2002.12 (c) 情報ツールとして E-mail, Web に画像会議が加わる

今月は E-mail, Web に次ぐ第3の画期的メデイアである画像会議 システムのレポートと、それをめぐってこまごまと出費することに なった色々な周辺機器のレポートなどをしてみたいと思います。

○ Internet を使った安価・簡便な画像会議

都内各医師会の医療情報担当メンバーで、日本医師会開発のレセ プトコンピュータ・システム ORCA の説明会を行うことになった。 ORCA とは実際にはどんなものなのか、サポート業者はどこを選べ ばよいかなどを比較しようという企画である。どこかの医師会館で 行う予定だったが、NTT-BB(broad band) が始めた BROBA というブ ロードバンドを利用した映像会議システム(TV 会議と言った方がわ かりやすいかな)があるようなので、いくつかの医師会館を結んだ 多元中継でセミナーをやろうという話に発展した。

ORCA について基調講演の依頼を受けた。最初は会場の医師会館に 赴いて話しをするつもりだったが、世話人から「大橋先生は自分の ところから講演するところに意味がありますから」とのことで、急 遽私のところからインターネット越しに講演を行うことになった。 これがどのようなシステムなのか理解していなかったため、果た して私のところですぐにできるものなのか、ちょっと不安もないで はなかった。世話人のパワーは物凄く、事前の準備の ML では多い ときは1日100通を超えるメールが飛び交った。何かコメントをする と、すぐその返事が来る。それに応えるとまた返事がくるという具 合でチャット状態になってしまうこともしばしば。

画像会議の操作は難しいものではないが、会議を完ぺきなものに するにはマイクの音量調整や、万一の不具合への対応などを用意す るため、本番前1週間は毎晩チャットルームを使っての電子会議の予 行演習が行われた。 使い方は簡単で、基本的にはインターネットにつながるパソコン と数千円の Web camera があればよい。あとはマイクとスピーカー だが、本体のものはやはり使いにくいのでマイクとヘッドホンが一 体になったヘッドセットが手軽である。カラオケに使うような本式 のマイクを使うと音質はずっとよくなる。利用料金は、会議のセン ターになる所だけ月8000円支払う必要があるが、そこへ接続する一 般ユーザは月300円支払えばよい。

実際にやってみた感想は、実際と遜色なく会議ができる。資料に ついても、Web page, PowerPoint などの画面を全員で共有できるの で、全国を結んだ勉強会などもばっちりである。ただ一つだけ文句 をつけたいのは現状では「Windows にしか対応しない」こと。 これまで Internet 技術を使う実用的通信手段として「e-mail」 と「Web」を挙げてきたが、これに「画像会議」が加わった。これは モノになる。今後携帯電話と同じ発達をするに違いない。奥様方が 画像会議で井戸端会議をしたり、お爺ちゃんお婆ちゃんが遠方の孫 の顔や音声を聞いてよろこぶ姿が眼に浮かぶ。

○ USB 記憶装置

画像会議にどうしても Windows が必要ということで、VAIO を借 りたのだが会議が終わった後で Windows 上のファイルを Mac へ持 って行く必要がでた。これがどうしてもうまく行かない。MacOS X 側では Windows との文書共有などができるはずだが、何せ Windows を気を入れて使ったことがないのでうまく行かない。

米国 Apple 社でやっているネットワークサービス .Mac 上の共有 フォルダーへ送ってみた。うまく送れるファイルもあるのだが、送 りたいファイルがどうしてもエラーになり送れない。うーん困った なと思っていたところ、ML 上の別の話でちっぽけなUSB 接続のメモ リーが話題に上った。「これだ!」ということで、早速 MacOS X と Windows どちらも OK というのを見つけて買ってきた。64MB で数 千円、しかも本体はボールペンのキャップより小さい物体である。

まず借り物の VAIO の USB にガチャンと刺すと、しめしめ認識し てくれフォルダーが現れた。ここに目的の文書や画像の入ったフォ ルダーを放り込む、無事放り込めた。そこで USB を切り離し、今度 は Mac の USB へ接続、こちらも同じく自動認識してフォルダーの 中身がばっちり見える。ということで、めでたくファイルを移行す ることができた。これは結構便利かも知れない。

フロッピーデイスクを使わなくなってからもう5年位にはなるだ ろうか。現在手持ちのマシーンでフロッピーが使えるマシーンは一 台もない。NeXT でもフロッピーは使えたが実際に使うことは滅多に なかったので、本格的に使わなくなってから十年以上になるかも知 れない。他のマシーンとのファイルのやりとりはもっぱらネットワ ークを介して行っているが、今回のような場合にはやはりちょっと した記録メデイアがあると便利のようだ。 それにしても64MBで数千円だから驚いてしまう。今から10年以上 前、初代 Mac に接続するため初めて買った外付けHD は 40MB で40 万くらいしたと思う。あれがたった数千円で、指先位のちっぽけな ものになってしまうのだから凄いものだ。

