わーくすてーしょんのあるくらし ( 351 )

大橋 克洋

katsuhiro.ohashi@gmail.com

2022.05 バタフライ効果

○ バタフライ効果

バタフライ効果とは、ほんの些細なことが、徐々にとんでもない大きな現象の引き金になるという考え。「バタフライ効果」という名称は気象学者エドワード・ローレンツの「ブラジルの一羽の蝶の羽ばたきがテキサスで竜巻を引き起こす」という問いかけに由来するもの。日本には「風が吹けば桶屋が儲かる」という言葉がありますね。

バタフライ効果をテーマとした NHK の特集で、ベルリンの壁崩壊をとりあげていました。ソ連のゴルバチョフによる改革などに触発され、東欧諸国でも自由化への機運が高まっていました。自由で開けた西ドイツに憧れる東ドイツ市民に、西ドイツへ行きたい欲求が高まる中、社会主義統一党中央委員会が翌日から施行予定の新政令案を決定。広報担当者は、この規制緩和の内容をよく把握しないまま定例記者会見で「東ドイツ国民はベルリンの壁を含め全ての国境通過点から出国が認められる」と発表。「いつから発効するのか」との質問に「私の認識では直ちに遅滞なく」と答えてしまった。これが各国メディアや東ドイツ国営テレビで報道されたため、同日夜に大勢の東ベルリン市民が7箇所の国境検問所へ殺到。本来は査証が必要だったが、殺到した市民への対応に困った国境警備隊指揮官は、政府の指示なく、やむを得ず国境ゲートを開放した。こうしてベルリンの壁は有名無実となった。そして日付が変わるとともに、どこからともなく持ち出された重機やツルハシなどでベルリンの壁の破壊が始まった。

広報に政令案をちゃんと説明しなかった委員会や、広報官や国境警備隊が大勢の圧力に負け独断で対応してしまったことが、思いがけない大きなうねりとなってしまった。世の中には、このように些細と思ったことがとんでもない大きな流れの引き金になることがあるということですね。

誰かのささやかな営みが、時に世界を変えることがある ・・・これがバタフライ効果

2ヶ月を過ぎても止まないロシアのウクライナへの残虐な侵攻は、世界の反発を買うとともに地球規模の経済不況を産み出しました。まさにプーチンの誤算に発するバタフライ効果と言えるでしょう。

○ 何度も同じことを繰り返すロシアの国家体質、恐ロシア

NHK 「映像の世紀」で「プラハの春」を観るうち、思わず涙で目が潤んできました。チェコスロバキアの市街へ、いきなりソ連の戦車群がなだれ込んできた事実は強い印象として残っていましたが、遠い国のできごととしてとらえていました。

チェコでは1967年頃から共産党への批判が強まっており、1968年の共産党中央委員会で、ノヴォトニーに代わりドゥプチェクが党第一書記に就任。大統領に留まっていたノヴォトニー体制を担う幹部たちへの批判が高まっていった4月の党中央委員会総会で『行動綱領』が採択され「新しい社会主義モデル」が提起され「党への権限集中の是正、市場機能の導入などの経済改革、言論や芸術活動の自由化、科学技術導入を通した西側との経済関係の強化」などの改革が謳われた。

ソ連やその同盟諸国は、このチェコにおける共産党体制の解体、改革運動の自国への波及を食い止めようと努めたが、その懸念を払拭することはできなかった。

1968年8月20日突然、ソ連率いるワルシャワ条約機構軍が国境を突破して侵攻。チェコスロバキア全土を占領下に置いた。「介入はチェコスロバキアからの要請による」と宣伝したにもかかわらず、実際には当のチェコスロバキア側が介入を非難するという逆説的状況となった。

