Ⅳ.治療開始前から治療を終えるまでに思ったこと
息子のカポジ水痘様湿疹症やアトピーは、息子にとってどんなに痒くて辛いものだっただろうと思うと、母である私にとって本当に辛いものでした。私自身がアトピー患者であったから、その痒み・辛さが想像できるからです。夫には娘の時と同様、息子についても漢方で治療したい旨を了承してもらいました。
小児科の先生には、息子の3ヵ月健診や予防接種等で小児科を受診した時、「これは治療しているの?」と聞かれ「はい、治療中です。」と答えました。あまりにひどかったので小児科の先生も心配されていましたが、時間が経過するにつれ見た目もだいぶよくなってきているように見えたためか、健診の時に治療中か確認を受け、アトピー性皮膚炎と書かれて様子見となる程度になっていきました。
ただ、息子が別のある病院へ緊急入院になった時は、その入院先の先生にステロイドを拒否していることについて怒られました。『なぜ体で自然に作られているステロイドを体に塗ることを恐れるのか。症状が出たらまたステロイドを塗って治せばいいのだから。』と。
私は、そこでも理由を伝えましたが、こちらでは全く耳を傾けてはいただけませんでした。息子も点滴につながれた状態が嫌で泣き叫び、ストレスで体中をかきむしってしまっていました。ですが、入院先の先生にも点滴に来る看護師さんにもアトピーが痒くて辛いね、と言われ・・・私の体験が理解されることがなく本当に悔しかったです。その上、「母親である私がステロイド恐怖症だ」とも言われました。
「ステロイド恐怖症」全くもってそのとおりです。ステロイドは、一時的に症状は抑えられるように見えますが、症状が出るたびに塗布や服薬を繰り返さないといけません。繰り返した結果、私の顔はしまいには瞼や唇が腫れあがって顔の形が変わり、首周辺まで皮膚がまだら模様に赤黒くごわごわになってしまいました。そんな体験をしましたので、ステロイドは私にとって恐怖の薬以外の何物でもありません。薬剤師には「長期間使ってはいけない薬」と説明を受け、ましてや妊娠中は使えない薬との記載までありました。それを使い続けて大丈夫なの?もし妊娠した時、アトピー治療はどうすればいいの?処方された時からずっとステロイドに対する疑問しかなく、症状が悪化するたびに拒絶したい気持ちしかありませんでした。だから、私は命に関わる場合を除いてはステロイドを使いたくありません。アトピーでは私は死なないので、少なくとも私のアトピーの治療にはステロイドは必要ないのです。
正直、アトピー治療は本人の体の自然な治癒力の問題であるため、先が見えなくて不安を感じたり、子供が痒そうでかわいそうだなと思って心が折れそうになったりすることもありました。期間が長ければ長いほどそう感じます。お金がかかるのも事実です。
それでも私がステロイドを拒否するのは、私自身がアトピー治療でステロイドを使って苦しんだからです。脱ステロイドで治療を始めた時はリバウンドで本当に苦しい思いもしましたが、気持ちは前向きでした。松本漢方クリニックの漢方治療の結果、現在はステロイドを全く使うことがなく、アトピーも出ていません。それどころか花粉症のアレルギー数値も年々下がっており、毎年毎年楽になっているのを実感しています。ステロイドを使わなくても松本漢方クリニックの治療でアトピーが治ることを知っているから私はステロイドを拒否しているのです。自分の体で経験してきたから娘や息子にも同じ方法を勧められるのです。そういう意味では私自身がアトピーを経験して本当に良かったと思っています。
世の中にはいろいろな事情・考えがあり、ステロイドを使われる方、使わない方がいらっしゃいます。私はアトピーの治療でステロイドは使いたくない人間なので、使いたくない人は使わないという選択をしても怒られない医療だったらいいのに・・・と思います。
