2008.09 個人戦と団体戦

わーくすてーしょんのあるくらし ( 187 )

2008-9 大橋克洋

東日本医科学生綜合体育大会における馬場馬術競技

準優勝した慈恵医大前主将 竹川悠起子選手

< 2008.08 携帯を換えました iPhone | 2008.10 iPhone の成長 >

私は学生の頃、馬術部に属していました。 医科大学で学んだことより馬術部生活で学んだことの方が、 社会に出て役立つことは ずっと多かったと思います。 たった6年間でしたが、私の人生の中で最も中味の凝縮された時間、 まさに「青春そのもの」「エネルギーを燃やし尽くした時間」でした。 その6年間が私の人生のピークと断言して良いでしょう。 その後も、いくつかのピークがあり、現在もそのひとつのピークにあるとは思っていますが、 あの馬術部で過ごした時間の濃さには到底かないません。

私が入学した頃、慈恵医大の馬術部は部員も殆どおらず消滅寸前の状態でした。 OB に寄付をもらいに行くと「出ると負けの お前達に出す寄付はない」 と何度も門前払いを食いました。「チクショー」という思いで臥薪嘗胆。 私にとって「悔しさ」は「自分のエンジンにくべる燃料」。 やがて部員も増え私が上級生になる頃、 東日本医科学生綜合体育大会での初優勝をはじめ、 年間成績のほとんどを優勝・準優勝で占める時代がやってきました。

そして私が卒業して数年後には、医科大学であるにもかかわらず、 一般大学の名門、学習院や慶応と決勝戦を互角に争う時代もありました。 その後、再び部員が減り壊滅状態を2度ほど経ました。しかし思いがけず、 2度とも女子キャプテンが最初の芽となって、見事に部を復興させました。 太古の昔から女性は万物を創成してきたのかな、などと感動させられた時でした。 栄枯盛衰を経てきた馬術部は、今でも私の大切な精神的拠り所と言ってよいでしょう。

○ 個人戦と団体戦

先月の北京オリンピックを観戦しながら、 こんなことを懐かしく思い出しました。馬術競技には個人戦と団体戦があります。 学生馬術は軍隊馬術の流れを汲み、団体戦に重点が置かれます。 卒業する頃に感じたことは 「団体優勝の喜びは、個人優勝の喜びの何倍にもなる」 ということでした。4人のチームで勝ち取った喜びは、 個人優勝の4倍の喜びになります。 同じことが、社会のどの場面でも言えると思います。 彼らの喜びを自分も共有したいということで、 現在でも学生の試合には万難を排し応援に行っています。

私はどちらかというと自由で居たい人間で 一匹狼的なところもあるのですが、 一方で素敵なチームワークに憧れるところも大きいです。 きっと私の他人への合わせ方が下手なのだろうと思うのですが、 なかなか良いチームに恵まれることは少なかったようです。 「自由で居たい」理由は 「自分でべストと思えることをしたい」からです。 このベストは必ずしも自分のためにのべストではなく、 全体のためにべストと思うことも多いのですが、 どうも仲間作りは下手のようですね。

平泳ぎで2冠を達成した北島康介の個人優勝でありながら 「優勝は自分を支えてくれた皆のもの」という言葉、 100m平泳ぎで勝った直後のインタビューが声にならなかった状況などから、 この4年間、彼がどんな辛い状況を乗り越えてきたかがわかり、 目頭が熱くなったものでした。 女子レスリングで2連覇の吉田沙保里もまったく同じで、 4年前アテネの優勝よりずっと「こみ上げるもの」が大きかったようです。 彼らは個人戦でありながら、 団体戦の喜びを得たのだろうと思います。

苦労せず保護されて育った世代、現代の日本人は嫌な仕事を避け 楽な仕事へ流れる傾向が強いようです。 しかし「辛いからこそ」それを乗り越えた後の「素晴らしい感激、達成感、 そして喜びの持続性」があるのになあ、と思います。 北島、吉田を見て「挫折」が良い選手を育てるんだなあ、とも思いました。 これを現代の若者にぜひ伝えたいというのが、 私が後輩たちの試合を応援する最大の理由でもあります。

