2016.10 爽やかに秋

わーくすてーしょんのあるくらし ( 284)

2016-10 大橋 克洋

呑兵衛の会:国産の立派な松茸

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今年は暑さも長くは続かず、9月も20日を過ぎると気温30度を越える日はなくなり、爽やかに秋へと移行しました。ただ、今年の9月は雨が多かったですね。進行しつつある異常気象で、九州や北海道などでは記録的集中豪雨による被害が報道されました。

◯ 久々に我が家へ現れたヤモリ

ある朝、自宅台所のステンレス流しに小さなヤモリを見つけました。かなり小さいので、おそらく誕生してまだ間もないヤモリではないかと思います。

以前も書きましたが、我が家にはマンションになる前、30年以上前の木造住宅の頃から窓にヤモリの張り付いているのを見ることがありました。やがて近接隣家と共同で等価交換方式のマンションが建ちました。それから数年後、13F の自宅でヤモリを見つけた時には驚きました。その後も10年に1度くらいでしょうか、自宅のベランダ、窓、居間のカーペットの上などでヤモリを目撃しています。

普段はどこで何を食べて暮らしているのか、とても不思議に思います。やはり我が家を守ってくれている神秘的な存在かなと、、

◯ アンチエイジング

「アンチエイジングって言葉が大嫌い」と、時流に反旗を翻した小泉今日子ほかの発言に女性の共感が広がっているという記事を読みました。テレビでもてはやされる「若作りの美魔女」への反旗でもあるとのこと。

男性としても私はこれに大きな共感を覚えます。私自身「若作りすることなく、あるがままに生きれば良いじゃないか」ということで、白髪を染めようとは思いませんし、老年という言葉に抵抗もありません。ただ「元気で朗らかな老年でいたい」とは思いますけどね。

そもそも「美しい人」とは、化粧や造作が美しいのではなく、内面から醸し出されるものを美しいと感ずるのだと思っています。そういう意味で、歳を経た女性でも「とても美しいなあ」と思う女性は何人もいます。例えば、兼高かおるとか、草笛光子、八千草薫、吉永小百合とか。彼女達の美しさは、一見外見からくるようにも見えますが、そうではなく内面的なものから来るものに違いありません。外見だけ取り繕っても「本当に美しいなあ」と心に響くことはないはず。

そういう意味で私も「魅力的な老年になりたい」とは思うのですが、中身の拙さから、そのようなオーラを発することは到底無理そうです。気分は充実・身体もほぼ絶好調なのに、写真に写った自分の姿が予想以上に老人なのに愕然ということも最近あります。こういうところは、自分の理想と現実との矛盾のせめぎ合いという、、

◯ 今月の歩術

10月も週を追うごとに気温は少しずつ低下してきましたが、今月中は半袖で通しています。朝の散歩、月半ばからペラペラで薄手のベストを羽織るようになりましたが、相変わらず半袖。流石に道行く人で半袖は見かけませんが、夏場に日焼けし気温低下に少しずつ慣らしたせいか、朝の冷気に腕をさらしたままでも余り寒さは感じません。北風がビュービュウー吹くようならちょっと無理だったのでしょうが、幸い散歩の時間それに当たることもなく、月末気温11度になっても朝の空気はまだ刺すような冷気ではなく何となく春の柔らかい空気のようで、半袖を通すことができたのだと思います。

厚手のベストに換えることも考えたのですが、2,3キロ歩くと身体が温まってくるので、やはりまだ薄手のベストでないと不快な汗をかいてしまいそうです。

リオ五輪の競歩の映像を見ていると、競歩独特の腰を中心に身体をクネクネさせる歩きではなく、比較的腰や下肢を前後方向に真っ直ぐ動かしながら歩いている選手がいました。入賞はしませんでしたが、ラスト近くなっても先頭グループに入っていたのでスピードもそれなりのものだったと思います。当面はこの歩きを目標に攻めてみたいと思ってます。

◯ Seagaia meeting 2016 in MIYAZAKI

毎年恒例の Seagaia meeting が宮崎県シーガイアで開催されました。今年は「global EHR の覚醒」というのがメインテーマ。吉原博幸先生主導による「千年カルテ・プロジェクト」を軸としたテーマが主でしたが、誕生から20年を経て最近やや低調気味だったこの会も、今回なかなか充実したテーマが並び、話に飽きることなく成功裏に終わりました。

