2007.09 あさはかな知恵で消える貴重なもの

わーくすてーしょんのあるくらし ( 175 )

2007-9 大橋克洋

財政が厳しくなったからと、 お年寄りへ振り向ける医療費や公費がん検診などの回数を減じておきながら、 このような無駄以上の弊害をもたらす税金の使い方がされています。 花が終わったからといって直ちにすべて除去してしまうとは、 何てことでしょう。自然の偉大さを理解できない人間の「不遜」そのものです。 機会あれば品川区の行政に直接クレームを入れたいと思っていますが、 とりあえずこの Web で問題提起しておきましょう、、

現代人は「何でも自分の思うようにあるべき」という愚かな考えから、 環境破壊だけでなく人間自身の自己破壊も進めつつあることを、 日々の診療の中で強く感ずるこの頃です。

毎日午後からの東京都医師会への通勤では、 山の上ホテル裏の公園の盛大な蝉しぐれを聞きながら だらだら坂を登って行きます。このあたりは大きな木も生い茂っていますしね、、

○ 国が消滅させた貴重なもの

蝉の話で憶いだしました。 中国の文化大革命は、多くの貴重な遺産を消滅させました。 中国武術も禁止になりました。 「武術が金持ちの趣味」だからというのが理由のひとつだそうです。 面白いことに「金持ちは武」「貧乏人は文」なのだそうですね。 多くの武術家が弾圧され、 隠れた練習も命がけだったそうです。 その後、武術は国家により健康体操としてスポーツ化され、 本来の巧夫(ゴンフー、ここでは老練な技術を持った人をさす) をはじめ、多くのものが失われたとのこと。

日本の医療はまさに 「文化大革命により消え去った武術」の運命をたどろうとしています。 最近の「医師不足」「看護師不足」をはじめとする あらゆる医療をめぐる問題は、 考えてみると「行き過ぎた医療費抑制」に行き当たります。 抑制しすぎた結果、 「あるべき営業を支えるために最小限の経費さえも割り込む」状態になっています。

ことあるごとに叫ばれる「医療安全」も、 経費率が現実を割ってしまえば、否応無しに落ちざるを得ないでしょう。 本来「安全」とはお金のかかるものです。 コンピュータのセキュリティーが良い例です。 ソフトウエア本体よりセキュリティーの方に 高いコストがかかるという本末転倒の状況にさえなっています。 航空機会社などについても同じですね。

国はどうするつもりなんでしょうか、おそらくもっと悪い状況にならなければ 動かないんでしょうね。 サッチャー政権により、徹底的に押さえ込まれた英国医療がひどい状況を呈し、 その反動で英国は現在医療へ多額の投資をしてますが、 一旦壊れたものは容易には戻りません。 どうして日本は米国ばかり見て(それも決して良いわけではないのに)、 英国の失敗例の轍を踏もうとするのか理解できませんね。

○ 文化大革命にみる大衆心理のおそろしさ

そこへ先日たまたま TV の特集で、 文化大革命のドキュメンタリーをやっていました。 おびただしい「魔女狩り」、 いま風にいえば「大衆によるよってたかってのイジメ」、 恐ろしいことですね。 金持ちや西洋かぶれという告げ口だけで大勢にとり囲まれ、 頑丈な金具のついた軍用ベルトで血だらけになって打たれたり、 もっと悲惨な目にあった人達がいたそうです。

紅衛兵(と称する群衆)により家捜しが行われ、 「古き伝統・文化や贅沢を否定する」と称する理念にもとづいて、 古くから伝わる仏像をはじめ、 素晴らしい美術品や文化財なども徹底的に破壊されました。 中国の損失は計り知れないはずです。 外国に流出した優れた書画・骨董・器などが残ったのは、 幸いと言うべきでしょう。 これに抗することは、 よってたかってリンチを受けた上での死を意味します。

「日本でも 「戦争中、戦争に加担したのは怪しからん」のような発言がありますが、 実際その場に身をおけば「それは平和な時代に生きる人間の戯れ言」 でしかないのでしょう。 「資本家」と称する(彼らの劣等感の)相手が抹殺しつくされた後、 矛先が同志へと向かって行った状況は、 連合赤軍による仲間内のリンチに象徴される内ゲバ闘争とまったく同じ構図です。 群集心理による暴力闘争の終着点は、 太古の昔から同じ結末なのでしょう。