このように、ソ連やロシアの抑圧された共産党体制に嫌気が差し西欧の自由な社会に変わろうとする国を、無理やり元の共産党体制に引き戻しロシア傘下に収めようとする動きは、今回のウクライナが初めてではなく、これまで何度も繰り返されてきたことを今更ながら確認し「おそロシア」と思うものです。終戦宣言が出ているにも関わらず日本への侵攻を続け、大勢の日本人をシベリアへ抑留、強制労働に就かせた歴史は、今ウクライナに対しても再現されています。

今月の歩術

今月前半は、まるで梅雨に入るかのように東京は雨天の日が多かったため、歩距離は延びませんでした。そんなことと経年変化もあって、ますます歩力の低下を感じます。

つい最近まで7キロくらいは どうってことなかったのですが、最近は5キロを越えようとすると、かなり意図して歩かねばならないことが多い。まだ上り坂は急坂でなければ、ゆっくり下を見ながら淡々と歩くことにより、何とかこなすことができています。「上り坂は下を見ながら、大股でなく小股で」と言われますが、今のところ結構大股に近い感じで歩を進めています。

折角減速傾向にあるコロナが、5月の連休でどっと繰り出した人の波で、連休明けにまた増速カーブに移るのではないかと心配していましたが、さして上昇することなく推移しています。この調子で少しずつ収束に向かってくれるとよいのですが、、

毎年恒例の Seagaia meeting は、この2年コロナのため画像会議として開催されましたが、今年は久しぶりに宮崎シーガイアで対面で開催されました。しかし、アレルギーでワクチンを打てず感染に極めて弱い家内にコロナを持ち帰ることは何としても避けたいので、私は欠席し理事会のみ ひとり画像会議で参加しました。Seagaia meeting の創設メンバーである私ですが、27年にわたる歴史で欠席したのは初めてのこと。今年の参加者は30数人と、やはり少なかったようです。常連メンバーで欠席したのは私と、やはりコロナ事情で欠席した鈴木君くらいかな、、

おっと、歩術と関係ない雑談になってしまった。月も末になると最高気温30度を越える日もたびたび、早朝はまだ25度には至らないものの。何となく身体が非常に怠い。早朝散歩に出ても、倦怠感がつよくクタクタする身体をだましだまし歩くこともあります。そうか、これはこの季節によくあること。もっと暑くなり、しっかり汗をかくようになれば治るんだっけ、、

虫のいる生活

バタフライから連想したわけではなく、趣味の住宅設計をしていて思ったこと。沖縄伝統の家のように「夏場は縁側を全開放し思い切り風通しを良くするのが良いなあ」と思いつつ、虫の嫌いなウチの奥さんからは滅法反対されそうだなあと、、

私が中学生くらいの頃までは、夜になるとカナブンなどが飛んできて裸電球のまわりをブンブン飛び回ったり、蚊取り線香を焚いていても身体にまとわりつく蚊をピシャリと叩いたりしたものでした。夜の蝶(蛾)もいましたねえ。庭にすだく虫の声を聴きながら寝るのもとても良いもの。私にとってこんな風景は夏の風物詩でしかありませんでしたが、生活から徹底的に虫を排除してきた結果、現代人にとって虫は怖いものとして映ることが多いようです。

学生の頃、蓼科の別荘の暗い部屋の中に迷い込んだホタルの淡い光の動きに心ときめいたりしたものでした。それでも蚊だけは余り嬉しくありませんね。寝静まった暗い耳元でブンブンいう音や、一番参った経験は馬術部の大阪合宿のこと。陸上競技場の中の合宿所、周りが草むらとあって夜になると藪蚊の大集団による容赦ない絨毯爆撃。蚊帳などないので、仕方なくシーツをかぶって寝るのですが、蚊の奴シーツの上から刺してくる。これには参りました。

蓼科といえば、朝になると鳥たちの澄んだ声があたりに響き渡っていたものですが、ある頃からまったく鳥の気配がなくなってしまいました。考えるに恐らく殺虫剤が大規模に散布され、虫が居なくなったため、鳥も居なくなったのではないかと思います。このような人間のエゴによる、自然の(今風の言い方をすれば)力による一方的な現状変更を悲しく思うものです。