ステロイドを使わない選択をした場合、体の力を高めるための薬が必要です。ヘルペスに効く薬も必要ですし、漢方の軟膏を塗ると痒みが落ち着きます。入浴剤を使っていれば、痒くてお湯の中で掻きむしっていても解毒してもらっているように感じて気持ちいいですし、掻いた後は気分もスッキリします。単純にステロイドは使わないという選択だけだったら、黄色ブドウ球菌等によって痒みも傷も悪化するので、ステロイドを使わない治療方法は何もせずに放置する方法とは違うということの注意が必要だと思います。だからこそ、私にとって松本漢方クリニック・松本先生に出会えたことは私の人生のかけがえのない宝物だと思います。
家庭での漢方治療では夫が忙しい時は実家の両親が助けてくれました。息子のアトピーの治療には松本先生や松本漢方クリニックのスタッフの皆さんはじめ、多くの方に助けていただいています。そのおかげで、息子のアトピー性皮膚炎は完治に向かいつつあります。
あと少し、息子が全身完全にきれいな皮膚になり、ぷにぷにしたほっぺに頬ずりしながら完治の喜びをかみしめる幸せな日々を目指して、治療を続けていきたいと思います。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。先生、スタッフの皆さま、どうぞこれからもよろしくお願いいたします。
「アトピー完治を目指して」(お母様記述)匿名希望2歳2016年9月15日
(※ 松本院長 解説)
〜松本漢方クリニックに行くまで〜
生後3ヶ月に顔に湿疹。(11月)
ステロイドを使いたくなかったのでオリーブ油やベビーオイル、ローションで保湿をしていたが、よく掻くようになったので、小児科に行った。脂漏性湿疹で乳児はよくなるものだと言われ、ステロイドを拒否すると亜鉛華軟膏と消毒液を出された。治らなければステロイド使ってくださいと言われる。
4ヶ月(12月)
両頬から汁が出るくらいの湿疹、手や足も掻くようになり、全身カサカサしてくる。夜は痒みで眠られないほどになってきた。プロペト、亜鉛華軟膏と消毒液ではどうにもならないので、母乳の質をよくする為に食事を制限もしてみたが、どんどん範囲が広がっていった。
5ヶ月(1月)
アレルギー相談に行くと、小児科、皮膚科の様々な医師からステロイドは短期で使うと安全なので使いなさいと説得され、皮膚科に通いステロイド リンデロン軟膏等をたっぷり塗られた。3日ほどでびっくりするくらいツルツルお肌になる。しかし、つけるのをやめるとすぐに元通りに痒がり、汁が出るほど掻く。特に、肌につけている薬を手で触って口や目に入れないかがとても心配だった。医師からも「乾くまで触らないように。」と言われるので、毎日格闘だった。
7ヶ月(3月)
ステロイドをつけだして2ヶ月が経つが、一向に変化はない。つけている期間は綺麗だがつけない日は痒みが止まらず元に戻るのを繰り返し。医師より、「少しずつ間隔あけて薬減らしていきましょう・・・」とも言われたが全く変化がなかった。ステロイドは身体の内部に蓄積し、中毒になりやめられなくなる、と聞いていたので、小さい息子の体内に毎日大量のステロイドが入っているのではないかと、とても痛々しく、早くやめさせたかった。
8ヶ月(4月)
漢方で治す方法がないかと探していたところ、たまたま入った自然食の店の店員さんに松本漢方クリニックの話を聞く。東京在住なので、HPだけでも読んだらいいよということだったが、HPを読むと、なぜステロイドがいけないのか、何故肌がカサカサしてきて汁まで出てくる状態になるのか、そして、アトピーの原理、その対処の仕方、実際に漢方で見違えるほど良くなった人の手記と、私が知りたかった様々な事が書いてあった。論文は難しいのでまだ完全には理解できていない部分もあるが、戦場に敵と味方がいて、化学物質(敵)と戦っている状態がアトピーの症状で、味方と判断し受けいれる(免疫寛容を起こす)と症状がなくなるという例えの部分は特にわかりやすかった。
