2005.04 建築設計とコンピュータ

わーくすてーしょんのあるくらし (91)

2005-4 大橋克洋

一昨年でしたか「ウオーターボーイズ」という、 男子高校生によるシンクロナイズド・スイミング・チームの映画を TV で見ました。 とても斬新で面白い映画でしたが、 同じ矢口監督の「スイングガールズ」が昨秋上映になりました。

東北の片田舎、夏休みの補習を受けていた女子高校生達が、 サボリの口実でジャズを始める。 独学に近い状態で苦労しているうちにジャズの魅力に引き込まれ、 ついに自分たちだけでジャズバンドを結成、 ノリノリで見事な演奏を披露するまでの話です。 最近は上映から間もなく DVD が発売されるようになったようで、 娘が DVD を借りに行くというので 借りてきてもらいました。 これはウオーターボーイズを数段上回る出来で、 とても楽しめる映画でした。

ジャズやるべ、スイングすっぞー

何が良かったかというと、 「若者たちのノリ」です。 大学の馬術部時代や 十数年前の「NeXT ユーザ会」を思い出しました(私はこういうノリが大好きです)。 この映画では、管楽器にまったく素人の高校生役たちが、 撮影と同時進行の涙ぐましい練習で演奏できるようになったそうです (私も馬術部時代同じような思いをしましたので、このような根性ものにとても弱いのです)。

その演奏がなかなかのモノで、 「A列車で行こう」「ムーンライトセレナーデ」「シング・シング・シング」など 往年のスタンダードジャズナンバーと、 ノリのよいリズムに知らず知らずに身体が動いてしまいました。 後日この映画の PR のため制服姿でニューヨークやロスに乗り込み、 修学旅行さながらの格好で 乞われるままのストリートセッションは盛大に受けたようです。 最初から世界を相手とは、さすが若い監督ですねえ。

皆さんも若さいっぱい女子高生達の演奏をどうぞ一度お楽しみあれ

○ LAN のノード数がパンク

昨年後半から LAN に新しい端末を接続すると、 インターネットへ接続できない症状がちょいちょい出るようになりました。 IP address を DHCP に任せず固定にして いろいろと試してみると接続できたりするのですが、 どうも不安定です。

この症状でしばらく悩んでいましたが、ようやく原因が特定できました。 FireWall の制限 10ユーザ数を超えると接続できなくなるようです。 これを特定できるまでに数ヶ月かかってしまいました。 とにかくネットワーク・トラブルというやつは 余程経験を積まないと一発で解決できないことが、ままあります。

そういうことを仕事にするなら教育も受けるでしょうし、 上司や仲間からの示唆もあるのでしょうが、 何しろ私はすべて独学なもので「めげずに試行錯誤あるのみ」です。 「大家族ならお婆ちゃんやお爺ちゃんから簡単に得られる育児など生活の知恵が、 核家族になってまったく得られない弊害」が思い浮かびました。

私の使っている FireWall には 10 ユーザ版と 25 ユーザ版があります。 購入時に「構内 LAN なんだから 10 ユーザあれば十分だろう」と、 安い方の10 ユーザ版を何のためらいもなく選びました。 LAN は自宅と診療所をカバーしていますが、 常時使用する端末は4端末くらい、多くても8端末程度ですから。

だもんで、最初はユーザ数がパンクしているなどとは思ってもみなかったわけです。 ところが何で10ユーザを超えてしまったかと言うと、 FireWall や無線LAN基地などをカウントしていなかったからです。 自宅に1台だけだった無線LAN基地が、昨年あたりから3台に増えました。 ノートパソコンや PDA をどこでも手軽に使える環境にしたためです。

この場合のユーザ数とはネットワークに接続されるノード数、 言い換えれば IP address の数ですから、 「なるほど10ユーザを超えてしまうんだ」と納得した次第です。 ということで、 FireWall のライセンスを25ユーザに upgrade することにしました。 upgrade 料金を払い込むと key-code が送られてきました。 web から login してこれを入力すると、 しばらくして FireWall のステータスが無事25ユーザになりました (実際にはこれが一発でうまくいかず、ちょっと試行錯誤しました)。

「へえー、インターネット越しに FireWall を upgrede できるんだ」便利になったものですね。 一昔前ならハードごと買い替えになったことでしょう。

さて、めでたくユーザ数は増えたはずですが、 これで果たして自分の診断は正しかったんだろうかと、 一抹の不安がないわけでもありません。 早速ノートブックを無線 LAN で繋いでみました。 おー、よしよし、DHCP 接続で何の問題もなく外の web site が見えています。

○ NeXT 時代から数年ぶりに FAX サーバ復活

1988年に発表された NeXT コンピュータには、 現在のコンピュータにも標準実装されない素晴らしい機能がいくつかありました。 その一つが FAX サーバ機能です。 FAX機能をもったモデムを接続すると FAX をコンピュータで受信でき、 それをネットワーク上のどの端末からも見に行くことができます。