○ 勝ちたい!だけではチームにならない

こんなことを考えていたら、 中国応援の嵐、完全アウェイ状態で、 世界ランキング1位の中国チームに見事な逆転勝ちした女子バドミントン、 末綱聡子・前田美順組を思い出しました。 彼女たちは以前は何かというとぶつかり合うことの多い、 ギクシャクしたペアだったそうです。 理由を振り返ってみると、 どちらも「勝ちたい!」という気持ちが強かったからとか。

今回の試合では、お互いに目と目でうなづき合いながら、 絶妙なペアを見せてくれました。 中国の凄いスマッシュを、これでもかこれでもかと拾って返す技に ほれぼれと見とれたものです。 なるほど、「ベストをやりたい」という気持ちの強い私が 仲間作りの下手なのと、共通するところがあるのかも知れませんね。

「勝ちたい!」だけでは個人戦。団体戦で勝つにはどうするか、、

○ 今月の歩術

恒例の健康日本21推進フェスタ2008「医師たちとみんなで歩こう」 に参加してきました。 昨年は他の会合とバッテイングして参加できず、今年で3回目の参加です。 品川シーサイドを起点として 4km、9km、17km の3コースがあり、もちろん 17km コースにエントリー。

ウオーキング大会参加に先立ち足慣らし。 家からまっすぐ東京湾へ向かい大井町駅前を通り、 品川シーサイドまで丁度 4km ほど。約45分で到着。 家内も電車で会場に到着、 都医の弓倉理事夫妻と4km コースを歩いてきたそうです。 今年も参加者の8割方は、私より年上の方ばかり。 会場で出発セレモニー(日本医師会の内田常任理事の挨拶がありました) と簡単な準備運動の後、 10:30 頃会場を出発。

コースは、まず青物横丁から旧東海道を通ります。 東京にも宿場町の面影を残すような建物が まだ残っているんですね。 コースは海の方へ直角に曲がって埋め立て地の遊歩道へ。 海の見える木立に囲まれた直線の気持ちのよい道。 結構競り合って前へ出ようとする人もいましたが、 まだまだ先は長いのでマイペースで歩くこととしました。

しかし、あとから振り返ってみると、やはり 先頭集団のハイペースに牽引されてしまったようです。 大井競馬場前で折り返し遊歩道を通って浜松町で折返す頃になると、 ややエンジンのパワーが落ちてきました。 コースは一旦 大門の大通りに出た後、JR 山手線の外側へ回りました。 そこから芝浦の旧海岸通りに入る頃には、 完全にオイル切れの状態。後続集団に少しずつ追い越されていきます。 歩きの前半には「ハイペースの先頭集団も 後半にはペースが落ち、楽勝で追い越せるだろう」 と思っていたのですが飛んでもない、ペースが落ちたのは私の方でした。 私を追い越して行くほとんどが 私より年上と見られますが、 足取りもしっかり、歩度も遅くはありません。

とうとう品川駅の丁度裏のあたりでリタイアーとなりました。 自宅からスタート地点までの 4km があるので、 距離としては 17 km 以上歩いたことになりますが非常に残念。 2年前、都医の近藤理事と歩いた時は、 最後まで快調なペースでした。 長距離歩行には自信があり、 まさか本当にリタイアーになるとは思っていませんでした。 3年前の横浜「みなとみらい」からの 20km では、 パソコンなど結構重い旅装を背負って歩き通せたのに。

原因を考えて見ました。 気をつけていたつもりでも、 やはり前半のペース配分を失敗したのだと思います。 マラソン選手が途中からペースダウンしてゆき、 ついに失速してしまう状況を身をもって体験。 一昨日あたり何故か身体が非常に重い感じもあったので、 今朝は体調万全と思ったものの 実際には快復していなかったこともあるのかなあ、、 いずれにせよ今回は、初盤から余りペースが上がらなかったように思います。 家から会場までの 4km をこなした時は、何ということもなかったのですがねえ。

