2012.10 単純にするには基礎がよく解っていなければできない

わーくすてーしょんのあるくらし ( 236)

2012-10 大橋 克洋

それにしても、歩きやバランスにあれだけ自信があったのに、何故?と考えてみました。アルコール、それもワインがかなり入った状態で街灯もない真っ暗な急坂をかなりの速度で降りていたこと。普通なら転倒しても無意識に顔を保護するはずですが、酔っているので転倒から着地までの時間感覚がまったくなく、いきなりガーンと来たこと。明るいところであれば眼前に迫る地面を見て本能的に顔を防御したはず。真っ暗闇で何も見えないということは、防御反応も働かないんですね。当然か、、

そしてワインは足をとられますよね。30代の頃、後輩学生の合宿で甲府に行きました。ワインの産地とあって打ち上げに一升瓶のワイン。喉の乾いた運動後、ビールのようにグイグイ呑んでしまいました。帰り道、足をとられ道の側溝にクタクタと、まるで西洋バスに浸かるように腰までドブに浸かってしまいました。ズボンも靴もドロドロ、乗馬ズボンに素足で車を運転して帰りました。あれ以来、ワインには足を取られるぞと警戒していたのですが、、

もうひとつの疑問は、つま先がアスファルトに引っかかっただけで何故あっさり もんどり打って転倒したのか。やはり酔っていたのが大きいのでしょうが「まだ修行が足らん」と思っています。さらなるバランス感覚と反射神経を磨かなければ。その一方、あの暗闇で隣の墓地の精霊が腹を立て、いきなり足払いを掛けたのではないかなあと。あの暗闇の下り坂で、あの歩行速度、足払いをかけられればひとたまりもありません。

◯ iPad mini 発表

Steve Jobs が居なくなって1年目。前々からリーク情報で溢れていた iPad mini が発表されました。来月から発売だそうです。従来の iPad と iPhone の中間に位置するサイズという他にはこれといった特徴はなさそうです。Jobs はこのサイズの iPad の発売に反対だったという話ですが、これについてはわかりません。NeXT の頃、他社からそろそろカラー・ディスプレイが出始めた時「NeXT 社でもカラー・ディスプレイを出しますか?」という質問に対し「あんなものウチでは出さない」と言っていたのが、間もなく発売したりということが何度もありましたから。

それはさておき、個人的には今このサイズの iPad にはまったく食指が動きません。iPhone と iPad があれば十分満足。その間を埋める機種が欲しいというニーズはないのです。しかし立ち働く職場などではかなり便利に使えるでしょうね。例えば病棟で看護師さんが持ち歩き検温の記録を読み書きしたり、指示書を閲覧しながら終了チェックをいれたり、など色々と実用的に使えそうです。こういう現場では iPhone では小さすぎるし iPad では大きすぎてハンドリングに不便ということがあるでしょうからね。そんなことで案外 iPad mini は業務用でヒットするのかも、、

今回は iPad の他にもレティナ・ディスプレイの MacBook Pro など細々とした話題に消されてしまったようですが、薄くなって登場する iMac の方が個人的にはずっと興味があります。iMac にこれ以上の薄さはまったく求めませんが、HD がらみの性能アップなどに惹かれます。詳細にスペックは見ていませんが、あの薄さでは CD や DVD の読書きは外付けドライブをつけなければできなくなったのでしょうね。薄くなったためにそれが外されたのだとすると、いまの時期ちょっとまだ本末転倒かなとも、、

今回の発表の内容、色々なものを羅列するだけでメリハリに欠けるような感じから Jobs 亡きあとの Apple の良からぬ方向への予感。思い過ごしなら良いのですが。栄枯盛衰は世の習い、仕方ないのでしょうが少なくとも5年くらいはもって欲しいなあ、、

今月のコンテンツが少なめなのは、思いがけぬ自損事故の影響も多少ありますが、第8世代 NOA の開発が終盤の追い込み、罐に石炭をくべるのに懸命だったため。開発者の多くがそうであるように「開発に入れ込んでいる時、人は寡黙になるもの」なのです、、

< 2012.09 間違いを恐れず進むものが次の道を開く | 2012.11 自分の身体は楽をさせず鍛えなければならない >

最初の1週間は酷い容貌で眼帯をしながら診療していましたが、1週間目に眼瞼と頬の傷の抜糸をしてもらいました。お岩様状態だった腫れが引いた後、紫色の腫れは2,3日すると下へ垂れ下がって来ましたが、それも1,2日でひき顔面の皮膚が黄色くなってきました。受傷しなかった左目の周囲にも黄変は広がっています。よく見なければ右眼周囲の何箇所かの擦り傷程度になりました。70歳になっても回復力旺盛なのには一安心。見かけがあれだけ酷かったので、人目に晒せるには2週間以上かかるかなと覚悟していたのですが。