また、手記には「『食事制限なし、掻きたいだけ掻けば良い』と先生がおっしゃる。」とあったので、ストレスなくできそうだと思い、実家から1時間で行けるところでもあったので、受診した。(5月9日)
急にステロイドを止めると危険。と書いてあったが、診察3日前より薬を止めていた。そして、待ち時間がとても長かったが、途中で授乳や食事もさせてもらい、やっと診察。「熱がなく、脱水症状なく、体重が減っていないかをチェックするように。」「アトピーは本人の免疫が治すものだから!免疫寛容を起こすと必ず治るから!」「細胞が賢いから体外の化学物質にシッカリ反応できているんやー!頭いい子やでー。」という言葉で、励まして頂き、「よし、絶対治したるー!頑張るでー!」と思えた。
塗り薬(紫雲膏、中黄膏 )、薬湯(解毒潤肌湯)、飲み薬(何種類か調合してもらったもの)をいただいて帰宅した。
漢方薬開始!2015年5月9日〜
ステロイドを3ヶ月ほど使っていたので、やはり先生のおっしゃっていたリバウンドが激しかった。3日前よりステロイドの薬を止めたので、既にリバウンドで全身赤くなってきた。頬や手足は血や汁が出る。夜も眠れないくらい掻く。
お風呂
病院でも入れ方の説明受けたが、他の方の手記を読みながら毎日無理なく続けられるように工夫した。手作りの布袋に薬草を入れて大きなお鍋で30分煮出し、(2回)これをお風呂(少なめのお湯)に入れる。子どもを30分間入れる。薬草が入ったままの布袋もお湯に浸けて、より濃度を高くする様にした。顔はガーゼに風呂のお湯をつけて優しくなでる。一回目に煎じた濃いお湯をタッパに少し取っておき、風呂上りと朝にガーゼで全身に付けた。
はじめの頃はまだひとり立ち出来ない 8ヶ月の息子を抱いて毎日30分入れるのは、なかなか大変だった。ぬる目のお湯にして主人にも協力してもらい、15分くらいからスタートした。立てる様になり、お風呂のおもちゃで遊べる様になってからは30分の水遊びを薬草風呂で楽しんでいた。この薬草風呂はとても効果があったと思う。血や汁が出ているときも治まりが早かった。
塗り薬
お風呂上り、朝起きてすぐに、(できる時はお昼にも)中黄膏(黄色い塗り薬)を塗った後に紫雲膏(赤い塗り薬)を塗る。全身だったので、パジャマや布団も薬がついて洗濯してもなかなか取れない。嫌がらずに塗らせてくれたので、毎日続けられる。紫雲膏は傷の修復がとても早い!
煎じ薬
お茶パックに調合してもらった薬草を入れて、煎じたものを食間に飲ませる。はじめにもらったのは匂いと味がキツく、なかなか飲めない。スポイトで少しずつのませるが、まだ授乳中でもあったので母親の私が飲む事にした。少し治ってきた8月頃から違う薬草を頂く。こちらは本人がコップで適量飲む事が出来た。アトピーを促進させると書いてあったので、よく掻くが9月には汁が出る箇所は無くなった。又、はじめは身体全体に赤くなっていたが、お腹、背中、お尻は早い段階でツルツルになった。顔も頬に一部残る程度。
9月中頃と10月に風邪をひき、小児科にて鼻水止めと咳止めを処方してもらう。これが悪かったようで、しばらくアトピーの症状が広がる。
11月、手首と肘、足首と膝はよく掻いていて、カサカサ。時には血が出たりもするが、他はほぼツルツル。顔もまだ赤くなっている。冬は代謝も夏ほど良くないので皮膚の入れ替わりが遅い分、カサカサしやすいと、説明を受ける。
2016年1月、血が出て酷い時だけ薬草風呂に入る。塗り薬は毎日(赤の紫雲膏のみ)。飲み薬、飲める時に少しずつ。後一息の感じ。しばらく同じ状態が続く。薬がなくなったら病院に電話して処方してもらった。自宅が東京なのでとても助かる。ただ、先生もお忙しい間を縫っての電話診察なので、症状と質問事項は事前にメモしておいた。電話でも細かく教えて下さるのでとても良かった。