学術的打ち合わせで中国へ行かれた先生からの話ですが、 文化大革命の10年間は学問を行うことも良く思われなかったため、 現在の中国を支えるべきインテリジェンス層から、 その世代がスッポリ抜け落ちているのだそうです。なるほどねえ、、

それにしても大革命の頃、よってたかって集団暴行を加えたり、 自分が反社会と見られないよう母親を紅衛兵につきだした加害者が、 TV の取材に対して何へつらうこともなく、 いけしゃあしゃあと当時自分たちがやった「イジメ」の状況を詳細に喋っているのも、 「中国って何か変」と思ってしまいました。怖いですねえ。

人間というものは、あのような状況になると まったく正気を失ってしまうものなんですね。 これは現代のマスコミや、考えもなくそれに同調する人達にも、 大いに言えることです。日本の医療も何かあれば「紅衛兵」の中で頭をさげ、 罵倒され、叩かれる現状です。 これでは医療から良いものが、どんどん去って行くのも当然のことですね。 文化大革命ほどの狂気にならないうちに、 日本人にはもっと自分の頭で考える賢さを持って欲しいものですが、 非人間的、荒れすさんだ気持ちの人間がさらに増えれば、 いずれ共食いをして終わりなるのではないか との妄想も抱いてしまいます。

○ 今月の歩術

今年は9月になっても結構の暑さです。 私が10年ほど続けている定点気温観測?でも、 ついに今年の夏は観測史上最高の気温を記録しました。湿度も高いですね。 ようやく汗腺も開いたようで、地下鉄神保町の階段を地上まで上がり、 山の上ホテル裏のだらだら坂を登って、 都医6階まで階段を上がりきり、 理事執務室の椅子に座ると全身からどっと汗が噴き出します。

私は生まれてこの方、 ハンカチや手ぬぐいで顔や首の汗を拭くという所作がほとんどなかったのですが、 さすがにハンカチで汗を拭うようになりました。 年齢もあるんですかね。 いずれにせよ、汗はしっかりかくことにより、極めて体調が良くなります。

朝晩のトレーニングですが、 八卦掌の走圏をはじめて半年。 足首も大分しっかりして、ふらつきがなくなってきました。 この運動は足腰や足首の強化に抜群の効果があります。 介護予防には最適のトレーニングです。 何より良いのは「シンプル」で「あまり辛くない」ため、 長続きすることでしょう。 これまで 500gr から 1Kg の範囲で日々変化していた体重が、 不思議とこれを始めた頃から一定に留まっています。 夏やせということもあり まだ何とも言えませんが、 秋から冬に向かっても体重に変化がないようなら、 明らかに走圏の効果と言えることになります。

その効果は当然ながら、普段の歩きにも反映しています。 目標としていた「ドシンと足をついて歩くことをなくす」 ことができるようになりました。 さらに目標とするところは「階段の下り」です。 これをもう少しスムースにしたい。 「階段の登り」も、まだまだ改良の余地はあるのですが、、

このようなことで歩きについて、今月は大きな進展がありません。 しかし「進展のない時が進化している時」なのかも知れません、、

、、と書いてから数週、9月も末、ようやく涼しくなりました。 品川と荏原合同初めての産婦人科の会があり、 自宅から大森まで歩いてきました、往復で7.6km 程度の距離です。 傘をささないでよいほどの雨がパラつき肌寒い気温でしたが、 歩くには絶好のコンディション。

往路は時間に余裕があり、かなりゆっくり歩いたつもりでしたが、 45分ほどで到着する頃は半袖でもやや汗ばむようになっていました。 復路は巡航速度、30分ほどで家に到着。 前肢を猫のように音をたてず地面につけるような気持ち、 八卦掌の踏路を意念し歩いてきました。 がんがん速く歩いたつもりはないのに、 以前、速度を意識して歩いた時より5分ほど短縮しています。 やはりちょっとは進化しているのかも。

○ 今月の脳トレ

夕方帰宅し自宅に入ろうとすると「あれ? 鍵がない、、」。 出かける時に家内が玄関の鍵をかけてくれ、忘れたのを気づかなかったのでした。 家内は留守のようです。時間つぶしにトレーニングを始めましたが、 外出着ではいまいち案配よくありません。 「そうか玄関前なら自宅の無線LANに繋がるはず」と 鞄から MacBook を取り出し、玄関前の階段に腰掛けこれを書いています。