私も吉原先生から「大橋先生にも何かテーマを出して欲しい」とのことで、「EMR や PHR などの周辺ツールの共有化」というテーマでプレゼンを作成しました。最近は手持ちのネタが無く苦し紛れのテーマ。これまで繰り返し述べてきた「電子カルテは基盤部分と周辺ツールによる柔軟な組み合わせで、ユーザの好みの環境を提供できるような仕組みとすべし」という内容。今までの繰り返しになっても「自分が、世の中のためにもこうあるべしと思うことは、一度や二度述べても皆の頭の中からは消えて行ってしまう。しつこいように何度も繰り返し述べることにより、次第に皆の頭の中に刷り込まれてゆく」と考えたからです。

聴いていると午前中のセッションでお二方ほど、この内容と似たようなことを述べておられる方がありましたし、前夜祭の呑み会の席でも同じ趣旨の話を聴きました。今まで主張してきた方向性がようやく何人かの方の考え方の中に根付いてきたかなと嬉しく思いました。最初に主張した人間の名は残らなくても、考え方さえ残ってくれればハッピー、、

そういえば昼の MedXML コンソーシアム理事会の席、次年度事業についての検討で「MML JSON バージョンの開発」というものが挙がりました。最近は MML を JSON 形式で吐き出す電子カルテが幾つか出てきた。MML/JSON の変換を行うより最初から JSON 形式で吐き出せた方が効率的という話でした。MML を JSON 形式で扱う話も10年近く前から私が主張してきたこと。いつも私の主張は時代より早過ぎるため、その時点ではまったく賛同を得られないが、大分経ってから世の中の潮流のひとつになることも或るんだなあと。そう云えば10年前実用化した「東京都医師会 HOT プロジェクトの電子処方箋」も同じ。

◯ KeyNote Live

Seagaia meeting での私のプレゼン、昨年同様 iPhone だけで行うことにしました。iPhone をケーブルでプロジェクターに繋ぎプレゼンするつもりだったのですが、KeyNote でプレゼンを作っていると「あれ? KeyNote Live っていうのが新機能として加わったんだ。どんなものだろう」ということで、やってみました。

KeyNote Live を選択すると、メールやメッセージなどを使ってプレゼンの URL を他のメンバーに送ることが出来ます。相手は送られたメールにある URL をクリックすると Web ブラウザーが開き、私の方で開始したプレゼンを相手も自分の Web ブラウザーでリアルタイムに共有し見ることができるというもの。

仕組みとしては、私の作成した KeyNote のプレゼンが Apple 社の iCloud に保存され、それを大勢のメンバーで共有。今回は会場スタッフの方の MacBook Air にメッセージを送り、そこで開いたプレゼンをプロジェクターに接続してデモしました。私の方は昨年のように iPhone にケーブルを接続することなく、これを手に演壇の上を歩きながらプレゼンできるので便利便利。これからは Steve Jobs のようなプレゼンができるなと、、

「一昔前は医療情報学会などで個人でプレゼンする場合、嵩張るデスクトップコンピュータや CRT ディスプレイなどを台車に載せ、ゴロゴロ会場を移動する必要があった。今ではあの頃を遥かに上回る性能のコンピュータがシャツの胸ポケットに入る時代。iPhone 一個持って歩けば OK という良い時代になりました」というような話をプレゼンに盛り込みました。

◯ 予想通り TV は Net 配信の方向へ

以前から「いずれ TV は Web 上のグラビア雑誌のようになり、こちらで録画しなくてもいつでも過去の番組を視聴できるようになるはず。東京五輪の頃までには実現するだろう。」と予測し、このコラムでも書いてきました。すでにラジオはそのように変化してきています。今朝の朝刊をみると、ついに総務省がその方向で検討に入るそうです。

問題は NHK のように視聴料をとっているところをどうするか。思い切って通常の放送は TV とネット同時配信つまり無料にしてしまい、その代わり視聴料を払ったユーザには過去の番組も自由に検索し視聴できるなど、付加価値をつけるようにすれば良いのではないかと思います。民放でも同じようにすれば良い。民放も視聴料を払ったユーザへ過去の番組サービスをするとともに過去番組では CM をスキップできるようになると、更に嬉しいなと。しかし CM を見たいということもあるので、そこはユーザが自由選択できるようにして。

