2011.11 マイナス思考をめざしたい

わーくすてーしょんのあるくらし ( 225)

2011-11 大橋 克洋

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◯ そろそろ マイナス思考をめざしたい

普通「マイナス思考」というと悪い方向性を指しますよね。しかしここで言うマイナス思考はちょっと違うのです。

先月後半このコラムの更新がぴったり滞ってしまったのは、例によって電子カルテ NOA の開発にどっぷりハマっていたためです。 NOA はまったくの初心者でも容易にインストールし使えることを目指しています。しかし、まだまだそうはなっていません。改良すべきところは山のようにあります。今回はメニューバー編集機能の改良にいそしみました。最初は簡単にやっつけられると思ったのですが、結構根気のいる仕事になってしまいました。2週間ほどかかったでしょうか。気に入ったアイコンがないので見かけはイマイチですが、動作はほぼ初期の目的を達成したものになりました。 NOA の大きな特徴である「Web アプリを簡単に組み込み、自由に機能拡張できる」ためにも、メニューバー編集機能の使い勝手を上げることは重要課題なのでした。

NOA もユーザさんからの要望を入れつつ色々な機能を満載してきました。そろそろ「プラス思考」ではなく「マイナス思考」で考えねばならないと思っています。どういうことかと云うと「余計なものを可能な限り削り落とし」「見かけも操作も限りなくシンプルにする」ということ。言うは易く行うは難いことなのですがねえ、、

◯ もし Jobs が Apple を飛び出さなかったら

若くして Apple を創設した Jobs は壮大な野心を抱き、Apple をさらに大きな会社へ躍進させるため、ペプシからスカリーを引っこ抜きました。口説き文句「一生砂糖水を売りつづけるのか、それとも世界を変えるか」は有名です。しかし余りにもやりたい放題、尊大だった Jobs は自分の招いたスカリーに Apple から追い出されるはめになりました。

新たに NeXT コンピュータ社を興した Jobs は、Apple から連れてきた少数の優れた技術者とともに、教育・科学分野をターゲットとした NeXT コンピュータを創ったのです。Mach という UNIX ベースの先進的 OS の上に Macintosh の GUI を載せた NeXT こそ、私が欲しいと叫んできた「UNIX の上で動く Mac」そのものでした。オブジェクト指向言語による開発環境もまだ他にないものでした。ということで Jobs とともに NeXT へ移り棲んだ私にとって素晴らしい世界が広がったのです。しかし NeXT は世の中であくまでマイナーな存在。当初めざしていた色々なベンダーからのソフトウエアの参入はありませんでした。しかし NeXT の素晴らしい開発環境を得て「欲しいものは作ってしまえの精神」普段の生活や仕事に必要なものはすべて自作するという良き習慣と、「多くの開発者の友達」を得られたのは、私にとって大きな財産となりました。

さて時代は変わり「NeXT 社が Apple 社に吸収合併」という絶対あり得ないと思っていた事態。世の中の多くの見方は「NeXT もいよいよいけなくなり Apple へ身売りしたか」でしたが、私は「これはトロイの木馬」「これで NeXT の素晴らしい技術が Apple の身をかりて生きる続けるぞ」と心浮き浮きしたものでした。結果はまさに予想通り。現在の MacOSX や iOS として息づいています。「親に勘当され旅にでた放蕩息子が成長して親元に帰り、傾いていた家を大きく立て直した」ようなもの。

もしあの時スカリーに勘当されなかったらどうなっていたんでしょうね。Apple の存在も怪しいかも知れませんし、存続してもその産み出すものが現在より優れているということは決してなかったでしょう。NeXT での経験や苦労が Jobs を大きく成長させたことは間違いありません。「可愛い子には旅をさせよ」ですね、、

◯ 世界の人口爆発

TV 局から電話がかかってきました「本日生まれた赤ちゃんが世界で70億人目のベビーとして認定されます。おたくで生まれる予定の赤ちゃんはあるでしょうか」。残念ながら当院も以前は出産を取り扱っていたが、現在は取り扱っていないむねお答えしました。当日夜の TV ニュースはどの局も「70億人目を祝う」という感じで取り上げていたようです。

まあ、とりあげる以上そんな感じになるのでしょうが、よく考えると「それって地球や世界にとって本当に嬉しいこと?」と思ってしまうのは私だけでしょうか(産科医がこんなことを言うのも非常に何なんですが)。

