わーくすてーしょんのあるくらし ( 334 )

2020 -12 大橋 克洋

2020.12 コロナが世界を変えた年

早朝散歩:大崎駅前のゲート・シティ

早朝なのとコロナのためもあり人影なし


< 2020.11 至上の処世術は適応すること | 2021.01 コロナ転じて社会進化となす>

◯ コロナが世界を変えた年

今年1月、中国武漢から日本に上陸したコロナ・ウイルスが日本で少しずつ感染を広げるに続き、あっという間に世界中に広がりを見せました。この広がり方は凄いものですね、一昔前には考えられなかったことですが、グローバル化により人間が地球上の至るところと頻繁に行き来していることの証です。

これにより世界的に色々なことが変わりました。日本では花粉症で普段から街中でマスク姿は珍しくありませんでしたが、花粉症でない人間も、外出時は夏場でも必ずマスクをかけるようになりました。もともとマスク文化のなかった西欧圏では、当初マスクをかけることにかなり抵抗もありましたが、コロナ感染防止にマスクの効用が明らかになるとともに、西欧の街でもマスク姿が多くなってきました。しかし、米国ではコロナ軽視のトランプ大統領の影響もあって、今だにマスクに強い抵抗を示す人達も少なくないようです。マスクを強制されたための殺人事件まで発生しています。

人と人との接触が感染を広げるということで、大きなイベントなどは抑制されましたし、仕事もネットワーク越しのテレワークが推奨されるようになりました。私の身の回りでも、毎年開催されてきた会議の幾つかがネットワークで行われました。テレワークに伴い、社屋をより家賃の安い小規模ビルへ移転したり、自宅を都心から自然環境の良い遠隔地へ移す動きもあるようです。これは良い変化と思いますし、コロナ後も続いてほしいと思います。

私は仕事をリタイアしてしまったため仕事という面では影響を受けていないのですが、仕事がなくなったり減少し生活に困窮している気の毒な方々は少なくありません。コロナもあと1,2年のうちには収束をみせ、従来からの季節性インフルエンザのようになるのだと思いますが、そうなったとしても社会の様々なことがコロナ前とは変わってくることは間違いないでしょう。そのような面で、今年は「世界史に残る節目の年」だったと思います。

◯ 今年の十大ニュース

今年の十大ニュース、あくまでも私的なものですが、、

私の記憶に残るできごとは以上のようなもの。ニュースとは言えないものも多いということは、それだけ今年のニュースが少なかったということ。その代り、日米の指導者交代とか、世界に吹き荒れたコロナ禍など、とても中身の濃いできごとのあった年でした。

◯ 今月の歩術

12月に入ると朝の気温も10度を切るようになり、厚手のスポーツシャツやフリースのセーターでもダウン・ベストでは腕がスースーして、上にジャンパーを羽織るようになりました。まだダウンのジャンパーではなく、フリースのジャンパー。頭もキャップから耳元まで覆うニット帽へと完全武装。

朝6時は、まだ夜明け前で真っ暗。6時15分を過ぎると空が白んできます。それでも顔も見えない真っ暗な道に積もった銀杏の落葉を踏みながら、すれ違うジョギングや散歩の人は少なくありません、寒いなか皆さんご苦労様。さすがに犬の散歩は夜明け前には、ほとんど見かけないようですね。真っ暗な中原街道を上下する車のライトは引きも切らず、コロナ禍の中、早朝からお仕事大変ですね。

相変わらず「足裏を地面にべったりつけて大地の気を吸い」「股関節を柔らかくして上体を自由に」「上下相随」「身体をひとつにして歩く」の意念で歩いています。毎日7キロを目標に歩いており、最初の2,3キロは結構の歩度がでているのですが、それを過ぎるとエネルギー消費を最小限にすべく前肢を前に投げ出すような歩き方。常に上体の力を抜き真っすぐにしていないと、疲労がでてきて長く歩けなくなります。登り坂は一頃より登れるようにはなりましたが、加齢のせいでやはり苦手ではありますね。

、、そして月も半ばになると、日本列島に強い寒波襲来。当地でも朝の外気温は2度以下になり、ニット帽にダウンのジャンパーの完全武装になりました。日本海側では2日の間に近年にない降雪量、高速道路で数百台の車が24時間以上も雪の中でスタック。自衛隊も出動し食料や燃料を補給、大型トラックが自分の輸送していた煎餅を近くの車に配布するなど。さぞ難儀だったことでしょう、とても気の毒な状況でした。

