2014.06 歩々是道場

わーくすてーしょんのあるくらし ( 256)

2014-6 大橋 克洋

散歩で見かけた朝露に濡れる路傍の花

< 2014.05 電子カルテ NOA 25周年 | 2014.07 進まざる者は退き、退かざる者は進む >

◯ 歩々是道場

これは禅の言葉、どんな山中の閑静な処にあっても、心に妄想邪心があっては道場とはいえない。維摩居士は「正直な心、素直な心であれば、何れの処も道場、即ち修行の場である」と。修行の場は、各人の内にあるのであるから、各人のすること為すことの、一歩一歩が仏道完成への一歩であると。

◯ 今月の歩術

一昨年、一念発起して歩き始めた頃は直線的に体重が下がっていったのですが、今年の初めから殆ど体重が下がりません、油断すると上がることはあっても。あの頃は隔日くらいに診療後、歩きに出ていたのですが、最近は何となく夕方から歩きにでる気にならないこともあって、歩きに出る頻度がかなり落ちています。それでも日曜祭日にはほぼ確実に早朝から歩きに出ているので、場合によっては週一くらいになっています。

これを「何とか改善しなくちゃ」ということで、先月から診療前に歩きに出ることにしました。やはり夕方より早朝散歩の方が格段に気持ちが良いものです。それでも今のところ、平日の歩きは週に1,2回程度でたいしたことはありません。しかし、今月あたりから「もしかすると体重が下がり始めるかも」という雰囲気。歩きのためではなく、恐らく気温が上がってきたためでしょう。いわゆる夏痩せ傾向。

この間の日曜は夏日を通り越して35度の猛暑日に迫る気温、この後、気温は少し下がるそうですが、身体がすこし怠くなってきました。毎年書いているように、しっかり汗をかいて汗腺が開くようになれば怠さもとれスッキリするはず。そういう意味でも「歩きに出なきゃ」と思っています。

・・・

ということで、早朝6時頃から1時間ほど歩きにでています。こういうものは習慣で、歩き出すとそう苦にならなくなります。今年は最近には珍しく長梅雨になるとの予想で、雨の日は歩きに出られませんが、今のところ week day の半分ほどは歩きにでています。

先月の日曜、馬事公苑まで往復した時、ふと街を走るベンツが多いのではないかと気になり歩きながらカウントしてみました。往復で25台程度、私が昔乗っていた BMW もこの頃は街で見かけることが多くなってその半分くらいでした。朝の散歩でもカウントする癖がついてしまいましたが、今朝はベンツが5台、BMW が9台とその逆でした。早朝散歩で目に入る BMW のほとんどが駐車したもの。ベンツの半分は走っているもの。ベンツ族と BMW 族には生活習慣の違いがあるんですかね。カウントしませんでしたが、VW やアウディ、プジョーなども結構目につきました。

まだ汗腺が充分開いたとは云えないのでしょうが、少し汗をかくようになったので、怠さも解消に向かいつつあるようです。

◯ 今月の脳トレ

電子カルテ NOA の開発作業、ある人のアドバイスを受け、先月からリファクタリングに取り組んでいます。「リファクタリングとは?」と IT 用語辞典で調べてみると

ソフトウェア開発では、ソースコードの作成が進むにつれて、中途での設計変更やバグフィックスなどでプログラムは冗長で汚いものとなっていくことが多い。これらの問題点を解決し、将来の仕様変更に柔軟に対応できるようソースコードの手直しを行うことを「リファクタリング」という。

Web アプリになる前の NOA は「データベース部分」「ロジック部分」「ユーザインタフェース部分」の綺麗な三層構造に分かれていました。従って、ワンタッチで「データベース部分」を「ローカルなテキストとして読み書き」するように切り替えることができ、前者を NOA Pro 後者を NOA Light と呼んだりしていました。

しかし、これを Web アプリへの全面書き換えに当たり、Web アプリ自体を独学で会得しながら開発を進めてきたこともあって、三層構造が崩れてしまっています。そろそろ元のように「綺麗な三層構造にしたいな」と思っていたところでした。この作業に手をつけています。修正箇所は広範囲に及び、根気よく「落ち穂拾い」を続けてゆくことになります。