Steve Jobs の遺したもの

ケーブルテレビで Steve Jobs のドキュメンタリーを観て、思いを巡らしたこと、、

Steve Jobs が iPod を世に出した時、ジーンズのポケットに入ってしまうちっぽけなデバイスに1000曲も入り、いつでも何処でも音楽を聴けるようになりました。彼が変えたことはこれだけではありません。音楽業界に強引な交渉をおこない、楽曲の値段を一律にしたこと。iTunes を発明し、好きな音楽を即座に手元で聴けるようにしたことなど。

後日、書籍も電子書籍として扱えるようになり、以来、私は紙の書籍を購入しなくなりました。発売直後、あるいはニッチな書籍も、検索し直ちに手に入れることができます。自分の部屋に書籍があふれることもなく、 iPhone や iPad さえあれば出先でも読めるようになりました。

Jobs と Apple の歴史で、もっとも大きいのは iPhone でしょう。これは Jobs が発明したものではありません。既存の技術を組み合わせ作り上げた彼のセンスこそが誰にも真似できない素晴らしいもの。iPhone 出現の数年前から、私が熱望していたのはこのようなデバイスでした。過去のコラムを読んで頂くとわかるように、私は数年にわたり「 SONY の CLIE に電話機能を載せてくれえ」と叫んできました。SONY の CLIE は携帯端末としてとても便利でしたが、SONY は携帯電話も発売しているのに、なぜ CLIE に電話機能を載せてくれないのかと、、

ようやく iPhone が発売されましたが、日本では発売まで1年待たされることになります。その間、Windows の走る携帯 W-ZERO3 を使ってみることにしました。いつも Microsoft の製品をけなしてばかりでは悪いと思って。1年間我慢して使い続けましたが、まあその使いにくいこと。文字入力は携帯の豆粒より小さなキーボードなのですが、爪の先でそれを押しながら文字入力の苦痛。それより何より、いざ電話をかけようとすると、操作手順がハンパなく面倒。「Jobs の作るデバイスなら絶対電話しやすいはず」と思ったのですが、後日手にした iPhone での電話は極めて快適でした。MS のそれは単に「電話機に Windows 載せてやったぜえ、、」使い勝手の悪い本末転倒の代物でした。

そして何と手にした iPhone は、それまで愛用してきた CLIE と外見は瓜二つのもの。SONY が電話機能をつけてくれれば、CLIE は iPhone の数年先を行っていたのに、、

絶頂期を迎えこの世を去った Jobs、それはそれで良かったのでしょうが、ちょっと残念に思うのは、もう少し長生きしていれば私が長年叫んでいる「もう TV 受像機など不要、TV は web ブラウザーで過去の番組をいつでも何処でも観られるようにするべき」という願いも叶えてくれたはず。米国西海岸開催の NeXT expo で日本 NeXT ユーザ会代表として Jobs と握手した頃が懐かしく思いだされます。

サラリーマン川柳

サラリーマン川柳、今年も発表されました。私が気に入った句を幾つか、、

ちなみに順番は発表された順位でなく、私の気に入った順

  • マスク顔 確信持てず 見つめ合う

状況が目に見えるようで、微笑ましい

  • あっ、マスク! 降りた階段 また登り

コロナ禍3年ようやく馴れましたが、私も前はよくあった

  • 巣ごもりで MからLに 服反応

巣ごもりじゃなく年齢のせいですが、私も、、

  • にこやかに マスクの下で「うっせぇわ」

Ado の曲「へぇ、、」と思ってましたが、どの曲もそのノリとリズム・活力が気に入り Superfly とともに私の お気に入りアルバム になってます

  • マスクとる 緊急事態 ノーメーク

  • ズーム中 ペット参加で 盛り上がる

  • ウイルスも 上司の指示も 変異する

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