わーくすてーしょんのあるくらし ( 370 )

大橋 克洋

katsuhiro.ohashi@gmail.com

2024.03 冷暖自知

冷暖自知とは、禅の言葉で「経験した自分でないとわからない」という意味です。

ニュースや SNS でよく他人の突っ込んだことについて あれこれ書く人がいますが、事実とは大きく乖離し御本人にとっては非常に迷惑どころか悲憤慷慨せざるを得ないということも特に昨今は多くなっているように思います。

「冷たい」あるいは「常温」と思って、うっかり触ったら「アチチ、、」という経験。これが「冷暖自知」ですね。触った本人でないと判らないことってのが、世の中には沢山ある。

○ どこに美を感ずるかは人それぞれ

ミス・ブランチ

How High the Moon

教育テレビ「日曜美術館」で、空間・家具デザイナー倉俣史朗の特集をやっていました。彼のメインとなる作品として取り上げられていたのが、ミス・ブランチと名付けられ薔薇の花を埋め込んだ厚いアクリル板を組み合わせて作られた椅子。透明度の高いアクリルに埋め込まれた薔薇の花は生花なんだろうかというのが私の関心のひとつでしたが、倉俣としては「ここは造花でなくてはならない」という思いだったそうです。確かに透明なアクリルの中に浮かぶ花の色も葉の色も明るい色で、好ましいものでした。

ただ私として触手が動かないのは、実際に座って心地よいと思われる造形ではなかったこと。つまりどう考えても機能的には思えない。これに比べ、やはり倉俣の作品でとても好ましく思えたのは金属のメッシュで構成された一人がけの椅子やソファ。これは座り心地も悪くなさそうで、造形的にも不自然さがなく、とても私好みのものでした。メッシュなので椅子の向こう側がうっすら透けて見えるのも素晴らしい。

というのが私の感想ですが、このミス・ブランチは彼の晩年の作品で56脚しか作られなかったものの、パリの美術館やニューヨーク近代美術館、富山県美術館などに展示されているそうです。現実に即した「機能美」に感銘を受ける私ですが、ミス・ブランチの高い世界的評価は「オブジェとしての美」に対するものなのなのかな、人それぞれですもんね、、

20代の頃からデザイナーや建築家に憧れていた私ですが、恥ずかしながら倉俣史朗の名を知ったのは今回が初めてでした。

○ 今月の歩術


昨年暮れの白内障手術後2週間の運動禁止による足腰の筋力低下がなかなか回復しません。調子の良い時でせいぜい4キロ少々、調子が悪いとショートカットして1キロ少々という情けない状況が続いています。

このコラムを読み返していると、3年前こんなことを書いていました「余力のある間は膝を伸ばした歩き方ですが、上り坂ではやや腰を沈める感じ。後肢で安定的に全身を支え前肢を水平に浮かせ柔らかく前方へ着地。この歩き方だと長距離になっても速度は遅いが歩きを持続できる。支持脚後肢1本で立っても全身がふらつかないこと。支持脚が地面にしっかり根を張ったような意念を持つ。それでいて支持脚がその場に居着くわけではない。滑らかに流れていく動きが大切。何処から押されても1本の支持脚で立っていられる安定性が目標」。

「そうか」と思い、早速翌朝「着地足でしっかり地面を支える意念」で歩いてみました。すると、これまでのような疲労感を感ずることなく歩ける。久しぶりに距離を5キロ少々に延ばすことができました。そしてその翌日も、、

もう少し具体的に述べると「着地のための足は力を入れることなく、操り人形の足のように繰り出す。着地したなら、やや腰を沈めるような意念でしっかり大地を支え、他側の足を前に出す。上体をしっかり起こし頭の重量をまっすぐ腰の上に」。

この歩きにすると疲れず長続きする理由は「下肢に無駄な力を入れることなく、上体も力が入らずしっかり起きているから」と思います。背中が曲がっていたり前傾姿勢では、疲れてしまって長いこと歩くことはできません。

、、そして下旬になると、今年最高の8キロに達する日が3日以上になりました。この歩法のお陰ですが、現在はちょっとしたコツがあります。歩き始めてしばらくすると疲労感が強くなるので、無理せずベンチに腰掛けたり立ち止まって3,4分スマホを見るなど休みをとります。これを2,3度繰り返すうち歩きが調子にのり、休まず最後まで歩き続けることができるようになります。何でですかね、そういえば数年前にもこんなことを書いたことがあるような、、