今月は雨がほとんどないので散歩を休む日がなく、この調子なら月間歩行距離200キロを達成できそうです。毎日7キロ近くを持続できているので、歩きもかなり快調になってきました。やはり毎日規則正しくトレーニングできれば、この年齢でもある程度の体調を保てるようですね。しかし毎日7キロかつ飽きないコース取りに頭をめぐらす日々、、

◯ 今月のコロナ

今月に入り、世界では米国を筆頭に欧州やインドその他、感染拡大が止まりません。日本でも、各地のコロナ感染者数記録更新が連日報道されています。東京ではとうとう1日の感染者数が600名を超えてしまいました。旭川市ではすでに医療崩壊の状態で看護師不足を補うため、自衛隊に緊急派遣要請がなされ自衛隊から自衛官の看護師が派遣されました。

このように一部ではすでに災害派遣の状態なのに、政府は頑なに GoTo Travel や GoTo Eat キャンペーンを中止しようとしません。菅総理は「旅客の移動によるコロナ感染拡大のエビデンスはないと聴いている」との答弁を繰り返していますが、このフレーズは数ヶ月前に日本医師会の中川会長が会見で「確たるエビデンスはないが、GoTo など移動による感染拡大の可能性がある」という趣旨で使ったもの。一般論からいっても「感染症拡大は人間の移動による」ことは明白。コロナが全国各地にもれなく広まるようになったのも、GoTo キャンペーンを開始してからのこと。

政府は「我慢の3週間」と言いながら無策で何もすることなく、「国民の健康と安全を守るためにやるべきことは速やかにやる」と述べながら GoTo の一時停止さえしようとしない。「専門委員会などの意見を踏まえ方針を決める」と度々答弁しながら、専門委員会からの「この状況では GoTo キャンペーンは、ひとまず中止すべき」との意見を取り入れようとしない。これでは、関連筋から余程多額の政治献金でも受けているのかと勘ぐりたくもなる。菅政権の人気はこの GoTo 中止拒否の姿勢で、一気に下降線をたどっているという。

、、と書いているうち、月半ばになって菅総理も委員会や世論の圧におされ、ようやく GoTo の一時停止を決めました。あまりにも遅いですよねえ、全国に感染が広がる前に何としてもストップすべきでした。東京の感染者600名越えから数日のうちに800名越え、この調子じゃ正月までに千人越えも不思議じゃない。が、世の中は「コロナ慣れ」で対応がイマイチの人も少なくない。「会食は5名以内に控えて」と国民に訴えていた菅総理自身が「毎晩のように5名を越える人数で会食」とマスコミに叩かれている。トランプほどではないが、国のトップに危機感の少ない国ではどうしても国民の気持ちに緩みがでてしまう。

、、そして大晦日、予想通りついに東京の1日感染者数は1300名を越えてしまいました。恐らく来年1月から3月にかけてがピークになるのでしょうが、春頃に小康状態になってくれることを期待。さて、どうなんでしょうか、、

これだけ感染者数の急増状況になると既に時遅しの感はありますが、「経済を優先」するなら一時的にでも徹底したロックダウンを行い、とにかく感染者の増加を無理矢理に抑え込むことが、結局は経済復活に有用と思います。コロナの火元である中国がこのやり方で感染を抑え込み、中国からもらったコロナで大変なことになっている欧米を尻目に、着々と経済を伸ばしています。日本なら「他人様に迷惑を掛け申し訳ない」と思うところですが、、

この暮から正月にかけ、国民全員が心をひとつにして我慢の時期。とにかくその間「人の移動と接触を極力避ける」ことを続けるべき。そして政府はコロナによる生活困窮者へ直接的な支援を速やかに行うべきと思います。

◯ 幻覚のメカニズム

最近、視力がかなり落ちてきました。子供の頃から近視や乱視はありましたが、眼鏡で補正できていました。それでも年齢とともに細かい字が読みにくくなりましたが、近眼の場合、眼鏡を外し裸眼にすればまったく問題ありません。

ところが最近はその近眼のメリットもなくなり、裸眼にして文字を顔に近づけても読みにくくなってきました。おそらく眼球が歪んできたのと、視覚に入ったものを認識する脳の解像力が落ちてきたのだろうと思います。2年ほど前、眼鏡を作り直そうと後輩の眼科医に診てもらったところ「もうこれ以上の視力矯正は無理ですね」と言われてしまいました。

