2003.10 MacOS X 10.3 Panther ついに発売

わーくすてーしょんのあるくらし (73)

2003-10 大橋克洋

< 2003.09 長良BOF | 2003.11 Apple Store Ginza オープン >

MacOS X 10.3 パンサーがついに発売になりました。 発売は今年末頃という話もあったのに、思いがけぬ前倒しはとても嬉しい 知らせです。早速 AppleStore へ予約を入れ、発売の25日まで 待ち遠しい日々を送りました。

今月はその Panther が手に入る日と、初めての「(電子カルテ)NOA 合宿」 が同一日という記念すべき日になりました。 以前から時々 NOA ユーザの方々が私のところのセミナールーム OceanSpace に集まって勉強会を行っていましたが、 「一度一泊で合宿をやろうよ」という話がでていたのです。

鈴木君のお世話で、彼の住んでいる千葉県茂原に近い「生命の森」 というリゾート施設で一泊の合宿を行いました。 タイミングがタイミングだけに、ほとんど Panther の インストール大会になってしまい、肝心の NOA に関する勉強会と しては余り機能しませんでしたが、もうひとつの目的 WebObjects 勉強会という意味で、森さんは少し収穫を得たようです。

コンピュータを囲んでディスカッションの時間が少なかったのは 残念でしたが、ログハウスでの素敵な一夜、千葉県茂原の安くて新鮮な魚など、 それはそれで大満足の合宿でした。皆を運ぶ運転手をつとめる とともに、何から何までお世話を頂いた鈴木卓さんに感謝、感謝。

○ Panther がやっと手元に

発売前日に AppleStore から「商品を発送しました」の メール。25日(土)は昼の診療が終わると同時に、 「電子カルテNOA 合宿」へ出発しなければならないので、 朝から落ち着きません。 午前中に届かないと合宿へ持っていけない。ということは 私の PowerBook G4 12inch で Panther を 味わうことができないのです。

朝イチで、合宿に参加する鈴木君から「Panther 届きました。 これからインストールします」のメール。うらやましい。 昼までに届くんだろうかと、やや不安な時間を過ごしました。 午前11時頃、無事宅急便到着。私は MacOS X だけでなく 同時発売された MacOS X Server も頼んだので2つ箱が 届きました。箱はかさばるので、インストール用CD だけ取り出してデイパックへ詰め、出発です。

○ 「生命の森」での NOA 合宿

Internet で経路と時間を調べ、目黒・大崎・木場・蘇我と 電車を乗り継いで茂原到着です。一つ前の新茂原の駅は いかにも田舎の駅の風情のある建物で、古びた木造の建物や改札は 昔のままですが、タバコ屋前の公衆電話のように地面から 生えたスタンド上に公衆電話くらいの大きさの箱が乗っていています。

SUICA のセンサーのようですが、改札にドアはありません。 駅員がいなければそのまま通過できてしまいそうです。 のんびりした風情と最新のIT機器とのとりあわせが、絶妙でした。 茂原駅に近づくと、今までの田舎の風景がビルの多い地方都市の 風景へと変わります。茂原駅でおりると改札の外に鈴木君と 京都から参加の明治鍼灸大学の森さんが待っていました。 最後の一人、さいたま市の吉岡先生の到着を待って鈴木君の 車で「生命の森」へ出発。今回の合宿参加者はこの4名です。

両側に高い杉の木のそそりたつ舗装した山道を登ると、 やがて一転してよく整備されたリゾート地に入ります。 テニスコート、ゴルフ場、エアロビクスセンターなど スポーツ施設やホテルがいくつもありますが、我々が予約したのは 緑の林の中のログハウス、昔でいえば丸太小屋ですね。 私もログハウスに泊まるのは初めてですが、ツインベッドの 部屋が二部屋それぞれにバス付きで、その中間の位置が リビングになっています。 エアコン付きでなかなか快適ですし、何と言ってもログハウス ってのは、雰囲気があってとても素敵ですね。西部開拓時代の 丸太小屋に比べ、ちょっと整備されすぎていますが。

○ Panther インストール大会と化した NOA 合宿

ログハウスに着くと、まず皆が始めたのは決まったこと。 リビングにそれぞれ持参のノート(3人が PowerBook 12 inch でした)を開きます。吉岡先生だけは、サーバマシーンとして使う予定の iMac を宅急便でこちらのホテルフロントへ送ってありました。

私も早速 Panther のインストールにかかりました。 鈴木君はすでにインストール済みで、WebObjects の開発環境 の設定です。森さんは合宿直前に HD を大きいものに交換した ところ、どういうわけか CD-ROM ドライブが動かなくなってしまい、 インストール大会には参加できませんでした。残念。

吉岡先生の iMac もとりあえず Panther のインストールです。 うーむ、噂には聞いていましたが Apple のロゴが金属風の 格好よいものに変わりましたね。 Panter, WebObjects とインストールし、OpenBase のインストール も済みましたが、OpenBase が動きません。これは高橋先生から 先月あたりレポートがあったものですが、高橋先生が OpenBase 開発者に連絡をとっていると聞いていたので、 正式リリースまでには直っているかなと期待していたのですが、 まだ駄目のようです。 (これは後日、開発者登録をして OpenBase 8.0 を手に入れる ことにより解決しました)

○ NOA クライアントだけは Panther でもばっちり

ということで、データベースがまだ Panther で動かないので サーバは駄目ですが、他のマシーンの古い環境で OpenBase さえ動いていれば、クライアントとして NOA を使うのは一向に 支障ないのを確認しました。 合宿から帰って、やはりこの快適な Panther 環境で仕事を したいという欲求に勝てず、早々と診察室の iMac を Panther に変えました。3日ほど使っていますが、クライアントとして使う 分には何も問題ないようです。

合宿のもうひとつの理由として、NOA がいくつかのマシーンで うまく動かないという話が時々あり、NOA の致命的バグだと まずいなあ、と思っていたのですが、合宿でやってみると インストールがまずかったり異なるバージョンが混在していたり の問題だったようで、開発者としてはホッとするとともに、 合宿の意味があったというものです。

○ Panther を使ってみて

使っていて一番 Panther を感ずるのは Finder ですね。 今まで Finder が使いにくいので、CocoaTech から出している PathFinder を使っていたのですが、Panther になって からは純正の Finder だけにしています。 左側のサイドバーができたのが大きな使い勝手の違いでしょう。 ただ以前から望んでいる NeXT時代のシェルフはまだ実現され ません。

一方 PathFinder の方も Panther にあわせてバージョンアップ したようで、何とこちらではシェルフ機能を実現していました。 こちらについてはまた改めてレポートしたいと思いますが、 当面 Panther では純正の Finder だけでしばらく行ってみようと 思います。

画面上のウインドーをすべてタイル形式にする「Expose'」は、 知らない人を脅かすには面白い機能ですが、まだあまりその ご利益にはあずからないでいます。 開発環境 XCode がどうなったかが気になっていたのですが、 思ったより大きな使い勝手の変更がなく、やれやれと思っています。 年齢のせいか、まったく新しい環境を習得するのに以前より大分 時間と努力を必要になっていますので。

Panther になってから WindowShadeX(ウインドー・タイトルを ダブルクリックすると、ウィンドーが縮んでタイトルバーだけに なってしまうもの)が動かなくなりとても不便でしたが、 数日後に新しいバージョンで対応してくれました。 開発者のところでは正式リリース前にベータバージョンで 対応版を作っていると思っていたのですが、必ずしも そうではないようで、やはり正式リリースがでてからの 対応になるところも少なくはなさそうです。

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