2002.09 インターネット環境あれこれ

わーくすてーしょんのあるくらし (57)

2002-09 大橋克洋

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世の中の IT 環境も本格的に普及の段階に入りましたね。最近は持 参したノートブックを簡単に無線 LAN に接続できるホットスポット というようなサービスを提供する店もちらほらと現れはじめたよう です。日本列島を異常な熱気に包み台風のように過ぎ去ったワール ドカップでも券の取得その他でインターネットが盛んに利用された ようです。

数年前から毎日平均2通位の医療相談メールが届きますが、従来は 私の診療所とは無縁の方ばかりでした。しかし、最近は私のところ の患者さんとのやりとりも少しずつでてきはじめました。 ネットワークはとても便利なもので、ネットワークに繋がらない コンピュータは高級電卓でしかないというのが大分前から私の主張 ですが、コンピュータを使っていてとても苦労するのも、またネッ トワーク周りのトラブルです。ということで、今月はインターネッ ト環境に関する話題です。

○ 医師会の Virus 講習会

東京中野区医師会で Virus に関する講習会が開かれました。医師 会として IT を活用する上で、会員の方々に Virusに対する知識を 持っていただくことが必要ということからです。IT に関して全国の 中では意識的に遅れていることを危惧していた東京地区でも医師会 によっては最近かなり前向きの動きがでてきたことは喜ばしいこと です。今回の動きも昨年から立ち上がった各医師会の若手医師を中 心としたメーリングリスト Monju(文殊の知恵からついた名前) 効果 が大きかったように感じました。

私にも講師の依頼があったのですが、幸か不幸か私は Virus に感 染したことがほとんどありません。講師として不適当ということで お断りしたのですが、ぜひ挨拶だけでもということで出席させて頂 いた次第です。1週間おいて2回にわたる講習会でしたが、世話人の 方々の熱意のたまものでなかなかの盛況で、2回とも中野区医師会館 の講堂がほぼ埋まるほどの参加者でした。

私がインターネット・メール環境になったのは、日本の一般的なイ ンターネット普及よりかなり早く、1984年頃パーソナル UNIX ユー ザ会juice を立ち上げ、現在の日本のインターネット普及の原動力 となった当時東京工大の村井純先生たちの JUNET に接続させてもら った頃からです。ということでもう18年ほどもインターネットのメ ール接続環境なのですが、今までに一度も Virus の被害を受けたこ とがありません。

UNIX, NeXT, MacOS X と世の中でマイナーな(?)O Sばかり使い続けてきたのが大きいと思いますが、MacOS X も UNIX 環境としては世界最大のユーザを抱えることになりつつあるような ので、こうして威張っていると危ないかも知れません(来月号あた り、遂に VIrus にやられました、などと報告しないですむよう祈る ものです)。それにしても現在の Virus の蔓延には MS 社の責任も かなりあると個人的には思っていますが。

○ メール・サーバちょっとトラブル

ある日のこと、どうも今日はメールが届いていないような気がし ます。こちらから発信するメールも、メールサーバではじき返され るようです。イヤな予感。いろいろと試してみたのですが、どうし てもメールサーバの周囲で問題が発生しているようです。 考えてみるとその日端末を立ち上げた時「OS 10.1.5 へアップグ レードしますか」と尋ねてきました。それっというので喜び勇んで アップグレードしたのですが、それから半日ほどしてからのことで す。Log を見てみるとやはりアップグレードした時刻を境にメール が外から届いていません。

MacOS X は小まめにアップグレードを繰り返しています。当然か も知れませんが、アップグレードのたびに少しずつ良くなるのが嬉 しいところです。今までアップグレードで問題が起きたことはなか ったので、安心していたのですが。

結局それから1週間近くまたまた陸の孤島状態が続き、家族からは ブーイングの嵐です。アップグレードが原因であることは間違いな さそうですが、他ではどうなのでしょう。結局独力での回復に音を あげて、コンピュータ仲間に電話しました。私のところのメールサ ーバである postfix を教えてくれた仲間です。何と Apple が悪か ったのではありませんでした。OS 10.1.5 で sendmail が新しいも のに入れ替えられたのだそうですが、現在使っている postfix の sendmail とバージョンが異なるため、postfix が正常に動かない のだそうです。

とりあえず postfix を再インストールすることで、簡単にメール を回復することができました。独力にこだわらず、時には他人の意 見を聞くことも必要ですね。今後のアップグレードまでに postfix 側が対応してくれると良いのですが、、、

○ Web browser いろいろ

最近 MacOS X で使える Web Browser がなかなか良くなってきま した。MacOS X には標準で Internet Explorerがついてきます。こ れは表示速度もそこそこで、左側の「お気に入り」登録スペースは なかなか使いやすいものです。MacOS X 正式リリースからしばらく はこれを超える使い勝手のものがなかなか手に入らず、しばらく IE を使っていました。 しかし昨年末頃からでしょうか、iCab というドイツ製のブラウザ ーがなかなか快適に動き日本語も問題ないことを知り、これを使う ようになりました。