12月ともなると早朝散歩の出だしは、まだ真っ暗。坂道などを登ってくると、かなり息もあがってきて脳の血流も落ちてくる。これにより目で見たものの認識力が低下、これに輪をかけてマスク越しの吐息で眼鏡の曇りなどが加わります。

こういう息の上がった状況で薄暗い道を歩いていると、視界の隅に入った電柱の下に駐輪するママチャリのシルエットが人に見えたり、横を通り過ぎる植え込みが一瞬人に見えたりする経験をするようになりました。うーん、これって認知症の症状だよね。モノの形を一瞬で正確に認識できないのだから、まさに認知症ってか、、

人間の視覚メカニズムはとても良くできていて、網膜に写った画像が認識に不十分でも過去の経験値から足りない部分を補足し認識する能力があります。幻覚は、この画像補正が過剰というか誤った方向に働いた結果と思います。なるほど、こういうメカニズムで幻覚って起こるのかと実感。ベースに不安感などあれば更に効果的なんでしょう。

◯ 水虫の治療薬

爪水虫の治療薬「イトラコナゾール(イトリゾール)」に睡眠導入剤成分が混入しており、全国で128人に健康被害、車を運転中に意識を失い物損の例や、ついに死亡例も1例でてしまったとの報道がありました。

私もイトリゾールの苦い経験を思い出しました(今回の事件と無関係ですが)。もう20年近く前ですが、ある医学雑誌で常用量の倍量の服用で短期間に水虫を治療できるという記事を読み服用はじめたのですが、4,5日するうち何かマズイなと感じ中止しました。

それまで強かった酒が滅法弱くなり、友人と呑んだ後の帰りの電車で無性に気持ちが悪く終電を乗り過ごして終点まで行ってしまい、タクシーもみつからず家内に電話して車で迎えに来てもらったことがありました。私は何事も前向きに考える方「まあ、そろそろ齢だから酒が弱くなっても良いか」。定期検診で明らかな肝機能障害がみられました。おそらくこのイトリゾールによるものと考えられます。

それから1年ほどして、東京都医師会の理事を仰せつかりました。役員を務めていた東京産婦人科医会や日本産婦人科医会に比べ、桁違いに大きな会員数2万弱を擁する東京都医師会の理事ともなれば、これは打たれ強くならなければならないと考えました。当時の私は最も体重の多い状態だったので、まず体重を絞ることにしました。「減量なんて簡単だ。食わなきゃ減るに決まってる」と食事をばっさり減らすことにより体重は減少していったのですが、「筋肉も減少してしまうのはマズイ」ということで、ダイエットで減少した体重を筋トレで戻すよう努力しました。減量効果は目に見えてあり、後日「大橋先生、ガンだと思いました」との言葉。そうかも知れません、急に減量すると顔もシワシワになりますから。

2つ良いことがありました。ひとつは「最近ちょっとモーローとしていた頭がスッキリしてきたこと」。ふたつめは「また酒が呑めるようになってきたこと」。減量により、血中コレステロールなどの減少で頭の血の巡りがよくなり、脂肪肝が改善され肝機能が回復したのだろうと思っています。

◯ 森林火災と地球環境

近年、特に夏場、世界各地で広範な森林火災が続きました。特にブラジル・シベリア・インドネシア、オーストラリアなど。

シベリアでは、大規模森林火災により雪や氷の上に降った黒いすすが氷の溶解を促進。永久凍土が溶けることにより、凍土に閉じ込められていたメタンガスが大気中に放出され、温室効果により地球温暖化を加速。

インドネシアではアブラヤシ栽培のため、大規模な森林伐採が行われています。ここの森林は湿地帯にあり、長い年月の間に大量の落ち葉が水中に堆積しています。この水は酸性で細菌が繁殖しないため、落ち葉は腐ることなく泥炭に変化。アブラヤシ栽培をする企業が水を排除してしまうため、一旦地面に火がつくとなかなか消えない。地面の下でくすぶる火は容易なことでは消えないのだそうです。

自然由来、アブラヤシの油は他の油より人体への有害度が低く、日本でも食用油や洗剤、最近はアブラヤシの油を燃料とする発電所まで建設中とか。ここで燃やされる油の量は今まで日本に輸入されているアブラヤシ油の量に匹敵するとか。発電所を建設する企業によれば、石炭による火力発電より排出する CO2 などがずっと少なく地球にやさしいとの説明ですが、実際の試算では森林伐採関連・輸送費・その他を入れると石炭とは比較的にならない量の CO2 排出に相当するそうです。何とかしなければいけませんねえ。

