2009.10 何のその花が咲かうと咲くまいと

わーくすてーしょんのあるくらし ( 200 )

2009-10 大橋克洋

何のその 花が咲かうと咲くまいと

一茶の句です。この「勢い」が わたし好みですねえ。 「結果なんていいじゃない、やると決めたからにはヤルんだ!」ときっぱり、 男らしい。一茶は私のように単細胞ではなく、もっと心優しい人と思いますので、 私の共感はきっと的外れなのだろうと思いますが、 それでもこの句の勢いが好きです。

御地蔵の膝にすわってなく蛙

こちらは、いかにも一茶らしい句です。 ほのぼのとした情景が目に浮かぶようです。 膝で鳴く蛙を目にして泰然自若、身動きもしないお地蔵さんも 私の手本としたいものです。 座っているお地蔵さんもあるんですかね、、

< 2009.09 MacOSX 10.6 Snow Leopard リリース | 2009.11 集中と分散 >

このコラムを書き始めてから、 記念すべき通算200回目になりました。 途中で中断したことも、しばしばありました。 さあて、300回目までいけますかね、 そろそろ、いつ本格的に中断してもおかしくない年齢に 踏み込んでいきます。 次の節目300回目に今月号を眺めるのを楽しみに、、

  • 電子カルテ NOA の「オープン・ソース化」アナウンス

  • レセプト・オンラインの開始

  • 左内耳前庭神経炎による初入院

200回目を記念したわけでもないでしょうが、今月は 期せずして3つほど記念すべきイベントを刻むことになりました。 そして下旬に至り、さらにもうひとつ Apple から記念すべきアイテムが追加されました。

  • Magic Mouse と Snow Leopard Server 組込み Mac mini

○ クラウド・コンピューティング

このような言葉が時々、目にとまるようになりました。 「自分のところにデータを溜め込む」のではなく「雲の彼方に収納・管理してもらう」 ということですね。私も「自前のメール・サーバを廃止し Gmail を使うようになった」ということを先月書きました。 これからは私も、かなりの部分をクラウドへ移行してゆくのだろうと思います。

昨年あたりから Evernote をよく利用しています。 ファイルでも、画像でも、音声でも、あらゆるファイルを Evernote に置いておくと、 コンピュータからでも出先の iPhone からでも参照できます。 これはとても便利で、都医の仕事で必要なドキュメントとか、 Web で見つけ自分のところに保存するほどではないが 後で必要になるかも知れないものを Evernote に入れてあります。 つまり「出先で参照したいもの」や「必要かどうかわからないが、 もし必要になったら検索したいもの」を置いています。 後者には「自分のストレージをなるべく節約」という セコい考えもないとは言えません。 Apple の iDisk も iPhone 対応になったので このような使い方もできますが、 Evernote は検索・閲覧アプリと一体になっているので便利です。

その他には、オンライン表計算 OnSheet というのがあります。 Web アプリとしてのスプレッドシートですが、 便利なのは大勢で共有できることです。 複数の人間で共有し都合のよい日に印をつけたりして、 日程調整などに利用すると便利です。 オンラインのスプレッドシートは Google にもありますが Google の場合、利用者は Google に登録されたメンバーである必要があります。 OnSheet はその必要はないので、 不特定多数の人間と日程調整をするのに、 便利に使わせてもらっています。 OnSheet と同じインフォテリア社のサービスとして linoIt という「オンラインの付箋」もあります。 付箋を複数メンバーで共有できるサービスです。 こちらは、まだ使いこなせていません。うまい使い方を見つければ、 きっと便利なツールなのだろうと思います。

クラウド・コンピューティングについては、 先月 Gmail のところで書いたように 「データがあちら側にある不安」というものもないではありませんが、 それさえ割り切ることができれば、とても便利なものです。 先月からオープン・ソースにした 私の「電子カルテ NOA」も Web アプリケーションですので、 「雲の彼方」にデータを置くことが理論上可能ですが、 医療データを扱うに足るセキュリティーを保つには かなりのコストと継続的マンパワーを必要とするので、 当面それは考えていません。

