2010.12 五感六力

わーくすてーしょんのあるくらし ( 214)

2010-12 大橋 克洋

碧空に満月冴えて 寒の朝 12月24日

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◯ 五感六力を鍛える

先月の産経新聞に茶道家の千玄室氏が「五感六力を鍛えよう」というコラムを書いていました。五感は、正義感・使命感・責任感・危機感・安心感、六力は、知識力、説得力、行動力、包容力、判断力、忍耐力だそうです。これが養われてはじめて無難な生活の営みができるとか。うーむ、自分を振り返ってみると、五感はともかくだいぶ力不足がありそうな、、

「顔と心とは別と言われるように、怒ったり人を陥れたりしないと思わえる温顔な人が案外怖いのである」「どこかの国の大人の顔はニコヤカで、すぐにでも友人になれそうなタイプが多い。ところが組みしやすいと思って付き合うと後が大変である」「尖閣諸島の問題でも、わが政府は組みしやすいと思って臨んだように思われる」、そうですね。玄室氏は「国民の一人ひとりが国を思い憂い、将来への希望が持てるよう自分自身を鍛えないと、この国はいよいよ落ち目になって行くのではないかと心細く思う」とも述べていました。

◯ 民主主義の原点は何か

同じく産経新聞、京大の佐伯啓思教授のコラムから。「先日行われたアメリカの議会選挙で民主党は大敗した。オバマ大統領への批判の表出だという。2年前のオバマ・ブームから民意はまったく逆の方向へ振れた。日本においても昨年の民主党ブームはすっかり過去のものとなり、今では政権を維持するので精一杯」「つまり、日本においてもアメリカにおいても、問題は民主政治そのものにあると思えてくる」と述べています。

「民主政治では、主権者である国民は政治に対し過大な要求を突きつける」「何か問題があれば、人々は政治がそれを解決するべきと過剰に期待する」「国民の皆様のために働かせて頂くなどと述べようものなら、町会長のもとへありとあらゆる不満や苦情が殺到するようなもので、うまく解決されないと不信や失望が大きく増幅されることになる」「いくら国民が主権者であると言っても、政治に対する過度な期待や過剰な失望を自制しなければうまく行かないのである」まったく、その通りと思います。

では、どうすれば良いか。私の考えでは「政治に期待するだけでなく自分に何ができるかを考え、自分にできることをもって社会へ貢献すること」、これこそが民主主義の原点と思います。私のメールのフッターに、ケネディ大統領のパクリで「何をしてもらえるかではなく、何ができるかに楽しみを」と書くようになったのには理由があります。昔仲間と始めたネットワーク・グループ、会員を増やそうと努力した結果「会費を払ったのに何もしてくれない」という不満でぐちゃぐちゃになり解散。後に立ち上げた NeXT ユーザ会では入会申込書に「あなたはこの会に入って何をしたいですか?」という設問を設けました。その結果、この会では皆が積極的に会の運営に協力し、とても活気のある楽しい会になりました。ケネディ大統領の言葉「国に何をしてもらえるかではなく、国に何をできるか」、これこそが民主主義の原点、もっとも重要なポイントと思います。

さて、老齢化の時代「これからは老人パワーを十分に活用すべき」ことを、老人(?)として強く思います。「他人に迷惑をかけたり寄りかかるなんてクソ喰らえ。独立独歩で生きて行きたい。そして些細なことでも良い、死ぬまで社会のために役立つことをして行きたい」と考えます。もちろん、そうは思っても身体の自由が効かなくなることもあるでしょう。しかし少なくともそのような思いを持って、健康に留意しながら心身を使いきって人生を終わるよう努力するべきと思っています。

◯ ところで、一方

ところで民主主義の反対、共産主義を考えてみました。ネットワーク黎明の頃の UNIX ユーザ達、いわゆるハッカー達の生き方こそが本当の意味での共産主義かなと思います。つまり、いろいろな新しいものを皆が競いあって創造し、無償で共有。当時のヒッピー達にも同じようなものがあったように聞きます。財産を持たず、生活に必要な色々なものを皆でシェアしながら、生活をエンジョイし、支えあって生きてゆく。それこそが本当の意味での共産主義と思うのですが、、

