「アレルギー体験記」
30歳2016年5月8日
30歳2016年5月8日
はじめに、リバウンドの経験をしてみて一番言いたい事(自分にも言い聞かせたい事)は、患者さんが信じるのは先生ではなく自分の体で、自分の体の声は自分しか聞いてあげられないという事です。
○松本漢方クリニックに通い始めた経緯
松本漢方クリニックには母親とその知人が通院しており、以前より母親から「時間があるなら通院して欲しい」という話をよく聞いていました。私自身漢方については、昔から人間が使ってきている物は悪い物ではないだろうから1度試してみたい、という気持ちがあった事と、2013年1月に仕事を辞め大阪の実家に戻ってきて時間があったため、同年2月に初めて訪れました。ただこの時は、「アレルギーが酷い方でもないのに漢方で治すものが自分の中にあるのだろうか?まぁお肌の調子が良くなったり生理痛が軽減されればいいかな」くらいの軽い気持ちでいました。
○通院前の症状
最初に「困ってる事は何?」と聞かれた時、正直返答に困ったほど、当時は自覚症状がありませんでした。実際は、生理痛や花粉症、食物アレルギー、理由の分からない湿疹など色々な不調がありましたが、それが体の異常だとは思っておらず、それはみんなにもある事、しょうがないもの、という感覚でいました。今考えれば自分の体に関して無知だったなと思います。いくつか思い出した症状を挙げてみます。
<皮膚、食物アレルギー>
・小学生の頃、学校の椅子に長時間座っていた事でお尻に汗をかき、お尻がかぶれて、ただれていた時期があった。
・耳たぶの付け根が切れたり口角炎になったりする事が度々あった。
・時々食べ物で蕁麻疹が出た。小さく出る事もあれば体全体に出る事も。食べ物以外でも、寒冷蕁麻疹、温熱蕁麻疹なども。
・旅行などで疲れると手足に発疹があった。社会人1年目の夏は、会社から帰2と膝から下の部分全体に発疹があり、猛烈に痒くなり30分ほどかき続ける毎日。湿疹の跡が痣となり、暑いのに足が出せない状態だった。酷い時は手が爬虫類の皮膚みたいにごわごわしわしわに。
・発疹とは関係なく突然手足に赤い痣が出てしばらく消えない。大きい物だと直径1cm程度になり、病院に検査に行ったが原因不明。
・試験で使ったエタノールで指先がただれ、治った後もその部分を中心に湿疹やただれが繰り返されるようになった。
【処方箋】
ジルテック錠、セレスタミン錠、アレロック錠、デルモベートクリムなど
<花粉症>
・高校生の時から花粉症。症状は、目の痒みと鼻詰まり、耳の痒みなど。毎年冬の終わりに耳鼻科へ行き、飲み薬、点鼻薬、注射などの対策。
【処方箋】
セチリジン塩酸塩錠、ゼスラン錠、スプデル点眼液など
<冷え性>
・小さい頃から冷え性で、小学生の頃は毎年冬に足がしもやけになっていた。隣に座ると寒いと言われる程。高校生の頃からは肩こりや足のむくみも酷くなった。
・いつの頃からか、体温が35度台に。
<生理痛>
・社会人になった頃から月経前症候群、生理痛が酷くなった。症状は、動けなくなる程の眠気、肩こり、冷や汗が出る程の腹痛、にきび、腰痛など。市販の痛み止めを月に1錠服用。
<耳鳴り>
・昔から時々耳鳴りがあった。耳鳴りが止んで静かになってようやく、“耳鳴りがしていたんだ”と気付く位、しょっちゅう耳鳴りがしている状態。
仕事に支障をきたす花粉症と皮膚のただれ、生理痛以外は薬に頼らなければならない程の症状ではなく、あまり気にしていませんでした。きっと私以外の人でもこのような症状はあるのではないかと思います。これらも体が不調を訴えていたという例として、これから漢方治療を受けるか考える方の参考になれば良いなと思います。
○通院と症状の変化
最初の血液検査の結果、IgEは29、ヘルペスは1桁台でそれほど高くはなく、“今後の治療はそんなに大変ではないのかな”と思いました。「若いのにリンパ球が少ない(数値19.8)」と言われました。
2013年2月~5月初旬までは花粉症と冷え性の治療を受けました。症状に変化はありませんでしたが、花粉症はマスクとメガネで耐えました。
4月の終わり頃、鼻の下が荒れてきました。ヒリヒリというよりは痒く、「鼻のかみすぎ?ヘルペス?」と思い、赤い軟膏を塗り、ヘルペスの薬を続けて飲みましたが症状は悪化の一方。どうやらこれがリバウンド症状の始まりだったようです。5月上旬、花粉が一段落したため、花粉症から生理痛の漢方へ変更してもらいました。こちらは割とすぐに変化があり、生理1日目の激痛が鈍痛になりました。まだ痛いし、他の症状は相変わらず。