ところで、この「わーくすてーしょんのあるくらし」こそ、 クラウドに置きたいところです。 いずれ、私が使い物にならなくなった時、現状では ここに書き綴った情報も消え去ることになりますから、、 もちろん現状でも貸しサーバはいくらもあるのですが、 できれば Google のような(半永久的に続きそうな?) ところが良いです。Google といえども、 つぶれることはあるのかも知れませんが、 これだけの情報資産を持ってしまうと 誰かが継承せざるを得ないでしょうと、 そのあたりを期待しています。 いろいろなクラウド・サービスをやっている Google ですが、 まだ Web site そのものを置かせてくれるサービスはなさそうですね。 Blog はあるのですが、、

○ 電子カルテ NOA オープン・ソース化

先月号ですでに書いたところですが、 まだ多少の手直しがあり、この web site でしかアナウンスしていませんでした。 10月1日を期して、色々な ML で公開のアナウンス。しかし、 ここで大失敗。公開した途端「早速 見に行ったが、 画面が真っ白で何もみえない」とのクイック・レスポンス。 「おおそうか Windows では見えないのね」ということに気がつきました。 凝って web site を javascript でガリガリに書いたのが大失敗。 Mac ユーザとして、いつも味わっている悲哀ですが、 これを Windows ユーザにも押し付ける気は毛頭ありません。 速攻で素直な HTML で書き直し。皆さん、ごめんなさい。

以下は ML へのアナウンス。記念として書き留めておきます。

大橋です

今年の Seagaia meeting 2001 in OKINAWA で、電子カルテ NOA の プレゼンテーションをさせて頂きましたところ、大勢の方から思いがけぬ反 響を頂きました。その声に背中を押され、以前から迷っていた「NOA のオー プン・ソース化」に踏み切ることにしました。

1985年の電子カルテ WINE(現在は NOA に改称)の開発開始以来、 日常診療に使いながら蓄積したノウハウのすべてを公開し、これからは世 の中の皆様に役立てて頂き「電子カルテが本当の意味で、医療現場の便利 で快適なツール、なくてはならないツールに育って行くための肥やしにな れば」という願いからです。

「ユーザとしての声」「開発者としての声」あるいは「医療を受ける立 場としての声」など、色々な方面の反響を楽しみにし(恐れ?)ています。

このツールは「医療現場で頼りになる道具として、皆様とともに育てて 行くべき」と考えています。皆様の立ち位置それぞれからで結構です、ど うぞよろしくお願いいたします。

UNIX やインターネット黎明の頃、NeXus(日本 NeXT ユーザ会)の頃 の、性善説で前向き思考、活気あふれたコミュニティーを夢見ていますが、 今のさめた世の中ではどうなんでしょうね、、

以下の URL からダウンロードして自由にお使い頂けます。

http://www.ocean.shinagawa.tokyo.jp/NOA_PROJECT/

# 何のその 花が咲かうと咲くまいと(一茶)

○ 突如の新たなる経験

私は生まれてから一度も入院という経験がありません。 この度はからずも初体験することになりました。 自分の記録の意味もあるので ちょっと長いです。読み飛ばしてください。 2日の朝、トイレで一瞬 頭がふらっとすることがありました。 昼にもエレベータの中でふらっと。「あれ? 何だろ」と思ったものの、 すぐ平常に戻り 「年齢のせいでこんなこともあるんだ」と思っていました。

その夕方、都医の医療情報担当職員の歓送迎会。 まだ時間があるので都医を出て、 書泉グランデをぶらりとして神田へ向かいました。 店に近づき公園を横切る頃から、例の「ふらっ」が発生。 今度は一瞬で消えません。沖縄料理店に到着、 まだ誰も来ていない席に腰を降ろすと、 テーブルが時計方向へグルグル回り始め、 全身を脂汗がびっしょり流れ始めました。気持ちも悪い。 「こりゃあ、アルコールなんてとんでもないな」 しばらく待ち誰か来たら 体調不良を告げ帰ろうと思ったのですが、 症状はどんどん進行。

「こりゃ、駄目だ」ということで、 店の人に「体調不良で凄く目が回る。連れには電話しておいたので、 先に帰る」と告げ、店を出ようとすると ひどい千鳥足状態。 店の人が「大丈夫ですか? この椅子に座って休んだら」 と言ってくれたので「誠に申し訳ないけど、タクシー止めてくれない?」 とお願いし、タクシーまで腕を支えてもらって乗車。

