2018.04 はじめての孫家拳合宿

わーくすてーしょんのあるくらし ( 302)

2018-4 大橋 克洋

かむろ坂の桜のトンネルに続く並木の海棠

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◯ はじめての孫家拳合宿

昨年10月から始めた孫氏太極拳の教室が年1回の合宿を山梨県三つ峠で実施、初めて参加してきました。3月31日から1泊2日、合宿所の三つ峠グリーンセンターは登山口に位置し例年かなり寒いのだそうですが、今年は春ののどかな日和に恵まれました。

川を挟んで満開の桜と対峙する体育館

昼に到着すると早速体育館直行で練功開始。新装なったばかりの体育館は綺麗だが、塗料の臭いがきつい。練習内容は毎週のものと基本的には変わりません、準備運動後、太極拳・形意拳・八卦掌の三班に別れ、私は八卦掌班。全員で套路を踏みますが、まだ最後の方の套路は習っていないので見よう見まね。この教室では先生も周ってきて細かい動作などを直してくれますが、上級者も同じように修正してくれます。そこで上級者の方に八卦掌のまだ習っていない套路を3つほど教えて頂きました。習っていない套路がさらに3つありますが、それは後日。習った3つの套路だけに集中し独りで繰り返しました。もともと記憶力は良くない方ですが、年齢がそれに輪をかけ何度も繰り返し身体に覚えさせなければなりません。

3時間半ほど練習後、夕食までの1時間半に入浴。ぬるめの温泉でしたが、気持ちよく温まりました。なにせ1泊2日・2食付き・体育館借賃も含め、合宿費たった8千円ということで、食事は中高生の合宿所のような食堂。私はまったく気になりませんが。

夜は宿舎のログハウスのひとつに集まり、持込みの焼酎・日本酒・ウイスキー・ラム酒など傾けながら。後藤先生から「今年は創立35周年になり、イベントをやった方が良いだろうか」との提案、ディスカッション後「1日練習の中の一つとして、参加者全員が個人演舞を行う」「記念Tシャツを作る」など決まり、私も実行委員会に手を挙げました。宿舎は山小屋のような感じで、敷布団は極薄の煎餅布団、私はロフトへ7人ほどで雑魚寝。敷布団は薄くても毛布と掛布団で寒い時期も大丈夫そう、結構暑かった。

第2日目は8時朝食、9時から練功。この日は八卦掌班たったの3人、私は八卦掌の最初の套路である単環掌だけゆっくり繰り返しました。若い時と違い急ぐことはない、地道にやっていこうと。Tシャツ1枚では肌寒い体育館ですが、この単純な套路だけでもやっているうち身体がかなり暑くなってきました。下肢にかかる負担はかなり大きい。11時に集合が掛かり二人一組で対練、知ってはいてもやるのは初めて。二人対面し手の甲と甲を軽く合わせ、ゆっくりと押したり引いたり、中国武術の聴勁を練る。次々と相手を変えて行いますが、初心者の私に皆さん懇切丁寧に教えてくれました。

12時で合宿終了。皆さん三つ峠駅から電車で帰ったようですが、私は往路で使った新宿バスタからの高速バスが快適だったので復路もネット予約。中央道西桂バス停に30分前に到着、しかし20分以上過ぎてもバスが来ない。バス会社に電話し色々やりとり、すでにバスは私の居るバス停をとうに過ぎてしまっているとのこと。ムッとした私が料金のキャンセルを要求すると既にネット決済されてしまっているよし。あきらめ三つ峠駅から電車で帰宅。あとでバス停を地図でよく確かめてみると、どうやら私が待っていたバス停は下り路線だったらしい。Google map が示したバス停を信じ切っていた私が悪かった。登り下りを間違えたという可能性にまったく思い至らなかったのは、年齢のせいなのかなあ。大きなバス停の標識があるのだから、せめて登りとか降りとか書いてくれると、こういう間違いも起こらないのではないかと。最近、加齢による劣化が疑われる現象が次々起こり嫌になっちゃう。

◯ 今月の歩術

今月は、やや歩行距離が延びません。はっきりした理由は思い当たりませんが、1月の登山のために購入したトレッキングシューズ、眠らせておくのはもったいないので散歩に時々使うようにしているのですが、少なくとも平地で長距離歩くには向いていないようです。

1日おきくらいにはトレッキングシューズを使っているので、それも距離が延びない理由かも知れません。

なるべく平起平落、踵や母指球に力を入れないような歩きをしているので、トレッキングシューズのように踵の硬い靴でも問題ないはずなのですが、3キロほど歩くと少々疲れがでやすい。以前と比べようやく踵の力が抜けてきて、平起平落に近い歩きができるようになってきたと思っているのですが、靴の違いで疲れが違うということは、まだまだなのかも知れません。本当に力が抜けているのなら、どんな靴を履こうと余り違いはないはず。