さて現実はどうでしょうか。初期の理想とは裏腹に、共産圏のどの国を見ても国民の生活はハッピーには見えません。一方、指導者層には非常にハッピーな生活を送っている人がいるように思えます。このような中で中国だけが共産主義を維持しつつ、驚異的な自由経済の恩恵を享受しています。先月、中国広州で開催されたアジア大会のニュースを見て「やはり、まだ(共産主義の)体質は変わらないなあ」と思うことがありました。女子柔道48キロ級、福見友子の延長までもつれた決勝。にげ廻るだけの呉を福見は終始攻めつづけ、GSの間だけでも3度、小外刈で呉を畳に転がした。数人の大会役員が立ち上がり両手で観客に声援を仰ぐ異様な光景、モンゴル人主審と韓国人副審が呉を支持する白旗を、レバノン人副審が福見を支持する青旗を上げた。結果は1−2で福見に負けの判定。

10代の頃から体操競技が大好きな私、オリンピックなどで東欧やソ連など共産圏の審判から、このような明らかにアンフェアな判定が下る光景を何度も見てきました。あれから50年以上を経ても結局、体質は変わらないんですね。これはすなわち「共産主義とフェアな騎士道精神とはまったく相容れない」ということです。メカニズム的に、どこがどうなって そうなるのか解明できませんが、独立独歩、自分の正しいと思う信念を貫くなら、どちらの陣営に住むべきかは明白なことです。

◯ 指揮官

NHKドラマ「坂の上の雲」は3年越しの大ドラマ、とても楽しみに観ています。昨日の再放送の中で、ある言葉が印象に残りました。海軍士官として自分の命令で部下を亡くし悩む秋山真之に「指揮官とは何ですか」と問いかけられ、東郷平八郎は「指揮官は瞬時に判断を下さねばならない。そして自分の下した判断には神の言葉のように従う。しかし、その判断を下すには10年余もの時日を要する」というような答えでした。なーるほど、物事の真理については常日頃から考え勉強していかなくてはならないのだなと自戒するとともに、国の政治を司ろうとする人達にも是非肝に銘じて欲しい精神です。

◯ 運命を左右する個人の資質

以下は「真珠湾攻撃」開戦の日にちなんで、ある ML の書き込みからの引用です。

昨年の歴史部門のベストセラー『それでも、日本人は 「戦争」を選んだ』(加藤陽子著)から一節を紹介してみます。

満州からの引き揚げた人々の過酷な体験談は広く知られていますが、 なぜ、彼らが満州に赴いたのかはあまり知られていません。 元々日本政府の満州への移民政策がありました。 寒冷の地で人気がないため、政府は県をとおして 村長らに「村ぐるみで開拓移民すれば、特別助成金や 別途助成金を支給する」と約束して、移民を募るように 指示したのでした。これを分村移民と言います。 ところが中にはこういう補助金をもらうために開拓民を 集めるやり方に批判的な村長も一部にいました。そういった 村長の村からは当然移民は出されなかったのでした。

移民した先で賢明な開拓団長に率いられた村では元の 土地所有者であった中国農民と良好な関係を築き、 敗戦となるとただちに、中国農民代表と話をつけ、 開拓団の農場、建物を無償で提供し、安全な地点までの 道の警護を依頼し、もっとも低い死亡率で帰国した例も ありました(長野県千代村)。

歴史の必然に対して、個人の資質がいかに大きな影響を 持つかを正直に語っていると、加藤陽子先生は結んでいます。

私の住んでいる武蔵小山商店街も満州へ集団移住をしてほぼ全滅と聞いており、 TV の特集番組で取り上げられたこともあります。そんなことで印象深かったのと 「運命の渦中にあっても個人の資質がいかに大きな影響力を持つか」ということに、いたく共感しました。