激しい目眩で吐気。不幸中の幸い、 手元には先ほど買った雑誌の入っていたビニール袋があります。 濡れた傘をいれるつもりで 雑誌は鞄に入れ袋は空。タクシーの運転手さんに 「もの凄く目が回るので吐くかもしれない。 ビニール袋持っているので車内は汚さないからね」。 目を開けると、もの凄く気持ちが悪く、ほとんど目を閉じたまま 自宅マンション玄関前へ車を突っ込んでもらいました。 「悪いけど、エレベータまで連れて行ってくれない?」 と腕を支えられエレベータへ。動いたため吐気が高まり、 何度かビニール袋に胃液を吐きました。

丁度家族は留守、ベッドへ ばったり。 症状が急に進行し減退しなかったので 「もしかして脳神経関係?」とも思ったのですが、 両手先も器用に動きますし、言語、思考も問題なし。 15年前、米国ツアーで起こった症状と同じようです。 元脳外科医でリハビリ専門医の弟と、 若手脳外科医の甥が来てくれました 「症状からして脳神経の心配はなさそう。 おそらく内耳循環障害と思われるが、 明日になって具合悪ければ 手配をしておくので、ひとまず慈恵脳外科に来てください」とのこと。

○ 入院デビュー

翌日、慈恵本院の脳外科受診。早速の MRI 結果は 「脳の萎縮もなく出血、梗塞、腫瘍の疑いなし、血管にも異常なし。 耳鼻科へ依頼状書きますね」と脳外科の甥。 家内に車椅子を押してもらって、検査のため院内をあちこち移動。 昔、白衣を着て飛び回っていた本院、 あの頃の面影も多少残るものの、 大分複雑な構造になっています。 あれからもう40年ですものね。

続く耳鼻科での検査の結果、やはり左内耳循環障害か 前庭神経炎の診断。「特別な治療があるわけではなく、 対症療法で時間が経てば改善される」とのこと。 「なら、自宅で安静かな」と思ったのですが、 「それでも良いんですが、やはり入院してちょっと経過を看たいですね」 との主治医の意見に素直に従うことにしました。 朝の目眩の状況では「入院は避けられないだろうな」 と覚悟もしていましたので。

どうせ入院するなら「大部屋を体験してみたい」 との気持ちもあって、最初の2日は4人部屋。 始終ゲホゲホと咳き込むお年寄りや、 時々呼吸困難になりそうに咳き込む患者さんなどとの相部屋。 夜も明け方まで誰かがごそごそ動き回ったり、 ナースステーション前なので、 夜中でも話し声やナースコール、器具を扱う音など、 とても賑やかな部屋でした。私は元来、 そういうことはまったくと言ってよいほど気にしない質ですので、 それはそれなりに面白い体験であったと思います。 もっとも大部屋の雑然さ、病室特有の匂いなどなど 医局にいた頃、病棟の勤務医として感じていたものと 殆ど差はないことがわかりました。「ははーん、 自分が患者になっても、こんなもんだよね」と。

このまま大部屋で過ごすつもりだったのですが、 家内が個室をお願いしていたようで、3日目に個室へ移動。 相部屋では窓際でなく穴蔵のような区画(最初は目からの刺激で 気持ちが悪くなったりするため、かえってこれが好都合) だったのですが、 今度は東京タワーの見える「超!快適」な個室となり iPhone も気兼ねなく使えるようになりました。

病室棚の奥、電話機のそばに弁当箱大の装置がありました。 「電話機の周辺装置かな」と気にも留めなかったのですが、 個室へ移って2日目よく見てみると、 そばにイーサケーブルも掛けてあるではないですか 「もしかして、、」と、家内に MacBook Air と AirMac ベースステーションを持ってきてもらいました。 「このまま素直に繋がったらエライ!」と試しに接続してみると、 何とスルーでインターネットに接続できてしまうではないですか。 病床にありながらインターネット・リーチャブル、 さらに快適性が上がってしまいました。

「どうしましょ、病室に根が生えてしまいそう」。 私は転んでもただでは起きない方、 色々な検査を受けながら「なーるほどー」と感心したり、 それなりに始めての経験、入院生活を楽しんでいます。 本日、明後日はどうしても私が仕切らねばならない 都医の会議があるので、 午後、病院から出勤。 「ほら、病院から出勤だぜー」と、 袖の下から血液の残った点滴留置チューブを見せびらかしたりして、、 キワムさんの人工肛門 見せびらかし にはかないませんけど。

