2002.03 メール・サーバ不調に悩む

わーくすてーしょんのあるくらし (51)

2002-03 大橋克洋

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コンピュータと付き合いはじめてから、もうじき23年目になり ます。いつもながらコンピュータというものは、水やりと下草苅り の欠かせないものです。哀しんだり喜んだりの繰り返しでもありま す。それがあるからこそ長続きしているとも言えるのですが。 MacOS X の中での生活も、水やりと下草苅りの甲斐あってかな り心地よい状態になってきましたが、それでもまだまだ手のかかる ことも少ないとは言えません。今月は、そのようなことについて触 れてみたいと思います。

そうそう、その前にアップル社の名誉のために問題点が解決され たことを報告しておきましょう。MacOS 9.2 になってから PHS カードが認識されなくなり不便だと先々月号に書きました。仕方な くPowerBook には MacOS 9.1 を載せていたのですが、最新の MacOS 9.2 ではめでたく PHSカードを認識してくれるようになっ たことをご報告しておきます。

○ メール・サーバの不調に悩む

私のところは Web も メール・サーバも自前で自分の施設内から 立てていますが、4か月ほど前からメール・サーバの不調で悩まさ れてきました。

MacOS X Server 標準のメール・サーバは設定も極めて簡単ですし 、IMAP を装備しているのでどこのマシーンからアクセスしても共通 のメールボックスを使用でき、POP のようにマシーンが変わるごと に同じメールを何度も読まされることがありません。とても便利な ものです。POP ではサーバにたまったメールを各端末に取り込み、 分類したメールの管理など端末側でしなければなりませんが、IMAP ではサーバ側に分類フォルダーを作って管理できるためです。

しかしこのメール・サーバが不調になり困ってました。やがて M acOS X Serverがバージョン 10.0 から 10.1に上がるに従って直り 、やれやれと思ったのもつかの間、やはりまた駄目です。 一旦メールボックスを捨てて新しく作り直すとしばらくは動くよ うになるので、何かの具合でメールボックスの中の構造が壊れてし まうのだろうと想像しています。

バージョンアップを重ねていくと安定してくるのでしょうが、今 のところ使い物にならないようです。しかしメール・サーバは今の 時代重要なものなので、バグならもうフィックスされてもよさそう に思います。米国でもこのようなことがあろうとは思えません。き っと英語圏では安定して動いているのではないでしょうか。 もし日本語がらみの問題だとすると、まだ日本でこれを使ってい るユーザはかなり少ないでしょうから、Apple 社もすぐには腰をあ げない可能性がありますね。

この話を聞いて MacOS X の Mail アプリケーションが不安定と 勘違いされている方があったので、念を押しておきます。自前のメ ール・サーバを MacOS X Server で挙げる場合のみ、現時点では まだ問題があるということです。通常使うMail アプリケーションは、 MacOS X のものでまったく問題ありません。

○ ようやくメール・サーバ復活

ということで、以前インストールしていた sendmail に戻そうと 思ったのですが、MacOS X Server 10.0以後は sendmail を動かすに 必要な sendmail.cf を編集するツール CF がうまく動作しないと聞 きました。そのようなことで不調のメール・サーバをだましだまし 使ってきたのですが、余りにもしばしば不通になるので、皆から文 句の矢が飛んできます。奥方や娘も e-mail を日常の道具として使 っていますので、「どうしてくれるのよ」と責められてきました。

先日コンピュータ仲間から postfix を教えてもらい、彼の手助け も受けながらインストールしました。考え方は sendmailに通ずるも のがありますが、設定はずっと簡便です。私のところのやや複雑な ネットワーク構成の問題で、最初すんなりつながらない問題があり ましたが、それさえわかってしまえばバッチリでした。これでよう やく約4か月ぶりに私のところのメール環境も安定しました。やれ やれです。ご迷惑をかけた皆様、ごめんなさい。

繋がってみると、外の世界はメールにとっついて繁殖するウイル スで皆パニくっているようです。私のところにもそれらしきメール が頻繁に届きますが、現在のところMacOSX の環境ではゴミ箱へポイ で終わりなので気が楽です。Windows の世界ではてんやわんやの大 騒ぎのようですね。これをきっかけに、いろいろなプロバイダーが ウイルス・チェックのサービスを始めたようです。なるほど「災い を転じて福にする」ですか。なかなか商魂たくましいですね。