で、その歩行時の力の抜き方ですが、これまでは踵や母指球など足底の力を抜くことだけに意識が行っていました。しかし、ある時、気づいたことは、腰というか股関節の力をなるべく抜くようにして歩くことによって、踵や足底の力も抜けやすくなるということ。考えてみれば「腰の力を抜くことで、より速く歩ける」というのは、もう随分前から意識してきたことではあったのですが、、今回これに気づいたきっかけは、浅田真央ちゃんが「よくあんな動きができるね」と言われたのに対し「自分は身体が柔らかいからだと思う」と答えていたことや、孫家拳の先生から「腰の力を抜くことの重要性」について強く同意を得たことなどでした。これからますます身体の劣化が進む年齢に向け、これは重要と思います。

・・・

、、やはり月末になっても歩行距離が延びない。今年に入り毎日平均6キロ以上歩いていたのに、今月は5キロ強にしかなりません。月トータルでは30キロから50キロ歩き足りない。以前のように行け行けドンドンの感じにならず、4,5キロ歩くとヘタれてくる。従って「如何に労少なく歩くか」に頭がいくようになりました。そうなるとやはり「腰の力を抜き、股関節を可能な限り柔軟に歩くのが良い」ということですが、それだけでは距離を延ばすのが辛い。従って「股関節の脱力」とともに中国武術の「剄」を意識して歩くことにより、疲労感なく距離を延ばせるように思えます。そうして歩いているうち、冒頭の「トレッキングシューズによる歩き難さ」は解消されつつあるのに気がつきました。

こうして考えると歩行距離が延びない主な理由は、やはり1日中椅子に座ったままのことが多いため下肢が萎えてきているのかな、と思うようになりました。自分で時間割を決め、一定時間は身体に負荷をかける運動をしなければいけないかなと。毎日が日曜状態で自由に好き放題は良いのですが、その代わり自分で自分を律する必要があるということですね。自分との闘いを意識する必要があるということでしょう。

◯ 今月の脳トレ

今月は、このコラムの歩みがしばらく停まっていました。私のコラムで、そういう時の理由は昔から決まっています。プログラミングに没入している時なのです。

数ヶ月前までは録画しておいた TV 番組を観たり TV 鑑賞にハマっていたのですが、これは身体にはもちろん、頭の体操にはなりません。

私のライフワークの電子カルテ開発、ここ1,2年、アイデアが出尽くしてしまい、枯れた泉をほっぼらかし、住宅設計や TV 鑑賞にハマってきました。しかし先月頃から、あるリクエストを頂いたのをきっかけに、再びアイデアの泉が湧き出し始めました。

現在の開発目標は「まったくの初心者でも、迷わず使えるユーザインタフェース」。この方向に向け改良を進めています。電子カルテ NOA は「シンプルで快適に使えること」をポリシーとして開発してきました。これは「多忙極まる医療現場で使うプロの道具に、飾りは邪魔になるだけ。不要なものを視野からなるべく遠ざけ、簡潔で迅速に作業できること」という私の考えによるものです。実際に自分で診療に使っての実感でもあります。

NOA を初めて見た業者の方から「これでは素っ気なさ過ぎる。もし売り物にするなら、もっと罫線や飾りを入れたほうが良い」という感想があったようですが、これはプロの道具をちゃんと理解していない証拠。大工道具をはじめプロの道具に飾りはありません。使い勝手を良くするための簡潔な機能美こそが、造形としても本当に美しい。「シンプル・イズ・ベスト」これが昔から私の大好きなフレーズ。人生もしかり、何でもかんでも、、

◯ 人生フルーツ

TVで「人生フルーツ」という映画を観ました。名古屋の方のマンモス団地の一角、平屋の並ぶ地域があります。その一角の雑木に包まれた一軒に住む老夫婦の物語。ご主人は90歳、奥さんは87歳で、ご主人は戦時中、戦闘機の設計に関わっており、戦後は建設会社の設計部門に勤務。このマンモス団地の設計にも関わったのだそうです。

家が建った当時の写真では、赤茶けだだっ広い造成地にポツンと一軒だけだった家。今では周りに何軒も平屋が建ち、家の敷地は色々な樹木や植物で一杯。色々な果物の木や、家庭菜園。秋になると、ご主人は落ち葉を拾い集め袋に入れる。そして畑にその落ち葉を撒いていく。「風が吹くと落ち葉が落ち、雨が降って土が肥える。少しずつゆっくりと良い土になる。こつこつと、ただコツコツと」。いずれこの家はお孫さんに譲る予定のようで「彼女のために、よい土を残してやらねばね」。毎日畑仕事をやっているだけあって、90歳のご主人は見かけは流石に老人ですが、話し方も動作もきびきびと歩幅も大きい。87歳の奥さんの背中は大きく曲がっていますが、こちらも、まめまめしく家事に立ち働いていますし、歩幅も大きい。奥さんも家庭の生ゴミや落ち葉を大きな容器に溜め、堆肥を作っていました。

ご主人は設計が好きだっただけあって、色々なものを手作り。かつて同居していた孫娘さんのため作った大きなドール・ハウス。模型の家の中には、手作りの小さな家具が沢山ならんでいますが、作りはとても精巧。

奥さん「主人のやりたいことは、何でも好きにやらせてあげています」。お年寄りの夫婦だけの暮らしですが、働き者の二人は食事する姿も、とても仲睦まじい。

そんな暮らしが淡々と続くある日、庭の真ん中に立った竿竹から四方に満艦飾の旗が下げられています。家から出てきた奥さん「主人はこういう賑やかなのが好きでしたからねえ」。よく見ると奥さんの来ている服は黒一色、そう言えば続いて家から出てきた孫娘と思われる女性も黒。あれ?