さて本題の脳トレです。 今月も Ajax や Cocoa のプログラムをバリバリに書いています。 Ajax の色々なノウハウが大分身に付いてきました。 javascript で書いた Web アプリだと、 ソースが丸見えなのが何とかならないかと思っていました。 javascript から他のソースを呼べることがわかり、これも解決です。 最初に呼ばれるファイルに、土台となるほんの数行の HTML を書き、 あとは別ファイルに分けて書くようにしました。

汎用ファンクションを このようにライブラリーとして別ファイルにすることにより、 Cocoa でやってきたのと同様のプログラミング環境となりました 「快適、快適、、」。 これでソースもかなり簡潔で読みやすくなります。 Web アプリもかなり奇麗にサクサク書けるようになったのですが、 今ひとつ悩んでいることがあります。 MySQL の更新結果がすぐに画面に反映されず、タイムラグを生ずるのです。 画面がキャッシュされているからかな?と、 キャッシュをクリアしてみても駄目です。 いつものことで わかれば大したことではないのでしょうが、 現在ちょっと悩んでいます、何故??

一時間ほどして家内が帰ってきました。これで家に入れます、、

○ 異なる書式からのコンバータ

Web 版電子カルテNOA のプロトタイプがほぼできあがりました。 現場投入するには、今までの Cocoa 版 NOA のデータを OpenBase から吐き出して MySQL へ吸い上げねばなりません。 従来このような時、Cocoa で OpenBase データを何らかのフォーマットで吐き出すツールを作り、 変換作業を行ってきました。 しかし Cocoa 版 NOA の開発から数年離れている間に OpenBase を扱うための EOF ライブラリーがどうも Cocoa に完全対応しなくなってしまったようです。

根性入れてやれば何とかなるのかも知れませんが、 あっさりと他の方法を考えることにしました。 いくつかの方法が考えられます。 ひとまず WebObjects の EOF 経由で OpenBase を扱ってみると、 こちらは大丈夫そうです。 複雑で貴重なデータを扱う NOA の移行の前に、 慎重を期して他のアプリで予行演習を行うことにしました。

今まで使ってきた WebObjects 版のスケジュールや住所録管理の Web アプリを、より機能アップした Ajax のアプリで書き直しましたので、 まずこちらでデータ移行を行うことにしました。 WebObjects アプリのデータは OpenBase に蓄積されており、 環境がほぼ同じなので予行演習にはもってこいです。

力技で奇麗な方法ではありませんが、 WebObjects で表示された HTML ソースを解析し CSV へ吐き出すツールを Cocoa で作成したところです。 今までも時に応じ こういうツールを作ってきました。 往々にして一旦目的を達成すれば使わなくなるテンポラリーなツールですね。 この CSV を今度は Ajax 版の Web アプリで吸い上げ MySQL へ 落とし込むことにします。

このような作業をしているのは、もうひとつの理由があります。 電子健康ノート は色々なフォーマットのドキュメントを自由に放り込め、 かつそれらを自在に扱えるべきとの考えがあり、 その基礎実験も兼ねています。 今回の作業でも、 フォーマット変換のパーサは比較的簡単に書けていますから、 何てことないはずです。

○ ちょっと、それって違ってないかい?

昨日ある講演会で、 医療情報のセキュリティーや標準化の話について聞きました。 そこでふと感じたことです。

「(医療)情報の普及には標準化が必要」という文言そのものには 何ら反論ありませんが、それを特に強調しこだわることに 「何か違ってないか?」と、私の頭が反応するのです。 事細かに標準の手順を決め「全員が一斉にこれを使え」「これしかまかりならん」 的な流れが、一層「標準化を阻害」してきたのではないかと、、

私の考えはこうです。 「標準化なんてアバウトでいいじゃん」 「なぜって、我々自身が話をする時、そんな厳密に話しているか?」 「お互い適当に話をして適当に解釈し、それで世の中成り立ってるでしょ」 「何か違うかな?と思ったら相手に問い直し修正すればよい」と、 コンピュータでシステム化するにも、こうやらなくちゃいけないと 思っています。

同時に、こうも考えます 「世界には色々な文化圏があり、色々な言語が使われている」 「異なる言語同士で話をする時には翻訳が行われる」 これも必要なことです。世界がひとつの言語になってしまうということは、 それで「失われる文化がある」ということを絶対に忘れてはなりません。 「それぞれの文化を尊重しながら、かつ自分の文化も大切にし、 相互の意思疎通を行う」、これこそがやるべきことでしょう。