○ NeXTPrinter 復活

MacOS X 10.1 になってから、ネットワーク越しにNeXT のレーザ プリンタへ繋がらなくなってしまいました。それまでは繋がってい たのに。

今回 MacOS X 10.1.2 へのアップグレードがありました。変更点 の中にプリンターへの対応というのがあったので、もしやと思い N eXT のプリンターへ出力してみました。嬉しや!NeXT の方でブーン というプリンターの立ち上がる音がするではありませんか。しばら く待つうちに無事 NeXT プリンターから印刷された紙が吐き出され てきました。

ついに NeXT は切り捨てられたかとがっかりしていたのですが、 これで NeXT マシーンもプリンターサーバとしてしばらくは延命を 果たせそうです。この NeXT プリンターは1990年頃に NeXT マ シーンが発表されるとともに購入し使ってきたものです。中身は C anon のエンジンを使っており、さすがに寄る年なみで時々紙の吸い 込みが悪いのですが印刷速度も早いし、それに何といってもあの黒 光りするスクエアな筐体には捨てがたい魅力があります。

○ シェアウエア SNAX(Finder 機能)

最近購入して気に入っているシェアウエアを2つほどご紹介しま しょう。MacOS X の Finder にも大分慣れ、それなりに便利なとこ ろもあるのですが、それを使って1年半を経ても、やはり NeXT 社 の OPENSTEP に比べ使いづらい感じは消えません。

誰も同じことを考えるとみえて色々な Finder ライクなものがで ていますが、SNAX というシェアウエアを米国から購入して downlo ad しました。これは OPENSTEP の頃のFinder に近い感触のもので 気に入りました。NeXT 以来のブラウザー機能は多くのフォルダーを 渡り歩くのに大変便利で MacOS X でも私はアイコン表示でなくカラ ム表示を使っていますが、SNAX では現在に至るまで経由したフォル ダー名が、ボタンとしてカラム上部に表示され、これを使ってさら に便利に無数のフォルダーの中を渡り歩けます。

Mac でファイル名を変更するにはファイル名のところを軽くクリ ックしてしばらく待つと、そこが選択されてファイル名が編集可能 になります。しかしこの待ちのタイミングはなかなか使いづらいタ イミングです。せっかちにやるとそのファイルをダブルクリックし たことになりファイルが立ち上がったりします。SNAX でのファイル 名の変更はもっとプリミテイブなもので、ファイル名変更用のダイ アログボックスが立ち上がり、その中でファイル名を変更するもの です。

Mac オリジナルの方法の方がスマートなのですが、実際には思う ようなタイミングで変更できず使いづらく感じます。このようなち ょっとしたことが日常の道具の使いやすさを大きく決定してしまう ことが往々にしてあるものです。

SNAX で唯一残念なのはOPENSTEP で実現されていたシェルフとい う機能のないことです。シェルフでは、Finder 上部のアイコンを置 いてあるスペースを好きに拡張することができ、その空いたスペー スにファイルを仮置きしたり、常時使うアプリケーションのアイコ ンを置きそこから立ち上げるというランチャーがわりに使えたりと 、とても便利な機能でした。

○ シェアウエア WindowShadeX

もうひとつシェアウエアとして便利な小物を購入しました。従来 の MacOS や初代の MacOS X Server で標準装備されていたウインド ーシェード機能です。ウインドー上端のタイトル部分をダブルクリ ックすると、シュッという音がしてウインドーがタイトルだけにな ってしまうものです。これは元々フリーだったのが、後日 MacOS に 正式にとりこまれたものと記憶していますが、どういうわけか Mac OS X になってからはずされてしまいました。

ドックに吸い込まれる現在の方法は格好は良いのですが、ドック にはアプリケーションが山のように置いてあるので、最小化された ファイルをドックの中から探し出すのは気軽というわけにはいきま せん。そのような意味で仮り置きするには、ウインドーシェードで タイトルだけにしておいた方が便利なのです。

現在この原稿は外来診療の合間に書いていますが、患者さんがき たらこの原稿のウインドーをシュッとタイトルだけにして、その下 にあらわれた電子カルテで診療をすることができます。また暇がで きたらシェードを降ろして原稿を書き続けることができるというわ けです。 沢山の書類を参照する場合も、横長の短冊型になったタイトルを ひとずつシュッと開いたり閉じたりしながら作業できて便利です。

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