初めてのリタイアー、何とも悔しいですね。 それにしても、何事も上には上があるもの。 17km コース参加者のほとんどを占める老年の方々の しっかりした足取りには感心しました。 普段からしっかりトレーニングをしているのでしょうね。 私の前を行った2、3名の女性ウオーカーにも敬意を評します。 さすがに彼女らはすべて私より若い方々でした。 次回は是非、雪辱を果たしたいと思います。

○ 知らない道は iPhone を活用

恵比寿の方で地元医師会の懇親会があり、歩いて行きました。 事前に Google Maps で経路を調べて出かけたのですが、 最短の直線コースをとるには住宅街のひどくややこしい経路があります。 iPhone の Google Maps と GPS を活用してみることにしました。

GPS はいつも正確な位置を指すとは限らず、 何度かやり直さないと港区の方のとんでもない位置を指すこともありました。 そのややこしい路地ですが「これはきっと帰路に 迷ったり間違ったりしそうだ」ということで、 迷いそうな分岐点を過ぎたところで 後ろを振り返り iPhone で写真を撮っておくことにしました。

結局その写真を参考にすることもなく 帰りは迷路のような難所を無事通過できたのですが、 別のところでちょっと経路違反をしてしまいました。 以前何度か通ったことがあり、写真に撮っていなかったところです。 帰宅してから、Google の Street View で再確認。 「うむ、何で間違ったのかな」、 ここは以前にも帰りに間違った所で注意していたつもりなのに。 iPhone では残念ながら Street View は使えないのでした。

「帰りのため後を振り返り景色を見ておく」のは、子供の頃 父から教わったことです。 父は戦地の中国などで 活用したのだろうと思います。 中学生の頃 関東大震災に遭い、友達と腰弁当で葛飾の方から 品川辺りまで被害状況を見て歩いたこともあったそうです。 そんな子供時代を過ごした犬年の父は 方向感覚や土地勘が鋭かったのですが、 このような NAVI の知恵を持っていたのでした。

帰りは土砂降りの雨の夜道となりました。傘をさしても 傘を通して雨が落ちてきます。帰宅すると全身ずぶ濡れでしたが、 こんな歩きも面白いものです。人生何があるかわからない、 全天候型でなくちゃね。自分の性能テストも面白いです。

○ iPhone をノートブックのモデムに

これまで使っていた WILLCOM 携帯は MackBook に繋げて、 インターネット接続できるため購入したものです。 iPhone に換えるとともに2回線分の利用料を払うのも無駄なので、 WILLCOM を解約したことは先月書きました。

iPhone を持てば ある程度 MacBook を持ち歩く必要性がなくなるのですが、 それでも広い画面でネットを利用したい衝動はあります。 そこへ「NetShare という iPone アプリを使えば、 ノートブックをインターネット回線へ接続できる」 という情報を得ました。しかし残念、AppStore はわずか20分で、 商品を引き上げてしまったそうです。 AT&T 社がそのような契約を結んでくれないからとか。

しかし、また新たな情報が入りました。Apple 社の Steve Jobs CEO へ直接メールで 「このようなサービスのオプションがないのは滑稽だ」と尋ねた結果、 Jobs氏から「その通り、これについてはAT&Tと協議中」と 返信があったとか。

これが本当なら嬉しいですね。楽しみに待つことにしましょう。 このような機能をテザリングというのだそうです。 しかし、安くはない現状の電話料金がどの程度 上乗せになるのか、ちょっと気がかりではあります。

テザリング:tethering を英和辞書で探してみましたが出てきません。 tether は「動物を繋いでおく綱」だそうです。 Wikipedia によれば「モバイルできない機器と接続し モバイルできるようにする機能」とありました。

○ いつの間にか AirMac 性能アップ?

