2005.01 Mail Server の修復で2週間の大格闘

わーくすてーしょんのあるくらし (88)

2005-1 大橋克洋

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最近はこのエッセイも、 しばらく本来のコンピュータ・ネタが余りありませんでしたが、 今月は久々に本来の話題です。

コンピュータというものは、 快適に動いている時は余り意識しないのですが、 一旦深刻なトラブルになると実にやっかいな代物になります。 若い頃と違って、その深刻なトラブルに自力で対応しようとすると まさに格闘技の様相を呈してきます。 サーバ・トラブルに見舞われ、 またまた数年振りの大改装となりました。今回はその辺りの顛末を、、、

○ Macworld San Fransisco 2005

その前に恒例の Macworld SF 2005 の話題です。 いつも楽しみにしている Jobs の講演の今年の目玉は Mac mini と iPod shuffle でした。 iPod shuffle は1万から2万円の価格なので、 Mac 販売店に寄ったついでに衝動買いしそうです。 Mac mini も低価格なので食指が動きそうで、 特に後述する今回のマシーントラブルにあたり テスト用マシーンとしてあると便利かなという 考えも頭を横切ったのですが、 テストを終えた後しばらく使われずに暇をむさぼることに なることも目に見えているので、 ぐっとこらえているところです。

とにかくこちらも価格が5万円台と安いので、 何か理由がつけば衝動買いをとめることはできないでしょう。 さて Windows ユーザの取り込みをねらった 戦略的なこのマシーンの成果やいかに、、、 というところですね。

Web 上で Mac mini の記事を読んでいたら、 「オンラインレビュー/ベンチマークサイトAnandTechの編集長、Anand Shimpiは、友人や家族にPCの技術サポートを提供することに嫌気が差したら、多くの場合はMac miniを購入させるだけで問題が解決する、、、と書いている」とありました。 これは実に言えることですね。 私の長年の経験上からも、 初心者の方にお勧めするには 分かりにくくて ウイルス などの感染を受けやすい Window より絶対に Mac の方が後で質問に悩まされることが少ないです。

私としては、それよりも KeyNote の新しいバージョンと Pages という新しいワープロがセットになった iWork を AppleStore で早速注文しました。 KeyNote は講演などでしょっちゅう使いますし、 Pages もさすが Apple というようなセンスのよいアプリケーション のようで届くのが楽しみです。

○ Internet Server がデイスク・クラッシュでダウン

1月上旬、インターネット・サーバのメンテナンスのため リモートから再起動をかけたところ、突然立ち上がらなくなりました。 何度やっても駄目です。結局ディスク・クラッシュ によるものでした。 ハードディスクを新しいものにすることはもちろんですが、 OS もバージョンアップしていなかったので、 この際これも兼ねて新しい OS に載せかえることにしました。 幸いなことに翌日は日曜で一日休みです。 さて、これからが格闘の始まりでした。 問題は大きく2つありました。 ひとつはハードウエアの問題、ふたつめはメール・サーバの インストールで泥沼にはまった問題でした。

これまでもここに書いてきたように、 何年かに一度このような大仕事が発生してきましたので、 サーバの内容については自動バックアップをとってあり、 Web など殆どは2,3日のうちに復活できました。ここの部分も バックアップがあれば本来なら日曜一日で復旧するはずなのですが、 OS をインストールし update をかけ再起動すると立ち上がらなくなる という現象が繰り返されたのです。

○ 問題はハードディスクだけでなく本体にも?

通常 update で再起動をかけた際に立ち上がらないという状況は 経験したことがないのですが、これが何度も起こります。 OS を載せた別の HD から立ち上げると、 ひとまず立ち上がるのですが再起動すると再び駄目です。 HD からケーブルを引っこ抜き HD のジャンパーピンの設定を変えたり 起動 HD を変えてみたりと、 どうやらHDのクラッシュだけの問題ではなく、 マシーン自体の経年変化による問題もあったようです。そもそもが 中古で手に入れた PowerMac でしたし。 やむなく OS からインストールを繰り返すということで 賽の河原ですが、その度に机の下に潜って、 これを繰り返すうちにとうとう、どうしても再起動できなくなりました。

やむなく別の PowerMac に新しい HD を載せ、 再度 OS のインストールし直しです。 文字通り OS のインストールだけなら良いのですが、 後述する Web Application を動かすためには WebObjects や開発環境 が必要なので、それらもインストールし、さらに update を掛けなければ WebObjects がうまく動かないという問題もあり、 OS がらみの再インストールだけでほぼ半日仕事になります。