しかし、私がいくらそう唱えても風の中で叫んでいるようなもので、 誰も気にとめやしません。 ここはひとつ、実際に動くものを作って見せなきゃだめなんでしょうかね、、

世の中は自分の頭で考えることを捨てた「マニュアル人間」の急増により、 どんどんおバカさんになっていると強く感じています。 なあるほど、「標準化」というのはそういうことなんですね。

○ 失われる文化

南米やアジアに進出し植民地化した西欧人は、 そうやって地球上のいくつもの文化を根絶やしにしてきました。 米国にそういう意図があるわけではないでしょうが、 結果的に 礼儀正しく清潔で賢かった日本の文化もどんどん失われつつあります。 美しい色彩感覚を持っていた江戸文化と、現代の街並み、、

最近とても気になることがあります。 TV ドラマの中ですが、日本間なのに立ったまま話をしたり 挨拶をする場面が非常に多いのです。 NHK の朝ドラ「どんど晴れ」を楽しみに見ていますが、 老舗旅館の女将という設定なのに、和室でも立ったままこれです。 演じている女優さんは当然違和感を感じつつ演じているはずですが、 どうも NHK の方針のようです。

若い人は、これが当然の作法と思ってしまうはず。 TV局はこぞって、古から続いた日本の文化を変えようとしているのでしょうか? 私にはとても不可解なことです。 こうやって若い人達に疑問を投げかけておくのは、 私達の年代の人間がやるべきことだろうと思っています。

○ W-ZERO3 を Mac でも使えるようになった

以前の WILLCOM のノキア製携帯は、 bluetooth で MacBook と繋がりモデムとして機能しました。 これは大変便利だったのですが W-ZERO3 に換えたところ、 bluetooth はなく、モデム機能は Windows マシーンのみ。 購入前から薄々覚悟はしていたのですが、 やはり MacBook を持ち歩いていて不便。

本屋で今月号の MacFan をパラパラめくっていると、 「スマートフォンと Mac でモバイル生活がぐっと便利」 という特集で、フリーの「W-ZERO3 Modem Driver」があるのを見つけました。 早速これを買って帰り記事を読んでみると、 何と作者は NeXus(NeXTユーザ会)の仲間だった白山貴之君です。

翌朝、勇んでモデムドライバーを down load し、MacBook へインストールしました。 ところが、何度接続を試みても MacBook のモデムとして機能しません。 それどころか、色々やっているうち W-ZERO3 自体がネットに接続できなくなったどころか、 電話機能さえも送受信できなくなってしまいました (原因は Modem Driver のせいではなく、 色々やっているうちに生じたW-SIM の接触不良でした)。

仕方なく白山君へ久々のメールを送り泣きを入れると、 親切な返事をもらいました。その手順通りにやると、接続成功、バンザイです。 ドライバーについてきた readme を読み返すと、 メールでもらった手順がちゃんと書いてありました。 設定時に readme の最後の項目を 読み落としただけのオソマツな話。でも、これで便利になりました。 白山君に、感謝、感謝、、

NeXus 時代からのボランティア精神に心からのエールを送りたいと思います。 私も頑張らなくっちゃ、、 話はかわりますが、明日か明後日には Apple から新しい iPod の発表があるはず。 かなり期待できそうな噂があり、楽しみです。

○ iPod touch 発表

さて日本時間6日早朝、CNET news を開いてみると、 Apple 社の発表が会場からライブで載っています。 うわさ通り iPod は一斉に新しいものへと変身していますが、 中でも iPhone から電話機能だけを抜いた iPod touch は美味しそうです。 日本で電話機能が使えるようになるには、まだまだかかりそうなので、 これはこちらでもかなり爆発的に売れるでしょうねえ、、 SONY がディスコンにした PDA 最後の機種はまさにこれに近いものでした。 だから繰り返し言ったじゃない SONY さん「CLIE に携帯機能を載せてって」!!

やはり「可能か不可能かなど考えず」 「何としてもこれがやりたいぞー」と叫んでいれば、神は授けてくれるものです。 SONY でなく Apple が実現してくれました。 あの頃 CLIE に携帯機能が載れば、 iPhone を何年も先に実現していたのにね、ちょっと残念でもあります。

AppleStore Japan を見に行くと、 早くも iPod のラインアップが陳列されています。今回の日本の AppleStore の対応は早かったですねえ。 遅かれ早かれ私も iPod touch を購入してしまうことになるでしょう。 音楽を聴くのではなく CLIE に代る PDA として。 無線 LAN 対応なのは CLIE と同じです。 そうか、iPhone 開発者は CLIE を おおいに参考にしたかもね、、