新しい AirMac では通信速度が上がって、 最近の MacBook など Intel マシーンについては YouTube なども途切れることなく快適に見られるようになったことを以前書きました。 しかし家族の使っている iBook については Intel でなく PPC マシーンであり、 高速ネットワークには接続できないものと諦めていました。

自宅には古い AirMac と新しい AirMac、両方の無線 LAN 基地局を置いています。 「iBook で YouTube の画面を見ているとブツブツ切れるので 何とかならないか」というクレームを家内から受け、家内の iBook を開き試しに高速基地局の方へ接続してみました。 何と問題なく接続できるではないですか。 これで YouTube も快適に見られるようになりました。

確か以前試したところでは、iBook PPC は新しい AirMac に接続できなかったと思います。AirMac や MacOSX については その後何度かソフトウエア・アップデートがありました。 いつの間にか、問題が解消されたのかも知れません。 知らない間に機能アップしているのがわかると、 プレゼントをもらったような、得したような気分になりますね。 これからは iPhone で、 しばしばそのような気分を味わうのかも知れません。

○ 何でも溜め込みシステム Evernote

数ヶ月前から Web application で「何でも溜め込みシステム」 を作り始めたことを書きました。やあー、 恥ずかしながら知りませんでしたが、そのようなコンセプトで すでに Evernote というのがあるのを知りました。 とにかく、誰もが同じことを考えるんですね。 いつも自分オリジナルと思って作っていたものが、 他でも作られていることを後で知ることが多いです。 しかも国内でなく、海外が多いのがちょっと悔しいところ。

で、Evernote ですが、iPhone アプリとして「象」印があるのは知っていましたが、 これが具体的にどんなものか知りませんでした。 別のところで「何でも溜め込みシステム」の調査をしていて、 見つかりました。 ほう、「Windows, Mac, iPhone など色々なプラットフォームで使える」 「溜め込んだデータはサーバに同期され、どの端末からも読み書きできる」 「手書き文字(さすがにアルファベットだけと思います)まで判別してしまう検索能力」 「テキスト、画像イメージ、音声、その他何でも溜め込める」 などなど、私が理想としながら、すぐの実現は無理、と思っていた機能まで 実現しています。

勉強がてら、折角作り始めた「何でも溜め込みシステム」です。 これはこれでしばらく実験運用を続けるとして、 実用には Evernote を使ってみようと思います。 iPhone カメラで撮影したものや、音声メモなどを、 どんどん溜め込め、検索・参照できるのは便利そうです。 まさに「外部脳」としての使い方が目的でしょうね。

デメリットも、とりあえずひとつありました。 Google のサービスもそうですが、Evernote もデータは インターネットの「あちら側」にあることです。 データを「こちら側」に置きたい場合は、自作の「何でも溜め込みシステム」という 使い分けになりそうです。

○ Google の独自ブラウザー Chrome

Google が Chrome という独自ブラウザーを発表するとともに、 ダウンロード・サービスを始めました。残念ながらまだ Windows 版だけ。 エンジンとして Apple 社の WebKit を使っているということなので、 私の開発した Web 版電子カルテ NOA も余り手を加えることなく Chrome で動くかも知れません。 オープンソースというところも大歓迎。

Javascript が Safari を含めた 他のブラウザーよりめちゃめちゃ早そうな印象で、 これには大きく期待しています。Web アプリにとって レスポンスの早さは命ですからね。 電子カルテが今以上に さくさく動いてくれるようになれば とても嬉しい。 Apple 社の WebKit を使っているのに MacOSX 版が後出しになるのは、ちょっと残念。 まあ、通常の流れとして仕方ないのでしょうが、、

新しいブラウザーとあっては、是非使ってみたいところです。 Mac 上の VMWare で動く Windows Vista を開いて Chrome を download してみました。 すぐ download できました。でかいアプリではなさそうです。 まだちょっとしか使ってみていませんが Google のブラウザーということで、 当然ながら Google の YouTube その他については快適に使えそうです。