これはとても便利でした。 ワープロで作成した文書をそのまま送れるので 奇麗な FAX を送れますし、読み捨てるだけの情報に無駄な紙を使うこともありません。 何より便利だったのは LAN 上のどこからでも FAX を読めるので、 わざわざFAX の所まで行く必要がないことです。 事実上は NeXT の子孫である MacOS X に FAX サーバ機能が実現されないのが、 とても不思議であり残念でもありました。

このようなことでずっと諦めていたのですが、 ふと気がつくとどうも最近の MacOS X では可能のようです(実際には大分前から 実現されていたようですが、試してみていなかったというのが事実)。 診療所の FAX 回線を診療デスク上に設置した iMac に接続してみました。

FAX 初期設定の後、自宅の FAX へテスト送信してみました。 無事届くようです。今度は自宅からこちらへ送ってもらいます。 「おー、なるほど」ちゃんと spool に指定したフォルダーに PDF 形式で溜まります。 しかもそれを添付したメールが送られてくるんですね。 これは NeXT より進化した部分です、便利、便利。

数年ぶりにFAX サーバが復活して便利が戻ってきました。 データをデジタル保存できるのもメリットの一つですね。 メールで転送されるので、東京都医師会にいながら 診療所に送られた FAX を読むなどというワザもできるようになりました。 通常の紙データの送出には、スキャナー読み込みか、従来の FAX を使う必要がありますが。

○ 建築設計とコンピュータ

久しぶりで建築設計にちょっとハマっています 新しく家を建てる資金があるわけでもなく、その予定もないのですが、 「どうせ建てられないなら、設計するだけでも楽しいじゃないか」 という割り切りです。 麻布高校の製図の授業で 住宅設計の課題がでたのがきっかけで、 どっぷり建築設計にハマっていた時代があります。 「色々な状況を想像しつつ、どうやったら快適な住まいができるか」 ということで「ああでもない、こうでもない」 と工夫するのがとても楽しく、私にぴったりの作業なのです。 後年知ったコンピュータのプログラミングもまったく同じです。

大学受験に際し「建築かデザイン方面へ進みたい」と父へ言ったところ、 「まあ医者になって趣味でやれば」と言われました。 「趣味で建築をやれるわけもあるまい」と心中思ったものの、 開業医の長男に生まれたのが運の尽きと素直に父の意思に添いました。 慈恵医大に入っても 図面を引いたりしていましたが、 そのうち馬術部にハマり離れていました。 「もし建築に進んでいたら絶対に名を成してやったのに」と今も思ったりします。

方眼紙に図面を引くのもどうせならコンピュータ上でやりたい、 と建築設計のソフトを探しました。 プロが使う CAD ソフトはみつかるのですが、かなり高価です。 Web で探しまわり MacOS X でも動く DesignHomeCG というものをみつけました。 お試し版を使ってみて「これならまあ行けそうだ」ということで、 一万円なにがしかの正式版を購入しました。 図がそのソフトによるものです。

ウオークスルー機能を使うと、 人間の視点で家の中を歩き回ることができます。 これは中々楽しいものです。欲を言えば、 家具類などがまだまだ稚拙な感じでしか表現されないことですが、 この価格では我慢するしかないでしょう。

平面図に、窓やドア、机や椅子、植木などを配置し

立体図を選択するとパース画面になります

照明を調節しムードを出すことができます

現在この作業を Mac mini の上でやっています。 まあまあ大きなストレスない速度で描画してくれますが、 欲を言えばきりがありません。PowerMac dual CPU に メモリーをふんだんに積んだ最速マシーンで動かすとどんな 感じになるのかなあ、などと考えてしまいます。

電子カルテなどの複雑で大きなアプリケーションの場合は、 頭の中から全体の設計図が消えないよう、 絶え間なくプログラミングを続けていなければなりませんが、 建築設計の場合は数ヶ月置いてからでも容易に作業に復帰できるのが違うところです。 何とか電子カルテのプログラミングのように大きなものも、 そのようにできないものかなあ、などと考えているのですが、、、

○ 個人情報保護法発効す

4月1日から個人情報保護法が発効しました。 うーん、これって、どうなんでしょうねえ。 いろいろなところで顧客アドレスなどのリストが漏れる事件があって、 日本人的に過剰反応してしまった結果なんでしょう。 これが法的に規制されることによって、 これを逆手に利用したニュービジネスが沢山生まれることになりそうです。

発効前から、個人情報漏洩に対する保険やセミナーなどの勧誘が 沢山きました。 それらのビジネス人にとっては、 またとない商売のチャンスということでしょうが、 マッチ・ポンプのような感じがしないでもありません。 最近の世の中、裏では結構マスコミを利用した「やらせ」も行われているようですし。