このグラフをクリックすると元記事へ飛び

自分の生年月日を入れるとどこに位置していたかわかります

これは西暦1500年から2500年までの地球上の人口の推移です。 オレンジ色と白との境が現在ですが、凄いですね。ずっと横ばいだった人口が1750年頃から やや上がり始め、1900年頃からさらに上向き、1950年からは一気に上昇しています。現在の人口は1950年当時の人口の何と3倍。この勢いで人口が上昇すると、いずれ爆発することは確実。地球上のカタルシスはどのような形で来るのでしょうか。その頃、私はもう居ないはずですが、これからの世代が爆発を食い止めるために何をするのかが非常に気になります。

私の推測では、その危険性がわかっていながら全体の流れとしてそれを食い止める方向に行くことができず、 何らかの形で人類崩壊に至るのではと心配するものです。どう考えても、この増加率はただごとではありません。恐竜が何らかの原因で滅びたように、人類はこのような形で滅びるのでしょうか。世界の人類は真剣に将来に向け考えるべきと思います。最悪の事態を避けるためには、皆が何かを諦めたり我慢することは必須ですが、わがまま放題の人類、もうそのようなことのできないカラダになってしまっているのではと、、

◯ 読めない名前

Facebook に紹介されていた話題。ある小児科看護師さんのブログ。出産・育児が一段落して復職したら、この数年間に読めない名前の子供が激増し、それにまつわるトラブル。本当に半端でなく参っているそうです。以下はその抜粋。

小児科外来では、看護師が患者さんの名前を読み上げ診察室へ誘導するのですが、読めない名前が多い。 受付時にフリガナを書くよう言っても書かない人が非常に多いのです。

例1:「佐藤 星心心さん、読み違えだったらすみません。星と心、心と書かれる方です。検査室へお願いします」 すると「私の子供はそんな読み方はしない! アンタが正しく読むまで子供を検査室へ連れて行かない」

例2:「鈴木 太郎さん、検査室へお願いします」すると「私の子供の名前は鈴木レイラよ、馬鹿にしてるの!!」(名前と読みが乖離している、どう見てもタロウでしょ)。

例3:午前の診療が終わり休憩にでると母親が待ち伏せ「うちの子供の名前の読み方をずっと間違えた。なめているのか」と詰め寄られる。同僚も「私なんて子供の名前を読み間違えたら、その母親から殴られたからね」。

このブログを後で探そうと「読めない名前」で Google 検索したら、出るは出るは沢山あります。読むと面白いですよ、どうぞお暇の折に拾い読みしてみてください。 私も最近の命名は気になっていました「何であんな当て字を使うのか、どうしてもあんな無理矢理な読み方させたいなら最初からカタカナにすりゃ良いのに」。名前は「顔」や「看板」と同じ、本人にとって「つけてもらって良かった」と思うような命名をすべきと思います、、と書いた後で「うちの5人の子供たちは私の命名をどう思っているのだろう」と気になった私、、

◯ IT 関連書籍が店から一掃される

久し振りに神保町の書泉グランデに行きました。いつも必ず覗くのは、コンピュータ、建築、中国武術などの売場。一階の雑誌や新刊売場に Steve Jobs の伝記が平積みになっているのを横目に、まずコンピュータ関連売場へ「あれ? 大分景色が違うぞ、違う売場になってる」。エレベータホールに戻って「コンピュータ関連の売場は何処かな? 」、何度目を擦っても見当たりません。「ああー、コンピュータ関連書籍をさらに充実させるため別棟に移したんだな、きっと」と、売場の人に聞いて見ました。すると衝撃の回答「コンピュータ関連の書籍は取り扱わなくなりました」。

ヒエー、そうなんだ。建築関連は在りましたが、中国武術は B1 へ移転。地階に潜ってみると中国武術の書籍は全て私には手の届かない高い棚へ隔離されています。そもそも私が中国武術にハマることになったきっかけもこの売場からだったのですが、こうも私の目的物を退けるとは「もう来るな」ということだなと。踵を返し三省堂へ向かったのでした、、

あとで「しまった」と思ったのですが、その理由を聞くんだった。コンピュータ関連の書籍かなり充実した店だったのに何故でしょうね、そういうの嫌いな経営者に代わったとか? それはありそうな話。

◯ おっ今日は1が12並ぶ日付

本日、2011年11月11日11時11分11秒というタイミングは、11が6つ、1が12並ぶ日付ですね。だから何なのという話ですが、、

来年も 2012年12月12日12時12分12秒という12が6つならぶ日付がありますが、その後は2101年までありませんし、同じ数字が12並ぶのは100年後までないということか、、ああ100年後には12個ではなく13個も並びますね。

