2001.05 これからメインマシーンはノートブック

わーくすてーしょんのあるくらし (41)

2001-05 大橋克洋

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今年1月に開催された Mac Expo で、Apple 社から念願の VAIO 級のPowerBookG4が発売されたことを先月号に書きました。 長年このようなものを求めてきたこともあり、迷ったあげく購入 することにしました。現在使っている PowerBookG3 はまだ2年しか 経ていませんが、WINE 開発をも含めたメインマシーンはデスクトッ プ型から、完全にノートブックへ移行している私としては、今まで よりさらに気軽にどこへでも持って歩ける強力なメインマシーンの 誘惑には打ち勝ち難いものがあります。

従来の PowerBookG3 も院内の端末として使うことにしました。W eb で早速 AppleStore へオーダーしましたが、5週間ほど経た現在 、まだ到着しそうな気配はありません。3週間ほどで納品というこ とだったのですが、その後 Apple から e-mail が届き、予想外に申 し込みが殺到したため生産が追いつかないそうです。それはそうで しょう、私のように長年の間、薄くて軽い Windows のノートを横目 でにらみながら、VAIO 級の PowerBookを求めてきた人は山ほどいる はずですから。

昨年秋の MacOS X public beta 発売時の長蛇の列へ対応できかな ったのと同様、Apple 社としては嬉しい誤算ということでしょうが 、待たされるユーザとしてはたまらないという、いつものパターン です。 ということで、今月号には是非チタン合金の PowerBookG4 の第一 印象を書こうと思い、原稿を延ばし延ばしにしてきたのですが、と うとう間に合いませんでした、、、と書いていたところへ Appleか ら出荷のメールが届きました。現在 Apple では発注後45日で納品 とアナウンスしているそうですが、奇しくもその45日目に出荷の 知らせです。翌日宅配便で待望の PBG4 が届きました。

○ チタン合金の PowerBookG4 第一報

実物は従来の Apple 製品にしては、極めてシンプルという印象で す。VAIOよりずっとシンプルで、銀色の機体は宇宙から来た物体を 思わせます。ネジをはずし裏蓋をとってみました。チタンの 外壁は意外に薄く、アルミ箔を少し丈夫にした程度に見えます。こ れは、ぶつけないようにしないといけませんね。

キーボード周りの感じは白い外枠がうまく生きておらず、このあ たりのコーデイネイトにもう一工夫あればさらにベターという感じ がしましたが、それ以外は申し分ありません。私が常に唱える「シ ンプル・イズ・ベスト」にかなっています。

G4 なので起動も従来の G3 より早いかなと期待したのですが、あ まり早そうにも見えません。しかし、G3 と一緒にイチニノサンで起 動してみると、立ち上がりはかなり早いようです。 私が気にしていた外部デイスプレイーを接続してのミラーリングは どうでしょう。ばっちりOKでした。

外部デイスプレーと外部キーボード・マウスを接続して使って みました。この場合蓋を閉じてしまうと、外部デイスプレー への出力は問題ないのですが、蓋を開けてみると内部デイスプレー への出力が死んでしまうようです。デモの時は蓋に何かはさんで 閉じないようにしておかなければいけないようですね。

ただし私の本当の関心は OS X ではどうかですので、まだわかり ません。私は MacOS Xでしか使わない人なのですが、OS X の正式 発売が3月24日ということで、残念ながらあと2週間少々はクラ シック環境でしか使えません。

○ マシーンの寿命はさまざま

チタンのノートブックを注文と聞いて、いやいや大橋はもっとPo werBook を持っていたはずだぞと鋭い方もいらっしゃると思います。 2年前の5月に発売されたばかりの PBG3 を購入し、勇んで Mac OS X Server を載せようとしたところ、旧型PBでないと動かないこ とが判明、X Server を動かすため半年後にやむなく買った中古のP BG3があったのです。11月の医療情報連合大会での発表に間に合わ せるべく X Server を載せて WINEを走らせ、それからしばらくその 中古マシーンは WINE の開発マシーンとして活躍していました。し かし、昨年夏に OS X public beta 発売とともに、今度は新しいPB G3 でも動くようになり、メイン環境はそちらへと移行しました。

そんなところへ、私が役員をしている東京産婦人科医会事務局の Mac が完全に壊れてしまうという事態が発生し、この中古PBG3を提 供しようと、OS を X Server から通常の MacOS に載せ替えるため イニシャライズしたところ、そのハードデイスクが認識できなくな りました。最初はハードデイスクのフォーマットの問題かと思って いたのですが、他のマシーンのハードデイスクと交換してみても、 NortonUtility などの修復ソフトを使っても完全に認識できなくな ってしまいました。

症状から見て、ハードデイスク・コントローラ周りのハード的な 故障と思われます。そもそもが中古ですので、いまさら費用をかけ て修理に出すのも躊躇され、やむなく退役と相なりました。 中古で手に入れて約9ヶ月ほどでしたが、バリバリに活躍したマ シーンで、太く短い寿命でした(スリム化が進む前のマシーンで、 胴体も文字通り太かったのですが)。

