1999.12 WINE ももうじき Mac の上

わーくすてーしょんのあるくらし (24)

1999-12 大橋克洋

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この原稿を書いている時点で、Apple 社がまた新しい機種を発表 しました。PowerMac G4 と Cinema Display という製品です。 おー、素晴らしいですね。 今度のデザイン・コンセプトは「クリスタル」でしょうか。コン ピュータ仲間で「ポリタンク」と呼んでいたブルー & ホワイトの 函体4隅についていた取手のような部分や、新しい液晶デイスプレ イの足が透明でクリスタルな感じになりました。

これでようやく「Apple に Jobs が帰ってきた」という実感が沸 いてきました。良くも悪しくも Steve Jobs (Apple 社の創設者 で、現在 Apple 社の暫定 CEO)のデザインに対するこだわりが製品 に正しく反映されてきたように思えます。

これも世の中の他社製品に今後かなりの影響力を持つことは間違 いないでしょう。もし二番煎じで真似するなら、本家を越えて欲し いものです。 そうなれば世の中に美しいものが増えてハッピーです。

○ 電子カルテ WINE を MacOS X Server へ移植中

外来診療で使っているマシーンは、まだ3年前に購入した DOS/V マシーンです。この上に MacOS X Server の前身となった OPENSTEPという OS を走らせ、電子カルテ WINE で仕事をしてい ます。一方書斎の PowerMac G3 マシーン(昨年春に購入したの で、ポリタンクより前の機種)の MacOS X Server に、現在 WINE を移植作業中です。

ポリタンクは周辺機器を接続する SCSI ポートを標準で持たない とか、いろいろ新しいアーキテクチュアを搭載していますが、まだ それに対するドライバー(周辺機器を接続してコントロールするソ フト)が余り出ていないので、むしろ私の旧型マシーンの方が便利 だったりするようです。 MacOS X Server という OS や、その開発環境は OPENSTEP のそ れを継承しているので、WINE をそのまま移植するのは極めて簡単 なのですが、どうせならということで、更にチューンアップしよう と時間をかけています。

○ MacOS X Server は日常の仕事に使えるか

MacOS X Server にはビットマップのフォントが載っていないの で、通常使うサイズのフォントが汚いのがイヤなのと、まだ周辺機 器を接続するドライバー・ソフトが無いに等しいのですが、私のと ころのようにネットワークで従来の NeXT やOPENSTEP マシーンと 接続できる環境では、ほとんど不自由なく仕事に使えそうです。 現段階では MacOS X Server 自身は PostScript プリンターでな いと出力できないようなのですが、私のところでは NeXT か OPENSTEPマシーンのプリンターに、ネットワーク越しで出力すれば 奇麗な印字が得られます。

汚く見えるフォントも拡大してみると、奇麗なアウトライン・ フォントですが、そのまま縮小すると汚く見えるようになるので、 通常使うサイズでは別にビットマップ・フォントを用意しておかね ばならないのですが、とりあえずサーバ用ということで、そこのと ころは手を抜いているのでしょう。

電子カルテ自体は、ほとんど問題なく MacOS X Sever 上で使え る状態になったので、そろそろ外来の DOS/V マシーンを PowerMac G3マシーンにリプレースしようと考えていますが、残る 唯一の問題はe-mail です。一応 e-mail も問題はないのですが、 MacOS X Serverに現在ついてくる MailViewer というアプリは、 フォントが汚かったり、沢山メールボックスに溜め込んだりする と、やたらレスポンスが遅かったりするのです。NeXTMail が余り にも快適だっただけに、この一点だけで悩んでいます。強いて言え ばもう一点、FaxViewer もまだないのは不便ですが、こちらは何と か我慢しましょう。

恐らく次回の原稿を書く頃には、外来のシステムは Mac の上で 動く MacOS X Server になっていることでしょう。

○ 熱暴走

この原稿を書いている段階で、ようやく残暑もなくなり朝など秋 らしい気持ちのよい空気となってきました。九州地方を大型台風が 襲ったようで、こちらも雨です。 今年の夏は、コンピュータ歴20年の中で初めて明らかな「熱暴 走」に悩まされました。昼頃になると、電子カルテがやたら不安定 になり、データベース・サーバと接続できなくなることが頻発して 仕事にならない状態が続きました。

電子カルテのサーバはサンマイクロシステムズ社の Sparc に Oracle というデータベースを載せて運用しています。その Sparc は2階の誰もいない部屋に置いてあります。日は当らないのです が、冷房をかけていないので入るとムっとします。 扇風機をかけっぱなしにしても駄目です。仕方がないので、空調 の効いた外来にサーバを降ろしたら、ウソのように機嫌が直ってし まいました。まったくゲンキンなものです。

今迄コンピュータはかなり酷使してもトラブったことはなかった のですが、初めてまともな(?)経験をさせてもらいました。 電子カルテもデータベースサーバが不安定になると、まったく仕 事にならないことを実感し、このような緊急時はサーバを使わず、 単独でも運用できるよう急遽プログラムを改良するというメリット はあったようです。

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