ご主人、いつものように庭仕事をして昼寝、そのまま起きてこなかったのだそうです。家の中のベッドには、眠ったように安らかなご主人の姿。

「私はこれから独りでどうしていけば良いのか」奥さんはつぶやいていました。しかし女性は強い、私のマンションにも最近は一人暮らしの女性がかなり多いですが、皆さん海外旅行に行ったり、旺盛な活力で元気にやっていらっしゃいます。

それはそれとして、この老夫婦のような生活、私も理想だなあ、、私の環境では同じようには出来ないけれど、同じような心で生きていきたいと思っています。

◯ 体操・全日本選手権

体操の全日本選手権で11連覇を期待されていた内村航平、初日に予想外の鞍馬での不振により大きく失点。最終日で頑張ったものの3位となり、10連覇に終わりました。しかし10連覇でも偉大な業績。そして最終日の点数だけに限れば、内村の合計点数がトップだったそうです。

今回優勝したのは順天堂大2年生19歳の谷川翔、2位は白井健三でした。10連覇に終わった内村、そう悲嘆する様子もなく王者の風格で自分を抜いた若手達を鷹揚に祝福していました。29歳の内村はまだ2年後の東京オリンピックに意欲満々とか、その心中には複雑なものがあったと思いますが「これで頼もしい次世代へバトンタッチできる」という安堵感もあったかも知れません。

長い年月連覇するということは、常人には到底判らない気力体力を要し、緊張の持続を強いられるものだろうと思います。これを続けることができる内村航平、水泳の北島康介、女子レスリングの吉田沙保里など本当に尊敬に値しますが、一方で並優れた能力を持ちながら精神的にそれを持続できず力尽きる人達が居るのも事実でしょう。フィギュアの浅田真央などがそれに当たるかも知れません。

前者の人達は人生の中で色々なものを犠牲にして連覇を続けているはず。当然ながらとても私に出来ることでありませんが、彼らは「自分の人生を犠牲にして世の中に捧げている」と云う見方もできるのではないか、と思ったりしました。芸能人などにも、そんな人達がいますね。一方で自己満足としては大きなものがあるでしょう。「人間は自己満足のために生きている」ということも言えますから、それはそれで良いのかなとも、、

あとでちょっと考え直しました。自分の人生を犠牲にしたのではなく、彼らにとって「それこそが人生」だったのかも知れないと。「人間は自己満足のために生きている」のです。

◯ 4月もあっという間に

あっという間に4月は過ぎて行き GW 突入、明日からは5月。世の中の2割の方は9連休とか、、3月一杯は寒いという感覚の日が多かった。私の耐寒能力が下がったせいもあったかも知れません。

そして4月に入ると、さすがに春の暖かさを感ずることが多くなり、下旬ともなると愛用のベストを着る必要もなくなり半袖シャツ。朝の散歩でも、朝日の直射を避け日陰を選んで歩くようになりました。

今月はこのコラムも余りはかどりませんでしたが、プログラミングにハマっていただけでもなさそうです。特に書くネタもなく、のんびりと日が過ぎていったためのようです。まあ、平和だったということで、良いことなんでしょう、、世の中を振り返れば、北朝鮮の金正恩委員長が停戦ラインを越え韓国の文在寅大統領と南北会談をしたとか、TOKIO の山口君の飲酒上のスキャンダルとか、WRC:世界ラリー選手権アルゼンチン戦でトヨタ・チームのタナック優勝などのニュースはありましたが、、

ついでに、今回の WRC でのトヨタ・チームの状況を書き留めておきます。私イチオシのラッピ非常に速かったのですが、数度に渡るパンクや最終走行でのエンジン・ストールなど不運が続き成績は上がりませんでした。しかし、これらトラブル回避もスキルの内、現在トップクラスの選手達も数年前迄こういうことを繰り返し安定してきました。これからのラッピが非常に楽しみ。ラトバラもタナックに迫る速さだったのですが、緒戦でサスペンション破損に伴うオイル漏れでリタイア。ラトバラは前回からリタイア続きでちょっと気の毒。選手権ポイントもラッピとラトバラが並んでしまいました。

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鎌倉霊園の八重桜

これは日々の生活で感じたことを書きとどめる私の備忘録です