○ 皆様に ご心配ご迷惑おかけしました

家内には全面的に世話になり、皆様にもご心配おかけしましたが、 入院8日目にて退院となりました。 退院出口で家内の車を待っていると、 慈恵で同級の T 先生がスーツケースを転がし 出てくるのにぶつかりました「どうしたの?」と聞くと 「今、退院するところ」。「あれ、僕も」という会話。 彼は心房細動で3度目の入院とのこと、彼の方がずっとシビアでした 「この年齢になると色々あるよね」。

さて私の病名ですが、最終的には 左内耳の前庭神経炎という診断。 一旦ダメージを受けた三半規管は回復しないそうで、 右内耳や五体のセンサーを駆使し 代償機能を鍛えることだそうです。 「電車の中で掴まらずに立つ」のトレーニングは、 まさにこのためにあるようなもの。今後も バランス感覚の鍛錬にますます力が入ることになります。

入院中2度ほど、どうしても外せない会議があり、 病院から都医に出勤しました。 気をつけて動作すれば大丈夫なのですが、 帰ろうとして廊下の向こうから挨拶する事務職に 反射的に挨拶を返そうと首を振った瞬間、 大きくグラリとバランスを崩し「大橋先生、大丈夫ですか!」 とびっくりさせてしまいました。 階段の登りは大丈夫ですが、 下りは手すりのそばを気をつけながら降りる必要がありそうです。

入院しているとどうしても行動が限られますが、 やはり家に帰ってくると家の中を歩き回るので、 リハビリには良いようです。回復期のリハビリを いかに早めに始めるかで、 代償機能の獲得に半年近くの差がつくこともあるそうです。 さて、どの程度の日数で普段の行動に支障なくなるのか、 ちょっと楽しみな目標ができました。 武術をやると腕試しをしてみたくなるところですが、 これは平和的目標で良いですね。

○ 今月の歩術

退院2日目、まだ「頭のふわーっとする感じ」は かなりあります。しかし 意識さえしていれば頭を急にふって振り向いても、ぐらつくことはなさそうです。 通常われわれは 主に三半規管で身体のバランスをとっていますが、 これからの私は三半規管に頼らず、 五体(中でも主に股関節)のセンサーを無意識に使って 身体のバランスをとる訓練をしていこうと思っています。 何度も書くように、すでに電車の中で独立するトレーニング、 歯磨時の片足立ちトレーニングなどをしてきたところで、 これをもっと無意識にできるようにしたいと思います。

バランスの知覚や身体コントロールを脳ではなく、 五体に分散したセンサーで独立して行おうというわけ。 つまり、高等動物から下等動物へ進化しようというわけです。 タコの足やトカゲの尻尾のように「五体ばらばら、 それなりに独立してコントロールできるよう」 てなイメージですかね。 ああ、ここでも「集中」と「分散」がでてきました。 コンピュータによるコントロール、社会の仕組み、どれをとっても この「集中と分散の上手な使い分け」こそがキモ。 もうひとつ言えることは「あらゆるものの中心は腰にあり」。

人生において どのような状況になっても「分散した機能が働き、生き残れる」、 下等動物のように「したたかな」人間になって欲しいと、 特に5人の子供たちには願います。 このコラム読んでくれていますかね。 発達した頭脳に集中的に依存する高等生物、 それはそれなりに優位性がありますが、 頭脳をやられればおしまい。そうなっても、五体に分散した機能が かなりの部分を代償し補完することができれば、 その生命力はしたたかなものになります。

私の母方の祖母はよく 「籾木(もみき)家に悪いことは起こらない」と明るく言っていました。 実際には2番目の息子の連れ合い、 頭脳明晰・容姿端麗の私の叔母が、 結婚して間もなく下半身麻痺で車椅子生活になるなど、 色々とあったのですが、それを気丈に明るく跳ね返していました。 九州出身の明治生まれ、いかにも「武家の娘」という気質をもった 愉快な祖母でしたが、私も「大橋家に悪いことは起こらない」 と楽天的に思っています。

それにしても「面白いなあ」と思います。 中国武術、歩術、独学のコンピュータ、 どれをとっても最初は趣味的にはじめたものですが、 後になってみると「将来のためにその必然性があったんだ」 と思う事態になることです。「今やっていることは何でも、一生懸命やっておくべき」 「必ずそれを存分に生かさねばならない運命が待っている」ということでしょうかね。 人生は本当に面白い、、