懸案の Web 版 NOA を試してみました「おおー、素晴らしい」 何の問題もなく、そのままでバッチリ動きます。 Mac 版がでたら NOA 専用プラットフォームになりますね。 Mac 版は現在の Windows 版の焼き直しでなく、 Mac 用に作られるそうです。 OS の違いを吸収するよう作っていても、 実際 動かしてみると OS 特有の動作などあるからとか。 「わかる、わかる」。 私としては、 これで NOA を Windows へ最適化する作業が不要となりました。 余計な作業を Google がやってくれ、とても嬉しいですね。 Google には Mac 好きの連中も大勢居そうなので、 仕上がりに不安はありません。

○ MacBook Air に Windows vista 載せる

で、まだ Mac 版の出ていない Chrome を使ってみたいばっかりに、 いつも持ち歩いている MacBook Air にも Windows を載せることにしました。 MacBook や Mac mini には載せたのですが、 MacBook Air では VMWare Fusion に Windows を載せられないと聞いていたので 諦めていました(Apple 標準搭載の boot camp を使えば載せられるはずですが、 これだと一度には MacOSX 、Windows どちらかしか使えず、とても不便です)。

MacBook Air には DVD ドライブが標準ではついていません。 ネット越しに他のマシーンのドライブを使います。 VMWare 自体は何ということなくインストールできるのですが、そこへ Windows をインストールしようとすると、ネット越しでは認識されないのでした。 しかし、ある人の blog で MacBook Air で VMWare を使っている記事を見かけ、 「MacBook Air VMWare」で Web 上を検索してみました。 なるほど、ありました。「 MacBook Air のある生活」 というタイトル。あれ? どこかで聞いたようなタイトル。 もしかして、このコラムの愛読者の方? もしそうなら、エール交換しましょう。

そうか、まず Windows インストール・ディスクのディスク・イメージを作成、 それを MacBook Air にコピーすれば良いのでした。 別のマシーンで ディスク・イメージを作成しました。2.74GB になります。 ここまでは簡単なのですが、こいつを Air にコピーするのが大変。 無線 LAN では時間がかかりそうなので Ether 直結でコピーしたのですが、 朝仕掛けて夜になっても終わっていません。翌朝になってようやくコピー終了。 その後はスンナリと VMWare でインストールすることができました。 そんなことで、Chrome で遊んでいます。 まだ最初のバージョンとあって、機能もシンプル。 しかし Mac 版の出るのが楽しみです。

○ iGoogle のコンセプトにちょっと感激

iGoogle でブラウザー上に 自分専用のポータルを作成できるということは聞いていました。 Chrome で遊んでいるうち、これを試す機会がありました。 「おー、なるほど。まさに これは私の考える Web 電子カルテ構想に近いものじゃないか」と、 ちょっと感激。 どこが近いかというと 「ブラウザー画面の中に、 自分の好きなガジェットを好きなレイアウトで載せて使える」 というコンセプトです。 もうひとつの感激は 「やはり、世の中には 同じことを考える人が必ず居るものだ」と。

iGoogle で「ガジェット」と呼ばれているものを、 私は電子カルテでは「周辺ツール(処方箋、紹介状、オーダリング、その他)」 と呼んでいます。

「これからの電子カルテは、ベースは万人共通でありながら、 画面に表現されるレイアウトや使い勝手は、 万人それぞれ専用のものであるべき」と考えてきました。 iGoole は、まさにそれを実現しています。 さらに、簡単に自分専用ガジェット作成の仕組みまで提供しています。 これをどう実現するか、私も色々と試行錯誤してきたところです。 「そう、これだよ これ」、このような手法を使った電子カルテが今後あるべきです。 私が実現したものより、さらにシンプルに実現しています。 素晴らしい。