○ VirtualPC

それにしても BROBA の画像会議が Windows マシーンでないとで きないのは何としてもシャクである。せめてハードウエアだけでも Mac を使えないものかと、とうとう大枚はたいて Mac 上でWindows をエミュレートする VirtualPC を購入した(4万円程度でも私に とって Windows に使う金は無駄金に近い)。

さっそくインストールしてみた。WindowsXP が走るようである。 Mac では入ることもできなかった会議室にうまく入れたのだが、マ イクを認識してくれない。設定の問題などあるかと思うのだが、と うとう画像会議に間に合わせることができなかった。無念!! VirturalPC は dual CPU の PowerMac G4に載せた。まあまあ使え る程度の速度で動いてくれるがやはり結構トロイ感じは否めない。 それにしても偏見があるなら直そうと何度挑戦してみても Windows の画面や使い勝手は好きになれない。やはり無駄金だったか。

○ サンヨーの IC-Recorder DiplyTalk

USB 記録媒体を買ってから2日後、必要があって IC-Recorder を 買った。SANYO の DiplyTalk という製品(DisplayTalk ではない)。 同様のものは色々なメーカーから出ているが、この SANYO のものは とてもお勧めである。勧めるのは次の2点。

    1. 内蔵マイクの感度がとても良い

      1. 10人程度の会議でも本体を机の上においておけば、遠方の人の声 も大変クリアに入るので外付けマイク不要。雑音は余り拾わない。

    2. USB を本体に装備

      1. このため、ケーブル不要で本体をパソコ ンの USB にさしこむだけで記録された音声ファイルが見える。MP3 形式で録音されているので、そのままパソコンへコピーして聞ける 。ということは、音楽をMP3 にして DiplyTalk へコピーすればこい つで音楽も聞けるということである。

ということは、2日前に買った USB メモリーは不要だったという ことになる。うーむ。 電池は充電式ではなく単4が2本だが、出先で電池が切れた時など むしろ単4の方が便利だ。

勉強会でもこれを胸ポケットにさしておいて録音し、スライドの 要点をデジカメで撮影して帰れば、自宅で復習できる。友人達と食 事をとりながらの会話を録音してみたが、これがなかなか面白い。 食事をしながらということでオフレコの発言が結構あったりして公 表をはばかれる部分もあるが、それぞれの個性がでていてなかなか 面白い聞きものと一人で楽しんでいる。

さらに面白い応用法をみつけた。医療情報学会での自分のセッシ ョンの時、これを胸ポケットにさして録音してきた。最近プレゼン は HTML で作ることにしているので、この HTML を Web で公開し録 音してきた音声をつけてみた。座長やフロアーからの質問の声はち ょっと小さいので、パソコン上のフリーウエアで音量を編集した。 音は小さくてもクリアに録れているので、内容はよく聞こえる。 このようなことで学会場に行ったとまったく同じように講演を聞 ける。以下の URL にあるのでお試しあれ。回線が遅いとちょっと 音が途切れるが、これから同様の方法での公開情報も増えるに違い ない。これは結構便利だ。

http://www.ocean.shinagawa.tokyo.jp/papers/papers.html 

○ カシオの薄型デジカメ Exlim

別の学会で行った熊本市街を歩いているうち、「ベスト電器」と いう量販店の看板が眼に入りつい足を踏み込んでしまった。東京の 秋葉原と何も変わらない店へ何も、、、ということであるが、そこ で図らずも以前から興味のあったカシオの薄型カメラを衝動買いす ることになった。

衝動買いではあったが、以前から紹介記事を繰り返し読んだ結果 だったので、結論としては正解だった。これはなかなか良い。録音 機能のついた上位機種である。 SONY から出ているにぎり寿司サイズのカメラにしようかと大変悩 むところだが、薄さと録音機能をとってカシオにした。 SD メモリーがついており、これを大容量にすれば結構のものが入 る。クレードル経由でよければこれも USB メモリーとして使える。

自分としては音楽に強い執着がないので iPod のような音楽専用 機器を買うつもりはないが、こいつに MP3 で音楽を入れる程度で結 構楽しめる。128 MBのメモリーだと8曲位持ち歩いて、それでもある 程度撮影した画像を記憶する余裕があるのは嬉しい。 前述の IC-Recorder は 64MB の内蔵メモリーだけなので、沢山の 音楽を入れるには容量が足りない。

Exlim でも会議の録音を録ってみたが、内蔵マイクの性能の差で あろうDiplyTalk ほどのクリアさはとてもない。こちらは SD メモ リーカードの容量を増やせば DiplyTalk よりずっと大容量の録音が できるのだが、ちょっと残念。

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