あるがままを公開の私ですが、受傷直後に自分で撮影した顔はゾンビより酷い。それをここに掲載するのは余りにも公序良俗に反するので上の絵で代替させて頂きます。

◯ そして1週間後

これぞ中国武術で云う「気」そのもの

とても可愛いので私の iPhone の待受画面に

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◯ 単純にするには基礎がよく解っていなければできない

TV でのドキュメンタリー番組、ある町工場の社長の言葉です。小さな町工場ですがオリンピック競技などでも使われる特殊なセンサーを作っており、世界の8割近いシェアを占めているとか。なかなか心に滲みる言葉です。私もライフワーク「電子カルテ NOA」の開発・進化に傾注しており、常々書くように「シンプル」を目標にしながら、なかなかシンプルにならないのが悩み。この社長の言葉を聴いて「なあーるほど、、」と、反省しきり。なかなかシンプルにできないのは、生半可な知識のまま開発を進めるからと悟りました。生来せっかちで「早く成果を見たい」という気持が先にたつため、生半可な理解のままどんどん進めてしまうのがいけないんですね。しかし、持って生まれた性分というもの、「面白いものを作っている」現場で それを抑えるのはなかなか難しい、、

そう言えば Apple 初代のマシーンを作った Steve Wozniak は、Apple の周辺機器の基盤を他の同種の機械の数分の一の部品数、極めてシンプルに作り上げました。Apple マシーン自体もそうだったと思いますが、彼がそのようにシンプルに高性能マシーンを作り上げたのは彼が電子工学の基礎を徹底的に理解していたからなんだなあと、、

◯ 今月の脳トレ

心機一転、新しいアイデアによる新世代 NOAの 開発に入れ込んでいます。初代 Emacs 版では「巻物形式」でしたが、2代目 NeXT版からは「ページ形式」をとってきました。このたび再び「巻物形式」へ改めるとともに、最新技術 HTML5 や CSS3 などを使った新しい GUI へと進化させました。HTML5 も CSS3 もまだ策定中で標準が FIX しない状態ですが、そこは「世の中の一歩先を切り開こう」というチャレンジ精神で、、

本体はほぼ完成になってきましたが、配布するためのツールを整備しなければなりません。本体を作りなおしたのでメンテ・ツールの方も色々と修正しなければならないところがあるのです。今の進行具合ですともう1週間くらいでリリースできないことはないのですが、「いや、いや、待てよ」と。今度リリースする新世代 NOA とともに、手慣れた現世代 NOA も使いたいというユーザさんもいるだろうということで、年内くらいは両方を並走させることができるようにもしなきゃということですが、その辺でバグも出そうな心配も。

iOS の Apple map の轍は踏みたくありません。Jobs ほどの完璧主義ではありませんが、臨床の場で十分テストをして熟成したところで出したいなと、、ということで、首を長くしている NOA のユーザさんの方々にはもうちょっと首を長くして頂いて。そろそろキリンの首になっているかも、ごめんなさい、、

今月の表紙のような「気持ち」で頑張ってます。

◯ 電子カルテNOA 第8世代リリース

そうやって10月も下旬に入り、ようやくリリースに漕ぎつけました。9月上旬にはリリースできそうな予測だったのが、やっているうち色々なアイデアを思いついて機能追加したり、夜学デザイン学校で学んだ Web テクニックを盛り込んだり、そうなると当然のことのようにウジャウジャ湧いてくるバグどもの駆除に追われたりと、予定より1ヶ月も遅延してしまいました。診療現場で十分使い込み熟成したつもりだったのですが、リリースしてみるとまだ多少の不具合が発覚。うーむ、環境が変わると見えないホコリも見えてくる。やはり熱心なユーザさんに人柱としてお手伝い頂くのが最も効率的のようで、、まったくのボランティア、無償配布ということで許してください。

今月から手を染めるようになった CSS3 で大分味付けも変わってきました。こうなると全体的なデザインをもっとブラッシュアップしたい気持ちですが、首を長くしているユーザさんをこれ以上待たせるわけにもいきません。ひとまず踏ん切りをつけてリリース。勇んで Google site へアップロードしようとしたのですが、この7月頃からの不具合がまだ解消されていません。何度試みてもアップロードがエラーになる。仕方がないので、配布基地をどこか他へ求めなければなりません。以前「オープンソースを配布するなら SOURCEFORGE にすべき」というアドバイスを頂いていたのですが、使い方が難しそうで近寄り難く、、しかし、もうそんなことも言っていられません。

