「ステロイドとの戦い(アトピー手記)」
25歳2016年2月24日
25歳2016年2月24日
私は現在25歳の男性です。松本先生との出会いは22歳の春でした。私は生まれた頃から肌が弱く、アトピーでした。私にはあまり記憶にはございませんが、両親は良い病院の噂を聞くと、私を担ぎ、よく病院に連れて行っていました。
小学校入学後、2週に一度通う病院から処方された薬を塗り、飲み薬を毎日欠かさず飲み続けると、学年を重ねるに従い少しずつ回復していきました。中学校、高校の6年間は肌が荒れることは、ほぼありませんでしたが、毎年花粉症を発症していました。
小学生の時に野球を始め、高校卒業までの9年間ずっと野球を続けてきました。高校3年生のときには自分がアトピーだったことを忘れ、勉強、スポーツ、趣味に励み、充実した毎日を送っていました。しかし大学に入学し、毎日バイトに通い、友人と遊びに明け暮れるようになると、忘れていたアトピーが再び発症し、肌の調子は徐々に悪くなり、再び病院に通うことになりました。
大学に入学して2年ぐらい経過したときに私は一人暮らしを始めましたが、その頃には、病院から処方されていたステロイドにどっぷりとはまっていました。そして大学を中退した私は、アルバイトを続けていた飲食店の方から社員雇用の誘いを頂き、21歳の春に入社することになりました。
小麦を扱う飲食店でしたが、“薬をマメに塗っていれば、そこまで酷くならないだろう”と思い、あまり肌のことは気にせず入社しました。幸いなことにアルバイト経験が長かったことや、上司やアルバイト仲間の強いバックアップがあったおかげで、入社後約1年という早い段階で店長に昇格することができした。しかし、不規則な生活、食生活の乱れ、ストレスのために肌の調子が徐々に悪くなり、薬の量は増えていく一方でした。
店長になって仕事も落ち着いた頃、久しぶりに連休を頂いた私は、大阪にある実家に帰りました。(※当時は京都に住んでいました)
約半年ぶりぐらいに会う母親は、私の顔を見てびっくりしました。長期にわ2たるステロイド使用によって顔の皮膚が黒くこけていたからです。私は毎日鏡を見ていたので全く気付きませんでしたし、毎日浴びるようにステロイドを塗り続けていたことで肌自体がそこまで荒れていなかったので、病院に通っておけば大丈夫と思い過ごしていたのです。
実家から京都にある自宅に帰った数日後、母から一本の電話が入りました。仕事中でしたが、何かあったのかと思い電話に出て話を聞きました。その電話こそ、今もお世話になっている松本漢方クリニックの紹介でした。母は、漢方薬の話をし、ステロイドを体から完全に抜き切る、今までと全く違う治療法があることを教えてくれました。そして、一度松本漢方クリニックのホームページを見るように勧められました。私は仕事が終わり帰って早く寝たかったのですが、母親の話も気になったので、ホームページを開いてみました。
ホームページには、アトピーやリウマチなど主にアレルギーの治療についての理論が書かれていました。皆さんも同じだったと思いますが、まず患者さんの手記が掲載されていることに驚きました。また、実際に闘病生活を経て治療に成功した方々のメッセージがたくさんあることに驚きました。ホームページを開くまでは「アトピーが治るなんて、夢のような事なんかないだろう」と思っていましたが、手記を読んだ後は“自分もこの人達に続くぞ”という気持ちになり、さっそく休日に母親と二人で高槻にある松本漢方クリニックを訪れることにしました。
松本先生の第一印象は、“とてもパワフルな先生”でした。先生に私のステロイド生活の話をして、これからの治療についての話をお聞きし、治療を開始していただくことになりました。私自身それまではステロイド無しでは生きられなかったので、ステロイドを抜く事は想像もできませんでしたが、ステロイドを抜いた翌日からすごく体が乾燥し、痒くなりました。
治療開始から約一週間、酷い痒みや痛みを伴うリバウンドが起こりましたが、先生からもらった漢方薬を煎じて湯船に入れ漢方風呂に入ると少し楽になりました。