電話機能がなくても IP 電話を使えば良いのかな? とも思いましたが、 これは無線 LAN の速度では実用的ではないかも知れませんし、 そのためにヘッドセットなどを持ち歩くなら、 携帯を別に持った方が現実的でしょうね。 「意地でも、コレだけでヤッタる」と言うんなら別ですが。

iPod touch の紹介を見ていてハタと思ったことは、 Web やビデオを見る機能はあるのですが、 メールやメモなど PDA として備わっていそうなものが見当たりません。 「ま、いいか、Web が使えるんだから、自分で Web アプリとして 作っちまえばいいじゃん、、メールは Web Mail を使えば良いし」と思いました。

そして Apple 社がまさに、 そのような発想で iPhone を作ったらしいことを憶いだしました。 やはり世の中はそういう方向で進んでいるんですね。 私も、ここのところ Web 版電子カルテと平行して、 自分用の色々な Web アプリの開発が面白くて おおいにハマっているところです、、

○ iPod touch 初ものレポート

AppleStore から iPod touch が届きました。予想外にちっぽけなパッケージです。 さて、開けてみましょう。お? 取り扱いマニュアルのようなものはなく、 折り畳んだ紙片だけです。 「ま、いいか」、私はもともとマニュアルを読まず いきなり使い始めるヒトです。

ボタンは正面下と上端の2つだけ。 押すと iTunes 接続をうながす画像がでました 「はいはい、繋ぎましょう」。ロックをはずせというので、 正面や上端のボタンを押してみました。 画面が消えたりついたりするだけ「はて?」。試行錯誤ののち メカニカルなボタンでなく、 画面のロックボタンを指でスライドさせることに気がつきました。 タイムアウトすると必ずこの状態になりますが、 このロック機構はなかなか使い勝手が良いです ( W-ZERO3 のロック機構には閉口しています)。

iTunes との同期を済ませ「さて、いじってみましょう」 「まず無線 LAN の接続だな」。 うまく設定できたか半信半疑でしたが、 Safari を開いてみると接続できているようです 「よしよし、自分のスケジュール表も見えるようになったぞ」。 Web の入力フォームを指でタッチすると、 キーボードの画像がせりあがってきます。 キーボードの指の感知はうわさ通り、とても優れものです。 「指の太さの中から、よく意図したキーに割り当てるなあ、、」と感心。 日本語変換の使い勝手も上々です。 日本が携帯電話で培ってきたノウハウの投入ですね。

Web が使えるので Google の Gmail にアクセスしてみました。 当然ながら、おー、使えますね。かなり文字が小さく表示されますが、 指2本で広げてやれば好きなように拡大、指1本で上下左右にスクロールできます。 ただ長いメールをこのキーボードで書くのはちょっと辛いかも、、 次は .Mac の Web mail、これも使えます。 ということでメールもオッケー。 Movie を入れてみました。奇麗な横長画面で見られ快適です。 iTunes WIFI Music Store から2局ほど購入しダウンロードしました。 非常に快適にできてしまいます。

「PDF の表示は?」との問い合わせで、試してみました。 PDF に対応しているようですが、日本語フォントが未対応のようです。 日本語の部分だけ何も表示されず 真っ白になってしまいました。 私の試した PDF ではヘッダーとフッターの数字などしか見えませんでしたが、 ユーザインタフェースはユニークで快適そうに思えました。

○ iPod touch を使って、ふと思ったこと

やはり Jobs の出すものは期待を越えますね。 Apple 社が初めて世にだした PDA、Newton MessagePad を切り捨てた Jobs は、 ついに それに代るものを世に送り出したというわけです。 SONY の CLIE 最終版よりさらに薄くコンパクトです。 CLIE も生産が続いていれば、このように進化したのでしょうが、残念です。 iPhone の日本上陸が、ますます待ち遠しくなりました、、

CLIE と比べて iPod touch はこんなに薄い

姉妹のように似ている、CLIE に携帯機能さえ載っていたらなあ、、

指でコントロールする iPod touch の快適なインタフェースを使って、 ふと思いました「ん?指でのコントロールがこれだけ快適となると、 Apple にも『パネルだけのノートブック』を期待したいなあ、、」と。 MacBook の液晶パネル部分だけを持ち歩けたら、 かなり快適と思います。 画面が広いのでキーボードも両手で打ち込めるでしょうし、 トラックパッドより画面直接コントロールの方が快適に決まっています。

