「アトピー手記」
31歳2014年9月27日提出2011年記述
31歳2014年9月27日提出2011年記述
私とアトピーとステロイド
わたしは現在28歳と8カ月。生まれたときからアトピーだった私は、ものごころ付いた頃から「私はアトピーという病気」、「湿疹には塗り薬」というのが当たり前で、なんの疑問も疑いもなく、ほかの治療法があることも愛用薬がステロイドという危険なもの、という知識も認識もなく、湿疹が出たら薬を塗り、治まったら止めていた。中学3年になり、顔に出た湿疹にも薬を塗っていた。塗った翌日は肌が白くなり、湿疹も治まるので癖になっていた。高校受験が終わり、ほっとした次の日、朝起きたら顔が真っ赤に腫れあがりただれ、黄色の汁が溢れ、目が汁でくっついて開かなくなっていた。歩いたら当たる程度の風にも激痛が走る。これが1回目ステロイドの怖さを知った時。
花の高校生活は見事に崩れ去り、アトピーと向けられる視線と孤独との戦い。医者に行くと、この症状はステロイドの副作用といわれた。にもかかわらず、ステロイドの飲み薬と塗り薬での治療だった。夏ごろには症状は落ち着き、それなりに過ごせるようになり普通の高校生のようにアルバイトをしたり恋をしたりできるまでになっていた。が、高校2年の2月。これまで使っていた薬が効かなくなり、また顔にアトピーが出だした。見る見るうちにあの2年前の恐怖が再発。アルバイトも辞め、学校も休んだ。2回目のステロイドの副作用による悪化。
心配した親が人伝に入院施設のある良い医者を聞いてきた。高知県の土佐清水にある病院。アトピーに悩む方ならだれもが知っている有名な病院。1カ月の入院生活を送り、それなりに回復し、無事に進級でき、みんなと一緒に3年になることができた。
それからも症状と薬と付き合っていく毎日が続いていた。いつまたこの症状が再発するかという恐怖と隣り合わせの毎日。人生に目標とか夢とかを持てなくなった私。なにか頑張ったところでどうせアトピーやし、悪化したらなにもかも無駄になる。そんな風になってしまった私は大学に進んだけれど、やる気もなく遊べるときに遊ぼう、と遊んでばかりいた。いままでの時間を取り戻したかったのかも知れない。アトピーは治らない病気だとあきらめ、何も調べずに、なにも考えずにアトピーと薬と付き合ってきたアホな私の24年間…。
24歳の夏、薬がまた効かなくなってきたことを感じた私は、結婚や出産を意識する年頃になっていたためか、真剣に真剣に調べだした。アトピの本を読みあさり、ネットや口コミやネット上のアトピーの方が集まって会話するところ、いろんな情報を見てまわったけれど、どれもしっくりこず、私を納得させてくれる治療法情報はなかった。ただこれまでの体験と、調べたことで思ったのは、ステロイド、プロトピックは止めないといけないということ。思い切って止めた、24歳12月のおわり。かゆみと赤みが一気に増し、全身かさかさで、夜も眠れず、一月経った1月24日。3回目の悲劇。病院に行くと先生にすごく怒られ、全身たっぷり塗られたステロイド。次の日、一気に回復した症状。怖くてしょうがなくなったけれどどうしようもないままステロイドを再開した私。どうしたらいいのかわからず毎日薬を塗っていた時、いきなりメールがきた。「松本漢方クリニックいいよ。」その方も松本漢方クリニックで治したと言っていた。すがる思いでHPをみると、松本先生の論文にたどり着いた。そこには私の求めていたものが綴られていて、これでステロイドが止められる!と確信した。25歳の5月。松本漢方クリニックに行った。
それから3年。はじめはやはりリバウンド症状との戦いだったが、すでに3度経験していたし、この治療法で治ると信じていたのでなんなくクリアできた。自分の経過を観察し、どのように治っていくのか、まるで人体実験をしているかのように。約1カ月、熱を持ち真っ赤になり汁が出てかたまり、かさつき、二重の目が一重になるくらい腫れてひどい状態だったけれど、6月の終わりに島根に願掛け旅行に行った日を境に、快方に向かう感じがした。片目だけ、二重が戻ったことがとてもうれしかった。
それから毎年、1月の終わりごろから顔から首にかけて症状が出だし、5月頃くらいまで外出したくないくらい赤くなってかさかさして悪化するけれど、リバウンドの時のような熱をもって汁が出てただれるほどではないし、夏になるころにはツルッと普通っぽい肌になる。年々普通に近づいている。いつかこの時期でも症状がでなくなるときが来るのかな、と思っている。花粉は年に1回のご対面なので免疫の寛容が起こりにくいそうだ。グラフではスギやヒノキより、ダニとハウスダストがすごいのに…。
ステロイドをやめてかんじたこと。
・寒さに強くなった!汗をかきやすくなった(むしろ異常にかいているような)
・皮膚が強くなった(化粧品にかぶれにくくなった、夏に一日中外に居ても次の日に赤くなってただれなくなった)
・痩せた
・色グロになった
まだまだ不思議なことだらけだ。
わたしは、ちょっと良くなったらすぐ治療を怠ってしまういいかげんでめんどくさがりな性格なので、完治に至るまでにはいかないかもしれないけれど、ステロイドを離脱できたことは本当に良かった。悪化してもアトピーを悲観してふさぎこむことはなくなった。またなにかがんばろうと思えるかもしれない。手記を書いていて、今年はもっとまじめに治療に励もうと思った。そうしたら来年は春の時期も悪化をまぬがれることができるかもしれない。
先生、今後ともよろしくお願いします。