5月中旬、鼻の下の肌荒れは鼻の中から口の周り全体に広がり、乾燥すると痒く、掻くと皮膚がポロポロはがれて体液が出てくるようになりました。皮膚が割れると痛い。先生には「マスクなんてせずに堂々と外を歩けばいい」と言われました。
6月中旬にはあごの下から首にかけても同じような症状になりました。病院へ行くと、リバウンドの症状が始まったのではないかということで、アトピーの煎じ薬が出ました。直後、首が猛烈に痒くなり、掻き毟ると体液が大量に出ました。この頃から発熱していたのか、寝る時に手足が熱くて寝辛く、また毎朝、日の出頃になると体温が上昇するのか(交感神経が入れ替わるタイミングか?)首が猛烈に痒くなり、体液が大量に出て気持ち悪くて目が覚めるようになりました。お風呂に入ると楽になるので、朝と晩、長風呂をしました。
7月上旬、とうとう本格的なリバウンド症状が始まりました。1日目はあごから鼻の下まで、2日目は眉の下まで、3日目はおでこまで、顔がパンパンに腫れあがり、自分でも誰か分からない位でした。おでこの真ん中や耳たぶからも体液がにじみ出るのが、しんどいけど少し面白く思いました。元々アレルギが酷くなかったため「ここまで出るとは思わなかった」と先生も驚いていておられました。同時に「自分でステロイドを作って貯めとったんや」とも言われました。
飲む煎じ薬に加え、煎じ風呂、消毒、軟膏などが追加で処方され、朝晩2回、煎じ風呂に1時間以上浸かりました。顔の腫れは5日程で引き、しぼんだ分、皮膚がめくれていくような感じで顔がむけ始めました。しかし、次は手、首から肩の周り、足、と同じ症状が現れ始めました。丁度Tシャツと短パンで日焼けしたように皮膚が真っ赤になりました。相変わらず朝の6時過ぎには目が覚めて、猛烈に痒く、首に巻いているタオルがぐしょぐしょになるほど体液が出ました。怠くて寝ていたいと思いましたが、皮膚が敏感で柔らかい布でもヒリヒリするし、耳からも体液が出て横を向けなかったので、寝不足になりました。朝は痒くて目が覚めた瞬間に前日入った漢方風呂にお湯を足して浸かりました。患者さんみんなが言っていますが、本当に漢方風呂だけは幸せな時間でした。びっくりする程皮膚がむけますが。
この時にしていた事
・皮膚が敏感なので布団カバーや体液を拭くのに赤ちゃん用のガーゼを使う。爪も汚れるし痒い時はガーゼの上からかくようにしていた。これおすすめです。
・服を表裏逆に着る。アトピーの人が同じような服を着ている理由がこの時初4めて分かりました。敏感肌に優しい服の種類ってすごく少ないんですね。
・風呂場で消毒と軟膏を塗る。風呂場を出た瞬間に肌が乾燥してヒリヒリと痛く、軟膏を塗っても皮膚がはがれて面倒なので、風呂場の湿気のある中で軟膏まで塗るとかなりマシでした。暑いと痒くなるのでエアコンを入れるのだが、この年は猛暑で2カ月以上エアコンを点けっぱなしで、本格的な外出も9月末までしませんでした。(ニートさまさまです。)また体液が大量に出ている時の食欲が凄く、ごはんのおかわりなんて中学生以来。それでも上半身はガリガリで(足はむくんでいた)いつもムチムチだった二の腕も初めて細くなった!脂肪と一緒に出ていくというのは本当なんですね。
8月中旬ごろから体液の浸出が治まり、綺麗な皮膚が徐々にでき始めました。ただアトピーのつっぱるような肌で、汗腺もうまく働いていないからか首周りに汗疹ができました。
9月末に、ようやく昼間でも外出しようという気になりました。自分としては“ずいぶん良くなったし体も楽だし・・・”と思っていましたが、周りから見るとやはりまだ肌の色が赤黒く心配されたし、たぶん普段の状態からしたら自分でも異常だと思うレベルでした。なぜそれでも外に出ようと思ったのか考えると、症状の変化が物凄い勢いで良くなるからかと思います。悪化する時の勢いも凄く、数時間ごとに症状が変化するのが分かるのですが、好転もその勢いなのです。体液が出ないし体が軽くなるのが嬉しくて、今までできなかった事をしたくなりました。気持ちも元気になったのだと思います。この悪化から好転までの変化は実験しているようでかなり面白かったです。体は生ものなんだ、人間も野生動物と一緒だ、生き物って正常に戻るように作られているんだ、と(当たり前の事だけれど)感じました。