○ 歩術その後

現場復帰したものの、症状はほとんど改善されません。 「アルコールで酔っぱらってフラフラする感じ」が、的確に現状を言い表しています。 私は普段酔っぱらっても、足下がふらつくことは殆どないのですが、、 シャクにさわることに、頭も「酔っぱらい」状態なのです。 酔いが回った中で「気を落ち着け、一生懸命ものごとを考えなければならない」 あの感じです。内耳障害が思考に影響するとは考えにくいので 「内服薬の影響もあるのかな」と。 出歩かないですむ今度の日曜、ちょっと内服を中止して相違を見てみましょう。

東京都医師会には 安全を期しタクシーで通勤していますが、 本日、日本医師会委員会の帰り、徒歩と電車で帰ってみました。 気分は酒酔い状態ですので、気を落ち着け歩行する必要があります。 ここで、ここ数年の歩術、中国武術の成果が大きく発揮され 「電車の中で掴まらないで立つ」を完了して帰ってくることができました。 頭は駄目でも腰の安定は完璧ですね。 三半規管が駄目なので、頭の方に注意がいくとふらつきの原因になります。 コツは「腰を柔らかくし、コンニャク状態の下半身に上体を乗せ」 極力「頭部を忘れ去ること」です。三半規管に頼らないため、 腰がしっかりバランスをとって歩いてくれます。 現在のロボットには全体を統括する中枢があるわけではなく、 歩行専門の処理装置やセンサーが 自動的にバランスを勘案して歩行しているのだと思いますが、 それに近づけることです。

本日はじめて自走ならぬ自歩して帰宅しました。 問題を感じたのは階段の下降。いつも日本医師会5Fから エレベータを使わず階段で降りるのですが「ちょっと左右にふらつくかな」という感じ。 「千石駅」の地下鉄階段を降りる頃には ほとんどふらつきもなくなりました。 やはり歩くのが一番のリハビリのようです。腰の自動歩行に任せた歩きでも、 結構の早さで歩いてくれます。 人ごみの多い武蔵小山商店街も従来と変わらぬ速度で歩行できますが、 問題は突然前の人が止まったりする場合ですね。 事前に予測していないと、大きくバランスを崩す可能性があるかなと。 急に横を見るのも、気をつけないと。

要するに、現状では「頭を振る場合、必ず事前に意識しておくこと」、 でないと大きくバランスを崩す可能性があります。 「院長が体調を崩したため」と正直に告げ1週間 診療を休んだので、 患者さん達と「お大事に」のエールを交わすことになりました。

○ レセプト・オンライン一発で成功

私の入院中、ORCA による初めてのレセプト・オンライン請求。 事務職に任せっきりで、ちょっと心配していたのですが、 電話してみると「無事、うまくできました」との報告。 駄目な場合はとりあえず 従来通り紙で提出することも覚悟していましたが、 一発でうまくクリアしてくれました。

「本当にうまく送れたのかな」 「2ヶ月後に請求額が振り込まれなかったりしたら、」 という思いがよぎらないでもないのですが、 「ちゃんと送付完了画面も確認しました」との 報告なので大丈夫なのでしょう。 オンライン請求に反対の声も少なくないものの、 「あつものに懲りてなますを吹く」ではありませんが、 少なくともレセコンを導入しているなら 挑戦すべきと思います。世の中の流れに棹さしても、 いずれ流れには逆らえません。 早く流れに乗ってしまった方が、 結局ダメージは少ないと私は思っています。

○ 今月の iPhone

慈恵受診の朝、入院も覚悟していたので、 何はなくとも iPhone と電源アダプターだけは持参。 これは大正解 「入院生活に何はなくとも iPhone と電源アダプター」。 大部屋では時計やメモがわりに使っていましたが、 個室になったのでメールだけでなく電話連絡もとれます。

何せこいつはパソコンそのものですから、 病床に居ながらにして世界の状況も把握できますし、 メールで周囲とコミュニケートできます。 家内との連絡は勿論、 オープンソース化した NOA ユーザの方への細かい フォローも病床からできて快適、快適。 入院してから右目がゴロゴロするので、 ついでと言っては何ですが「眼科でちょっと診てもらいたいなあ」と。 ベッドから後輩の眼科の Y 先生にメールをしたら、 速攻で1時間後に病室を訪問してくれ、 翌日、眼科外来を受診。 母校ですので、いろいろな部署に後輩がいます。 最近は看護科の馬術部後輩も増えつつあります。 早速メールしたら、顔を見せにきてくれました。 また何かの時にはお世話になるのでしょう。よろしくね。 これだけは役得というものです。

