2006.04 選挙戦に活躍した IT 機器

わーくすてーしょんのあるくらし ( 158 ) 

 

2006-4 大橋克洋

日本医師会会長選挙を終え満開の桜@六義園

現在のままでは日本の医療の質と安全性を保てなくなることが明白となり、 1月に東京都医師会の唐澤祥人会長が 日本医師会会長への立候補表明をしました。 これにより2月から3月にかけて、 都医理事は日本医師会の会長選挙で東奔西走することになりました。 このエッセイ3月号の更新がやや滞ったのは、そんな訳だったのです。

唐澤先生はユーモアのある温厚な人柄の中に、 沈着冷静な判断力と、一旦決意を固めれば 絶対にブレない方向性をもつ、とても尊敬に値する方です。 そんなことで、都医理事は一丸となってこの選挙に燃えました。 3月後半は各理事が日本全国を飛びまわり、 各地の代議員の方々に状況を説明し支援をお願いしました。

本格的な選挙戦の一員として加わったのは これが初めての経験でしたが、 とても良い勉強となりました。 自分たちの理念を多くの方々に伝えるには、 座ったままの広報では駄目。 足を運び直接面談する必要性のあることを強く実感しました。 私の担当する HOT プロジェクトにも、 是非この経験を生かしていきたいと思っています。

ただひとつ残念だったのは、 従来の植松執行部を支持する方の中には、 頑にこちらを拒否し聞く耳も持たない方の多かったことです。 日本の医療にとって何が大事かという本質的なことより、 感情的なものだけを拠りどころにする方々です。 たとえ自分の支持する人を決めていたとしても、 対抗側の意見も十分聞いた上で判断すべきと思います。

しかし、唐澤候補支持ではなくても 一応こちらの意見も聞いてくれ、 「選挙の後はまた仲良くやろうね」.と笑顔で別れた方々が 何人かあったことも書き添えておかねばなりません。

唐澤日医会長を囲み 選挙対策本部打ち上げ会

後列左から4人目が私

○ 選挙戦に活躍した IT 機器

この選挙戦に、 IT 機器は なくてはならないツールとして大活躍しました。 パーソナルコンピュータは勿論、 何と言っても活躍したのが携帯電話です。 会長の携帯電話へは全国の支援者から頻繁に連絡が入っていました。 各地区の結構お年を召された会長さん達が携帯を駆使している姿を、 今回はかなり目にしました。 携帯の予備電池を3個も持っている方もありました。

九州で活動している私の携帯へも、 東京の選挙対策本部から明日の行動日程の打ち合わせが入ってきます。 相手が今どこに居るかを意識することなく、 ドア・ツー・ドア感覚で即時連絡がとれるのは便利で、 私も選挙戦をやっているうち、この感覚に慣れてきました。

通常は事前に Web の乗換案内や google map により周回経路を決め、 タイムスケジュールや各代議員の地図などの資料を パソコンで作成しておきます。 これにより知らない土地でも、安心して周ることができました。 「なーるほど、企業の営業さんはこれで随分便利しているんだろうな」 と思ったものです。

午前の診療を終えて飛び出し、 連日 空路日帰りで九州や北陸へトンボ返りしたこともありました。 各地への航空機の経路が完備された現代の利便性を実感したものです。 こう書くと、いかにも私が忙しく飛び回っているように見えますが、 私なぞが周った回数は大したことはありません。 もっと精力的に周った若手理事は沢山います。

診療を犠牲にして、これだけ皆が燃えたのも 「何とか日本の医療を正しい方向へ持っていこう」という気持ちと、 一番大きかったのが「唐澤先生のお人柄」でしょう。 マスコミは「診療点数が下がったので医者の収益を上げようと医師会が揉めている」 と報道しますが、これには我々は非常な憤りを感ずるものです。 あくまでも目的は「日本の医療の質と安全を保つため」です。 それに必要な費用が発生するというのも、また当然のことでしょう。 医師を不当に儲けさせることはありません。しかし生活の不安を与えるようでは、 どんどん医療の質と安全性が低下するのは自明の理でしょう。

急遽、ある県の各代議員を回ることになった時は、 携帯電話の乗換案内に大変お世話になりました。 各拠点で費やされる時間が不定だったり、途中で経路変更などがあったりで、 その場その場でダイナミックに利用する電車の時刻や経路を 変更しなければならなかったのです。 この時は、本当に携帯電話様々でした。