そもそも、西暦が使われているかどうかも、わかりませんが、、

◯ 今月の歩術

通勤がなくなってしまったのが非常に痛いのですが、歩術の研究はたゆまず続けています。中国武術は「牛の寝そべる広さ」、つまり畳2畳もあれば練習できますが、家の中でも歩術の研究はできます。最近の重点項目は「足の裏をしっかり(というか、べったり)地面につけ、大地の気を感じながら歩く」こと。 このような意念を抱くようになった理由として、ひとつは一昨年の内耳炎以後治らなくなった「日常的フラフラ感」に対応するため。寒いときや長い事座っていた後などにフラフラ感は強いのですが、これは「頭で考えるからフラフラするんだ。それなら足で考えよう」です。

もうひとつの理由として「日常の色々な動作を、踵をあげず両足をべったりつけたまま行う」ということは「腰を柔軟にするにはとても良い効果がある」ことに気が付いたからです。 中国武術の色々な基礎練巧も両足を大きく開き腰を落とし「馬歩」の姿勢で、両足の裏をべったり地面に付けたままで行っています。道を歩くにもこの意念で、なるべく「後肢の踵をあげず水平に抜き、前肢を水平に着地」そして下肢にまったく力を入れることなく「玉が転がるように」「水が低きに流れるように」「風のように」歩くようにしています。廊下や石畳でも足音がしないよう、身体の力を抜き柔らかくして。 8年近くにわたるトレーニングで、これがようやく身についてきたように思います。

「両足をべったり地面につけたまま上体を動かす」ことにより、足底が地面を通じ「無意識のうちに微妙なバランスをとる」感覚を育ててくれます。以前も写真つきで紹介した「両足を大きく開きいて片方の足は真っすぐ、もう片方を一杯に曲げ、曲げた足の上から伸ばした足の上へ体重移動。左右の足の伸縮を交代させつつ、上体を反対足の上に乗せ伸び上がってゆく動作」、これを組み合わせることにより足腰が非常にしっかりしてきます。老人の転倒防止としてもお勧めの運動と思います。

◯ 女子バレー W 杯 2011

昨年世界選手権第3位の日本、素晴らしいニューフェースが何人も登場しています。

最強の部類にあたるイタリアと初戦で当たり、敗れたものの1セットをとるなどかなり良い戦いをし、その後の活躍が期待されました。この戦いでは初めて名前を聞く新鍋理沙、岩坂名奈などの21才がめざましい活躍を見せました。コート中央を守るベテラン山本愛、井上香織が負傷で欠場した穴を、若手選手が十分に埋めてくれたのは素晴らしい。会場から見守る山本の顔が終止沈んでいたのは、悔しさや寂しさで一杯だったのではないかと思います(わかる、わかる)。 ついこの間までのエース栗原恵も抜け木村沙織がエースの面影を残していますが、さすがに彼女も往年の精彩をやや欠いているように見受けられました。荒木絵里香がキャプテンの重圧に耐えていました。ノッポのバレーボール・チームの中で小柄な縁の下の力持ち、竹下佳江、佐野優子は健在。

栗原恵とメグ・カナ・コンビを組んだ大山可奈、相次ぐ故障で引退しましたが、今回コメンテーターとして姿を見せてくれたのは嬉しかったですね。ちょっと痩せたかな。この世界の世代交代は実に激しいものがあります。現在もっとも期待するのは、江畑幸子、山口舞、迫田さおり、狩野舞子、石田瑞穂などのメンバー。現在は江畑が往年の栗原や木村クラスの大活躍を見せています。2度のアキレス腱断裂などに悩まされた狩野も復活。木村沙織に次ぐ人気ですが、中盤から腰を痛め脱落を余儀なくされたのは残念。往年の栗原・大山などの大型選手が足腰に無理がかかり、たびたび故障したのと同様の理由ではないでしょうか。 それに比べ、あれだけ活躍している木村沙織が健在なのは、彼女の身体の抜群のしなやかさにあると思います。最近の若手、江畑・迫田あたりの大きく弓なりになった身体から打ち出すバックアタックは非常に流麗で、これらの選手たちも足腰の故障は少ないのだろうなと思われます。

これら新人の活躍によりさらなる躍進を期待していますが、世界はさらに先を行っており中盤に入ってロンドン五輪出場権さえ危うくなってきました。ここ数年、日本のチームはどんどん進化しているにもかかわらず勝てない。世界がさらに進化していることと、やはり日本に必要なのは「しぶとさ」と、ドカンと打ち込めば必ず仕留める「速射砲」との確信を深める次第。往年に比べ、かなり「しぶとく」はなってはいるのですが、、