iPhone で無精髭とぼさぼさ頭の自分の顔を撮り 「しっかりビョーニンしてます」と Twitter で送ったら、キワムさんから「寛平さんかと思った、」と返信がきました。 その後、ノートブックがインターネットに繋がるようになったのですが、 メールは極力 iPhone で書こうと思っています。 入院を機会に「iPhone での文字入力の能力をアップしてやろう」と。 iPhone で素早く日本語を打てるには、 目的の文字が あの十文字パターンのどこにあるかを、 瞬時・無意識に選択する能力を育てることですね。

あ、そうそう、AppStore を眺めていたら、 懐中時計を見つけました。 裏返すと、精巧な歯車が動いているメカニズムが見えます。 短針・長針のアナログ時計も、なかなか良いもんですね。

マイクロソフトはいつもの習性で、 iPhone の後追いで同じような携帯をだすようです。 以前 Windows mobile を使った経験からして、 少なくとも「携帯」としてロクなものではないでしょう。 Apple のように「携帯としての使い勝手を最優先」したものではなく 「所有することの満足感」を与えることは 間違いなく「無い」はずです。

○ SONY VAIO X

ということで Windows にはまったく魅力を感じませんが、 その Windows マシーンでありながら、所有欲をかき立てられそうな ブツが発表されました。かつて一世を風靡した VAIO、 最近は誰を見ても持っているのはレッツノートです。 ここで巻き返しを図ろうと、 SONY から涎の出そうなノートの発表です。 数年前、涎の垂れそうだった バイオノート505エクストリームの進化型。

MacBook Air をかなり意識したと思われますが、 さすがは SONY、 私がいつも唱える「真似するなら本家を越えろよ!」を実現。 厚さ13.9mmのフルフラットボディ、重さ655g(最軽量構成値)、 もっとも小さい「Sバッテリー」で約5時間、 大容量の「Xバッテリー」を選べば 最長20.5時間の駆動時間を誇る。 薄さについては現状ではこれが限界でしょうが、軽さ、 そして特にバッテリーの保ちは MacBook Air を完全に圧倒しています (Air のディスプレイが13.3インチに対し、 VAIO X は11.1インチという相違はあるものの)。

さらに、その薄さにも関わらず 外部ディスプレイやLAN端子がアダプター不要、 直で本体に接続できるのは素晴らしい (Jobs の性格としてやらないでしょうが、 是非ここだけは MacBook Air に逆輸入して欲しい。 そのために接続アダプターを別途 持ち歩くのは、とても嫌なのです)。 スペックをよく読むと CPU はネットブック級のもののようで、 マシーンとしてのパフォーマンスはそう高いものではなさそう。 それにしてもよくやった SONY。 Windows なんて私にとってはまったく不要なのに、 この VAIO X だけは物欲をそそられますねえ、、 ゴールド、プレミアムカーボンがあるけれど、 私としてはやはりブラックかな、 などと、まるで購入するかのようにわくわくさせてくれます。 この調子で SONY らしさを復活させてくれると 嬉しいんですが。Windows を使わない私から、 最大のエールを!!

しかし流石の SONY も「画竜点睛を欠く」のが OS です 「容姿端麗、洗練された美人も口を開けば幻滅」では、、 誠に残念。 そういう美人は目の保養として、遠くから拝ませて頂くのが一番。

○ ひょえー、出ちまったよ、

今朝 CNET japan を開けてみると、 思いがけず Apple から幾つもの製品発表が、、 iMac、MacBook、Mac mini そして あらたな戦力 Magic Mouse

うひゃー、どれも魅力的で「猫に鰹節状態」。 まず iMac ですが、数ヶ月前書いたように、 診察室でとても気に入って使っていた白パネル型の iMac が電源関係の不調で時々凍り付くようになってしまいました。 問い合わせたところ、修理するなら新しいものを買った方がまし、 のような価格。ディスプレー自体はとても奇麗な発色を保っているのに、 ディスプレー単体としては活かせないことも前述しました。 捨てるのも忍びがたく、棚の上に静かに鎮座まします。

仕方なく、 診察室ではブラックの初代 MacBook を蓋を閉じた状態にして、 古いスタジオ・ディスプレーをつないで使っています。 MacBook の性能が良いのでパフォーマンスに不満はないのですが、 メインの仕事場マシーンが間に合わせ状態なのは、 どうも心にひっかかるものがあることも否めません。 いずれは iMac か、Mac mini + display にしなきゃね、と思ってきたところです。