◯ 今月の歩術

後足の踵が上がらないような歩き方が大分できてきたのですが完全ではありません。まだ踵の関節が硬いのだと思います。そこで朝練の中で八卦掌の歩きのメニューをちょっと変え、後足の踵を床にしっかり着けたままの歩きを何度も繰り返す練習をしています、檻の中のクマのように。数ヶ月続けると踵の関節も大分柔らかくなるはず。

最近のお薦めは先月書いたものです。直立の姿勢から少しずつ足を横へ滑らせ、写真のように身体を沈めます。そのまま身体を伸側脚の上へ移してゆき上体を起こす。再び上体を沈めて反対の方向へ同じ動作。シーソーのようにこの動作を繰返します。初めての時はとんでもなくキツイ運動に思え、股関節がバキバキと音を立てましたが、数ヶ月続けるうち楽に行えるようになってきました。

この運動がお薦めなのは「腰の力」「腰の安定」を極めて高めるからです。中年以後の女性に多い「膝の故障」の防止効果も大きいだろうと思います。多少膝にも負担がかかるかなと思っていたのですが、慣れてくるとこの姿勢から体重を反対脚へ移す動作も太腿や膝の力ではなく、後脚から前へ押し出すようにすると負担が少ないことを会得しました。これを始めてから、歩行時の腰の安定が やたら良くなりました。腰の力を着けるのに非常に有効と思います。腰から脚にかけての筋力を強化するため、膝への負担軽減効果も大きいはずです。

◯ ウオーキングはでこぼこ道で

「効果的なウオーキングはでこぼこ道をバランスをとりながら歩くこと」というウオーキング学会会長で東京学芸大の池田克紀教授の言葉が新聞に載っていました。その通りと思います。中国武術の基盤「身体のバランスをとる」と「歩き」は密接な関係がある、と深く感じてきました。その両者を基本に取り入れた武術が八卦掌で、毎朝その簡単な基礎トレーニングを行っています。バランスが崩れたときジグザグに歩くのは簡単なのですが、丁度綱渡りをするようにバランスを保ちながら直線上を歩くのは結構難しかったりします。

池田教授は「ウオーキングにより代謝が向上し血中糖分の取り込み量が増えるため血糖値を下げ、脂肪がつきにくい身体になる。また筋肉増強により姿勢を保ちやすい身体となる」「効果的なウオーキングとしては、坂道、階段、砂利道、砂浜など、安定性の悪い場所をバランスをとりながら歩くのが良い」「一歩一歩の路面が違うので、身体はさまざまな方向へバランスを取ろうとし、身体の隅々まで刺激される」と述べています。数年にわたる「歩術」の研究から会得したことと寸分違わぬ意見です。

昔から山の頂上に存在し、長い石段や砂利道を歩いてお参りする神社仏閣は、老人にとって最良のリハビリと言えるでしょう。昔の人がそこまで考えていたかどうかわかりませんが、非常に合理的なことだったと思います。

「平起平落」すなわち、足の裏を水平に抜いて水平に前方に着く歩き方ですが、不思議なことに歩道の端の段差や大きな石ころ道でも、まったく問題なく上体のバランスを崩さずに歩けるのです。恐らくは「電車のなかで掴まらずに立つ」などのトレーニングの成果で、無意識のうちに「全身のバランスを取る」が裏で機能するようになったこともあろうかとも思います。

ということで、このようなトレーニングは身体に負担をかけず簡単なので、老化に向かう世代にはとてもお薦め、、

◯ 腰を落とす

菅直人首相は21日、日本プロスポーツ大賞を受賞した横綱・白鵬関を首相官邸に招き、 内閣総理大臣賞を授与。白鵬関は自分の手形と「道」の字が記された額を首相に贈呈したそうです。 白鵬関は記者団に「土俵際の首相にアドバイスを」と問われ 「一つ腰を落とせば大丈夫だと思う」と秘訣を披露したそうです。