現在、私のスケジュール管理は Web Application でやっており、 これが止まるととても不便です。 午前中は診療、午後はお茶の水の東京都医師会館で仕事の毎日ですので、 診療所、自宅、東京都医師会、あるいは通勤途中に、 デスクトップパソコン、ノートブック、PDA あるいは携帯電話、 どれを使っても同じスケジュール表を読み書きできるのです (先月「au になったら Web browsing 機能が DoCoMo より劣り、 スケジュール表がうまく読めない」という問題は早速 プログラムを改善しました)。 便利なものほど、止まった時の不便さはハンパでありません。

○ Mail server のインストールで泥沼にはまる

ところが最後に、 簡単に復帰できると思っていたメールサーバで泥沼にはまってしまいました。 以前は Postfix を www.postfix.org から download してきて自分で インストールしました。 今度の MacOSXServer 10.3 では Apple 社が 標準で Postfix を載せていると聞いています。 しかし、とりあえず以前と同様に download してきた postfix をインストール してみたのです。ところが以前は何ということなく動いたのに、 今回はどうしてもうまく動きません。OS が変わったためと思います。

ここで思考錯誤を繰り返した結果、今後のことも考え Apple 社が標準装備している Postfix を使うことにしました。 となると色々いじってしまった設定ファイルもあったりするため、 またまた OS をサラから入れ直しです。 このような悪戦苦闘を繰り返した結果、 完全復旧まで2週間かかってしまいました。 日曜でないと、まとまった時間がとれないのです。

最後にようやくメールが通るようになった時の嬉しさといったらありません。 まさに「苦労が多かったほど喜びも大きい」ということです。 Mail server との格闘は2002年5月のコラムにも書いてありますが、 実に3年振りです。 試行錯誤の中で溜まっていたメールのコンテンツの多くを失いましたが、 まあこれは仕方ないかなと、、、

○ インターネット・サーバとして MacOS X Server は素晴らしい

ということで、2週間の試行錯誤の中で悪戦苦闘したのですが、 結局メールサーバの設定も MacOS X Server 10.3 では極めて簡潔だったことがわかりました。 私がなまじ以前の知識でいじりすぎたのがいけなかったようです。 基本的には「グループマネージャ」と「サーバ管理」という GUI ツールを使って設定するだけで、 UNIX 的に設定ファイルをエディターで修正する部分はほんのわずかでした。 これも本来なら GUI の中の設定だけでよかったのかも知れません。

メールサーバを動かすに先立ち設定が必要な DNS については、 単にバックアップしてあった設定ファイルを置き換えるだけ。 WebServer や WebDAV も同様でした。 以前は POP3 や IMAP も download してきて自分でインストール したのですが、これらは標準で提供されており、 単に「サーバ管理」の中で POP や IMAP にチェックを入れるだけ という優れものです。

基本的に OS は UNIX の血を引いていますし、 セキュリティーもしっかりしているなど、 インターネット・サーバとして MacOS X Server は 実に優れていると思います。 Mac の持ち味である「使いやすさ」は抜群です。 私が今回苦労したのは単に「やり方がわからなかった」だけで、 マニュアルさえあえばとても楽チンなはずです。

そうそう、今回メールサーバで苦労して MacOS X に関する 解説本を何冊か買って知ったのですが、 Postfix をはじめ、これらの多くのサーバ用ソフトは MacOS X Server でなく MacOS X にも標準で載っているようですね。 ただ GUI による設定ツールがないところだけが違うようです。

○ インストールの要点を簡潔に記述したマニュアルが欲しい

少なくとも私が今回インターネット上を探したところでは、 メールサーバの設定について要点を書いたマニュアルは見つかりませんでした。 Apple 社から充実した on line manual が手に入るのですが、少なくとも私はその通りに設定を繰り返しても うまくメールサーバを動かすことができませんでした。 ほんのちょっとの問題なんでしょうけれど。

「要点だけを簡潔に書いたマニュアル」が欲しいところです。 WebDAV や FML については自分の会得したインストール手順を 簡潔にしたものを、 この私の web site で公開していますが、 今回のメールサーバについては、「色々やっているうち何となく 動いてしまった」的なところもあるような気もして、 まだイマイチ公開するだけの自信がありません。 もう一度位サラからインストールする機会があれば、 ぜひ簡潔なマニュアルを公開したいと思います。

○ ビル解体(その後)

先月、近所でやっているビル解体について書きました。 ユンボの写真がうまく撮れていませんでしたので、 1ヶ月後の状況を撮ってみました。 こんな感じでビルの上で2台のユンボが、少しずつビルを解体しています。 まだ、ユンボがどうやって一階下のフロアーへ移行するのか、 決定的瞬間を捕まえられません。 近くでクレーンを見たことがありませんので、 崩した瓦礫で斜面を作り、そこを自分で降りていくんですかね。

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