「息子のアトピー治療記」
(お父様記述)13歳2016年5月29日
(お父様記述)13歳2016年5月29日
<要約>
2002年9月生まれ。2002年10月より、アトピー性皮膚炎発症。以後、小学校入学前後まで、ひどい皮膚炎に悩まされ、時折喘息を発症する。2010年よりベトナムへ転勤。ひどい皮膚炎は治まるが、2011年4月、ひどいリバウンドに悩まされる。2012年4月帰国。以後、あまりひどい症状はない。現在、稀に鼻炎、かすかに関節を掻く程度で常人と全く変りない生活をしている。
2002年9月、第一子である息子を授かった。約1カ月、妻の実家より神戸に帰って来てからしばらくたって、ひどく肌を掻くようになり、掻いた傷が赤ちゃんの綺麗な肌に目立つようになった。近所の町医者にかかったところ、乳児湿疹と診断され、最初はワセリンが処方され、次いでステロイド軟膏が処方された。私自身がステロイドでひどい目にあっていたので、息子へのステロイドの使用はためらいがあったが、生後数か月の乳児がひどく掻きむしって苦しんでいる様子を、有効的な対策を講じずに見ていられる親はあまりいないだろう。結局、ステロイド軟膏を5回ほど使った。驚くほどの効き目に、妻は少し驚いていた。息子にとって幸運であったのは、実家の近所に松本漢方クリニックでアトピーを治した子供がおり、松本漢方クリニックを紹介されたことであった。
松本先生にかかったところ、すぐにアトピーという診断が下され、その時から漢方治療の日々が始まった。せんじ薬を飲ませ、ネオヨジンで消毒し、漢方の風呂に入り、赤い軟膏を付けるという日々。薬代もばかにならず、診察・投薬の度に2万円程度の出費が必要となり、当時、不況業種に勤めていた私の家計を直撃した。一方で、漢方ではステロイドほどの即効性は望めず、年が明けるころには、ひどく掻きむしった息子は髪の毛がまばらになってしまうほどの有様だった。公園等で出会う周囲の乳幼児の顔は、みなツルツルしていて綺麗で、それに引き換え息子の顔は傷だらけの血だらけ。周囲からもずいぶんと心配され、役所の乳幼児健診ではカウンセラーから「こんなにひどいのにステロイドを使わないのは虐待だ。」とまで言われる始末。それでも頑としてステロイドは使わずに、松本漢方クリニックの漢方治療で完治すると信じて、夫婦で何とか乗り切った。
松本漢方クリニックの漢方治療で完治すると信じられた根拠は、まず松本漢方クリニックのホームページを熟読したことである。私自身が何度もアトピー治療に失敗し、怪しげな治療法を何度も試してきたので、松本漢方クリニックの話を聞いた時は猜疑心一杯であった。しかし、理路整然と筋道立てて説明された治療理論を読んでしまうと、猜疑心はすっかり晴れ、逆に信頼を持って治療を開始することができた。しかも、松本先生はいつも、極めてはっきりと明確に「絶対に治してあげる。」と言いきってくれる。そう断言してもらえたのは、治療を開始して間が無い頃、効果も定かでない時期には非常に心強いものがあった。
ネオヨジンの消毒は、ひどく痛いらしく、息子は毎回泣きじゃくっていた。漢方で傷に薬草の入った袋を当ててあげても、目に見えて治るようなことは無い。下着や服やシーツは血だらけで、見るに堪えなかった。何も変わらないように思える日々が続いて、完治への希望は遠い未来のことと思いこんでいた。そんな日々が続いたのち、ある日気が付いたら、症状がずいぶん緩和していた。もうこれで治ったのかと安堵したのもつかの間、またいつの間にか症状がひどくなり、親でも見ていられないような傷が体中にでき、再び肌を掻きむしる毎日。息子も長じるに付け知恵がついてきて、ネオヨジンの消毒を避けようと一生懸命逃げまわる。こちらもなだめすかして、何とか消毒に持ち込んで、一緒に薬草風呂に入る。せんじ薬を飲む。赤い薬を塗る。エルタシンを塗る。その繰り返し。
乳児を卒業して幼児になっても、幼稚園になっても、なかなか湿疹は治らなかったが、こちらも気長に治療を続けた。一時期、会社が給料を払えなくなった時期があり、まともな会社に転職するまでの間、通院期間がまばらになったが、それでもなんとか治療を続けた。そしてステロイド軟膏は一切使わなかった。
息子が小学校に入って1年後、転職先の都合でベトナムに駐在することになり、家族を帯同した。松本先生はいつも、日本は化学物質の汚染がひどいとおっしゃるが、確かにその通りであり、ベトナムに引っ越してからしばらくたつと、息子のアトピーはずいぶんと緩和された。完治したと錯覚するほどであった。しかし、引越ししてから1年後、すさまじいばかりのリバウンドがやってきた。1カ月ほどの間、息子の肌はボロボロとなり、血だらけとなった。周囲もずいぶん心配してくれ、色んな薬を勧められたが、ネオヨジンの消毒と松本先生の薬だけで何とか乗り切った。そして息子が小学校4年生の時に駐在が開け、帰国した。
年を追うごとに、息子のアトピー性皮膚炎は改善した。中学校2年生の今では、時折ひじの裏を軽く掻く程度で、以前のようなひどい傷になることは無い。3時折掻くのも、これまでの癖で掻いているように思えるほどだ。これから思春期を迎え、受験や就職という人生の大切な時期を過ごす息子にとって、アトピ性皮膚炎が改善したことは非常に大きなアドバンテージとなる。14年前、松本漢方クリニックのドアをくぐらなければ、今頃はどうなっていた事かと思うと、寒気がするほどである。生後半年、顔がボロボロ。頭も掻く部分の毛が薄くなっている。