一方 NeXT の頃から頑張って作られてきた OmniWeb というのがあ ります。しかし、動作速度がどうもいまいちで最近は使っていませ んでした。ところがここ1ヶ月位でしょうか、突然快適な速度で動 きはじめたのです。アイコンがとても美しい地球儀のデザインにな ったのも私好みで嬉しいところです。ということで、NeXT 時代から 愛用の OmniWeb へようやく帰り咲くことができて満足しています。

他には Netscape がありますが、ちょっと暗い色調とデザイン、 そしてやや遅い立ち上がりなどで余り使う気にはなれないでいます 。その元となる Mozilla を最近久しぶりで使ってみたのですが、こ れが意外にサクサクと動きます。これもなかなか快適のようです。 現状ではどれもアヤメにカキツバタというところで、時々気分を 変えて楽しんでいます。あとはまったく好みの問題かも知れません ね。面喰いの私は美しく軽快に動くようになった OmniWeb です。

○ AirMac 2台目を設置

いままで自宅では Apple 社から出されている無線 LAN の AirMac を使ってきました。診療所の方は据置型が多かったので、 その必要性を認めませんでしたが、最近診療所でもノートを使うこ とが多くなり、こちらにも AirMac を設置することにしました。早 速 Web で AppleStore に注文すると2日ほどで届きました。おや、 以前はシルバーだったのですが、最近の AirMac は iMac や iBook と同じホワイトなんですね。

イーサネットなどのコネクター部分も変更になっていて、WAN 用 と LAN 用2つのコネクターがついています。以前のものは使わない コネクターにホコリが入りそうで、紙でふさいでいたのですが新し いものは上がヒサシ状になっていて、その必要はなさそうです。 接続性はどうでしょうか。試したところ余りはっきりした差違は ないようですが、心持ち新しい方が接続性は良くなっているような 気がします。

診療所には新しい方にするか古い方にするか迷ったのですが、カ バーする範囲が広い自宅で新しい方を使うことにして、診療所には 古い AirMac を設置することにしました。さて実験です。私のとこ ろは1階が外来で2階が手術室や病室、それに以前の分娩室をつぶし て作ったセミナールームがあります。

今回の目的のひとつにはセミナールームで AirMac を使いたいと いうこともありました。まず1階の診察室に AirMac を設置して2階 への接続性を試してみました。やはり廊下を曲がると次第に接続性 が落ちてきて、セミナールームでは殆ど実用になりません。一時あ きらめかけたのですが、ふと思いついて逆に2階のセミナールームに AirMac を設置してみることにしました。うーん、診察室でもかろ うじて繋がるようです。おそらくケーブルをもう少し延長して AirMac を廊下へ出せば1階でも2階でも実用に使えそうです。

建物は鉄筋コンクリートですが、ある程度電波の反射があるので しょう。位置を工夫すれば一台の AirMac で2フロアーをカバーでき そうです。 このような無線機器の基地局はなるべく高い位置に設置するべき なのだそうです。人体はほとんど水で構成されているため電波の透 過性がかなり悪く、途中に人が数人いるだけで電波が遮断され接続 性が悪くなるそうです。

○ MacOS X でもようやくモバイル環境

今回の OS 10.1.5 へのアップグレードでは、私のところで大波乱 があった訳ですが、一方でとても良いこともありました。 MacOS Xが正式リリースになって1年を超えましたが、これまで PHS モデムカードが使えないのがとても不便でした。以前にも書き ましたがノートブックでこれが使えなくては、何のためのノートだ かわからないということです。しかし OS 10.1.5で、遂に MacOS X でも PHS モデムカードが使えるようになったのです。

最初これを聞いて喜び勇んで数年前から使っているカードを差し 込んでみたのですが、その時はうまく行きませんでした。うまく行 ったと聞いたカードは私のとは別の種類のものだったので、私のは 駄目かとあきらめていたのですが、いろいろな記事を読んでいて 「いや、そんなことはなさそうだぞ」と再挑戦しました。 何と今度は大成功で、カードをPCカードスロットへ挿入すると、 それが認識されたメッセージパネルが出るではありませんか。とり あえずカードは認識してくれたものの、はたして私のカードのドラ イバーが用意されておらずがっかりではないのかと半信半疑で設定 にかかります。

試行錯誤の結果、無事開通しました。前回駄目だったのはどうも PC カードではなく内蔵モデムの方を設定していたようです。これ で Classic から立ち上げる必要性が殆どなくなりました。万歳です 。ただまったく問題がないわけではなく、モデムでの通信終了時な どに MacOS X では珍しくカーネルパニックを起こして OS が落ちま す。しかし通信中ではないので、許すとしましょう。いずれバグは フィックスされるでしょうから。

これで外へ持って歩いても MacOS X のままでインターネット環境 を享受できるようになりました。Classic は UNIX 環境ではないの で、ping や ssh など UNIX コマンドがそのままでは使えずとても 不便だったのですが、これでモバイル環境でも手軽に ping が使え るようになりました。

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