何度も書きますが、セキュリテイーにかかるコストがいずれ 本体を上回ることになり、 ギスギスした世の中へと急速に進行していくことを危惧します。 先月も書いたように、 そもそもは日本人の良き社会が伝えてきた「礼儀」や「作法」、「常識」 を皆が守るよう、国として強力に推進することが最も経費もかからず、 快適な社会を営めることは間違いありません。

悲しいことに、「人心は一旦荒れてしまうと元へ戻すのは極めて困難」 ということもあるでしょう。 それでも、国は国民とともに以前の「礼儀正しく清潔な日本人」 をめざして地道な努力をすべきと思います。

○ 自転車公害、何とかして!!

私の診療所はひどい「自転車公害」にあっています。

入口が武蔵小山商店街というアーケード街終端に面し、 向かい側が大きなスーパーです。 また車道と商店街との三叉路「吹きだまり」の場所でもあります。 以前はここにうちのガレージがあったのですが、 商店への荷の積み降ろしや買物客の車が駐車することが多く、 出入りできません。 あきらめてガレージは裏の道路の側へ移しました。 ところが最近はここへ大量の自転車が置かれるのです。

左側がスーパー入口、手前が武蔵小山アーケード街終端

写真中央あたりに中原街道の横断歩道橋が見えている

中原街道からの車がスーパー前を過ぎ左手へ曲がっていく

自転車群の右側が大橋医院玄関、完全に塞がれている

患者さんに「商店街を通ってくると大橋医院前に沢山自転車がとまっているのが見え、 てっきり休診と思いました」と言われたり、 家内の買い物先の商店でも 「大橋さんのところは自転車が沢山とまっていて入れない」と言われたそうです。 本当に「営業妨害」もいいところです。

警察に「交差点でもあり何とかしてもらえないか」と申し入れたところ、 「駐輪は警察の権限外。品川区の管轄」と言われ対応してくれません。 そこで区役所に申し入れました。一応見には来てくれましたが、 マーフィーの法則でそういう時に限って駐輪はたいしたことがありません。 区としては駅前などの場合は駐輪対策に本腰を入れるようですが、 個人のところへは無策のようです。

そこで商店街事務所へ頼んでみました。大橋医院も一応商店街に属し 会費も払っています。工事現場に置くような赤いプラスチック・コーンを いくつかと、それらへ横にわたすゼブラ塗装のバーを貸してくれました。

しかしバーで囲った外を囲むように何層にも自転車が置かれ

ますます患者さんは入れません。上は大橋医院側から見た状況です。

中央のピンクの立看板から左がアーケード街

どうしたら良いんでしょう。これで妊婦さんが怪我でもすれば、警察も動くのでしょうか。 しかし、同時に当方の管理責任が問われることになるでしょう。 まさに「泣き」の状態です。どなたか良いチエはないものでしょうか?

「営業中の入口に人が通れないほど自転車を置く」 ということは常識的に考えられませんが、 今の人達は他人の迷惑などまったく無視のようです。 人一人通れる隙間があれば「しめた」とばかりにそこへ自転車を突っ込みます。 玄関の中から睨んでいて目が合うと他へ置くのですが、 見ていないと平気で入り口へ置きます。 まさに「追っても追ってもたかるハエ」状態で、困り果てています。 ゲンキンなもので、雨が降るとアーケードの外の部分は奇麗に自転車がなくなります。 かと言って、上から水を降らせるわけにもいかないし、、、

悪質なことに、このように他人の迷惑を顧みない人間ほど注意をすると「逆切れ」します。 職員が「ここは入り口なので自転車を置かないで」と 言ったところ、「公道なのに自転車を置いて何が悪い、ここはお前の所か!!」 と怒鳴られ怖い思いをしたと言っていました。 「公道だからこそ他人の通行の迷惑にならないようにする」 といった当然のこともわからず、 自分勝手な理屈をこねます。

○ MacOS X 10.4 Tiger 定刻に到着す

昨年からアナウンスのあった MacOS X 10.4 が4月29日 ついにリリースになりました。 事前に AppleStore へ予約してありましたが、 29日午後6時に世界同時発売とあって 律儀な Apple 社のこと、 もしかして6時きっかりに届くのかなと期待したりしていました。

そうは言え予約者へは日本全国一斉配送ですから 「時間が大幅にずれても文句は言えないな」とも思ってもいました。 ところがどうでしょう、午後6時15分「ピンポーン」と 玄関のチャイムが鳴りました、偉い!!。 ほぼ定刻に Tiger の到着です。 日本の鉄道なみの正確さですね(ここ数日マスコミは、 尼崎で起きた大規模な列車事故のニュースでもちきりです)。

早速インストールです。 その後のレポートは、また、、、

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