ブラジルでは、経済活性化のため従来の森林保護規制を緩めるべきとのボルソナロ大統領の方針で、大規模な森林伐採が進んでいます。伐採も重機などを使うよりずっと安価な野焼きを多用するため、これがブラジルの大規模森林火災に繋がっているとか。ブラジル、アマゾン流域の広大な森林は地球上の炭酸ガスを吸収する大きな役割を担ってきましたが、これが広大な規模で失われようとしています。ボルソナロ大統領たった一人の方針で、、

大規模森林火災では高熱により火炎の竜巻が生じたり、地中の水分が蒸発してススなどとともに積乱雲を生成、これが移動しつつ落雷を発生することにより森林火災を広げるという現象が解ってきたそうです。

◯ 火は火をもって制す

各地で森林火災消火のため大変な努力・犠牲が払われていますが、最近「森林火災消火が大規模に行われるようになった結果、大規模森林火災を促進している」という逆説的なことがわかってきたそうです。理屈はこうです、、

古木の断面から過去の森林火災の履歴を調べてみると、過去には小規模火災が頻繁に発生していたが、近年では(消火活動により)頻繁でなくなっている。それにより巨大化した樹木と樹木の間に小さな灌木などが茂るようになった。この小さな灌木などが、巨大樹から巨大樹へと火を伝える役目をしている。小規模火災が頻繁に発生していれば、一定の地域が「火除け地」となり、火災の延焼を防いでくれる。

ちなみに小規模火災では、前述のような火災による積乱雲の発生やそれに伴う落雷による延焼なども発生しません。

このようなことから「コントロールされた野焼き」、すなわち一定範囲外には火災が広がらないようあらかじめ手当をした上で野焼きをし、野焼き部位がパッチワークを形成するようなプロジェクトが行われつつあるそうです。

人間が自然に手を入れるには、余程よく考え結果観察を怠らぬようにする必要があるということ。多くの場合、人の手をいれず自然に任せるのが正解のようです「下手な考え、休むに似たり」ですね。

◯ Apple 初の自社製 M1 を積んだ Mac mini 発注

macOS の最新バージョン Big Sur をインストールしようとすると「容量が足りなくてインストールできません」と云われてしまいました。現在、書斎で使っているメイン・マシーンは Mac mini なのですが、購入時「どうせこれからファイルの多くはクラウド上に置くのでストレージは最小で良いや」と言うことで 256GB のものにしたのですが、これが大失敗。以前も OS 再インストールで同じことを言われ、2TB の外付 HD から OS を起動する形態にしていました。しばしば、このようなことを繰り返すのも嫌になって、丁度 Apple が自社製 CPU である M1 搭載の Mac mini を発売したことでもあり、こいつをポチりました。

スペックは 500GB SSD を積んだものとし、メモリーを 16GB としました。以前 Mac mini のメモリーは自分で簡単に換装できたのですが、数年前から Apple の方針変更があったようで自分で簡単に換装できなくなり、自分の必要な大きさを発注時に指定する必要があります。いつものようにネットから AppleStore で発注したのですが、到着するまで3週間もかかるとのメールが届きました。今回 Apple は自社製 CPU を搭載したマシーンを初めて発売したのですが、デスクトップ・マシーンは Mac mini だけで、今月のデスクトップの販売数では Mac mini がブッチギリの1位となっています。到着まで3週間かかるのには、そんな理由もあるのかもね。

◯ Mac mini (M1) 初期設定でトラブル

到着まで3週間を覚悟していたところ、嬉しいことに2週間ほどで届きました。早速立ち上げてみると、評判通り立ち上がりも速く、快適そう、、

いそいそ設定開始、ところが「あれ?」。設定過程で「Apple ID を設定しますか」というパネルが表示されるのですが、これが表示された途端キーボードが死んでしまいます。キーボードの USB を差し直してみたり、別のキーボードに替えてみたり、何度かリブートしてみたりと色々やってみましたが、何度やっても Apple ID の設定パネルが表示された途端、キーボードが死んでしまい、その先に進むことができない。こんなことは私の長い Apple 利用でも経験したことがありません。

