「『アトピーだった』と言える日」
34歳2004年5月1日
34歳2004年5月1日
私は子供の時からアトピーで、夏になると汗疹、冬になるとカサカサ、年中痒みと共に生活をしてきました。痒みを訴えると、母がステロイドの薬を塗ってくれました。もちろん今から20年近く前のことで、ステロイドによる副作用の事など、誰も知らない頃でした。「よく効く!」それだけで塗っていました。医者からは「大きくなったら治る」と言われ、10代では「結婚したら治る」と言われました。そんな事を言われながら、いつの間にか皮膚科に行くこともなく、ステロイド薬だけを塗り続けました。
そして23歳(平成5年)の夏、「久しぶりに皮膚科に行ってみよう。」と思いました。本当に軽い気持ちでした。勤務先の近くの皮膚科で出されたステロイド薬は、ステロイドの中でも上から数えた方が早いという薬でした。それをどんどん塗れとの指示で、2ヵ月ほど続けました。だんだん不安になり、他の皮膚科に行ってみたところ、やはり止められました。ゆるい薬に変えていくことになりましたが、ここからがリバウンドとの闘いでした。関節はもちろん、頭皮、顔面、耳の付け根、とにかくあらゆるところから、黄色いリンパ液が出ました。掻いた所がすべて、普通の皮膚ではなくなりました。もちろんステロイドは既に塗っていませんでしたが、全身ゾウの皮膚の様なごわごわの皮膚になりました。
そこで西洋医学にうんざりしていた私は、母の紹介で、松本漢方クリニックとは別の鍼灸院へ通院を始めました。その頃、顔はパンパンに腫れ上がり、目も開けづらい程でした。3週間程その状態が続きましたが、毎日通院していくうちに段々改善し、数ヵ月後には、ひどい症状は治まりました。しかし、症状が落ちついてくると、会社勤めには残業等もあり、毎日の通院は不可能で、通院の間隔はあく一方となり、治療はなかなか進みませんでした。
そんな時、叔母の知り合いから松本漢方クリニックについて聞きました。「毎日通院出来なくても、漢方薬を飲めばいい!」私が飛びついた1番の理由は、そこでした。漢方の入浴剤に浸かると、日本神話の「稲葉の白兎」のウサギになったような気がしたのを覚えています。そして小康状態のまま、数年が経ちました。妊娠中、痒みが減った私は、漢方薬を勝手に中断していました。
30歳(平成11年)になった私は、長男を出産しました。乳幼児を抱いて、初めての夏。汗疹だらけになり、暑さと疲れとで、リバウンドの時と同じ症状になりました。今思うと、育児疲れだったのでしょう。実家(岐阜)に戻り、両親に近くの総合病院に連れて行かれるまま、入院を薦められました。治療方法を聞いてみると、やはりステロイド治療でした。「ステロイド」と聞いて目が覚めました。私は何の為に、最初のリバウンドから数年間も闘ってきたのでしょう。すぐ実家に戻り、松本先生に電話でご相談しました。そして漢方薬服用中に、母乳をやることに対しての不安もなくなりました。なぜならアトピーの赤ちゃんは漢方薬を処方されるのですから。それから安心して実家で漢方治療に専念しました。入浴剤入りのお風呂に、1日何回も入りました。すると、前回3週間もかかったのに、今回は10日間ほどでひどい状態から抜けることが出来たのです。
その後も漢方治療を続けてきました。部分的に痒みはありましたが、痒ければネオヨジンを塗り、そう広がることもなく、だましだまし、アトピーとつきあっていこうというぐらいに思っていたのです。ところが驚くことに、昨年(平成15年)秋から、全く煎じ薬も飲まず、入浴剤も使っていないのに、体のどの部分からも、アトピーの痒みが消えていたのです。いつからアトピーになったのかわからない子供の頃から、痒みと共に暮らしてきた私には、本当に信じられない事です。
ステロイドを塗って20年、ステロイドを絶ち、漢方治療をして10年。10年という年月は決して短くはありません。でもあの痒みとさよなら出来る、夢のような日が来たのですから、この10年は無駄ではありませんでした。「アトピーだった」と言える日が来たのです。松本漢方クリニックに通院していなければ、もしかして、今も、まだステロイドを塗っていたかもしれません。松本先生には本当に感謝しています。
私は今34歳、2児の母親になっています。次男(2歳)に、鼻炎と軽い喘息が出てしまいました。彼の長い人生、1日も早く快適にしてあげたいと思い、この3月(平成16年)から、松本漢方クリニックにお世話になっています。今回は、自分が通い始めた頃のような不安はありません。必ず完治すると信じています。もう1度、息子の手記を書く日が来ることを願っております。