とりあえず SOURCEFORGE.JP へサイン・イン。 noa-project という名称でプロジェクトを立ち上げるところまで何とか行きました。しかし、いざソースをアップロードしようとすると「で、アップロードはどうやんの?」状態。HELP を読んだり Web 上で情報を探しても「ピタリ、これだ」という記述に行き当たりません。HELP には SSH を使うようなことも書いてあり試みますが、うまく入れません。いろいろといじっているうち、アップロード用 Web インタフェースを見つけました。なあんだ、ちゃんとあるじゃない。しかし「おーい、これってメニューの表現がまずくないかい?」もっと直接的に「ソースのアップロード」とかいう表現にしてよ。大汗かきましたが、半日の格闘で何とかアップロードに成功。

今回の開発で強く思ったことは「Web アプリは完全にデスクトップ・アプリを越えたな」ということでした。デスクトップ・アプリは特にこのようなものを開発する上で、もうレガシーな技術になりつつあるとの印象、、

◯ 私としたことが、また救急室のお世話に

バランス感覚を練る中国武術の錬功や歩術の研究など足腰にはいささか自信があったのが、いきなり面目丸つぶれお粗末のご報告。体育の日、秋晴れの気持ち良い午前中、歩いて4km 少々自由が丘まで。自由が丘の遊歩道にベンチや机をならべ屋台のならぶ女神まつり、飲み仲間の先生方に奥様も交えビールやワインに屋台の焼きそばなど、大変楽しい時を過ごしました。やがて日もとっぷり暮れるころ再び歩いて帰宅。快調に飛ばし昼間なら遠方に自宅が見えるところまで来ました。自宅の居間の正面にこんもり見える小山八幡神社と隣のお墓の間に蛇行した急坂があります。近道ということで真っ暗な急坂を下りはじめたところで、自分としてはいきなりわけの分からない状態に、、

恐らく片足が舗装路につっかかったのでしょう見事に転倒。普通なら顔面着陸などあり得ないことなのですが、酔っているのでクタクタっとなってしまったのだと思います。両掌・右膝そして右顔面を見事に擦り剥きました。街灯もない真っ暗な道、ポケットから飛び出した手帳や iPhone を探すのも大変。気がつくと眼鏡もありません。こちらの方が探すのはもっと大変でした。四つん這いになって暗闇にすかし探していると顔面からボタボタ景気よく血の垂れるのが見えます。遠方の街灯の明かりに透かしてようやく眼鏡をみつけ、顔にハンカチを当てて坂を下ります。下り終わったところの左に交番があるので、血だらけの姿を見とがめられると嫌だなと思いつつ無事通過。祭日の夜間ということもあって幸い顔を合わせすれ違う人もなく、無事自宅に到着。玄関を入り洗面所で鏡を見ると予想していたようにお岩様状態。血だらけの顔右半分が腫れ上がり、上瞼が擦りむけ皮弁状に垂れ下がっています。家族にうながされ無理やりタクシーで慈恵の救急へ。「こんな傷で救急の手を煩わせる必要ない」と言い張ったのですが、結果的には行って良かったかなと。

上眼瞼を形成外科のドクターに丁寧に縫って頂きました「非常に薄くなっている部分は壊死になるかも知れませんね」と。家内の猛反対でとりあえず翌日は休診しましたが、そうも休んでいられないので2日目には下のような手描きポスターを娘に描いてもらい診察室ドアに貼りました。視力の落ちた弟も以前夜道で溝にはまり同様の目に会い、ドアに似顔絵を貼って診療したとのこと。弟からのグッド・アドバイス。それにしても神社とお墓の間、絶対に何かのタタリかと、、どんな悪いことしたのかなあ、、今時 狐も狸もいないはずだが。

受傷数日の顔貌は、北京オリンピック女子レスリングで目に青あざを作り表彰台に上がった浜田京子よりもっと酷く、ボクシングで散々殴られ瞼が切れ顔半分の腫れ上がった状態がまさにそれ。「ボクシング選手って、こんなことを何度も経験してるんだ。大変だな」という正直な感想。それにしても、救急室で午前1時過ぎまで付き合ってくれた家内や娘、そして休ませてしまった職員には大変な迷惑を掛けてしまいました。御免なさい。

景気よく出血したのは、顔面だったのとアルコールが入っていたからと思っていましたが、救急室で「何か薬をのんでいませんか?」と訊かれ、抗凝固剤バイアスピリンを服用しているのに思い当たりました。「ふーん、思ったより効いてるんだ、、」と妙なところで感心。

今月の区立平塚小学校跡工事、そろそろ終盤のようです

屋上の建屋がピンク色に塗られたので、ギョッとしたのですが下塗りだった?

品川区の大きな老健施設のビル壁面や保健所跡の建物がド・ピンクです

品川区役所にはこのようなことを決めるのに「品のない趣味」の人がいるようです

これは日々の生活で感じたことを書きとどめる私の備忘録です