困った時のネット頼み、ネット上で同様のトラブルがないか探してみました。おそらくこの症状は新しい M1 がらみのものと思うのですが、M1 登場したばかりとあって、どの情報を試してみてもキーボードの症状は回復してくれません。いつもなら、もうすこし粘るのですが iPhone の時と同様、Apple サポートセンターに電話してみました。サポートの方が「 iPhone で画面を撮影してください」とのことで、iPhone で画面を撮影。あちら側からはカメラ画像をリアルタイムで見られるそうです。これは便利ですね。

画面最上段のメニューバーの文字入力がGoogleの文字変換「A」になっていたのですが、これを Apple 標準の「A」にしてみてくださいと言うので、そのようにしてみるとばっちりキーボードが生き返りました。おそらく Google の文字入力システムがまだ M1 に完全に対応できていないためのようです。M1 が出たばかりとあって、そんなこともあろうかとは思っていたのですが、まさか文字入力システムがこんな悪さをしているとは思い至りませんでした。文字入力システムはキーボード入力を横取りして処理するので、きっとその過程で M1 に対応できず文字を次へ渡せずにコケてしまうんでしょうね。

いずれ、知らぬ間に Google の方で対応してくれ修正されるでしょうから、慣れぬ Apple 標準の日本語入力を使いながら気長に待つことにしましょう。でも、コレちょっと使いにくいなあ、文字変換しても、もう一発 enter 叩かないと確定できないのね。

サポートに電話してから10分もせず問題解決。すごい。先月の iPhone の際も同じでしたが、Apple サポートセンターの対応はとても迅速・丁寧・的確で気持ちが良い。Apple の従業員教育の質の高さを感じました。

◯ Apple 以外の PC 業界の現状

サポートセンターに今まで頼ったことのない私が先月の iPhone 今月の Mac mini と2度も Apple サポートセンターのお世話になったところで、「PC誌元編集長もため息、お客をたらい回しにするパソコン業界の不親切」と言う記事を読みました。今更ながら PC すなわち Windows 業界と Apple 業界との大きな差を思い知らされました。この方はパソコン雑誌社を辞め、私用PCを購入したそうです。

会社で慣れ親しんだ Windows パソコンを買おうと決め家電量販店へ。メーカー派遣の店員から「パソコンで何をしたいですか」ときかれ「文書作成、ネット、メール、リモート会議」と答えると「自分でスペック・ソフトなど選ぶカスタマイズ」を勧められた。本日の持ち帰りをあきらめ注文生産で2週間待ち。2週間後、いそいそ設定を始める。早速エクセルに書き込み保存してみるが信じられないほど時間がかかる。何が起きているのだろう。マイクロソルトのクラウド「ワンドライブ」に保存しようとしているようだ。保存先をパソコンに変更しようとしたが、これまでのパソコンにあった「この PC」や「PC」が見つからない。すでに深夜でサポートセンターはとっくに終了している。

翌朝パソコンメーカーのサポート窓口に電話。状況説明すると「マイクロソフトに電話して欲しい」。その後もメール設定などトラブルが続き、昼頃までメーカー窓口とマイクロソフト窓口に6回も電話を繰り返す。その夜原稿を書き、席を外し戻ってみると画面に「再起動しています」と表示されている。再起動した覚えなどない。怪奇現象? マイクロソフトに電話すると、原因はパソコンのアクティブ時間が 8:00..17:00 に設定されていること。Windows10 の機能の一つでアクティブでない時間にソフトを自動更新する仕組みだという。その後もメールその他、言い出せばキリがないほどトラブルが続く。

トラブルの多くが default で設定されていた条件に絡むもの。そしてメーカー、マイクロソフトなどサポート窓口の縦割り。そして会社同士で責任の押し付け合いもあった。

以上が PC 業界の現状のようです。Apple の世界に棲む私としては「へえー、そんなにタコで居心地の悪い PC に世の中の人たちは何故しがみつくのだろう」と不思議で仕方がありません。Apple はハード・ソフト全て扱っていますから、ほとんどの問題を Apple サポートセンターで受け付けてくれますし、とても親切丁寧。ソフトも「人間の思考にそった動きをしてくれる」が Apple の創設者 Steve Jobs の基本的考えで、そもそもサポートセンターに頼ることはとても少ない。自然な感覚で素人でも迷うことなく扱える。

マイクロソフトの動く PC の原型を作った IBM でさえ、一念発起し全社の PC を Apple にリプレースした結果、社内サポートセンターへの問い合わせが激減、仕事効率のアップなど、大幅なコスト削減ができたという実話もあります。