これを読んで、 そのようなコンセプトで電子カルテを開発するベンダーさんの現れることを願っています。 しかし恐らく、日本では本当に私の望むような方向での開発は無いでしょう。 例えあっても「ユーザ囲い込みのため」だけに終わってしまうだろうということです。 私が望むのは、そういうものではありません。 ネット上に有償・無償いろいろな「周辺ツール」があって、 それを皆でシェアしながら使って行く。 その中で、それぞれのベンダーさんの才覚でビジネスをして行くという流れです。

そこで、既にこのような考えで、大きなビジネスを展開しているもの のあることに思い当たりました。 そう iPhone のビジネス・モデルです。 iPhone が標準で提供する機能も優れたものばかりですが、 今後は AppStore で提供される有償・無償の色々なソフトウエアが、 さらに iPhone を拡張・強化してゆくはずです。 「今後の電子カルテは、このような方向で進化すべき」と確信するものです。

○ 電子カルテ・ネタをもう一発

これからの電子カルテについて、 もうひとつ考えることがあります。 電子カルテというと、特に学者さん達からは「粒度が粗くては使い物にならん」 「ひとつひとつに統一コードを振る必要がある」という、 カチカチの意見がでます。そうでしょうか。私は必ずしもそうは思いません。

「もう少しアバウトな記述でも実際の役に立つのではないか」 「電子カルテの発展を阻害しているのは、厳密性を求めることそのものではないのか」 と思うようになりました。なぜなら、われわれは(そのような学者さんを含め) 実生活では、厳密に言葉を選んで話をしている訳ではありません。 しかし、それで現実は回っているではありませんか。 意味が通じない時は、問い返し確認すれば良いのです。 そのような考えを裏打ちするような話を、Google 関係の方から聞きました。 Google では優れた検索エンジンならびに解析エンジンにより、 膨大な量の平文の中から色々な傾向性を含め、 かなり細かい情報を取り出すことができているそうです。 「さも ありなん」と思います。

その昔「人工知能」なるものが流行った時代がありました。 「患者さんから収集した情報を元に自動診断をしようとするのだが、 一番のネックはお婆ちゃんに書いてもらった問診内容の精度が低い。 結局これを人間が聞き直さなければならない」とのこと。 「なら、聞き取り精度を上げることにこそ、 人工知能を活用すべきじゃないのか。得られた情報から診断するのは、 人間の方が早いんじゃないか」と思ったものでした。本末転倒、 今回の話と似たようなところがあるように思います。

そんなことから、電子カルテに前述の Evernote のような方式を使うのも 面白そうだなと思っています。固定フォームに大きく頼らず、 現場で発生した情報を、テキスト、画像、動画、音声、 その他ファイルにできるものなら何でも 放り込んでしまいます。あとは Viewer だけの問題。 表形式で見たければ、 それらの情報の中から必要なものをピックアップして表に落とし込む。 グラフならグラフに落とし込む、と言った具合です。 現在のソフトウエア技術なら、実現できます。 このような方向性も、今後の電子カルテでは考えて行きたいと思っています。

○ 今月の脳トレ

今月は電子カルテ・ツール類の細かいブラッシュアップやバグ取り程度で、 プログラミングの方は余り「リキ」を入れるところになりませんでした。 それよりも5月から動き出した新しい Web 版電子カルテ NOA へ旧カルテ・データの移行作業に力が入ったということろでしょうか。

前にも書いたように旧システムの問題で、 移行はカルテ1つ1つ、どうしても手作業でやらねばならないところがあるため、 7月頃から本格的に移行作業を始め 「このペースでは今年一杯かかるかな」ということだったのですが、 最近は慣れと多少のプログラム改善もあり ややペースが上がってきて、9月末には8月分まで到達できました。 この分なら、11月中には移行完了しそうです。

それまで古いマシーンがダウンしないことを祈るのみ。 色々な事情で旧カルテのサーバは、古いマシーン、古いOS、古いプログラム でしか動かないので、 こいつがダウンすると古いカルテ・データを失うことになりかねません。 それがシャカリキになって、毎日データ移行をやっている理由です。