日医会館での選挙投票の間は当然ながら議場閉鎖になりますが、 その間にも携帯メールで外部と事後の連絡などとっていた役員もおり、 投票結果が出ると同時に、日医会館の中は一斉に携帯の嵐となることが予想され、 実際そのようになりました。 トラフィックが多すぎ繋がらなくなることが予想されましたが、 まったくそのようなことはありませんでした。 日医会館をカバーする携帯電波の容量には、随分余裕があるんですね。

○ ホテルの無線 LAN

ホテルの無線 LAN を使ったのは、 2月にリポートした金沢全日空ホテルが初めてです 、、、いや、昨年の医療情報学会で宿泊したホテルが初めてだったかな? ということで、昨年使ったとしてもどんな手順で接続できたか 忘れてしまいましたが、 金沢の場合は事前に無線 LAN の使える部屋を予約しました。

フロントでカードをくれるのですが、 カードの裏をスクラッチすると ID 番号が現れます。 LAN 接続するとホテルのシステム側から認証画面が開き、 そこへ ID を入力します。 強くスクラッチしすぎて ID 文字まで削ってしまい、 読みにくい文字を判読しながら入力しました。 認証過程で現れる選択肢の意味がわかりにくく、 しばし試行錯誤が必要でした。

唐澤選挙対策本部の設置された丸の内ホテルでは、 Web で地図を調べたりする機会が多かったのですが、 電波をスキャンしても無線 LAN 電波は拾えません。 仕方なく USB モデムをノートへ接続してインターネットを利用しました。 しかしこれは google map などの利用にはまったく不適です。 地図上を移動するにも、余りにも遅くてやっていられませんでした。

その後、選挙活動で丸の内ホテルの客室に一泊する機会がありました。 ふと見るとライテイングデスクの引き出しにイーサネット・ケーブルが入っています。 おー、何とライテイングデスクの隅に、 電話のフォーンジャックなどと並んで LAN のジャックがあるではありませんか。

早速ノートを繋いでみると、 接続画面が立上がりました。 プライベート何とかというのは無料と書いてあるので、 そちらを選択するとバッチリ、インターネットへ接続できました。 さすが最新のホテルだけのことはあります。 ただし、外部メールサーバから自分宛のメールを読む事はできますが、 メールの送信は何度やっても駄目でした。ここが「プライベート何たら」 の意味だったのかなと思い当たった次第です。

○ ポケット内の携帯電話を介しインターネット

その数日後、Apple eNews の「MacBook Pro と WILLCOM の携帯電話 WX310K との組み合わせで快適モバイルライフ」 という記事が目に飛び込みました。Apple の web site には接続方法が詳しく載っています。 以前から「胸ポケットの携帯を介し ノートがインターネットに繋がれば快適だろうな」と思っていましたので、 早速 WILLCOM の web site にアクセス。これは PHS なんですね。 (今となっては通信速度の遅い)富士通製 USB modem の代わりと割り切って、 早速 WILLCOM の site からオーダー。 別途 免許証コピーを FAX で送る必要がありましたが、2日後に宅急便で届きました。

さて、使い勝手は? 昨年購入したスマートフォン M1000 にはがっかりさせられたので ちょっと心配、、、 まず USB ケーブルを介しネット接続にトライ。 付属 CD でドライバーをノートへインストールします (MacOSX 用ドライバーもちゃんと入っています)。 その後、USB ケーブルで WX310K と PowerBook を接続。 おー、あっさり外の世界につながりました。

次は PowerBook と念願の Bluetooth 接続。 これにはちょっと試行錯誤を重ねました。 Bluetooth で両機器のペアリングまでは行ったのですが、このままでは繋がりません。 Mac のネットワーク設定で、モデムとして KYOCERA USB MODEM を選択、 プロバイダーの電話番号、ID、パスワードなど設定します (従来使っていた IIJ4U の設定がどうしてもできなかったので、 携帯から速攻で WILLCOM のプロバイダーと契約しました。これも便利)。

ノートブックでダイアルアップ開始前に、 携帯側で Bluetooth を「ダイアルアップ接続待ち」にしておく必要があります。 これがわかるまで大分試行錯誤しました。 このあと携帯は折畳み ポケットに入れて構いません。 ダイアルアップすると、無事 Bluetooth で接続されました。 4Xパケット方式サービスを選択したので、 無線 LAN ほどではないもののかなり快適です。