なるほどねえ、菅首相のことではなく「腰を落とす」という言葉に共鳴しました。 長年続けている「電車の中で掴まらずに立つ」、数年来ここに書いてきたように試行錯誤してきました。 現在のコツは「上体を柔軟に」「腰を柔らかく」です。上体を柔軟に保つと 予想外の揺れにも動揺が少なくてすみます。大きな揺れでバランスを崩すのは、身体とくに上体が硬いからです。 背の高いビンはちょっとした揺れで倒れますが、コンニャクの方が倒れにくいように。 「上体を柔らかく保つ」には月日をかけたトレーニングが必要ですが、これについてはまた改めて。

しかし更に強い揺れに対しては、上体が柔らかいだけでは抗しきれません。 このような時は腰を落とすのが一番。これでかなり大きな揺れを凌ぐことができます。 文化大革命で排斥された中国武術家の多くが台湾へ移り住みましたが、 その一人の老武術家が数人の学生相手に取り組む映像を YouTube で見ました。 学生4,5人が周りを取り囲み攻めるのですが、彼らは次々と赤子のように捻り倒されます。 その先生の姿勢を真似て挑んだ学生「これはいけるかな?」と思ったのですが、 先生は今までと逆の姿勢をとって、これまた簡単に倒してしまいました。

その武術家の姿勢は、馬歩、馬に跨ったように大きく両足を開き腰を低く落とした姿勢です。 何の鍛錬もしない人がこの姿勢をしても、ただつらいだけで不安定極まりないのですが、 鍛錬を積んだ人にとっては極めて安定した強力な土台となります。なるほど当然、相撲でもそうなんですね、 腰こそが宇宙の中心。

◯ 今月の脳トレ

若い頃から記憶力は不得意な方ですが、年齢とともに磨きがかかってきました。 余り意識しなかった動作など、跡形もなく記憶から消え去ってしまうことがあります。 考えごとをしながら薬を服用したりすると、後で「あれ?薬のんだっけ」となります。 以前は多少なりとも記憶の痕跡があったのですが跡形もありません。 「こりゃヤバいぞ」「テクニックでカバーするっきゃない」ということで、服用の前後で薬の置き方を変えてみたりしています。次にやるべきことを忘れないようにするためスリッパをわざと変な角度で脱いで置けば、 スリッパの姿を見て「そうか、あれをするんだっけ」と思い出したり。

さらに増して最近 短期記憶のヘタリに気がつきました。 新患の受診票から電話番号を電子カルテへ入力しようとして、 最初の4桁を打った後、次の4桁、また受診票を見直しているのに気がつきました。 「こりゃ、まずいぞ」ということで、その作業の中で4桁・4桁を記憶するトレーニングを始めました。 無意識に4桁ごと紙を見なおしていたのがいけなかったのです。 中国武術をやるようになって、肉体の経年変化はあるにせよ「老化の主体は使わなくなったことにある」ことが判りました。若い頃は多少さぼってもどうということはないのですが、 中年以後は頭も体もしっかり使っておかないと錆を生じて動きが悪くなるということ。 外でも電柱広告の電話番号とか、目の前を走り去る車のナンバーなどで記憶力の錆を落とす作業に入りました。

◯ 今月の iPad アプリ

もっとも頻繁に使う iPhone / iPad アプリが(以前はスケジュール管理と呼んでいた)カレンダーです。かなり前からの自作アプリを最近は Web アプリに改良し使ってきました。しかし、数ヶ月前の自前サーバ・ダウン騒ぎを契機に Google Calendar へ移行しました。Mac で読む場合は Web ブラウザーで Google Calendar そのものを使いますが、iPhone や iPad ではもっと使いやすいツールが幾つも出ています。

Calendars という iPhone アプリをダウンロードしてみたのですが使い勝手がイマイチ。最近まで「さいすけ」を使ってきました。これは Google Calendar とデータを同期できるので、Google Calendar のビューアとして使います。デザインも使い勝手もなかなか良いので気に入っていました。同じようなものとして、インフォテリアの Snapcal というのもあります。これも Google Calendar とデータを共有でき、使い勝手も「さいすけ」に近いものですが、イベントや場所などを記憶し そこからの選択に「さいすけ」がやや優っているため「さいすけ」を使ってきました。