○ WebKit の JavaScript もスピードアップ

「Chrome の JavaScript がめちゃめちゃ速い」 との報で喜んだのも束の間、 今度は Apple の「WebKit も新 JavaScript エンジン SquirrelFish Extreme を積んで、 さらに速くなる」とのニュースです。 ベンチマークテストで、Google の V8 エンジンと Mozilla の TraceMonkey エンジンを破ったとのこと。

嬉しいですね。これで私の Web 版電子カルテ NOA も、 さらにテキパキと動くようになるかも。 やはり Web アプリケーションという新しいフィールドに移行して 正解だったとの確信を強めました。

これに関連して iPhone アプリにも挑戦してみたいと思っていますが、 まだその時間的余裕がとれていません。 いつもの私のやり方、独学でゼロから始めることになりますので、 しばらく それにハマることになるはず。 時間さえとれれば、それはそれで楽しい格闘となることでしょう。

新しいプログラミングは、 私にとって「格闘技」でもあります。

ところで昨日、NOA の一部が機能しないことに気づきました。 ここ数日使っていなかった機能です。 それに関連したソースはいじっていないはずなのに、何故? と思いつつ、原因を追及しているところです。 試しに、ちゃんと機能していた頃のバージョンに戻してみましたが、 やはり動きません。 最近、MacOSX のマイナー・アップデートがあったので、 そのせいかな? とも思っていますが、 まだ新しい JavaScript エンジンではないはずですよね。

、、さて、機能しなかった NOA の原因をつきとめました。 DOM の扱いに やや改変があったようです。 文法通り書いたつもりなのにうまく動かず、試行錯誤でようやく動き 「何かイレギュラーな感じがするけど、動いたから まあいいか」と言った部分でした。 それが文法通り厳密になったということのようです。 やはり MacOSX アップデートに伴う JavaScript エンジンの変化だったんですね。 SquirrelFish Extreme になったかどうかは確認できていません。

○ iPod ちょっとモデルチェンジ

Apple 社から「Let's Rock」と銘打った iPod 関連の お披露目イベントがありました。 内容は噂サイトの予想を超えるものではありませんでしたが、 クリスマス商戦をめざしての布石ということでしょうか。 縦型に戻った iPod nano、 現在の私に購入の必要性はありませんが、さすがに 持っているだけで満足感のありそうな美しい仕上がりです。

母艦である iTunes もジーニアスという新機能を載せ、 新たに iTunes8 となりました。私も速攻で download。 自分の選曲に合わせた楽曲リストが右側に表示されます。 購買意欲をそそる面も大きいようで、 つい私も「購入」ボタンを押してしまいました 、、しかし、すぐダウンロードが始まるはずなのに、 何も起こらない「あれ?」ということで、 別の曲を選んで「購入」ボタン。うーむ、何も起こらない。 リリース直後の初期不良というやつでしょうか。 Apple にしては珍しいこと。 それにしても、曲がダウンロードされないのに 購入したことになっていて、 後で請求されるのは嫌だなあ、、どうなんだろう。

イベント会場における Jobs の動画を見ました。 前回の WWDC では Jobs が やつれた様に見え、 ちょっと心配していました。 今回の彼の様子を見ると、活気もあり大丈夫のようです。 WWDC の時は風邪か、お腹をこわしたかで、 体調不良だったんですかね。 やや元気なく、頬もいっそうこけて見えました。 やれやれ、良かった。新しい iPod の話題より、 私はこちらの方がずっと嬉しかったりします。

○ iRobot 社の PackBot

iRobot 社は民生用・軍事用 両方のロボットを提供しつつ、 USA でどんどん成長している会社です。 PackBot は米国陸軍に提供される軍用ロボット。 YouTube の画像で その動くところを見て 「なるほど」と思いました。 大きさは兵士が背嚢の上に背負うことのできる程度。 目的は偵察なのだろうと思います。 手榴弾のように 敵の建物の窓ガラスを破って放り込まれた PackBot が床に転がった後、 姿勢を立て直し隣室の偵察へ行く様子、 高い屋根の上から転がり落ちても平然と走り出す様子は、 いかにも軍用の頑丈な造りが伺われます。