突然話は変わりますが、最近ディスカバリーチャンネル「名車再生クラシックカー・ディーラーズ」にハマっています。これは英国のものですが、似たようなもので米国版もあります。米国版ではスクラップになったアメ車が広大な敷地に野積みになっています。野ざらしで赤錆になった車の残骸をレストア、最後にはエンジンを始めメカもばっちり生き返って、ピカピカの新車のようになります。嘘みたい。あんな赤錆のエンジンやブレーキなどがよく再生するもんだなと感心しながら眺めています。一方、英国版は米国版ほどワイルドではありません。ディーラーが20年以上前の名車を Web などで探し、そのオーナーから安く買い取って相棒のガレージでレストアし、付加価値をつけて売ります。このレストア作業が凄い「こんな状態の車がよく復活するな」「根性あるのみだな」「へえー、あんなボロ車が最後にはこんなピカピカの新車同然になるとは」と、感動もの。

しかし考えてみれば、自分のやっている電子カルテ開発作業も似たようなもの。ただただ根気あるのみ。名車再生番組には随分励まされています。

◯ リファクタリングひとまず一段落

いやあ、結構大変でしたが、リファクタリング第一段階が終了しました。今回手をつけたのは UI:ユーザインタフェースと DB:データベース を仲介する部分が色々なソースに散らばっていたのを、ひとつにまとめる作業。これで、この部分をちょっと書き換えるだけで、DB を別のものへ簡単にスイッチできるようになります。

この面倒な作業ができたのも、Mac の開発環境 Xcode で NOA 本体と周辺ツール類をひとつのプロジェクトにまとめ、それらをまたがった検索ができるようになったお陰。これを機会に Xcode を勉強し、昔から手をつけたいと思いつつ、どうやれば良いかわからなかった開発コードの履歴管理もできるようになりました。

ただ、今回の作業があまねく広範囲に渡っているため、バグ百出。一応バグを解消しつつ作業を進めたつもりではありますが、まだ確信を持てないので、今度はその辺りをじっくりと検証してからでないと、新バージョンのリリースができません。これはリファクタリングよりずっと地味でクソ面白くない作業。でも、やらなければね。

もうじきブラジルでサッカーの ワールドカップ開幕。日本期待の本田圭佑選手のドキュメンタリー番組を見て感動したこと。彼の言葉「はじめから天才なんていない」を裏付ける本田選手の人一倍の努力。外国チームに移籍しても結果を出せず散々にこき下ろされ、自分と闘いながら勝ちをとりにゆく姿勢。イチロー選手にも共通するところがありますね。見習わなければ、、

そして、いよいよ開幕。世の中はワールドカップに湧き、地球の裏側での試合、深夜の観戦で寝不足気味の人も多かったのではないかと。私はそもそもサッカーにさほど興味はありません。マスコミは盛んに期待を盛り上げましたが、いつものことで贔屓の引き倒し、日本は初戦で敗退しました。オリンピックでもそうですが、マスコミが騒ぐ時の試合結果は良くないことが多く、幸いマスコミの目に止まらず騒がれなかった選手が良い成果を残すことが多い。事前からマスコミに騒がれる選手たち可愛そうだなあと、いつも思います。

◯ WWDC 2014

毎年「今度はどんな新しいものが?」と、期待に胸膨らませる Apple 社の World Wide Developper Conference がサンフランシスコのモスコーン・センターで開催されました(モスコーン・センターは Jobs が NeXT 時代から NeXT Expo に使ってきた会場、とても懐かしいものです。私も Jobs のプレゼンを聴こうと朝イチで会場前に並んだものでした)。今朝午前2時ころから実況中継をストリーミングするということですが、ただでさえ最近は昼間も眠かったりするのに、起きていれば翌日とても使いものにならない。朝起きて一番に iPad を開きました。数時間前の実況が写真と要約された解説付きで載っています。

今年は hard より Soft にウエイトを置いた内容、MacOS の名前は昨年初めてネコ科の名前を抜出て Maverick になりましたが、今度は Yosemite 。これからしばらくは地名で行くのかな。この名前も悪くないですね。WWDC 準備状況の場面で、会場にヨセミテの断崖の写真が掲げてあり、事前からこの名前は予想されていたものです。予想されたように MacOS がかなり iOS に近くなり、両 OS 間でのメールや電話なども共有化が進みました。