そして、噂に登りながら登場しなかった新 Mac mini 、 遂に登場しました。 従来型 Mac mini のパフォーマンス向上もさりながら、 Snow Leopard Server 組み込み Mac mini にも食欲が湧きます。こちらは診療デスク用ではなく、 現在この Web site を動かしているインターネット・サーバとして。 うちでは、しばらく前から Mac mini に外付け HD を2台接続し Time machine でバックアップしながら、 インターネット・サーバを運用しています。 なーるほど、本家 Apple 社も同じ考えなのですね。 このたび登場した Mac mini server は まさに同じコンセプト。ついつい、涎のたれるところです。

そして新たな Magic Mouse これは迷うことなく 「即、買い」しかありません。自宅書斎用と診察室用に ひとまず2個、速攻で AppleStore に注文しました。 さすがに到着まで10日ほどかかりそうです。 そして MacBook の白い筐体のやつ、 これもさらに角のとれた形状で、 バッテリー寿命を7時間に延長して登場です。

さあて、迷うものが2つできてしまいました。 診療デスク用 iMac そしてインターネット・サーバを 新しい Mac mini にすべきかどうか。現在サーバを担っているのは、 初代 Mac mini で PowerPC バージョンです。 だからと言って何も問題なく、粛々と仕事をこなしています。 こんな時は衝動買いせず、 しばらく「欲しいものリストに掲げて数ヶ月ながめ」 「それでも欲しい度が変わらないなら買い」が 正しい買い方と心得ます。まあ、これも楽しみなことですね、、

○ Magic mouse

届くのは11月と思っていたのですが、 28日 Apple から発送のメール、 翌日宅急便で到着。Magic mouse は 小判型の透明なプラスチックケースに入っています。 このケースは使いませんねえ、、 Apple にしては珍しく 自然にやさしくない無駄な経費かなと、、

マウス裏の小さなスイッチを入れると LED ランプが灯りました。おっ、最初から電池が入って スタンバイしているんですね、これは Apple らしいかも。 Magic mouse は bluetooth 接続のコードレス・タイプのみ。 早速、使おうと思ったところ、 ウリのスワイプなどの動作ができません。何度やっても駄目。 システム環境設定を見ても、 それらの設定画面がありません 「あれえー、どうしてだろう」、ああ、そうか、 MacOSX 10.6.2 に上げないと駄目なんですね。

早速 OS を上げました。今度はシステム環境設定に、 Magic mouse 用画面が出てきました。 ということで、1日使ってみました。 確かにマウスから手を離さず、指先一つで画面スクロールや 左右スワイプできるのは便利です。 ただ、以前のマウスより不便になってしまったこともあります。 以前は人差指位置のポチに spaces を設定していて、 これで画面を切り替えられ、とても便利をしていました。 マウス両側のボタンには dash board を設定していました。

ところが、今度のマウスにはそのような 余計なコントロールがありません。特に spaces の切り替えが、 自然な感覚でできていたのは とても便利だったので、これだけはとても残念です。 マウス右側押しに、副ボタンを設定できるようになっています。 私は副ボタンより spaces を使う頻度の方がずっと高いので、 ここに spaces などの機能を設定できるよう改良して欲しいなあ、、 ソフトだけの問題です、皆さん、大いに叫びましょう。

白い滑らかな表面、下半分は銀色の金属製で、 SF映画にでてくる宇宙船のような形。 初期の電池入りコードレス・マウスのような、 持った途端「重っ」という感覚もありません。 spaces ができなくなったのは かなり残念ですが、他は good じゃないでしょうか。 最新のコンパクトなメタル・キーボードとともに Apple らしいハイセンスの香りが 気に入っています。

「知恵は苦しまぎれから生まれるもの」、当面の裏技を思いつきました。 spaces の alias をデスクトップの隅に置いておき、 こいつをダブルクリックすると spaces の選択画面が現れます。 これで切り替えることにしました。 メニューバーの spaces アイコンで切り替えられるのですが、 不思議なことに何かやりにくく感ずるのです。spaces の元祖 DesktopManager の頃はメニューバー上に spaces 数だけアイコンが並んで、 アイコンそれぞれに 画面上のウインドーが小さく描かれ、 一発で必要な画面に切り替えられました。 あの方法が最も操作が少なかったのですが Apple も「真似するなら本家を越えろよ」には至っていません。