3月には顔はツルツルになる。手首足首、肘膝だけ症状が残っている。しばらく同じ症状が続くので、2016年8月に再び松本漢方クリニックへ。「最後、部分的に残るのはヘルペスウィルスがあるからだ。」と教えて頂いた。ステロイドを3ヶ月ほど使っていたので最後にヘルペスウィルスが出てくるとのことで、抗ヘルペス剤の塗り薬、飲み薬、軟膏(赤、黄)、漢方の飲み薬(はじめにもらった物と同じような味)、を頂いて帰宅。
飲み薬が苦く、香りもキツイ為飲みにくい・・・ハチミツやメイプルシロップ、ジュース、お茶に混ぜて色々工夫して飲ませている。
9月、手首足首、肘膝と、まだまだ夜中に起きて掻いていて、塗り薬と飲み薬を使って治療継続中。
アトピーの原理、治る理屈を今まで聞いたことがなかった。「ステロイドでしか治せないよー。」と言っている皮膚科医はその様な説明は何一つしてくれなかった。毒素が身体の中にあるからアトピーになる、又は皮膚が敏感で弱いから、という認識をしていた。なぜアトピーになる人とならない人がいるのか?遺伝子の問題だったと知れてよかった。それも敏感=弱いのではなく、逆に高度な抵抗力が備わっている=強い遺伝子だった事に驚いた。治療はステロイドによるリバウンドもあり、時間も費用もかかり、大変ではあるが、少しずつでも良くなり、アトピーに対する考え方が変わった。
身体に有害な物質をつけて表面だけ綺麗になればいいという考え方が嫌だったので、松本漢方クリニックのHPに出会えた事を本当に感謝している。アトピーや病気は本人の持つ免疫で治すモノ。と教えて頂いているので、長い目で見て完治すると信じ、残りのアトピー治療をしていきたい。
ただ、免疫寛容を起こしてしまえば、体内に化学物質が皮膚から排泄できないまま溜まり、将来的にどうなるのか?という事もまた教えていただきたい。
(※元来、存在が知られている化学物質のうち、人体に影響を及ぼすものは厚生労働省が厳しくチェックしています。もちろん、癌を起こす発癌化学物質は、健康に影響を及ぼすような形で使ってはいけないように指導しています。
ところが、現代文明は7500万以上の化学物質で支えられていますから、それを一切除去して生活することはできないのです。本来ならば、厚生労働省は、「これらの化学物質はアレルゲンになるので、アレルギーを起こすことがあります」と国民を教育するべきですが、一切口にしません。
一方化学物質を異物と認識できない人はアトピーになることすらできないのです。しかし、アトピーにならない人達に新たな病気が出ているという事実は今のところないので、心配する必要はありません。)
もともとアトピーにならない体質の人は皮膚から化学物質を排出できない・・・ということは、体内に蓄積しやすく、大きな病気にかかりやすいということなのか??
(※皮膚が強いからアトピーにならないわけではないのです。アトピーがどうして起こるかについては、私のアレルギーに関するコラムを読んで下さい。)
アトピーにならない人は皮膚が強く、綺麗でいいなーと思いがちだが・・・
妊娠中に何か(漢方薬等)を飲めばアトピーにならない子どもができるのか?よく母に、漢方薬やビタミン剤等の栄養剤をもらうが、その都度、「飲まないとまたアトピーの子が生まれるよ!」と脅される・・・関係はあるのか?
(※あなたのお母さんは無知な人ですから、つまらない事を言っているだけです。まったく関係ありません。お母さんにもアトピーがどうして起こるかについてのコラムを読んでもらって下さい。)
まだまだ分からないことがたくさんあるので、先生の論文もよく読んで息子のアトピーと向き合っていきたい。