◯ そして、、

そのような状況でがっかりしていた日本チームでしたが、中盤以後が凄かった。どんなスポーツにも強いブラジル、何とそのブラジルにストレート勝ち。その後は破竹の進撃で、韓国、ケニヤはものともせず。今回のワールドカップでも上位を争うドイツと当たり、2セットとられて風前の灯火と思われたのが粘りにねばって何とフルセットにもつれ込み勝利をもぎ取る。ドイツも日本もこの試合に負ければオリンピック出場枠に残れないという決死の戦いでした。

そして最終戦はここまで全勝できたイタリアを下した最強の米国「昨日のドイツ戦の勢いはあるけれど無理だろうなあ、あまり期待してがっかりするのも嫌だし」という思いが観戦前の心構えでした。ところが。第1セットから非常によい試合をし、何と日本はストレートで米国を破ってしまいました。米国としてもすでにオリンピック出場枠は決めたものの、ここで日本に負ければ今回の金メダルがとれないというこれまた必死の試合。

この日米戦ほど競技場を興奮させた試合はありませんでした。竹下・佐野のサポートのもと、今回の花形エースとして活躍したのは江畑・木村。そして、ここのところちょっと精彩を欠いていた山口が調子を取り戻したのは嬉しかった。大活躍だった岩坂・新鍋は本日それほど派手な活躍はありませんでしたが、それでもそれなりにチームを支えました。前半、精彩を欠いていた木村がこの最終戦では江畑とともにめざましい活躍。 今回の日本チームは非常に幅広い多士済々のメンバーがコートの中を蝶のように舞い、息をも付かせぬ勢いで最強の米国をメッタメタに叩きのめしたのでした。いやあー、本当に凄かった。

撃てば絶対に倒す速射砲こそありませんでしたが、相手のブロックの隙間を巧妙に抜け、あちらと思えばまたこちらと複数のメンバーから打ち出されるスパイクやバックアタック。まさに米国の重戦闘機の中をひらりひらりと舞い、的確に相手を撃ち落とす零戦の編隊のようでした。

腰を痛め競技中盤メンバーからはずれていた狩野舞子が復帰しましたが、思うような活躍ができなかったのは気の毒でした。そして何よりも残念だったのは私のひいきのひとり迫田がベンチを温めるに終止し、出番がほとんどなかったこと。今まで迫田の華々しい活躍を見てきているので、何とか彼女の活躍を見たかった。次回に期待しましょう。米国に勝っても、本日中国が勝利したため、日本はオリンピック出場枠に一歩届かない4位でした。しかしこのあともチャンスはあるので、その時は迫田や狩野の華々しい活躍を見たいものです。

「ベテランの山本・井上・栗原が故障で欠場と聞いたのに、日本チームは何も変わらないじゃないか」と、がっかりしたのは米国チームだったそうです。ベテランの欠場で思いがけずメンバーとなった若手たちの目覚ましい成長を加速させたのは、日本にとって思いがけぬ幸運だったのかも知れません。そうそう、このドイツ・米国戦を通して、日本チームもかなりしぶとくなったと思います。多少の負けでも動ぜず、泰然と巻き返しをはかる。

◯ そして、また、、

このようなことで残念ながら、本当に惜しいところでオリンピック出場権を決める一歩手前でした。この調子でいけば来年春の競技会では出場権をゲットすることができるはずです。さて、女子の競技が一段落したところで今度は男子バレーの競技が始まっています。ベテラン石島も今回はベンチを暖めることが多くなりましたが、いざというところでは流石の貫禄を示していました。エース清水がちょっと今回は振るわなかったかな。スパイクは決めるのですが照準が定まらなかったような、、

しかし女子同様に新しいメンバーが加わり、どれも多士済々で今後の成長を楽しみにしたいと思います。男子もかなり良い線を行っているのですが、女子ほどの戦績を残せていません。ストレート負けはしましたが米国戦の第1セット目は凄かった。普通25点とられれば負けなのですが、オリンピックの優勝実績を持つ米国相手に何と39点とられるまでシーソーゲームを繰り広げました。日本男子のこの粘りに、ちょっとした流れが加わればもう少しいけるんでしょうけどね、、

球技が苦手の私がどうしてバレーボールに入れ込むのか考えてみました。身体の使い方に中国武術に通ずるところが大きいからでしょうね。皆が熱中するサッカーや野球などには、とんと興味がありませんが、バレーボールは別。とても面白い。

今月の区立平塚小学校跡の工事現場

2F 床の型枠が敷き詰められました

中央遠方に夕焼けを背景に富士山のシルエットが浮かんでいます

これは日々の生活で感じたことを書きとどめる私の備忘録です