1994.09 NeXus シンポジウム

わーくすてーしょんのあるくらし ( 12 )

1994-09 大橋克洋

NeXus(日本 NeXT ユーザ会)の活動が活発だった頃の 原稿を発掘できましたので ここに掲載します(2006-07-09)

以下は 1994年9月12日に行われた NeXus シンポジウムにおける 「NeXus 過去・現在・未来」と題した NeXus 代表幹事として私の講演原稿です。

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○ 過去

1990年春にキヤノンからユーザ会を作りたいとの連絡が個人的に あったが、その後数か月を経ても連絡がなかった。

そのうち junet 経由で塩谷さんから e-mail が届き、われわれの手でユーザ 会を発足しようという事になった。渋谷の大盛堂で待ち合わせをして 発起人5人が私の自宅に集まった。 これが NeXus 最初の発起人会。

そこで

    • メーカー、ベンダーとは独立したユーザ会とする。

    • jus などと同様あくまでもボランテイア活動によるものとする。

    • NeXT のハードウエアに限定せず、それに代表されるハード・ソフト 技術に興味を持つユーザの集まりとする。

など現在の NeXus の骨子が決まった。そして

    • すべての会員が何らかの形でアクテイブに会の活動にかかわること。

を常に強調してきた。 会員数の増加につれて、「会費をはらったのに何もしてくれない」 とか、何もやらないのに文句だけを言うお客さん会員が増え、 必ず会が荒廃してくるが、これを防止するためである。 これが現在の NeXus のパワフルな活動につながっている。

○ 現在

昨年春 NeXT 社 はハードウエア部門から撤退し、その後の動向が注目 されたきたが、Intel machine 以外に Sun, HP, DEC にも OpenStep として正式採用が決まり、NEXTSTEP のプラットフォームが広がり、 さらなる発展が期待される結果となった。 ハードがなくなったことによる NeXus 会員数の減少も懸念されたが、 入会者はその後も増加の傾向をたどりつつある。

NeXus の活動が成功しているのは、

    • 各会員が会の活動にアクテイブにかかわるよう常に努力している。

    • そのために SIG を設け、会員ごとに異なる興味の対象を吸収し、 かつ、積極的関わりのチャンスを多くしている。

    • SIG や支部活動、そして NeXusNet などのネットワークによる 分散処理環境を最大限に発揮するよう努めている。

などであろうと思う。

一昨年、昨年に引き続き、今年も6月にサンフランシスコで開かれた NEXTSTEP Expo に総勢約30名の NeXus 旅団が参加し、会場に ブースを出し、PR をしてきた。目立つ NeXus ジャンパー を着て、会場で金髪の受付嬢から 「Oh, NeXus team !!」 という声があがるほど受けていた。 Steve Jobs 氏も大変好意的に接してくれ、今年は NeXT 本社のロビーの見学を許してくれた。

創設当時、NeXT に関する情報がまったくなかったので、「ユーザ会を 作るのが一番早い」という考えが創設メンバーの思いの中にあった と思うが、これは現在十分に機能している。 多くのパワーユーザを抱え、今やユーザ会に質問を投げる のが最も実際的な答えを最も早く得ることができる。

○ 未来

PC の最大シェアを占める Intel machine に引き続き、WS のシェアの 7割ほどを占める Sun, HP, DEC への openStep 採用がもし軌道に 乗れば、NeXus の会員数ももっと増える事が予測される。

いろいろな会の歴史を見てきたが、NeXus としては成熟期に入った これからの運営がむしろ難しいところと考えている。 傍観者としての会員をなるべく無くし、すべての会員が自分の出来る 範囲で会の活動にアクテイブに関わるというポリシーをつらぬく ことができれば、NeXus を維持することはかたい。

皆さんと一緒に頑張って楽しい、やりがいのある、パワフルなユーザ会 を維持していきましょう。

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