そこへ「超整理手帳」という iPad アプリがでてきました。紙の手帳として多くの人に愛用されてきた講談社の手帳が iPad アプリになったものです。1700円のところキャンペーン期間中で1200円と iPad アプリとしては高め設定ですが早速購入しました。デザインも文字も綺麗、使い勝手も非常に良さそうです。iPad の広い画面を活かしたアプリのため iPhone 版がないのは残念です。何とか工夫して iPhone 版もでてくると嬉しいなと。

、、で、使って見たところ、場所の履歴を記憶し次回から選択リストに表示する機能がない事が判りました。イベント名と場所のリスト表示は昔からの自作アプリでも最もこだわってきた点で、これがないと使い勝手はやはり「さいすけ」かなあ。超整理手帳の美しい画面がうらめしいけど。

◯ 今月の iPhone アプリ その2

都医の野津原理事から iPhone をモデム代わりに使える Web ブラウザーを教えてもらいました。 米国では iPhone のデザリング(携帯電話をノートパソコンなどのモデムとして使える)ができるのに 日本では出来ないのをとても残念に思っていました。 iPhone の前に使っていた WILLCOM の携帯はデザリング目的に購入したものでしたし、 最近では android 携帯などでもデザリングができるものが出始めたというのに、、

で、最初このアプリでデザリングができるのかと思っていたのですが、 そうではありません。coBrowser というアプリを iPhone と iPad に載せておき iPhone の coBrowser を Host モードにし iPad の coBrowser から Join すると iPhone の画面が iPad に共有されるものです。 「なーるほどねえ、」これはうまいこと考えたものですね。「座布団3枚」かな。 iPad で Web をブラウジングする時のみに使えるものですが、最近私は色々なものをクラウドへ移し メールを始めブラウザーだけで済んでしまうものが多いので、これは便利かも。

◯ Google Chrome でも電子カルテ NOA を快適に

電子カルテ NOA は Chrome でも動くのですが PDF がブラウザー内に開かず、ダウンロードしたものを別のアプリで開かねばなりませんでした。NOA では処方箋、紹介状などを PDF で出力しますが、出力とともにブラウザーに表示されないと使いものになりません。そんなことで NOA では Safari を使ってきました。 ところが Chrome も Ver.8 になって遂に PDF をブラウザー表示するようになったとの記事を見て試してみました。最新の Chrome をダウンロードしようと思ったら、すでに最新版になっています。いつの間にか裏でやってくれていたようです。おー、今度は Chrome でも PDF バッチリ表示されるようになりました。

「よしよし、では仕事もしばらく Chrome を使ってみようか」と Chrome で NOA を使ってみました。「ありゃ、メニューバーが変」、その他にもいくつか不具合発覚。PDF の件であきらめ Chrome を使っていなかったので、その後の NOA の度重なるバージョンアップに伴い不整合が生じているようです。早速、原因を追求し修正。原因はちょっとしたことが殆どでした。まだ Chrome 非対応の部分が隠れているかも知れないのでしばらく使ってみましょう。しかし Chrome では「新規ウインドーを TAB で開く」を自動に設定できないなどまだ Safari に至らない部分はありますが、ようやく使い勝手も Safari に近づいたと言えそうです。

◯ さて FireFox では

そんなことで Chrome で快適に NOA が使えるようになったところへ、ユーザの方から FireFox を使った場合の不審な挙動のレポートがありました。色々なブラウザーで NOA を試した頃 Safari に次いで FireFox では問題なく NOA を使えることを確認し、その後長いこと FireFox を使っていませんでした。久しぶりに FireFox で NOA のテストをしてみると殆ど問題なく使えるのですが、幾つか不具合を見つけました。 プログラム的に入力フィールドへフォーカスした場合、フィールド内で選択される範囲が FireFox は Safari や Chrome とは違うのです。これはちょっと使いにくいなと。ここ1週間ほど Chrome を診療に使って問題点を潰し快適に使えるようになったので、来週1週間は FireFox を使ってみることにします。