◯ Mac mini (M1) 使用感

キーボード入力の問題が解決。次は今まで使ってきたマシーン内容を新マシーンへ移行作業。TimeMachine から復元する方法もありますが、今回は「移行アシスタント」アプリを使って移行しました。

その後は特別問題なく使えています。強いていえば、Apple 標準の日本語入力システムがどうも手に馴染まないくらい(google 日本語入力は数日後には何事もなかったかのように使えるようになっていました)。特別マシーンに負荷をかけるような作業はしていないので、記事で見るように「M1 って、スッゲェ速ええ」ってな感じは受けていませんが、システムの立ち上がりその他、以前より速くなっているのだと思います。しかし人間とは贅沢なもので、早くもこの環境に慣れてしまい、さして速いと感じなくなってしまっています。

おそらく主に SSD の効用でしょうが、マシーン内でのファイルのコピーなどは明らかに速く、サクッと終わるのは気持ち良いですね。

そうそう、今までのマシーンと圧倒的に違うところがあります。筐体が全くと言って良いほど熱を持たないのです。これまでの Mac mini はかなり熱を持ち、同じ机に置いた傍のものが熱くなっていることもしばしば。M1 CPU はとても効率良いと言うことで、ノートブック・タイプのバッテリーの保ちはかなり良いはず。

◯ Mac mini 下取り、あれ?

先月の iPhone 同様、Mac mini も下取を出しました。使わなくなった Mac mini が数台あるのですが、一番値段のよいはずの昨年4月購入の今までメインで使っていたものを出すことにしました。AppleStore の予想下取価格は 31,000 円。ところが、また iPhone のときと同じドツボにはまってしまいました。結末はもっと最悪でしたけど、、

前回同様、提出した運転免許証・健康保険証の住所は地番だけですが、Apple にあらかじめ登録された住所は地番+マンション部屋番号なので、この相違でキャンセルされるはずということで、Apple サポートセンターに電話し、そのむね説明しました。iPhone の時はサポートセンターの方で部屋番号をはずしてくれ無事通過したので、今回もそのようにしてもうよう電話したのですが「今はずすのではなく、キャンセルのメールが来たらお電話ください。そこで外します」とのこと。

やがて住所不一致でキャンセルとのメールが届いたのですが、あいにく日曜ということで月曜朝一番で電話。ところが「タイミング的に遅すぎ、この時点で住所変更しても配送センターではキャンセルが確定してしまっている。もう一度引き取りの日時を予約し直し、キャンセルになった時点で再度電話して欲しい」とのこと。しかも引取予約は3回が限度で、それを過ぎると下取はできなくなる。また最初に下取予約してから2週間過ぎると、これも下取はできなくなるとのこと。うーむ、、

と、かなり微妙な状況で果たして下取してもらえるかドキドキの状態でした。その他にも色々あったのですが長くなるので省略。何とか無事下取に来てもらうことができました。

下取に出したマシーンは購入後1年半ほどだし、購入時の箱に入れてだしたので、AppleStore の予想額 31,000 円かせいぜいそれをちょっと下回るくらいだろうと思っていたのですが、ガーン。数日後に来たメールで下取確定額まさかの100円。えっ、、

もうくたびれてしまって、抗議の気力なし。折角 Apple の対応の素晴らしさをここまで讃えてきたのに、最後にミソをつけられました。それにしても何でたったの100円?

もう一度、下取額確定メールをよく読んでみました。理由は「既存データを消去できない」とのこと。ディスクユーティリティでデイスクを初期化した後、OS を再インストールし初期状態にしたつもりでした。ディスク内容を再確認するには折角工場出荷状態にしたマシーンにユーザを作成しなければならず、データが残っているかどうか再確認しなかったのが失敗でした。それにしても既存データ消去できないから100円って、どうなのよ、、

こういうことには経験値が必要、どなたかの参考になればと書き残します。

◯ 今月の脳トレ

今までは、データベース・サーバを別の古い Mac mini で動かしていたのですが、今度はディスク容量も速度も増えたことですし、新しいマシーン1台でまかなうことにしました。サーバ・マシーンは voyager という名前で運用してきましたが、新しいマシーンの名前も voyager にした方が他のマシーン設定を変更する必要がなく便利。サーバの名称変更を行うと、いつも家内から「また、サーバが使えなくなっちゃった」とクレームが来るし、、

古いサーバはいずれお役御免の予定ですが、ひとまず voyager2 に改名。リプレースした新しいマシーンに voyager の名を与えました。ところが、ここで問題発生。