◯ MacBook ニューモデル

かねて噂のあった新しい MacBook シリーズの発表会がありました。最近は事前に噂で流れてしまうので、特にサプライズはありませんでしたが「もしかして iMac も」というのはナシでしたね。新しい MacBook Pro 「Touch Bar、Touch ID、バタフライ・キーボード、電源ポートを兼ねる4ポートの Tunderbolt 3 対応の USB-C ポート」などがリニューアルされました。厚みも面積も MacBook Air より小さくなって MacBook Air の11インチは消滅しました。

いずれ MacBook Air そのものは消滅する運命にあるのでしょうね。以前も書きましたが、最近の MacBook シリーズは、MacBook・MacBook Air・MacBook Pro と似たようなものが3種類もあることに疑問を感じていました。もっと整理しても良いのではないかと。私の思い通りの方向へ行きそうな雰囲気ではあります。「MacBook も無くして MacBook Pro の亜系とし、すべて MacBook Pro に吸収。名称を MacBook Pro から単なる MacBook にしてしまう」というのが、私の提案なのですが、、

今度の MacBook Pro は4ポートの USB-C で全ての周辺機器を接続するようになりました。従ってそれ以外のものに接続するには変換ケーブルが必要になります。何種類もの変換ケーブルを持つのは面倒なので、USB-C に繋げば何にでも変換できる多種類の接続口を持った変換アクセサリーが出てきそうですね。MacBook とおそろいの仕上げでコンパクトなものが出たら、かなり売れるはず。

これも何度も書いてきたように、医師会などの役職を全て辞めてしまい最近は外へ持ってあるくマシーンとして iPad mini があれば充分という状態ですので MacBook のニーズは殆どないのですが、今度の MacBook Pro の Touch ID つき Touch Bar や MacBook Air よりコンパクトな筐体などを見ると、つい食指が動きそうになってしまいます「無駄なものは買わない。我慢がまん」と自分に言い聞かせているところ。

来年春ころまでには iMac シリーズも更新されるのではないかと思っていますが、今度の iMac にはきっと Touch ID 機能つきの Touch Bar が着くのではないかなと。そうなると、Touch Bar はキーボードに載せることになるんだろう。書斎や診察室では iMac を使っているので、こちらの方こそ食指の動く意味があるのですが、現在稼働中の iMac が両方とも元気に働いてくれているので、リプレースする必然性はなかったりします。うーん、久しぶりに Apple 製品への食欲がちょっと湧いてきたなあ、、

◯ 慈恵医大卒後50周年 大学招待懇親会

今年は慈恵医大卒後50周年にあたり、大学招待の懇親会がパレスホテルで行われました。その模様を大学が同窓生などに配る「慈大新聞」に載せる記事を私が書きましたので、記念にここにも残しておくことにします。

昭和41年卒 大学招待卒業50周年記念懇親会(昭和41)大橋克洋

平成28年10月22日にパレスホテルにて開催された。懇親会に先立ち、松藤千弥学長より大学の現況について、スライドで詳細なご説明を頂いた。 医学進学過程が新設され、その第一回生だった我々は入学とともにラテン語・フランス語・ドイツ語・英語と、いきなり数か国語を並行して習うことになり、アーペーセーやアーベーツェーがこんがらがって大変な思いをしたが、今の学生の国際化に向け大きく変わったカリキュラムを伺い、まだ我々の頃はのんびりした時代だったのだなあ、今の学生は大変だなあというのが実感だった。隣地の旧都立港工業高校跡に建設中の新病棟や、それに続く建設計画を伺い、新橋の大学の景色が大きく変貌して行く様が楽しみに思えた。

宴会場へ移動し着席形式での懇親会に入った。松藤学長による開会の挨拶後、41期生を代表して天木君より大学へ寄付の目録が渡された。大学からは松藤千弥学長、栗原敏理事長はじめ理事の方々、高橋紀久雄同窓会長、事務局などの方々が臨席され、なごやかに会食が行われた。大学懇親会終了後、41期生の同期会「よいち会」に入った。配偶者同伴も5名ほど。数十年振りの出席者もあり大変懐かしく話は弾んだが、ほとんどの出席者はいつも同じメンバーで、いつも出席されない同期生の顔を見たいという声も多数聴かれた。国領の進学過程で大変お世話になった戸澤先生も当時と変わらずお元気な姿を見せられ、皆とても嬉しく懐かしい思いだった。50年を経て変容した同級生も、話をしているうち昔のイメージが蘇ってくる一方、国領時代の面影そっくりそのままの方も多いのはうらやましい限りである。物故となられた同級生も多く26名。またの再会を約し名残を惜しみつつ会を終了した。

パレスホテル隣:和田倉噴水公園レストラン