おっと、もうひとつ結構重大な問題発生。FireFox を使ってこの原稿を自作の Web アプリで書きこもうとしたら、内容がバッサリ全部壊れてしまった。まだ Google の site へアップロードする前ですので TimeMachine で以前のデータ復活。 幸いこの現象は NOA ではまだ体験していません。データベース上のものは問題なく、ファイルとしてサーバへ書きこむ際に発生する問題ですが、画像関係の保存時に発生する可能性があります。原因が特定され補修されるまで FireFox で NOA は使わない方が良いかも、、

上記トラブルの原因つきとめました。FireFox では HTML のタグに内包するパラメータが他のブラウザーとは異なる順序で挿入されるためでした。NOA ではこの機能は使っていないので NOA への FireFox 警報は解除します。

◯ いやあ焦りました

電子カルテの改良作業を進める中でテストデータを消そうと MySQL から直接「削除」ボタンを押したのですが、 「あっ」と気がついたらその「レコード」ではなく、レコードの入った「テーブル」自体をゴッソリ削除してしまったことに気づきました。「やばい、電子カルテの過去データの一部がごっそり消えてしまった」。

しかし、あわてることはありません。ちゃあーんとサーバ側では TimeMachine でバックアップしてあるはず、削除前の状態に復旧させようとサーバ側の画面へ移動。「あれ? TimeMachine が動いてない?」「や、やばいかも、、」。TimeMachine でバックアップしているはずの外部ディスクが見えません。いやあー、困りました。過去20数年分の電子カルテ・データが消えてしまったのはともかく、とりあえず明日の診療が困ります。

幸い、この秋のサーバダウン騒ぎで古い NOA サーバのデータはそのままにしてあります。つまり10月上旬までのデータはそっくり残っていますので、まずそこから10月上旬までのデータを復旧。電子カルテ NOA は診療終了後カルテデータをプリントアウトし、紙カルテに貼れるようになっています。プリントアウトと同時に、カルテデータを MML テキストとして所定フォルダーへ吐き出していますので、ここから1カルテずつサーバへ読込むことができます。ただし、これは手作業。1カルテずつ2ヶ月分を復旧するのは結構な手間です。「まあ、やるっきゃないか」と始めました。翌朝その作業をやっているうち「そうだ TimeMachine を稼働する状態に復旧しておかねば、また同じ目に合う」と、TimeMachine 用外部ディスクの電源を一旦落とし再投入してみました。 「あれ? もしかして、ちゃんとデータが残ってる?」。

嬉しいことに昨日の騒ぎの直前までのデータはちゃんとバックアップされていました。何故あの時点から この外部ディスクが見えなくなってしまったか、今となっては定かでないのですが。 無事 TimeMachine で電子カルテの過去データを完全復旧することができました。 やれ、やれ、悪夢から覚めたような気持ち。今後はさらなるバックアップ手段を考えないといかんなあと、、

◯ 電子カルテの問題点への対応

Mac 使いとして名の売れた小児科医、山本康仁先生の web site に私の名前が載っていると聞き、久し振りに見にゆきました。電子カルテの問題点を挙げられ、その反例として光栄にも私の名前を挙げて頂いていました。それらの問題点へ私も考えを述べてみましょう。

・メタファー欠如による使い勝手の悪さ

メタファーとは比喩、すなわち検査結果は「従来通りの見かけの検査伝票フォーマットに書き込む」 というようなこと。初心者には重要なことで熟練者にとってもメリットは大きい。ただし 次の段階としては「電子化なり固有の使い勝手」もあります。

・入力処理の回りくどさ

画面の上の方を探してボタンを押し、次に画面の下の方を探して何かやる、、 という具合に「宝探しゲーム」のようなアプリをよく見ます。「よほど頭の悪い人が作ったアプリだな」と思うわけですが、これがコンピュータ・アレルギーを作ります。昔から「画面からボタンなどの制御部品をいかに減らすか」「スクロールやページ換えをいかに減らすか」に心血を注いできましたが iPhone や iPad など Apple 製品にはいつも脱帽。