HD を積まずフラッシュメモリーだけの機種も出れば、 薄くて軽くて持ち歩きも快適になります (私のように持ち歩くダンベルとしての価値はなくなりますが、 その時は厚い本を何冊か持ち歩くことにしましょう)。 大きな記憶容量がなくても、ファイル類はネットワークの彼方に置けばよいですから。 実際、私の MacBook の HD 容量はがらがらです。

「うん、iPod touch 効果として、きっとこのような声が高まってくるに違いない」 と思ったのでした。ネーミングは「MacTouch ?」なんちゃって、、

○ 嬉しいうわさ

、、と書いて数日も経たないうち、早くも、、 「アップル、ミニタブレット・デバイスを開発のうわさ」 とのタイトルを CNET 記事にみつけました。元ネタは AppleInsider で、 そのデバイスを来年1月の Macworld で見られるかも知れないとか。

「Apple は iPhone や iPod touch 向けに開発した MacOSX を搭載した ミニタブレット・コンピュータの開発プロジェクトを進行中」。 大きさは iPhone より 1.5 倍ほどのスレート型で、 高解像度ディスプレイと iPhone と同じ タッチスクリーン・インタフェース搭載とのこと。 ネットワーク端末を強く意識していることも、 私の考えとまったく一緒ですね。

しかし、私が欲しいのは MacBook 程度の画面サイズです。 いずれ iPhone 購入は間違いないので、 似たようなものを2つ持っていても仕方ありませんしね。 しかし少なくとも、タッチスクリーンへの流れは間違いないようです。

HP からも「touch」という文言の入ったネーミングのPC の発表がありました。 HP TouchSmart PC という長ったらしい名前で、 タッチスクリーン対応のディスプレイ一体型だそうです。 iPod touch の御利益に預かろうという、見え見えのネーミングですね。

○ Web の威力

昨日診療していると、受付事務から「安藤さんという方から電話です」とのこと。 安藤さんには何人か心当たりがありますが、 電話に出ると年配の知らない声、「あれ?」と思ったのですが、 相手は「大橋君?」と聞いてきます。 何と中学・高校時代の親友だった安藤勝也君でした。 卒業後の名簿でもずっと住所不明になっていて、 「彼はどうしているのかなあ、、」などといつも思ってきました。 彼とは朝早くから砂場の鉄棒に飛びついて色々な技を練習したり、 意地の張り合いをして冬でも薄着で通したりしました。 私としては最も親しい友人だったのですが、 そんな彼も卒業以来まったく音信不通で、もう47年も会っていません。

私は大学の馬術部に入ってからは活発で社交的になりましたが、 中学・高校時代は大変大人しく、親しい友人が少なかったのです。 そんなことで、最近毎年行われるようになった高校の同窓会に出席しても、 親しく話をする人間の少ない状況です。

患者さんがしばらく途切れていたせいもあって、 しばらく懐かしく話をしてしまいました。 彼が突然電話をしてきた理由はというと、 「自分の名前をホームページで検索してみると面白いよ」と 趣味の仲間に言われ、やってみたところ 思いがけず私の Web site で自分の名前を見つけ、電話をくれたのだそうです。

なーるほどねえ、 診療所前に停められる自転車の数がハンパでなく営業妨害もよいところに音を上げて、 ここに書いたところ、ほどなくどこかの TV 局から自転車公害の 電話取材があったこともありました。 この Web を立ち上げてかなりの年数になります。 ほとんどレスポンスがないので、 「どうせ誰も読んでいないだろう」と思ったりしますが、 時々思いがけない人が読んでいるのを知り、びっくりすることがあります。 Web って偉大だなあ、、と今さらながら思った嬉しい出来事でした。

「安藤君、今度は是非メールください、、」

* * *

品川区から「高齢者インフルエンザ予防接種」の受給票が届きました。 「はて、高齢者なんてウチにはいないぞ、、」と思ったのですが、 しばらくして「ガーン、この春65才になった私のことかあ、、」と気がつきました。 高齢者というのは、自分よりずっと齢上の人のことと思っていたのですが、、

45才の頃、老眼に気づいたときに似たような「目からウロコ」状態でした。 こんな風に人生は推移していくんですねえ、まあ、いいか、、

次のショックはどんな展開なんでしょう。 ちょっと興味はありますが、残念ながら考えてみてももう大きなものはなさそうです。 あと鑑賞しがいのあるのは、エンディングの時くらいかな。 これも結構楽しみだったりしますが、その後にも楽しみがあるのかどうか、、 電源をいきなり「ブチ」と切った状態かな、 などと今は想像しています。