「アトピー手記」
34歳2015年4月30日
34歳2015年4月30日
『出産後の脱ステロイド』
「私は肌が弱い」中学生ぐらいの頃から、自分の中でそう思っていました。動物(猫や犬)に触れたあとには、すぐに手を洗わないと、その後に触った部分が痒くなったり、お風呂に入浴剤を入れると痒くなったり、指には湿疹ができることもありました。湿疹ができた指にステロイドを塗るようになったのは、高校生ぐらいからでしょうか。それが、大学を卒業し、就職して1人暮らしをし始めた頃から、湿疹が出る範囲が、顔、体と広がり始めました。そこからは、湿疹が出ればステロイドを塗り、湿疹がひくと塗るのをやめ、の繰り返しを続けることになります。だんだんとステロイドの量も増え、ステロイドを塗らない期間が減り、何度も病院を変えながらも、どの病院に行っても、同じようにステロイドを処方され、それを塗り続ける日々が続きました。ステロイドの内服薬を使用していた時期もありました。また、ある病院で保湿が大事だと言われ、お風呂上がりと朝の1日2回、べったりと保湿剤を塗る時期もありました。
そして33歳のとき、だんだんと症状が悪化していくこと、ステロイドが効かなくなっていくことに不安を感じ、インターネットで調べているときに、松本医院に出会いました。ただ、初めて松本漢方クリニックを訪れたときには、2人目の子どもを妊娠中でした。もしものことがあっては大変だからということで、漢方の煎じ薬は使わず、漢方のお風呂と赤黄の薬を処方していただきました。リバウンド症状は、ゆっくりながら確実に現れ始めました。夜は痒くて眠りが浅く、治療開始から2週間後にはリンパ液が出始めました。妊娠中にリバウンド症状に耐えることは、胎児に影響を与えるかもしれない、先生にも相談した結果、子どもが生まれるまでは治療を中断することにしました。夜に眠れないことが1番心配だったのです。
そして、無事に出産して約2週間が経った頃、漢方の煎じ薬も使って治療を再開しました。治療を再開した翌日には、顔がパンパンに腫れ、全身が赤くなりました。1週間後にはリンパ液が出始め、寒気がひどく、常にぶるぶると震えていました。リンパ液がひどいときには、手ぬぐいやタオルを巻きつけていても、それらがすぐにびしょびしょになるぐらい大量のリンパ液が出て、喉がかわき、尿の量は極端に減りました。腕や足がびりびりと痺れているような感覚で、ちょっと動かすだけでも大変でした。
そんな中、生まれたばかりの赤ちゃんのお世話もあったので、夜中、痒みでなかなか眠れず、ようやくうとうとしかけた頃に赤ちゃんが泣きだし、また眠れなくなるというような生活でした。生まれたばかりの赤ちゃんは目がよく見えないから、匂いでお母さんを認識するらしいのですが、私の体からは、赤と黄色の薬の臭い、そしてリンパ液の臭いしかしません。それもとても辛かったことでした。いつも、こんな臭いでごめんねと赤ちゃんに話しかけていました。リンパ液が赤ちゃんの口に入ってしまうことを心配したのですが、先生に相談すると、もし口に入っても大丈夫だと言っていただき、なんとか母乳を続けることができました。
突然痒みの発作がやってきて、1時間ほどひたすら掻き続ける、そんなときには掻くこと以外何も考えられない、というような状況も続きました。常に寝不足なので、車の運転はとてもできませんでした。約2ヶ月ほどで、リンパ液が出なくなり、なんとか外にも出られるぐらいに回復しました。しかし、その半月後ぐらいに、またリバウンドが始まりました。前回ほどではなかったものの、リンパ液も出て、顔も腫れ、痒みもひどい日々が続きました。せっかくリバウンドが落ち着いてきたと思っていたときだったので、精神的なダメージが大きかったです。
髪の生え際にも湿疹が出ており、髪をひっぱると、がさっと髪が抜けました。産後の抜け毛が増える時期と重なり、この時期は本当に髪がどんどん抜けてしまいました。リンパ液が落ち着くと、次は、痒くて、掻くと皮膚がぼろぼろと剥けて傷だらけになるようになり、その期間が長く続きました。このまま良くならないのではないかと不安になったり、ステロイドを完全に使わないのではなく、少しずつ減らすやり方に変えたらどうかと家族に言われたり、赤ちゃんへの影響がないのか不安になったり、治療を続けることが辛い時期もありましたし、涙が止まらない日も何度もありました。同じ経験をされている患者さんの手記を何度も読み、脱ステした人のブログを何度も読み、なんとか1番ツライ時期を乗り越えられたと思います。
ようやくまともな皮膚になってきたと感じたのは、治療再開から1年ほど経ってからです。ただ、首と手はがさがさのままでしたが。その後、季節の変わり目に、顔と首にまた症状が出てまだ回復していないのですが、顔と首以外は本当にキレイな肌になりました。これからも、季節の変わり目などは、症状が出るだろうと思うのですが、その症状の出方が少しずつでもましになっていけばいいなと思っています。
長年、ステロイドを使い続けてしまったので、完治にはまだ時間がかかると思いますが、諦めずにがんばりたいと思います。