11月末からはバイトを始め、2014年3月から再就職する程回復した事、一人暮らしを始めた事で薬を飲むのをやめてしまいました。先生には「賢い人ほど良くなったら手記を書かないんや!」と何度か言われ、その後ヘルペスが度々出たり、小さいアトピーが出たり、生理痛もありましたが、リバウンド程の症状が出なかった事もあり病院に行き辛くなってしまいました。とりあえず、他の薬を飲むことはなく2年間を過ごしました。
そんな中、2016年4月初め。異常なストレスが数週間続き、食欲がなった後、起き上がるのもしんどくなり、唇全体がポーンと腫れ、口唇ヘルペスが出ました。頭痛と耳鳴りも異常で、これは松本漢方クリニックに行くしかないと、叱られるのを覚悟で(実際は覚悟する元気もなかった。頼れるのは松本漢方クリニックだけでした。)再度通院を開始しました。案の定叱られましたが、「どんだけ貯めとったんや」とも言われました。本当にそうです。後述するように、リバウンドを経験して、自分の体を大事にしようとあれ程思ったのに、元気になって調子に乗ってしまっていたと反省しました。
今回の症状は、唇と口の中が腫れ、唇全体から体液が出て口角炎にもなり、ストローで流動食しか食べられない時期が1週間。それが少しましになった頃に顔が腫れ、首周り、手足にアトピーが出ました。夜中や朝方に痒くて目が覚めたり、ヘルペスでなのか眠いのに寝つきが悪くなり寝不足でした。
リバウンドの時の症状になるのが本当に怖かったですが、今回アトピーは悪化せず2週間ほどで落ち着き安心しました。いずれ良くなると知ってはいても、あのリバウンドは何度も経験したいものではないですね。リバウンドの症状が出ても通勤や通学をする患者さん方は本当に凄いです・・・
現在5月。口周りから体液が出るのは止まっていませんが、1か月経ちようやく頭痛が途切れ途切れになってきた気がします。まだ職場以外への外出にはかなりの体力を使いますが、今回も好転してからの勢いが凄く、今日は頭痛がない、今日は歩くのが軽やかになった気がする、今日はご飯が食べやすい、と毎日の変化を有難く思っています。今回は一人暮らしで親を頼れず、せんじ薬2種類、手料理、仕事、それだけは意地でも一人でやるぞと思って続けています。
○治療から感じた事
何より良かったと思うのは、自分が自分の体を信じられるようになった事と、体を大事にしようと思うようになった事。今日は眠いなぁと感じたら予定があっても「体が休みたいと思ってるんだ」と気持ちを切り替えて家でゆっくりしたり、発疹や頭痛があったら何か無理をしなかったか考えてみたり。昔は「これくらいどうって事ないから」と予定を優先していました。
また、元々すぐに病院に行くタイプではありませんでしたが、まったく病院に行かなくなり、発疹で周りから「病院行きなよ」と言われても「ちゃんと治るから(体が治してくれるから)」と体を応援する事にしています。
気持ち面では、自分はストレスを感じにくい人間だと思っていましたが、いろいろ考えすぎて自分でストレスを作りやすいのかも知れないと気づき、早めに「もう考えるのはやめよう」と気持ちを切り替えるようにしたり。他にも冷え取り靴下や腹巻、岩盤浴、ヨガや気功など始めました。漢方に頼らず自分の体で体調を整えられる事が一番良いと思ったからです。
せんじ薬は面倒くさいですが、一人暮らしになって自分でやるしかなくなった時、昔の人はこれだけ時間をかけて体の事を考えていたのだなと思うようになりました。やはり昔の人の知恵は凄い。化学式を知らなくたって体に良い事を知っています。
先述したように、人間だけが動物の中で弱い事はないはずです。人間の体だって自分で治そうと頑張ってくれるはずです。合成した化学物質でその頑張りを抑えたり邪魔していないか?症状が抑えられたらOKなのか?その化学物質が体の外に行ったのを確認したのか?逆に負荷になっていないのか?なぜ少し時間をかけてでも体が頑張っている事を証明しないのだろう。みんなは即効性ばかり求めるのだろう。(薬以外でも。)
余談ですが、今年ヘルペスが出る直前に腰痛で動けなくなり、会社の人に「今すぐ病院へ行って」と言われてしぶしぶ行った所、痛み止めと一緒に胃薬を3週間分処方されました。衝撃だ。痛みの元を改善せず衣食住の「食」部分を3週間も危険にさらしてまで薬でやり過ごせと?本当に儲けたいだけなんだなぁと再確認しました。
手記を書いてと言われてから時間がかかった上に、長くまとまりのない文章になってしまいましたが、また先生ほど元気には生きられませんが、今回教わった事、気づいた事を大切に生活していきます。気づかせて頂いた事、薬を処方して頂いた事、松本先生に感謝します。手記を書いて下さった今までの患者さんにも感謝します。自分の体にも感謝します。