一方 iRobot 社は民生用ロボットとして、 掃除ロボット Roomba を提供しています。 改良が進んでこれもかなり使えそうな雰囲気。 私のところでは朝起きると、 フローリングの上に落ちた犬の抜け毛が球形にかたまり、 西部劇の風に吹かれて転がる枯れ草の塊のように フワフワと漂っています。 夜中のうちにこれを Roomba に掃除させるのは良さそうです。

昔々 TV で米国製の「空想科学劇場」というシリーズをやっていました。 ある日 隣の家の窓の中をのぞくと、何か動いています。 円盤型の機械が床の上を動き回って掃除をしていました。 その家の住人は未来から来た人(あるいは宇宙人だったかな?) だったのです。 今から考えると、あれはきっと、現代から45年ほど前に タイムスリップした人が Roomba を使っていたのでしょうね。

軍用と民生用の両方を手がけるには、 色々メリットがありそうです。大きな開発費を得られるほかに 「軍事用技術を持つので、民生用製品も高性能なのだろう」 と思ってもらえる効果も大きいでしょう。

YouTube で、感動のロボットをみつけました。 Boston Dinamics の Big Dog という4つ足ロボットです。 小型内燃エンジンを積んでいるのか、 耕耘機のような音を響かせ小走りに歩きます。 凄いのは、歩いているところを人間が横から思い切り蹴飛ばしても、 コケることなく反射的に反対側の足を大きく横へ伸ばし 持ちこたえます。 凍り付いた道路を歩かせても、 ツルツル滑る道に足を滑らしガックリ膝を付きそうになりながら、 からくも持ちこたえコケつ・マロビつ頑張って歩きます。 瓦礫の山もひょこひょこと登って行きます。 危険な山道で荷物を背負わせるロバの代役などは、十分務められそうです (ま、実際には燃料の問題とか あるでしょうけれど)。 これも凄いですね。機械だけに人間以上の根性を持っていそうです。

わが国 HONDA のロボット ASIMO なども独自の進化を遂げていますが、 ロボットは工場に根の生えた状態から抜け出し、 いよいよ本格的活動の時期に入りそうです。

○ 空想科学劇場

空想科学劇場で、大変懐かしくなり Web 検索してみました。 おー、あったあった。 米国の正式タイトルは THE OUTER LIMITS、 日本放送をキー局に 1964 年に1シーズン32話を放映、 2年後に全49話を放映したんですね。 全部のタイトルと放映年月日のリストを見つけました。 残念ながら内容のサマリーまではありません。

このタイトルだけでは、 掃除機ロボットがでてくるのは どの話だったかわかりません。 もうひとつ記憶に残る話を思い出しました。 もしかすると「十秒間の未来」というのがそれかな。 これも宇宙からきた生物だったかな? が、ある装置を使うと(だったかな?)、 普通の人間の数百倍か数千倍の速度で動くことができます。

装置を使う側からみると、 人間が極めて遅いコマ落としで動いているように見えます。 ヒョイと帽子を盗ってしまっても、 相手にはわかりません。 逆に人間側から見ると、 相手があまりにも速い速度で動いているので、 ほとんど見えません。 従って透明人間が何かをしているように見えるのです。 細かいストーリーは忘れてしまいましたが、 それを見た後「高速で動くと、 もの凄い慣性にも抵抗しなければならないはず」 「周囲に、もの凄い気流や摩擦熱も生ずるはず」とか、 色々と空想を巡らしたものでした。

暇があれば、「自分なりの空想科学劇場を作ってみたいな」 などと考えました。

< 2008.08 携帯を換えました iPhone | 2008.10 iPhone の成長 >

これは日々の生活で感じたことを書きとどめる私の備忘録です