○ 世界を感銘させる大谷夫妻


メジャーリーグで注目の的だった大谷翔平選手。突如 SNS で結婚を発表。記者会見でも奥様について詳細を明かすことなく、その謎の姿をめぐりあれやこれや、、

結婚発表翌日の TikTok には、彼のお相手とする女性の姿が、、元プロバスケットボール選手の長身の女性で、その笑顔や姿形はエクセレント!! この噂が本当だったら嬉しいなと思いつつ過ごすこと数日、韓国ソウルで開催されるドジャースVSパドレス戦へ出発前という写真が公開されました。その写真1枚では確証がもてませんでしたが、空港到着口から大谷君に続き歩いてくる姿をみて、TikTok の噂がピタリ当たっていたことを確証。

大谷君の数歩後ろをはにかみながら歩いてゆく美しい姿は、現代で忘れられた私の時代の日本女性感そのもの。決してそれだけが良いということではありません。真美子さんは現代女性の自主性や積極性もしっかり持っていると思いますが、伝統的な日本女性らしさも持っていることに感動。私のような古い人間だけでなく、現代の世界中の人々が感銘を受けているようでした。

空港では黒いスポーツウエアに白いスニーカー、目立たずさりげないイアリング。その後のドジャース・オーナーとの会合も簡素なスエット姿。桁外れの年俸を稼ぐ大谷君の配偶者でありながら、華美なものは身に付けずナチュラルメークでさりげない姿は多くの感動を与えました。

SNS では「派手な見た目にしなくても、内面から美しさが染み出る女性になりたいと思った」「真美子さんのおかげでナチュラルメークが流行りそう」と彼女に憧れを抱く声が見られるそうです。これは以前から私が主張してきたこと、日本の女性が少しでもこのような方向に動いてくれれば、とても嬉しい。

同性に対し厳しい女性たちの誰もが、真美子さんには好感を感じているそうです。そうでしょうねえ、、ただ私が心配するのはマスコミのいつものパターン。最初は持ち上げるだけ持ち上げておいて、時間が経つにつれ何だかんだと言い始め貶めようとすること。プロバスケットボールで一流まで上り詰めた真美子さんのこと、これからやってくるであろう揺り返しなどに決してめげることなく、大谷君とともに笑顔で世直しを行っていってください。末永く神様・女神様であり続けてくれますように、、

うーん残念なこと


大谷出場のドジャース第1戦、観戦席には大谷夫人と通訳の水原一平夫人の二人が並んで座り、大谷の活躍に一喜一憂する光景が捉えられていました。試合中あまりにも頻繁に大谷夫人の姿を捉える TV に「試合も見せてくれえ」という声も上がっていたとか

その他にも、空港を歩く大谷選手の後ろで歓談する両夫人の姿がみえたり、大谷・水原通訳との良い関係がそのまま両夫人にも受け継がれていくことが期待されていました。

球場での親密な大谷・水谷のやりとりが映し出された翌日のドジャース第2戦、ドカーンと衝撃のニュース「水原一平通訳が突然ドジャースから解雇」。水原氏が違法なスポーツ賭博で日本円にして6億8千万の負債を抱え、大谷選手がそれを肩代わり。スポーツ賭博が合法な州は幾つもあり、水原氏は違法と知らなかったと弁明しているそうですが、彼の居るカルフォルニア州では違法。知らなかったでは済まされないとのこと。さらに水原氏が負債の返済を大谷選手の口座から勝手に行った横領(米報道では窃盗)の疑いが強いとの報道。

特に気の毒に思ったのは、水原氏の奥様。今回、大谷夫人とともに初めて空港で世の中にデビュー、前日まで大谷夫人と球場で並んで盛り上がっていたのに、一夜明けてこの状況。まさに天国から地獄。事情はいろいろあれど、とても気の毒な思いが強い。水原氏自身は自業自得でしょうけど。多額の負債と罪状を抱え、即座にドジャースの宿舎から退去させられるでしょうし、これからどうするのでしょう、、