○ 人の輪と和と達成感

電子カルテ NOA のオープンソースをアナウンスして1ヶ月足らず、 早くも熱心なユーザさんに食いついて頂けています。 昔、無償配布していた電子カルテ WINE の頃もそうだったのですが、 こうして熱心に食いついて頂けると、 こちらもついつい手厚くサポートしたくなります。 「(女性ならぬ)助成の母性本能」を大きく くすぐられるからですかね。 何度もメールでやりとりをし、 先方でどうしてもうまく動かなかったところがクリアできると、 双方で「(内心)バンザーイ!」の歓声。これが、堪りませんね。 お陰様で NOA の機能や使い勝手も 色々な面でアップすることができました。

一方で最近増えてきた「わがまま放題な患者さん」には、 まったく閉口以外の何ものでもありません。 幼児への母性本能がそうだと思いますが 「それなりの自助努力」がみられるところに、 特に大きく「母性本能をくすぐるもの」があるのだろうと思います。

昨日 TV でジェット・コスターに得意な人と不得意な人を乗せ、 脳波や心拍などで解析を試みていました。 両者とも最初は心拍数に急激な上昇が認められますが、 前者では心拍数がピークに上り詰めたあと 同じ角度で下降し、あとは平常に推移します。 後者はずっと心臓ばくばくの状態のままが 下車してからもしばらく続きます。 前者は「ストレスをクリアしたことの達成感 によるものが大きい」との解説。

なーるほど、、ちなみに私はジェット・コスター大好き人間です。 特に頂上から真っ逆さまに突っ込んでいったり、 そこからギューンとひねりがかかったりすると、 ものすごく嬉しくゾクゾクしますね。眼鏡使用の私には 戦時中であっても、 絶対になれなかったであろう「戦闘機乗り」になった気分だからです。

そこで思い当たりました。ジェットコスターの達成感は、 プログラミングなど解決困難な問題と 長いこと格闘した結果「遂にやったぜ!」という達成感、 今回のように「ネットの彼方のユーザさんとともに得られる」達成感、 中国武術の錬巧を日々おこなううち 「遂にできるようになった身体の動き」による達成感、 これらはどれも共通するもの。つまり 「苦闘して達成感を味わうと、 再度の苦闘にも大きな喜びへの期待が高まる」 というメカニズムなんですね。 これにより「強い人間はさらに強化され」 「弱い人間はそれなりに」なのだろうと思います。

○ 鹿の子にわるぢえ付けな なくカラス

一茶には、こんな句もあります。 若い女の子の とても行儀の悪い姿を流す TV コマーシャル。 これは「常識ではないから絵になる」と思って流しているのでしょうが、 何も知らない白紙状態の若い子達は「これが常識」と思ってしまいます。 禁句と知って あえて言いますが「日本の世の中を ここまで堕落させたのはマスコミと日教組」というのは 的を得たことと言わざるを得ません。

「日教組が道徳教育の一部を廃案にした」 とのニュースがありました。教育者がもっともやらねばならないこと、 これからの社会、国を支える若者に道徳を教えずして、 教育者のやるべきことは何も無くなってしまうではないですか。 これこそが 「あつものに懲りてなますを吹く」ですね。日の丸が悪い、道徳が悪い ではなく、それを「どう使うかが悪い」のです。

世の中が騒ぐセキュリティーに言えることですが、 どんなにお金をかけ厳重なセキュリティーシステムを作っても、 結局はアリの一穴から決壊します。 それに対し「もっとも安価で安全なセキュリティーは、 個々の人間の常識的モラル」なのに、 どうしてそういう単純明快なことがわかりませんかね。 隣近所が顔見知りで、いつも声を掛け合っていれば、 縁側を開けっ放し玄関の鍵をかけず、買い物にも行けたでしょ? どれだけ安心で快適な世界だったか。

教育者たるものが国旗や道徳を足蹴にして 文明国って言えませんよね? 誤った世の中を修正し得る 絶大な権力を持っているマスコミと日教組がこれですから、、

< 2009.09 MacOSX 10.6 Snow Leopard リリース | 2009.11 集中と分散 >

病室から眺めた夕暮れの東京タワー

これは日々の生活で感じたことを書きとどめる私の備忘録です