一週間~一カ月頃は、掻き毟った傷という傷からリンパ液という汁が噴き出しました。会社にはなんとか出社できていましたが、夜も眠れなかったこともあり、自分が納得のいくパフォーマンスは全く出来ず、歯がゆい毎日を過ごしていました。一か月~半年頃は初期の頃に比べ、リンパ液の汁の量が増え、寝るときは枕にタオルを巻いたり、シャツは何枚も着替
えて過ごしていました。
半年~一年半頃には、会社を休職することになり、治療に専念することになりました。
それまで漢方風呂につかるのは週に3~4回で、時間は長く入っても3時間でしたが、会社を休職して実家に帰ってからは、毎日5~6時間漢方風呂につかりました。しかし症状は一向に変化がなく、痒く、リンパ液が噴き出す毎日が続きました。
治療開始一年半頃からは、体の痒みとジュクジュクした状態は無くなり、リンパ液が出る事は、ほぼ無くなりました。その頃には症状が回復してきたことを実感できましたので、再就職し社会復帰に至ることができました。その後一年間治療し、現在も治療中ですが、今後も継続し治療を続けていきたいです。
私は長い間ステロイドを使用してきましたが、脱ステロイドを行う事ができました。ステロイドというものは免疫を抑える働きがあります。本来、アレルギーなどで免疫が体に入った異物を体外に排出する際には、体と異物が戦って症状が出てきます。風邪を引き、熱が出るのもウィルスと体が戦っている証拠なのです。人の体はその戦いに勝利し、段々免疫が寛容になり、成長しアレルギーや病気に強くなっていきます。
ところが、ステロイドを使用し続けると、ステロイドが体の免疫を抑えてしまうので、敵であるアレルゲンやウィルスを素通りさせてしまうことになります。それは異常です。そのステロイドを続けている状態が続くと、段々自分の体の免疫がスイッチオフの状態になり続けます。ですがステロイドを続けている限り完治することはありません。ステロイドは塗ったり飲んだりすれば肌が綺麗になります。あたかも自分がアトピーだったことを忘れるくらいすごい薬だと思うこともしばしばあるかとは思います。
しかし、それは間違いです。ただ、現在の症状との戦いから逃げ、ステロイドで一時の快感を得ているだけです。今ステロイドを使用し続けている方も、人生のどこかでステロイドの使用を疑問に思うはずです。その疑問を感じた後、インターネットや本で調べ、色々な治療法や脱ステロイドに挑戦されるかとは思いますが、(服用期間にもよりますが)必ず壮絶な戦いになるでしょう。例えば体重100kgの人がどんなダイエットを開始しても一週間後に60kgになることはありません。ですがステロイドとはそれを60kgにしてくれるような悪魔の魔法なのです。
脱ステロイドをし、体を正常に戻すのはかなり時間がかかります。体の毒素(ステロイド)を体内から排除し、今まで戦っていなかった自分自身の免疫が過剰反応を起こし続けます。それはいままでステロイドを使用していたが為、働いていなかった体内の免疫が、ステロイドをやめると今まで正常だったものも異常になり体からあふれだしてくるのです。私自身、治療中何度も何度も「辛い、しんどい、見てくれが悪い、なんで自分だけやねん」と考えることも多々ありましたが、現在では、治療を行って良かったと思う事、気付けた事がたくさんあります。
20代前半は、ほぼ治療に専念することになりましたが、家族、友達、会社の方など多くの方が心配してくださり、元気づけてくれました。また、「世の中は都合の悪いことは言わない。何事もニュースや学校で教えられるだけではない。無知は怖い。」ということを、この闘病生活や松本先生から学びました。
これから脱ステロイドをお考えの方は、いろいろな方の手記や松本先生のブログをご覧になり、色々な事を考えられると思いますが、私が今この治療を経て思うのは、『自分はこんなに辛い時間を過ごしてきたのだから、今後多少の事では動じない大きな大人になっている』という事です。
この治療が今後の世代にも伝わり、一人でもステロイド依存者が減ることを願っています。