・システムダウン

これとネットワーク切断は電子カルテの最大の弱点。これらを幾度か経験し対応策を用意しています。まず「代替システムの用意」そして究極の「手書きに戻す」。代替システムはネットワークを使用せず単体で使えるシステムで、システム復旧後にデータを本番データへ流し込みます。最初から電子カルテで育った世代も増え、2番目の手段をとれないドクターも増えてくるのではないかと。

・待ち時間の増大

電子カルテを使い始めて数年むしろ待ち時間は増えたのですが、現在では逆に電子カルテがダウンすると待ち時間が増えてしまいます。ダウンしている間の「隔靴掻痒の感」は大きなストレス。

・患者の顔を見ない医者

「その電子カルテのユーザインタフェースがいかに悪いか」を物語るもの。 「道具として使うべきものに医者が使われてしまっている」「本末転倒、言語道断」。私は患者さんを前にマウスで画面を見せながら説明することはあっても、キーボードを叩くことはありません。 コミュニケーションが切れてしまいますから。

◯ brother MFC-7840W

診察室のプリンター、今まで快調に動いていたのに診療中、はたとプリントアウトしなくなりました。FAX、コピー、スキャナー、プリンターのできるブラザーの複合レーザープリンタ、コピーは問題なくできるのですが。プリンターを再起動したり、USB ケーブルを挿しなおしたり、プリンター登録設定をやり直したり、はてはコンピュータも再起動。何をやってもプリントアウトしなくなりました。

さあて困ったぞ、明日の診療にも支障がでます。考えつくあらゆることをやってみましたが駄目。急遽 Web 上で新しいプリンターを探しました。Canon のプリンターが良いことはわかっているのですが、未だに Mac 対応ではありません。Canon は昔 Apple や NeXT の販売代理店だったのに何があったのか。ブラザーの新しい機種で LAN 接続のものを選びました。今までのものは USB 接続でした。Amazon で正価より大分安い3万程度のをみつけオーダー。

翌日 Amazon からプリンターが届きました。昔の LBP は腰が抜けるほど重かったですが、最近のはコンパクトで軽いですよね。付属のドライバーをインストールし、電源とイーサケーブルを接続。Mac 側からプリンターを認識させようとすると、へえー、Apple のボンジュール機能であっけなく繋がってしまいました。極めてシンプル。さっそく印刷テスト、何も問題なく出力されました。ドライバーのインストールから10分もかかりません、こんなに簡単に接続できるようになったんですね。今までの機種の後継機ということで大きく変わることはないのですが、さらに洗練され使いやすくなりました。とても満足。

さて駄目になった旧型の方ですが、再度試しに別の USB ケーブルで接続してみると、何とちゃんと印刷できるではないですか。トラブった後、USB ケーブルの両端はなんども抜き差ししてみたのですが、どうしても駄目でした。問題は USB ケーブルだったのかあ、こんなこともあるんですねえ。ということで、新しいプリンターの必要はなかったわけですが、これはこれで快適なので、古い方は自宅で使うことにしました。

◯ USB にご用心

今月は電子カルテのデータを吹っ飛ばしてしまい容易に復旧できなかったり、レーザプリンタが動かなくなった事件がありました。考えてみるとどちらも USB 接続機器によるアクシデント。 以前から、プリンターが動かなくなったりマウスやキーボードの動作不良で USB を挿し直して回復する現象は時々経験していました。しかし今回のように HD が見えなくなる現象は初めての経験、レーザブリンタに関して まさか USB ケーブル自体の問題とは気づかなかったりと、経験を積ませてもらいました。

しかし HD を認識しなくなるトラブルは、今回のように深刻な問題に直結する可能性があります。 USB は普及度が高く手軽な接続方法ですが、世の中にはまだ色々なトラブルがあるはず。 やがてもっと信頼性の高い規格が出てくるのを待つということでしょうかね。

◯ いやあ、いいなあ、オヤジバンド

加山雄三とザ・ヤンチャーズによる「座・ロンリーハーツ親父バンド」が今年6月に武道館で開いたライブの録画を観て感動。メンバーは、谷村新司、南こうせつ、さだまさし、THE ALFEE に紅一点の森山良子を加え超豪華。さだまさしが付けた歌詞もなかなか良いですが、 とてもノリの良いサウンド。全員、本当にノリノリに楽しんでいました。