TimeMachine の保存先 NAS 上にあった voyager のバックアップ・ファイルを削除、新しい voyager をそこに TimeMachine でバックアップしようとしたのですが「他の voyager が登録されており、保存できません」とのメッセージ。この NAS は以前ここにもレポートしましたが Drobo という賢いやつ(5台の HDD をセットでき、1台駄目になっても動かしたままそいつを抜いて新しい HDD に差し替えることができる。大容量 HDD に差し替えることにより、全体容量を増やせるというメリットも)。

うーむ、見かけ上のファイルを削除しても、賢い Drobo のヤツどこかに覚えているらしい。必要ファイルを別のところへ退避してから HDD を全部抜き、まっさらな HDD を刺してみました。1台の HDD だけでは「もう1台入れろ」と言ってくるので、初期化した HDD をもう1台挿入。これで新たな NAS が設定されると思ったら、賢い Drobo、以前の設定を本体に覚えているらしく、どうしても以前の構成を再構築しようとしてストップしてしまう。

ネットで調べ Drobo を初期化することにより、ようやく新しいマシーンのバックアップを TimeMachine で稼働させることができるようになりました。退避ファイルを Drobo に戻す操作でひと悶着。パーミッションの問題で、どうしてもコピーできないファイルあり。試行錯誤の結果、忘れてしまった UNIX の SHELL コマンドを調べ、ターミナルを開いて SHELL で処理。最近では SHELL を使いこなせる人は少ないでしょうが、Mac の生まれる前 UNIX の世界に暮らしていた人間にとっては朝飯前、こんな時これが使えると楽ちん。

ということで久し振りに数日間、試行錯誤を繰返しながらの格闘戦、楽しかったなあ、、

◯ 私たちはどう進むべきか:AI には危険性も

ユヴァル・ノア・ハラリ氏著「サピエンス全史」が世界的ベストセラーだそうです。人類について今までなかった角度から解説。彼の新著「ホモデウス:テクノロジーとサピエンスの未来」では、人類の未来について述べられています。私も彼の述べるところのほんの一部の聞きかじりでしかないのですが、とても怖いなあと思ったので、ここに書いておきます。

人類がこれから目指す方向の一つとして「AI 利用」があります。すでに一部の銀行では融資に関する意思決定に AI 利用を始め、AI は借主の性格判断などを通して、その人間の将来性や貸し倒れの可能性などを判断。その結果、貸し倒れ率は過去の半分になったとか。

中国のバイドゥは、利用者の嗜好・支払状況・行き先・その他の個人情報を蓄積、各個人に点数をつけるそうです。この点数は他人から参照もできるので、婚活では点数の高い人が選ばれたり、企業の採用などにも活用されるそうです。

また、中国共産党による人民管理のため AI 利用実験が積極的に行われています。少数民族ウイグル自治区では、住民を管理するため AI の実験運用を促進。町中に無数の監視カメラを設置。撮影された住民の顔を AI で認識、個人を「危険・要注意・その他」などに分類して記録。緊張した顔などは危険や要注意の要素、走ったりすると直ちに要注意の点数がつけられてしまうそうです。ちょっとでも危険と判断された住民は街から姿が消え、強制収容所(中国は対外的には教育のための施設と説明)に入れられるとか。中国の本音としては、そもそもこの地区の住民には人権などないのだそうです。背筋が凍りそうに怖い話ですね。

人間は将来、色々なことを AI に委ねるようになる。人間は物事を成功に導く「知能」と、喜怒哀楽を感じる「意識」を持つが、AI には「知能」しかない。人間の幸福・健康・力などを AI に託し、最初はそれらが実現に向かい良い方向を示す。しかし感情を持たない AI の判断は、次第に人間が望む「幸せ」から離れて行く、さらには人間そのものの存在意義すら価値のないものと判断するようになる。つまり、映画「ターミネーター」の世界ですね。

ハラリ氏は言う。もっとも大事なことは「自分を理解し」「現状に満足することを学ぶ」こと。石器時代に比べ現代は科学技術はじめ圧倒的な進化をしているが、果たして現代人は石器人に比べ圧倒的に幸せになったと言えるのだろうか。私もここに最も関わってくるのは、その人間の欲望だと思います。欲張ったら切りがない、無限を求めても無理なのに、多くの人間は際限なくそれを求めようとする。それが問題なのだ。