残念ながら大きく心を打たれるアイテムはありませんでしたが、ひとつ興味を持ったのは Swift という新しい言語。早速 iBooks で英語版の解説書をダウンロードしました。ざっと見たところ、最近のスクリプト言語に比べ違和感のないもの。コードを簡潔に書けるようになっているのがミソかなと。「javascript のように、これで Web アプリが書けると嬉しいな」と思ったのですが、それはなさそう。iOS アプリを書くことが主眼のようですが、色々な言語を渡り歩いて来て、新しもの好きの私「Swift で Web アプリを書いてみたいなあ」と、、

天才ビル・アトキンソンが創った初期の Mac の画期的アプリ HyperCard に付属した HyperText 風のスクリプト言語も欲しいなあと思います。これはとても自然言語に近く、そういう意味では違和感のないものでした。自然言語とあって、コードをタイプするのが長ったらしくミスタイプしそうということもありますが、最近は Xcode など開発環境が進化しており、長い文字列も適当に推察・補完してくれるので問題はないでしょう。

iOS の方も新しいバージョン iOS 8 が発表されましたが、どちらの OS も一般に使えるようになるには、まだ夏ころまで待たねばなりません。iOS の方は発表後すぐダウンロードできたりしたのですが、今回は残念ながらそれはありません。Jobs の居ない WWDC も幸い以前と雰囲気も流れも大きくは変わっていません。パンチの効いた Jobs のプレゼンを欠くのみ。早くから最後を予知した Jobs が入念に仕組んだものが続いてくれているようです。

◯ iOS に近づく MacOS

iPad や iPhone のユーザインタフェースの使いやすさは素晴らしいもので、MacOS が iOS に近づくのは嬉しいこと。それに触発された訳でもないのですが、大分前に購入したものの使っていなかったトラック・パッドを引っ張りだしてきました。

トラック・パッドを購入してみたものの、しばらく使っているうち指先がヒリヒリしてきて「やはりダメだ」と諦めてしまったものです。iPad のガラス面と比べ、トラック・パッドの表面は少しざらつくようで、長い時間使うには耐えられない感じでした。

今回使ってみて、トラック・パッドでは表面を極めて軽いタッチで使うよう慣れればよいのではないかと思っています。2本指、3本指、4本指に対応する色々なゼスチュアが使えるので慣れればマウスより快適になるはず、と理論的には思っているのですが。

今後 MacOS が更に iOS に近づけば、トラック・パッドは必須の道具となってくるかも知れません。それに備えトラック・パッドに慣れておこうと、、

◯ 電子書籍

最近は書籍を電子媒体で手に入れることが多くなり、紙媒体の書籍は余り購入しなくなりました。はじめは建築雑誌などのグラビア誌や小説類だったのですが、最近は解説本やマニュアル類を電子媒体で手に入れ便利をしています。電子書籍は特に iPad では文字も大きく明るく見えるので老眼に優しいですし、駅のホームで電車を待ちながらちょっと iPhone で立ち読みなどもできるのでとても便利に感じています。持ち歩くのは勿論、家の中でも書籍がかさばらないのも大きなメリットですね。

コンピュータ関連の技術書が多かったのですが、産婦人科学会から出された診療ガイドラインも今年から電子媒体のものをダウンロードできるようになりました。しかし、あろうことかこのガイドライン、あくまで紙の書籍の付録として付属するもので、電子媒体だけを購入できない。何たる時代錯誤。届いた紙のガイドライン本に付属した紙片の銀色の部分をコインなどで擦ると ID とパスワードが現れます。

専用リーダーでしか読めないとのことで、Web からリーダーをダウンロード。リーダーを使うには、ユーザ登録が必要とのこと。ところがこの登録 UI がまたタコで、何度入れなおしても「姓名のふりがな入力が不正です」と突っ返される。カタカナを入れてみたり、漢字、ローマ字と色々試したが駄目。諦めようかと思ったのですが、最後にふりがな欄を空欄にして登録ボタンを押したら、無事スルー、何てこった。