早速 iTunes で曲を探してダウンロードしましたが、折角豪華メンバーが歌っているのにほとんど若大将の声しか入っていません。もしかして、と思い YouTube を探すとありました。スタジオ版とライブ版、これも早速ダウンロード。これはやはり画像付きでないと有り難みが半減します。やー、紅一点の森山良子のノリもいいですねえ、、

学生の頃は加山雄三にかなりハマって、作詞作曲の真似事などしていましたっけ。若い頃の森山良子の透きとおる様な声も忘れられません。

◯ 今月の区立平塚小学校跡

プール脇に残された夫婦桜の1本、ある日見ると無残にも切り倒され姿が消えていました。 移植するスペースはいくらでもあるのにねえ。桜の移植は難しいのかも知れませんが、季節になると毎年あでやかな花を咲かせる夫婦桜、何とか生かして欲しかったと思います。

私が気になったのは桜の木ですが、家内が好きだったのはヒマラヤ杉。ロープを掛けられたヒマラヤ杉を見て品川区に電話したそうです。「ちょっと待ってください」と待たされた後、13Fから見ているとプレハブの現場事務所から出てきた職員がヒマラヤ杉を確認する様子が見てとれ、再び電話口から「もう整理することに決まっていますから」と木で鼻をくくったような返事だったそうです。 行政の仕事は情け無用ということなんでしょうか、区民のためと云うのは言いわけ? とても悲しい。ますます進む東京砂漠、緑は増やすべきで減らすべきではない。

◯ ゆく年

例年12月1日を境に夏から冬のスーツへ替えるのですが、今年12月の入りは暖かく最初の1週間は夏服で十分でした。今年も年内はコートなしで通せました。さて今年、振り返るとあまり良い年ではなかったですね。

    • 記録破りの暑い夏

    • わが物顔にノシてくる中国

    • 最低な民主党政権

    • 下がる国民の士気

    • 内輪ごとですがマンション管理組合の騒動

個人的に良かった事は

    • iPad の登場と iPhone4

    • これによりクラウドへのシフトが進む

    • iTunes で映画レンタルはじまる

    • 院内LANを古のイエローケーブルから現代のケーブルへ

    • 世界バレーで日本女子が32年ぶりに3位獲得

LANケーブルの正式名称を書こうとWeb上を探しましたが、もうイエローケーブルの情報なんて世の中から殆ど消え去っています。ほー、すると私のところではシーラカンスのように貴重なモノを使っていたんだ、、しかし、さらに調べてみると、ありました。アライドテレシス社では今でも 10Base5 すなわちイエローケーブル売ってるんですね。NeXT Cube を手にいれた頃から現在の 10Base-T が現れるまで、しばらく使われていた 10Base2 の情報もありました。

◯ くる年

さて来年、決まり文句ではありますが良い年でありますように

・心から国や世界を思う政治家が先頭に立って欲しい

・マスコミも些細なことでも良いから社会貢献を目指して欲しい

・教育界も「将来を担う子供たち」を心身ともに健康に導いて欲しい

・社会も金儲けより地に足の着いた生活を目指して欲しい

目先のことしか見えない人が多すぎる。自分のことでも社会のことでも、もっと将来への布石を。

次に自分の身の周りから

・一族郎党が前向きに生き甲斐を持って生きていって欲しい

・できることからちょっぴり社会貢献を忘れずに

・中国武術の錬功をたゆまず続けたい

心身の健康を維持増進するとともに人間的熟成度を高めたい

・電子カルテ NOA にちょっぴりでも新風を吹き込みたい

何か新しいアイデアが浮かぶと良いな

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初日の出を拝めた東側は隣地のビルで完全に塞がれてしまいました

まるで巨大な空母が東京湾の景観を遮り接岸したかのように

これは日々の生活で感じたことを書きとどめる私の備忘録です