○ これからはノートブックがメインマシーンの時代

これからパソコンを購入しようという人には、なるべくノートに するよう勧めています。その理由は

    1. どこへも手軽に持ち運べ、自分の居るところが操作環境。

    2. 記憶容量も処理速度もデスクトップと変わらなくなった。

    3. ネットワークに繋がってしまえばデータを持ち歩く必要はない。

    4. モデムカードを内蔵し一度インターネット設定すれば、ネットワ ーク周りを意識する必要がないので、初心者にもってこい。

    5. マシーンごと持参して教われるので、自宅へ帰り復習できる。

    6. ソフト・ハードのトラブル時、マシーン自体を持参して相談できる。

(1)から(4)までは、初心者だけでなくベテランにとっても大きなメ リットです。

難点は、デスクトップに比べやや価格が高いことですが、それは 上記のメリットで補って余りあると思います。 どうしてもデスクトップと同じ環境で使いたい時は、ノートブッ クに外部デイスプレイとキーボード、マウスを接続すれば、デスク トップと何も変わらない状態で使うこともできます(現在使ってい るPBG3とOS X public betaとの組み合わせでは、この場合ノ ートの蓋を閉じてしまうと、sleep 状態に入って外部デイスプレイ の画面も真っ黒になってしまいます)。

○ ノートブックをどんな構成で使うか

今回注文したチタンのノートブックは、メモリーを384MBに増 設、AirMac カード内蔵、予備のバッテリーという構成で注文してい ます。価格が上がってしまうので、ハードデイスクはひとつグレー ドを落としました。これは後で自分で大容量のものを買ってきて、 差し替える予定です。

特に私の場合ソフト開発に使いますので、メモリーはあればある だけ良いのですが、価格との兼ね合いでとりあえずこんなところに しました。AirMac カードがあると、イーサケーブルを使わず無線で LAN 接続ができるので、「どこでも開発環境」を実現するには必須 です。PBG4 は通常の使い方でバッテリーは5時間もつということで すが、予備バッテリーがあれば10時間になります。これだけあれ ば十分でしょう。PBG4はPBG3のように左右2個バッテリーを装着 することができないのが泣きですが、稼働中でもバッテリー交換で きるのだそうです。

前述の東京産婦人科医会事務局も、新しく購入するマシーンはこ のPBG4にする予定です。事務局ではテンキーが使えないと不便とい うことがありますが、外部キーボードが繋がるので大丈夫でしょう。 事務室だけでなく会議室などでも使えるので、事務局は便利になる はずです。

○ 都会のネズミ田舎のネズミ

最後に、ノートブックとはまったく関係ない話です。数ヶ月前の ことですが、医療関係の ML でこのような Subject のメールが流れ ました。 「インターネットは都会と田舎の情報格差をなくすものであるはず なのに、実際は ISDN、ADSL、ケーブルテレビ、その他インターネッ トのインフラは全て、大都市、小都市の順で開通され、うちのよう な田舎の町はいつでも一番最後です。ITのインフラ整備は、田舎 から始めて、大都会は最後に」というものでした。

これを読んで私からコメントしました。「東京に住んでいるもの の実感としては、その逆もあるんですよ。確かに秋葉原は近いし、 何かと便利な点が多いのは確かです。しかし、実際に医療が接続で きるインフラへの行政のサポートや医師会の取り組みを見ていると 、地方には実にうらやましい事例が沢山あるように思えます。東京 は交通の便などがよいことによるのだと思いますが、うちの医師会 では IT 関連に関する意欲のカケラもなくがっかりします」。 ML の結論としては、どちらにも良いところと悪いところがある ということで落ち着きましたが、「都会のネズミ田舎のネズミ」と いう Subject はうまくつけたものだと感心した次第です。

うちの医師会も、今期ようやく事務局内に Web, Mail のサーバ設 置し OCN 常時接続としたのですが、それが私にできるやっとのこと で、残った予算で事務局を e-mail reachable にするためノートブ ックを3台とネットワーク対応プリンターを買ったところ、コンピ ュータを3台も一度に買う必要があるのかと大問題(?)になり、わざ わざ経理部委員会まで開いてスッタモンダしました(事業計画と予算 は総会で承認され、具体案を担当委員会にもはかり、さらに理事会 も通っているので通常は問題ない処理のはずなのですが)。

このアレルギーに、私はほとほとイヤ気がさしているところです 。そんなことで、じゃあ医師会の予算を使わずやるっきゃないと、 副会長みずから事務局の床のフリーアクセスの床をひっぱが してはい回り LAN 配線をしてきました(実に情けない、、、のは私 の説得力の無さ)、とついグチの一つも言いたくなってしまいます。 それを見ていた事務長もさすがに「先生がやらなくても、業者に やらせますよ」と言ってくれましたが、あれから大分経ってもその 気配はありません。いずれ、もう少し作業をしなければならないと 思っています。

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