WX310K には Web ブラウザー Opera が載っており、 画面は狭いながらまあまあの速度で表示されます。 これで M1000 を捨てる踏切りがつきました。 PHS が全国どこまでカバーされているのか知りませんので、 携帯をこれ一台にしてしまうところまで踏み切れませんが、 2年前の暮れに購入した超薄型の au 携帯と しばらく併用して使うつもりです。 この au の Talby もその後、後継デザインが出ないようです。 面食いの私にとって WX310K は Talby に及ぶべくもありませんが、 まあまあ許せるデザインですね。

○ Intel Mac mini 導入1ヶ月を経て

先月「まだ Intel 用に特化されたソフトウエアが少ない」 と書きました。特にプリンターやモデムなど周辺機器のドライバーが Intel 対応に間に合っていないものが多いので、 MacBook Pro などのノートは「待ち」かなと思っていました。 しかし、あれから1ヶ月使っているうち、 そのあたりの評価が変わってきました。

前述の WX310K を使えば外部接続も問題ありあませんし、 書斎で使っている数年前のレーザプリンターもメーカーの web site を見に行ってみると、Intel 対応のドライバーが download できるようになっており、無事出力できるようになりました。

書斎ではピクセラ社のキャプチャーボックスを Mac へつないで TV を見ていました。 このようなものは Intel 用ドライバーがないと 使えないものと決め込んでいたのですが、 ふと接続してみると、ばっちり TV も見えるではないですか。 メモリーを驕ったせいもあるかも知れませんが、 PowerPC マシーンよりコマ落ちも少なく快適に見られます。 これは嬉しい収穫でした。

現時点で不便なところは、 ウインドーをタイトルバーだけに縮小してしまう WindowShadeX が Intel 版待ちで使えないこと位です。 Intel Mac で困ることは少なくなってきたようですね。 Intel Mac 発売にともない、 PowerPC Mac が買いだめに走る人達により 在庫一掃状態になっているとの記事を読みました。 Mac の Intel 化は急速に進みそうです。 Intel 化により Mac のハードウエアで Windows も使えるようになりそうですし、 これは決して悪いことではないでしょう。

○ Internet Server と格闘の時期がやってきた

このコラムでは、サーバ再構築で格闘のレポートを何度も書いてきました。 久しぶりにまたその時期がやってきたようです。 MacOS X は1年前すでにバージョン10.4 に上がっており、 普段使うマシーンはとっくにそちらへ移行しているのですが、 外部へ向けたインターネット・サーバだけは MacOS X Server 10.3 のままでした。

ちなみに MacOS X Server は MacOS X をベースとしており、 そこへ色々なサーバ類や管理ソフトなどを載せたものです。 バージョンアップを重ねるに従い完成度を増し、 10.4 では iChat サーバや blog サーバその他が追加されているのも魅力です。

20年近い経験からサーバをいじってハマると、 数日から長いときは2、3週間も web や mail サーバが停止してしまうことを 何度か経験してきました。そんなことで 「問題なく動いているシステムはそっとして、いじらないのが鉄則」なのですが、 ある理由があってそろそろ 10.4 にバージョンアップの必要がでてきました。

その理由とは WebObjects で動かすアプリケーションの一部が 10.3 ではうまく動かないことがわかったからです。 おそらく Java のバージョンなどの関連だろうと思うのですが。 もうひとつ blog を立ち上げてみたいということもありました。

そういう訳で、まとまった時間のとれるゴールデンウイークに向けて、 OS をアップグレードすることにしました。一番心配なのは以前も苦労した Mail サーバです。 Mail サーバのソフト自体は二代前の OS から使ってきた Postfix なのですが、 GUI による設定方法が大きく変わったようなのと、 前回も試行錯誤を経て何かよくわからないうち動くようになったのが どうも気にいりません。

MacOS X Server では 「GUI を使うならそれだけで」 「GUI を使わないなら徹底的にターミナルからコマンド打ち込みで」 設定すべきということを痛いほど経験しています。 両方を混同して設定すると、問題が起こった時に何が何やらわからなくなるのです。 私としてはせっかく簡単設定が用意されているのですから、 GUI を使おうという気になるじゃありませんか (UNIXにどっぷりはまっていた昔なら、その逆でしたが)。

GW に入る初日、OS のクリーンインストールから始めることにしました。 どうせなら奇麗にやりたいですからね 、、、で、恐れた通りどっぷりドツボにハマっています。 そんなことで、この続きはまた来月へ、、、

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今年は中国から飛んでくる「黄砂」が例年になく凄かったです

窓からみる新宿副都心方面:黄色いフィルターのようですね