そこで初めて書籍に付いていた ID / pwd を入れてダウンロード。めでたく診療ガイドラインを電子的に読めるようになりました。途中、紆余曲折ありましたが、うん、これは便利だ。電子カルテの横にこれを開いてガイドラインを参照できる。内容の export はできないようですが、何とか抽出し電子カルテの周辺ツールから直接参照できるようになると、もっと便利だなと、、

そのうち動画入りの技術書やグラビア雑誌なども出てくるはずと考えてきましたが、予想外に出現が遅いですね。

◯ 成功する人 / 失敗する人の16の違い

1. 変化を楽しむ / 変化を恐れる

2. 人の成功を望む / 人の失敗を願う

3. 喜びを表す / 怒りをまき散らす

4. 失敗した責任を認める / 失敗を人のせいにする

5. 自分のアイデアを話す / 人のアイデアや功績を自分のことのように話す

6.データや情報を共有する / データや情報を隠す

7. 成功したのはみんなのおかげ / 成功は全て自分の功績

8. 目標とそれを達成するプランを決めている / 目標を決めない

9. 自分の行動を記録する / 人には記録しろと言うが自分は記録しない

10. 毎日本を読む / 毎日テレビを見る

11. 様々な視点に立って動く / 狭い視野でしか動けない

12. 常に学んでいる / 新しい方法を学ぼうとしない

13. 人をほめる / 人を批判する

14. 人を許すことができる / 人を妬み、恨む

15. やりたいことを常に持ち続けている / 何をやりたいのかがわからない

16.常に感謝の心を持っている / 感謝の心を持たない

FaceBook で見かけたもの。自分にあてはめてみると、成功する人に一致する項目がかなり多いのだけれど、ちっとも成功しないなあと、、

◯ リーダーシップ

三笠保存会の荒川理事長の文章を読んで面白かったので概略をご紹介。

「われわれはリーダーシップで日本海軍に勝った」と米海軍太平洋艦隊司令長官ニミッツ提督は述懐した。クラウゼビッツが言うように「戦争は民族そのものである」。なるほどね、戦争は最大限の智慧と財力・労力を集中するので、もっとも良くそれを具現するわけですが、この原理は平時においても働くはず。

欧米のリーダーシップ論は「如何に部下に働きかけ心からの服従を得るか」「リーダーは組織そのもの」なのに対し、日本においては「リーダーは如何にあるべきか」「リーダーはまとめ役で組織の一部」という考え。日本海軍では司令長官は大綱だけを握っていれば良い。あとの一切は幕僚が起案して進言する。司令長官の性格が直接、作戦に反映することはまずなかった。これがアメリカだと指揮官の性格がそのまま作戦に表れる。「今度はハルゼー提督の指揮」と聞いただけで、作戦のやり口が判断できたそうです。

日本型リーダーシップの弱点は以下のようなもの

強いリーダーの不在

日本:幕僚によるボトムアップの作戦指導。幕僚の任免権は指揮官になく海軍大臣

米国:指揮官のトップダウンによる細部にわたる作戦指導、幕僚の任免権は指揮官

責任の所在不明・必罰回避

日本:日本海軍を壊滅に導いたミッドウエイ海戦の責任も不問

米国:戦争中26名の指揮官を更迭、不適格者の排除を断行

意下達・意思疎通を欠く

日本:幕僚調整が主。トップ同志が論争し白黒つけることを嫌う風土があった

米国:指揮官同志の直接会談が頻回に行われた

意思決定の遅延

日本:ガダルカナル作戦など強い時間的制約下でも各階層での根回しと摺り合わせ

米国:トップダウンによる迅速な意思決定(ハワイ攻撃後、空母兵力への戦略転換)

これを眺めてみると、現在の日本のまさに官僚主義の状況を表しているようですね。そこへ行くと、現在の安部首相は米国型へ変わろうと努力しているように思えます。

で、この違いは何処から来たかというと「狩猟民族」と「農耕民族」の生活上の問題からという説明は非常に説得力がありますね。

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台風なみの風雨を伴うもの凄い雷雨が過ぎ去った後の書斎の窓

これは日々の生活で感じたことを書きとどめる私の備忘録です