「脱ステロイド体験談(アトピー手記」
35歳2015年12月22日
35歳2015年12月22日
私のアトピー性皮膚炎は17歳の頃、頸部に激しい掻痒感を覚えたのがはじまりでした。傷口からリンパ液の滲出を伴うその症状は、数日をかけて全身に伝播していきました。以来、私の持病となったアトピー性皮膚炎ですが、24歳になるまで7年間に渡り、ステロイドやプロトピックなどといった免疫抑制外用薬の使用を中心とした「標準治療」を続けました。その内の最後の5年間は、アトピー性皮膚炎の患者の間で有名な青森のU医院にもかかりました。しかしなら次第に家族も私もステロイドによる治療に限界を感じ始め、大学卒業を契機にステロイドからの離脱を独自で開始するに至りました。
脱ステロイドには敗血症のリスクがあり、決して死と疎遠な行為ではないということを後になって知りました。脱ステロイドによる身体の反応は実に凄烈極まるもので、「放っておけば、いずれは勝手に治るだろう」という安易な気持ちで始めたことを何度となく悔やみました。重篤期は激しい掻痒感はもちろんですが、頭部が文字通り2倍に腫れ、目は完全に潰れ、口も1センチ程度しか開けることができませんでした。顔の皮膚からは滲出する乳白色のロウのような体液が3センチほど堆積して、仮面のように顔面全体を覆うようになりました。これを顔から引き剥がすのは大変な痛みと出血を伴いました。また、一度剥がしても数日で同様の状態になるので、繰り返し剥がす日々が何週間も続きました。熱も連日40度を超え、全身から汚れきった野良犬のような悪臭やリンパ液が出て、本当に惨たらしい状況でした。
脱ステロイドによる反応は次第に落ち着くようになりましたが、その後も3年間は、軽いリバウンドや重いリバウンドを経験しました。局所的な所見では表皮を10円玉くらいの大きさに掻き壊して露出した真皮からリンパ液が滲出し、やがて膿漏を経て治るというサイクルでした。脱ステロイド以前には見られなかった膿漏を伴う症状でしたので、感染症を疑って皮膚科を受診しました。
診断は「とびひ」ということで、漢方と抗生物質、セラミドローションが処方されました。ここでは半年ほど治療を続けましたが、一向に改善が見られなかったために断念しました。しかし、その後に顔の赤みが多少残ったものの、完治かと錯覚する程の小康状態を1年半に渡って保つことができました。その間、知り合いが勧める漢方鍼灸院で週1度の鍼と漢方薬を中心とした治療を受けました。治療開始から4ヶ月を経過した頃に、脱ステロイド時ほどではないですが比較的重篤な状態になりました。半年ほどである程度は落ち着きましたが、その後はこの鍼灸院を受診する以前の1年間半のような小康状態になることはありませんでした。
2014年12月に松本漢方クリニックで初診を受けました。掻痒で皮膚がボロボロと崩れてリンパ液が出ると訴えたところ、ヘルペス・ウイルスによるものであるとの診断を受けました。この時、脱ステロイドをしてからお腹を下しがちであること、発汗によって体の表面が痛み、夏場は空調が欠かせず外出できないほどであること、幼少から頭痛持ちであることも相談したところ、総じてヘルペス・ウイルスを原因とした症状であると告げられ、大変驚きました。同日に受けた血液検査の結果は、非特異的IgEの値が16675で、単純ヘルペスの値が562.4でした。単純ヘルペスのこの値は、これまで先生が診てこられた患者の中で2番目に高いものであるとのことでした。薬の処方は、免疫力向上のための漢方(煎じ薬・漢方風呂)と、抗ヘルペス薬(内服・軟膏)でした。
松本漢方クリニックでの治療を開始して以降は、一定期間、局所集中的に創傷ができ、リンパ液が滲出し、膿漏を激しく繰り返す箇所が出てくるようになりました。前腕部、頸部は特に激しい反応がありました。これは漢方によって免疫力が回復するのに伴い、ヘルペスとの戦いが本格化したためで、これまでこうした症状が落ち着いていたのは免疫力が低下したままの状態であったからであると先生から告げられました。
2015年5月の再診に伴い行った血液検査の結果では、非特異的IgEの値は11875、単純ヘルペスの値は196.8でした。
2015年9月頃から、内服する抗ヘルペス薬を1日8錠から1日16錠へと徐々に増量することになりました。その結果、眉など目の周りから岩清水のように絶えずリンパ液が滲出するようになったほか、同年10月上旬からは耳内や歯茎の痛み、後頭部リンパ節周辺を中心とした頭痛に襲われるようになりました。この間、ひどい悪寒を感じたため体温を測定したところ、38.2度の熱が出た日がありました。発熱については予め先生から告げられていたので、抗生物質を飲み、一晩で落ち着きました。
3度目の再診となる2015年12月に行った血液検査の結果では、非特異的IgEの値は16800、単純ヘルペスの値は250でした。さらなる減少を期待した非特異的IgEの値でしたが、先生の説明によると長期的には下が3るが、短期的には上がり下がりしながらであるということでした。
2015年12月20日現在は、耳の下から頸部、下顎にかけてヘルペスによるものと思われる一連の症状が激しく出ている状況です。