AI の行先の危険性については、何十年も前から天才的なコンピュータ技術者などが叫んできたことです。「科学者は、自分の取組んでいることの先にある大きな危険性について見ようとはしない」、原子力爆弾の実現が良い例ですね。AI についても同じことが言えるということです。「AI のもたらす光と影」について、早急に皆んなで考えディスカッションすべき問題と思います。

◯ 寿命の延長は是か非か

ハラリ氏著「ホモ・デウス」では、次のようなことを述べています。これまでの世の中の命題であった飢餓・疫病・戦争のいずれもが解決に向かいつつある現在、本来は「これで良し」とすべきだが、(欲張りな)人類は次に何を目指そうとするだろうか。「寿命の延長」さらには「永遠の命」だろうと述べています。今後さらに科学技術が進めば、遺伝子操作などを含む医学的操作で死を招く疾患が克服されてゆくだろう。

ちょっと前まで「人生50年」と言われていたのが、すでに日本では「80年」を超えつつあり「人生100年時代」が叫ばれたりする。今後、寿命は確実に延びてくるであろうと言うわけだが、私としては「はて?」と思う。

だいぶ前、ここにも書きましたが、コンピュータによる疑似生命のシュミレーションでこんなことがありました。画面の中の黒い点を生命と仮定し、画面中央に複数の点の集団を置く。実験1では生命体の寿命を短く設定、実験2では永遠に近く設定。そうすると、どういうことが起こるかというと、寿命の短い実験1の生命体は世代交代を繰り返しながらどんどん周辺へと広がってゆく。ところが永遠の寿命をもつ実験2の生命体は、中央の塊集団のままでほとんど変化がない。

この実験が示すように、「寿命に限界を設けること」は色々な発展につながるが、「永遠の寿命」は発展することがない。実際の生命体なら、恐らく中央で固まったまま腐っていくのでしょう。「適度の寿命」は長い目で見ると、生命のために必要なことなのです。

「科学は葬式のたびに進歩する」という言葉もあるそうで「ある世代が死に絶えたとき、ようやく新しい理論が古い理論を根絶やしにする機会がまわってくる。職場に120歳の上司がいたら、業務革新はてきぱき順調に進むだろうか」。

私は現状に十分満足していますし、やるべきことはやった。これ以上長生きしたいとはまったく思いません。ほどほどのところで周囲に迷惑かけずフェードアウトできると良いなと思っていますが、規則正しい生活、ほどほどの食事・運動・睡眠など、そこそこに健康なのは喜ぶべきか、どうなのかなどと思っています。これも欲張りのひとつですかね、、

◯ 嫌なことがあってもムカつかない

トーク番組「サワコの朝」、日本一過酷な荒行を成し遂げた僧侶:塩沼亮潤さんの話がありました。この方は1300年に2人しか成し遂げたことのない「大峯千日回峰行」という壮絶な荒行を達成したそうです。1日48キロ高低差1300メートル以上の険しい山道を往復16時間かけ歩くこと年間120日。9年の歳月をかけ1000日間歩み続ける過酷な修行、それを23歳のときに満行。さらに翌年「飲まず、食わず、眠らず、横にならず」9日間耐える「四無行」をも達成。この間ウガイだけは許されるそうですが、人間これを10日続けると死ぬそうで、3日目には死臭がただよったとか。

この方はもともと僧侶の家ではなく、まったく普通の家庭に育ったそうですが、この荒行の番組を子供の頃みて「自分もやりたい」と強く思い出家したそうです。

この方の話には幾つか印象に残るものがありましたが、その中でもとても参考になったのが「嫌なことがあってもムカつかない」。嫌なことがあると人間どうしてもムカッとするものですが、一瞬ムカッとしそうになっても「待てよ」と自分をそこから引き戻すのだそうです。また人と接するにはいつも「笑顔」を心がける。そうすればストレスが減るので、健康にも良いし何事にも幸運がめぐってくるのだそうです。

この方の「心に残る曲」は何とレディ・ガガの「Born this way」、歌詞は「あるがまま」というような、いかにも禅僧が好みそうな内容でした。

なあーるほどね、ちょっとしたことですが私にはとても参考になりました。最近うちの奥さん何が気に入らないのか、ちょっとしたことでもトゲのある言葉が返ってくる。でも、ムカッとするのはやめよう、、ああ、これでまた長生きしたくはないんだけどな。

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今年も暮れゆく荏原4丁目の夕日

これは日々の生活で感じたことを書きとどめる私の備忘録です