なヤカラに限って、他人から正しい指摘を受けるととんでもない逆ギレするんですよね。

中国・韓国の感染が沈静化した後も、それを上回る感染爆発を起こしているイタリア・スペイン・フランス・英国・ドイツ、イラン、それらを更に上回る米国。世界の感染拡大グラフを見ると、より早く感染の始まった日本の感染拡大は、小ぢんまりに留まっています。

日本では PCR 検査数が少ないので感染実数はもっと多いはずという意見もありますが、もっと実情を表す死亡者数も日本はダントツに少ない。これもPCR検査対象にならなかった肺炎死亡が含まれないからという意見がありますが、そのように漏れた数を含めたとしても明らかに日本の死亡数は他の感染国に比し少ないと思います。

法律的に欧米のような罰則を伴う強制的ロックアウト・都市封鎖を行えない日本は、あくまで国民の自発的意思に基づく行動に任せるしかありません。今後日本が欧米と同様の拡大を起こさないという保証はありませんが、もし日本における感染がこの規模で収束に向かうことができたなら、日本は世界に冠たるものと誇ってよいでしょう。

楽しみにしていた東京五輪は延期になってしまいましたが、日本はコロナ戦において、世界に誇るべき金メダルを是非獲って欲しいもの。それには何と言っても、国民ひとりひとりの自覚と我慢にかかっています。金メダル獲得、頑張りましょう!!

◯ 逆境こそ新局面へ向かうチャンス

トヨタ自動車とトヨタグループ各社は新型コロナウイルス感染拡大を受け、医療現場および医療用品への支援を表明。様々な面から対策に取り組むそうです。

・医療用フェイスシールドの生産

・軽症感染者移送のサポート

・サプライチェーンを生かしマスクなど衛生用品の調達支援

・医療機関にて活用可能な備品の供給

など。また、雇用を維持しつつ自社の体質改善もはかる。

・在宅勤務拡大対応のネットワーク基盤強化やツールの整備

・生産性向上に資する働き方改革と在宅勤務ルールの確立

・生産停止や縮小で生れた時間を利用し改善活動と人材育成

・仕入先と一体となった生産ネットワーク維持と改善

今回のコロナウイルスによる世界的脅威を単にマイナス面だけ受け取るのではなく、このような時にこそ、これを「起爆剤」「またとないチャンス」として新しい発想をめぐらしプラスに活かしていく姿勢が私は大好きです。私のへそ曲がりと負けず嫌いの精神に合致。

トヨタのこのような動き、現在の豊田章男社長の意向が大きいのだろうと思います。彼はかなりバリバリ新しいことを進めていくので反発もあるようですが、私の好きなタイプ。しかし本来このような動きは、私が昔から大好きなホンダにあって欲しかったもの。本田宗一郎氏なきあと、次第にあの頃の活発さがホンダから消えているようで寂しい、、

目黒川沿い満開の桜

これは日々の生活で感じたことを書きとどめる私の備忘録です